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457 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:02:58 ID:Ak/rDNjo0


( ・∀・)恋実れ!のようです


458 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:03:44 ID:Ak/rDNjo0


僕は野良猫

君は人の子

叶わないよね こんな想い


459 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:04:10 ID:Ak/rDNjo0

Case 3:ぃょぅ


460 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:05:01 ID:Ak/rDNjo0

梅雨の季節

毎日、霧雨のような雨が降り続いてる
彼はそこで、座っていた

(=゚ω゚)
ずぶ濡れの体を、隙間風が路地裏を通ってぃょぅの体温を奪う

(=-ω-)「……寒いよぅ……」

ぃょぅは野良猫だった

生まれてすぐ、母親や兄弟ともはぐれてしまった
まだ狩りの仕方も知らない
爪も、牙も、警戒心も 何も知らない

もう何日も食べていない
ぃょぅは道を少し入ったところにあるトタン屋根の下で、そのからだを横たえた


462 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:05:33 ID:Ak/rDNjo0

(=-ω-)「おなかすいたよぅ……寒いよぅ……」

もう、眠い
身体は冷たいのに、顔だけが温かくて、瞼が重くて、微睡が気持ち良くて
もうこのまま、少しだけ眠ってしまおうか…………



ふと トタンから落ちてくる大きな水滴が止んだ
何事か  迎えでも来たのか

(=゚ω-)(…………ん?)

ζ(゚―゚*ζ

そこには、傘をさした 女の子
 
 
463 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:06:25 ID:Ak/rDNjo0

ζ(゚―゚*ζ「大丈夫? 寒いの?お腹痛いの?」

彼女はしゃがみ込み、ポケットからハンカチを取り出した
汚れることも厭わず、それでこの泥だらけの体を拭いてゆく
とても気持ち良く、温かかった

(=-ω-)(……あたたかい…………この人間、何が目的なんだよぅ……)

抵抗する気力はなく されるがままになっていた
煮るなり焼くなり 好きにしろ


頭 背中 足 腹
大きなそれは、小さい体を包んで丁寧に体を撫でていった

それが終わると、彼女はぃょぅを畳んだハンカチの上にそっと乗せた

(=゚ω゚)(……?)


464 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:07:33 ID:Ak/rDNjo0

彼女は大きな鞄を漁っている

ζ(゚ー゚*ζ「あーったーぁ☆」

そう言って取り出したのは、一つの袋
口を開けると、なんとも甘い香りが漂ってきた

(=゚ω゚)ノ「!」

ζ(゚ー゚*ζ「おっ、やっぱお腹空いてたんだねー♪ はい、どうぞー」

小さく千切ったそれを摘まんで、鼻先にもってきてくれた
鼻を近づけて、匂いを嗅いでみる

(=゚ω゚) スンスン…スンスン……

(=゚⊿゚) クワッ ハグッハムッハグハグッ!!

Σζ(゚―゚*ζ「!?」


465 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:08:40 ID:Ak/rDNjo0

ぃょぅが食いつく
勢いよく まだ生えそろってもいないちいさなちいさな歯で、きゅう きゅう、と

ζ(゚ー゚*ζ「わー……よっぽどお腹空いてたんだねー  おいしい?ミルクパン」

(=゚ω゚) ミゥー ィウー

ζ(゚ー゚*ζ「よかった☆ はい」

(=゚⊿゚) ハムッハムッ … キュッキュッ キュッキュ ……ミゥーーミウーー

ぃょぅは平らげ、まだねだる
デレは、ぃょぅが飽きるまで与え続ける
その後はぃょぅが寝付くまで、中指でそっと撫でていた
デレがぃょぅを見つけた 最初の日だった

♪ ζ(゚ー゚*ζ



467 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:09:24 ID:Ak/rDNjo0

翌日
快晴の日差しの中、ぃょぅは目を醒ました
久々に満足に寝た
デレが置いていったハンカチが、隙間から差し込む日差しの温もりを吸って 温かかった

(=゚ω゚)「……気持ち、いい……」

絶好のお昼寝日和
ぃょぅは微睡の中で、昨日の少女のことを考えていた

(=゚ω゚)(あれ、誰だろう……あったかかったよぅ……)

今まで、野良のぃょぅにあそこまで優しくした人間はいなかった
ぃょぅは子猫である外見を活かし、若い女子供にすり寄ってはごく少量の餌か暴力を受け取ってきた

彼女は、路地裏からぃょぅを見つけてくれた
彼女は、優しくて、温かくて、 可愛かった

(=-ω-)(また、会えるといいよぅ……)


468 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:10:16 ID:Ak/rDNjo0

ζ(゚ー゚*ζ「はろー☆」

(=゚ω゚)ノ イウー! ミゥーー!!

彼女は、また来た
昨日と同じパンを持って、ぃょぅの前に現れた

ぃょぅは立ち上がり、彼女に擦り寄る
彼女はぃょぅを抱き上げた

イゥー (=*>ω<)ζ(>―<*ζ キャー

頬を摺合せ、お互いに喜び合う
会いたかった 温かい 彼女(あの子)に

今日は彼女の膝の上でお食事
ひだのあるスカートの上に乗り、一人と一匹で パンを分け合った


469 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:11:41 ID:Ak/rDNjo0

ζ(゚ー゚*ζ「私はデレ あなた、名前はあるの?」

(=゚ω゚)ノ ィゥ ィゥ ミヨ …… ィヨー……

ζ(゚ー゚*ζ「いよー?イヨー!?いよう!!」

(=゚ω゚) イオ … イヨー!!

ζ(゚ー゚*ζ「いよーう!!」

(=゚ω゚) イヨー!!

ζ(^ー^*ζ「イヨー!!」

一人と一匹で、復唱を繰り返す
ぃょぅに、正式な名前が付いた
デレの、友達が増えた日だった


471 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/18(土) 18:12:43 ID:kZdkV9ukO
なにこの子たち可愛い


470 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:12:21 ID:Ak/rDNjo0

それから毎日、デレがぃょぅの元に立ち寄るようになった
一人と一匹は、毎日夕方の短い時間を共にするようになった
デレはぃょぅに一日の出来事を話し、ぃょぅはデレに撫でられて時間を潰した

それが日常になって どのくらい経っただろうか
ある雨の日、デレは傘をさしたまま、ぃょぅを抱き上げた
今日のデレは、心なしか表情が沈んでいた

(=゚ω゚) イゥー?

ζ(゚―゚ ζ「ん? …あぁ、ごめんね なんでもないの」

デレは微笑んで、ぃょぅの頭を撫でた

(=゚ω゚)(――?)

翌日から、ぱったりとデレは来なくなってしまった


472 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:12:53 ID:Ak/rDNjo0

(=゚ω゚)ノ「……どうしたんだよぅ…何かあったのかよぅ……」

( ・∀・)「気になりますー?」

(=゚ω゚)ノ「そりゃもちろん……って、  え ? 」

( ・∀・)「あぁ、申し遅れました。
     僕の名前はモララー しがない魔法使いです」

(=゚ω゚)ノ「……人間が、僕の言葉なんかわかるのかよぅ」

( ・∀・)「魔法使いですから」

僕の言葉を理解し、マホウツカイとかいう自己紹介をする男が 気付いたら真後ろに立っていた
僕はまだ幼いが、これでも猫だ しかも野良
背後に立たれるまで 声をかけられるまで気付かないなんてことは あり得ない

(=゚ω゚)(……なんなんだよぅ こいつ)


473 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:13:49 ID:Ak/rDNjo0

( ・∀・)「で、デレさんなんですけどねー」

(=゚ω゚)ノ「てか、なんでお前がデレを知ってるんだよぅ」

( ・∀・)「魔法使いですから」

マホウツカイ って、何だ

マホウツカイは、一番近くにあった水溜りを指差した

(=゚ω゚)「?」

( ・∀・)「びっくりして飛び込まないでくださいよー?」

デレみたいな白くて細い指で、その水にちょんと触れた
水面に波紋が広がり、それが消えた時には デレがその中にいた


474 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:14:36 ID:Ak/rDNjo0

(=゚ω゚)「デレ!!」

( ・∀・)「だからっ!待て!!」

犬じゃねーよぅ

(=゚ω゚)「デレ!デレに何したんだよぅ!!」

デレは水の向こうの、知らない世界の中にいた
なにかふわふわしたものを抱えて、蹲っていた

( ・∀・)「これは、今のデレさんを映しています。デレさんのお家ですね」

(=゚ω゚)「デレのお家?」

( ・∀・)「はい。デレさん、落ち込んでいますね」


475 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:15:13 ID:Ak/rDNjo0

マホウツカイは、デレが落ち込んでいると言った
確かに、デレ 元気がない
ふと、違和感を感じた

(=゚ω゚)「あれ?……デレ、髪…………」

そう 髪
デレの甘い香りのするゆるゆる巻きの茶色い髪は、肩口からバッサリと切れてなくなっていた
しかし、昨日まではあったはずだ

( ・∀・)「そう、髪……で、これが今日の放課後のデレさんです」

マホウツカイがもう一度水面に触れると、景色が変わった
学校です と、マホウツカイが教えてくれた
デレの話によく出て来る ガッコウ

デレは、なにかに怯えた顔をしていた


476 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:16:18 ID:Ak/rDNjo0

『一年のくせに、生意気』

『短いスカート』

『なにその茶色い髪wwww』

『こっ、これは地毛で……学校にも申請してあっ…』

『校則違反だよね』

『え?』

『切っちゃえwwww』

『ちょっ……やめてください!やめてください!!嫌!嫌ぁっ!!』

じょきっ じょきっ じょきっ じょきっ

『いやあぁぁぁぁ!!』


477 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/18(土) 18:16:46 ID:QbMdVmD60
俺のデレになんて事を・・・


478 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:17:12 ID:Ak/rDNjo0

(=゚ω゚)

(=゚ω゚)「……で、れ?」

( -∀-)

( ・∀・)「デレさん、VIP高校一年生  彼女は英国出身の母を持つハーフで、その容姿や色素の薄さから、しばしばこのようないじめにあうことが多いようです」

(=゚ω゚)「……いじめ…?デレ、なにか悪いことしたかよぅ…?」

( ・∀・)「いじめとは理不尽なもので、デレさんが直接何かしていなくても、相手や周囲の受け取り方によって勝手に起こってしまうのですよ」

(=゚ω゚)「……人間は身勝手だよぅ デレは優しい子で、あったかくて、いい匂いなのに……意味もなく手を出すなんて、ネズミでもしないよぅ」

( ・∀・)「ですよね。 ま、そんなわけでデレさんはしばらく出てきませんよというお知らせに来ました」

(=゚ω゚)「……ィウーー……」

( ・∀・)「…………」


479 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:17:46 ID:Ak/rDNjo0

マホウツカイは、僕の頭を撫でて肉を差し出した
デレが前に持ってきた、ういんなー だ
僕の目の前で、ふりふりと振る    すごく、おいしそうです

(=゚ω゚)「……別に、食べ物くれるからデレが好きなわけじゃないいよぅ」

じろ と、精一杯の威厳を込めて眼だけで睨みあげる
意識はういんなーだ

( ・∀・)「ええ勿論。そんなだったらこんなとこには来ませんよ」

(=゚ω゚)「失礼な奴だよぅ」

爪を伸ばすが簡単に回避されてしまった

( ・∀・)「デレさんの所に行きたいですか?」


480 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:18:46 ID:Ak/rDNjo0

(=゚ω゚)「……んなこと出来るのか、よぅっ!」

( ・∀・)「魔法使い、です、からぁっ!」

ういんなー争奪戦は白熱している

(=゚ω゚)「い、か、せ、ろ、よぅっ!」

( ・∀・)「交換、条件、ありますっ!」

(=゚ω゚)「好物件、あります!みたいな、言い方…すんなよぅっ!」

( ・∀・)「いいから 条件を ききなさい」

(=゚ω゚)「それ しょうゆ です」

( ・∀・)「いいえ コーラ です 多分」

(=゚ω゚)「いいから早く言えよぅ」

ういんなーを勝ち取り、やつの拳に二本ばかし赤線を引いてやった
野良猫なめんなよぅ


481 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:19:53 ID:Ak/rDNjo0

( ・∀・)「いてててて……さて、じゃあその可愛らしい尻尾をもらいます」

(=゚ω゚)「虐待かよぅ」

( ・∀・)「違いますよ 交換条件です。
      君の尻尾一本で、僕は君を、デレさんを助けられるように人間にします。三日間だけ
      三日の間、傍に居て慰めるなりいじめから守るなり、好きにすればいい」

(=゚ω゚)「……痛そうだよぅ」

( ・∀・)「ご心配なく 今のまま人間にします。次に猫に戻った時には、尻尾はありません」

(=゚ω゚)「ちょん切られるわけじゃないってことかよぅ」

迷う
最近まで尻尾でバランスを取って歩いていた
いきなりなくなってしまっても、大丈夫か


482 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/18(土) 18:19:54 ID:kZdkV9ukO
いじめ かっこわるい


483 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:20:48 ID:Ak/rDNjo0

―― 考えるまでもなかった

(=゚ω゚)「……デレの所に、行くよぅ」

マホウツカイを見つめる
奴は満足そうに頷いた

( ・∀・)「商談成立ですね 尻尾にお別れでも言いなさい」

(=゚ω゚)「御託はいいよぅ  だから、早く」

( ・∀・)「では……」

マホウツカイは、羽織物の中からちいさな黒い粒を取り出した

( ・∀・)「飲みなさい」

そう言って僕の前に差し出してきた
僕はそれを舐め取り、そのまま飲み下した
目を瞑る
デレ 今いくよ


484 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:21:26 ID:Ak/rDNjo0

熱い
寒い
目が熱い
身体が寒い
脈は普段よりもずっと遅い
頭に触れるこれはなんだ
うっすらと目を開ける
見えたのは、人間の手だ
自分の方に腕が伸びた ――― 自分の手だ

(=゚ω゚)「……ひ、と?」

( ・∀・)「おめでとう。その姿は三日後…明々後日の日没まで君のものだよ」

これが、人の姿か
視線が高い
毛が無い
毛がない?
…………


485 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/18(土) 18:21:41 ID:pCDRJG5A0
dkdkする


486 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:22:00 ID:Ak/rDNjo0

( ・∀・)「これは餞別だよ はやく着るといい」

マホウツカイは布をくれた 服というらしい
襟の高い、黒い半そでの服に大きなジッパー 黒のジーンズ ……マホウツカイはひとつひとつ説明してくれた

(=゚ω゚)「………で」

頭に装着された 帽子 というもの  猫と同じ形の耳がついていて、大きめの安全ピンが二つ 右耳側についている

( ・∀・)「オプションです 外さないでくださいね」

あっさりとそう言うマホウツカイ

( ・∀・)「見た目的にも、ぴったりでですよ」

僕の外見は 人間でいえば10歳に満たすかどうかというところだ
こんな姿でどうデレを助けられるというのだろうか


487 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:22:27 ID:Ak/rDNjo0

( ・∀・)「これは餞別だよ はやく着るといい」

マホウツカイは布をくれた 服というらしい
襟の高い、黒い半そでの服に大きなジッパー 黒のジーンズ ……マホウツカイはひとつひとつ説明してくれた

(=゚ω゚)「………で」

頭に装着された 帽子 というもの  猫と同じ形の耳がついていて、大きめの安全ピンが二つ 右耳側についている

( ・∀・)「オプションです 外さないでくださいね」

あっさりとそう言うマホウツカイ

( ・∀・)「見た目的にも、ぴったりでですよ」

僕の外見は 人間でいえば10歳に満たすかどうかというところだ
こんな姿でどうデレを助けられるというのだろうか


488 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:23:11 ID:Ak/rDNjo0

( ・∀・)「じゃっ、頑張ってくださいね☆」

マホウツカイは近くにあったブロック塀を破壊した

(=;゚ω゚)「ちょっWWWWWWWW」

急いで回避行動
猫特有の身体能力は健在のようだ

雪崩が起きた場所を見ると、もうあのマホウツカイはいなくなっていた

(=゚ω゚)「にゃろー……」

ぃょぅは舌打ちすると、いつもデレが帰っていく方角に歩き出した
デレの匂いを追う  雨で殆ど消えてしまったが、まだ希望は残っている

湿ったアスファルトを、くつ で歩いて行った


489 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:23:50 ID:Ak/rDNjo0

翌日 デレは髪を綺麗に切りそろえて登校していた

ぃょぅは屋上待機している
デレの匂いは覚えていたので、ここまで付いてくることは容易かった
決してすとーかーとかいうやつではない

(=゚ω゚)「野良出身で良かったよぅ  ……ま、これが終わったら、また野良ちゃん戻りなんだけどよぅ」

ひとりごちている間に、下では大きな音でチャイムが鳴り、おいしそうな匂いがしてくる
昼食の時間だ

屋上へ上がってくる足音がする
ぃょぅはそれが複数であることをを察知して、貯水槽の上に跳躍し身を隠した

(=゚ω゚)(デレじゃ、ない……?)

複数の甘い匂い 女子達のようだ
しかし、そこに混じっている汚い匂いの中に……


490 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:24:22 ID:Ak/rDNjo0

ギィ

屋上のドアを開け、まず最初に投げ出されたのがデレだった
汚い匂いの水で、びしょ濡れになっている

(=゚ω゚)(デレ!?)

次いで出てきたのは、数人の女子

『デレ、よく今日も来れたねー』

『短髪、似合うわよーwwww』

『髪切って彼氏でもできた?』

『あっれ?デレのお弁当、冷凍食品ばっか』

『意外ww手ぇ込んでんのかと思ってた』


491 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:25:04 ID:Ak/rDNjo0

デレの物らしきオベントウを手にした女子が、それを下に向けて振りかぶった

『まったくこんなんだからデレはー ―――』

(= ω)

貯水槽からダイブ
アスファルトに叩きつけられる直前のオベントウを奪い、持ち前の身体能力で宙で一回転してデレの前に着地した
デレと他の女子を隔てるようにして立つ

(=゚ω゚)「デレが、お前らになんかしたかよぅ」

女子達は困惑していた


492 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:25:42 ID:Ak/rDNjo0

『え?なにあれ 今降ってきた?』

『てか小学生……?』

その間にデレにオベントウを返し、ウインクする

(=゚ω゚)「ちょっと、待っててよぅ」

ζ(;、;*ζ「…ぇ……?」

女子達に向き直る

(=゚ω゚)「デレを苛めてるのはお前らかよぅ デレは優しくてお前らなんかよりずっといい人なんだよぅ
     なんでデレを苛める?」

威嚇するように睨み上げる
女子達は少しだけ後退さった


493 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:26:31 ID:Ak/rDNjo0

『……あんた、誰よ?』

『君何歳?学校は?』

(=゚ω゚)「んなもんねーよぅ ……それより答えろ 何でデレを苛めるんだよぅ」



誰も何も答えない
静寂だけが場を支配する
ぃょぅはそれを良しとしない
威嚇は続いた

(=゚ω゚)「答えないなら、早くデレの前から消えろよぅ……  もう二度と、デレにこんなことすんなよ」

小さな牙をむく 屈んで更に小さく見える姿に、込め得る敵意を込めた
女子は舌打ちして、ひとり、ふたりとドアの向こうに消えていく
全員が消え、ドアが重たい音を立てて閉まった時、ぃょぅはやっと警戒を解いた


494 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:27:14 ID:Ak/rDNjo0

背筋を正し、デレを振り返る
デレはオベントウを抱いたまま、呆けたようにぃょぅを見ていた

(=゚ω゚)ノ「いよぅっ!大丈夫かよぅ?」

デレに近付いてしゃがみ込んで、大きなジッパーを下ろし、着ていた服をデレに被せる
デレはびくりと肩を震わせたが、なされるがままになっている

短くなってしまった髪を丁寧に拭う

(=゚ω゚)「ぁー……やっぱにおいはとれないよぅ デレは着替え、持ってるかよぅ?」

“ζ(゚、゚*ζ

デレはこくこくと頷いてみせる
風邪をひかれては困るので、はやく着替えに行くことを促した
名前を、存在を聞かれる前に


495 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:28:07 ID:Ak/rDNjo0

デレは、放課後 屋上に現れた
僕は貯水槽の上から、デレを眺めていた
ジャージ姿のデレは、左腕に僕の服をかけていた

(=゚ω゚)(そういえば貸しっぱなしだったよぅ)

上半裸だった体をさする
肩がひんやりと冷えていた
デレはきょろきょろと辺りを見回している
きっと探されているのだろう

僕は貯水槽から飛び降り、ビッ と手を挙げた

(=゚ω゚)ノ「いようっ!昼、大丈夫だった?」

ζ(゚-゚*ζ「だ、大丈夫でした 本当にありがとう  あとごめんね?気付けなくて
       こんな時間まで、寒かったよね?」

(=゚ω゚)ノ「平気だよぅ!こんなの慣れっこだし」


496 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:29:15 ID:Ak/rDNjo0

ζ(゚ー゚*ζ「あのね、保健室の先生にお願いして、このお洋服だけは洗って乾かしてもらったの。だからね」

そう言って、デレは僕にまだ温かい服を着せてくれた

(=゚ω゚)「ありがとぅ」

服からは、デレの匂いがした
大きなジッパーを首元まで引き上げ、首を埋めた

(=*-ω-)「…………いいにおいが、するよぅ」

ζ(゚ー゚*ζ「えっ?あぁごめん!探してる間抱えちゃってたから、香水が少し移っちゃったかも」

(=*-ω-)「いいんだよぅ……いいにおいだし、温かい……」

(=゚ω゚)「自己紹介が遅れたよぅ  僕の名前は陽
     デレのことをどっかで見ていたマホウツカイとかいう男が遣わした 非力な護衛だよぅ」


497 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:30:00 ID:Ak/rDNjo0

自己紹介は多少脚色してあったが、許してほしい
ケンソン?なにそれ食えるのかよぅ

デレは「ヨウ…」と繰り返して微笑んだ
ζ(^ー^*ζ「陽 ありがとう」

デレは、そっと頭を撫でてくれた

それから僕達は三日間、屋上で時間を共にすることになった


二日目にデレが作ってきてくれたオベントウには大きなういんなーが入っていて、
帰り道で見かける野良猫の大好物であること 最近は何故か見かけないこと その子が心配であることなど
いろいろな「いよう」を教えてくれた

「いよう」について語る彼女はとても楽しそうで、自分のことなのに微笑ましく思えてしまった
デレが、陽の細くて小さい右腕に巻かれた黒いリストバンドに触れ、瞼を伏せた


498 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:30:39 ID:Ak/rDNjo0

ζ(-、-*ζ「……いようもね、右手 怪我してたんだ」

確かに、怪我をした
餌を取り合って負けた時の傷だったはずだ
今は傷痕こそあれど完治はしている
デレは今、この腕と「いよう」の腕を重ねていた

ζ(-、゚*ζ「気付いた次の日に手当てに行こうと思ったんだけど、……ね、髪、やられちゃったから
       いようのところに寄らずに帰ってきちゃった……
あれから見かけないんだけど……大丈夫かなぁ…………」

(=゚ω゚)「……野良だから、常に同じ場所にいるってわけじゃないかもしれないよぅ
     餌も探さなきゃだし、大きな猫からも身を守ったりしないといけないんだよぅ…………きっと」

きっと
おかしな話だ
何故自分がその「いよう」であると言わないのだろう


499 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:31:29 ID:Ak/rDNjo0


(=゚ω゚)(カッコつけて恩返しをしたいだけなんだよぅ、きっと……)

違う感情に 気付いてしまわないように
希望を もたせてしまわないように


500 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:32:13 ID:Ak/rDNjo0

三日目 最終日

昼休みのチャイムから、二人は動き出す
デレは屋上へ
ぃょぅは学校へ

一日目 あの後デレを苛めていた女子達は、陽の存在を教諭に訴えた
野良お得意のかくれんぼで事なきを得たが、たまに見回りに来るようになったようなので
ぃょぅは屋上待機を諦めていた

渡り廊下の上 庇 芸術棟 … 段々と高くなっていく足場の上を、人間の体のまま軽快に登っていく
屋上のフェンスを越え、見事な着地と同時に 屋上へのドアが開いた

(=゚ω゚)ノ「いよう!」

ζ(^ー^*ζ「こんにちは」

軽い挨拶を交わして、二人は並んで座った


501 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/18(土) 18:32:21 ID:kZdkV9ukO
がんばれショタっこ


502 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:33:36 ID:Ak/rDNjo0

あれ以来、デレからは汚い匂いもしないし、鉄の匂いも感じない
外傷が出来るようないじめは、なくなっていた

ζ(゚ー゚*ζ「はい、今日のお弁当」

(=*゚ω゚)「ありがとよぅ!……って、なんかすっかり「いよう」みたいな生活になってるよぅww」

ζ(゚ー゚*ζ「確かにーwwウインナーも一番に食べるし、…カニカマも好きなんだっけ?次いようを見かけたらあげてみようかなwwかにかま」

(=゚ω゚)「きっと喜ぶよぅ!」

お別れの時間は 近い

(=゚ω゚)「……デレ」

ζ(゚ー゚*ζ「ん?なぁに?」

(=゚ω゚)「僕今日カニカマ我慢するから、それ持って一緒にいようを探しに行こうよぅ」


503 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:34:35 ID:Ak/rDNjo0

ζ(゚ー゚*ζ「陽君も一緒に?」

知っていた
オベントウを少しだけ残しては、放課後毎日「いよう」を探しに行くデレを
だから、今日こそ会わせてあげようと思う

いじめもなくなったようだし(デレの知らない所で野良なりの仕返しとケジメをつけさせたのが効いたのか)
もう、人体に思い残すこともない

(=゚ω゚)「僕も、デレの話を聞いてたら会いたくなったんだよぅ」

ζ(゚ー゚*ζ「そう ……じゃあ、今日は一緒にいようを探しに行こう!」

(=゚ω゚)ノシ「おー!!」


この気恥ずかしさも、むず痒さも、 この胸の苦しさも、今日で終わりだ


504 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:35:21 ID:Ak/rDNjo0

放課後、校門から少し離れたところで待ち合わせをした
門を出てぱたぱた走って来るデレに、笑顔で手を振る

(=゚ω゚)ノシ「遅いよーぅ」

ζ(゚ー゚*ζ「ごめんごめん……先生に捕まっちゃって……」

僕の頭を撫で、歩き出すデレ

ここからあの路地までは、そう遠くない
小さいことをいいことに、初めて並んで歩くデレの手を握った

ζ(゚、゚*ζ「?」

(=゚ω゚)「~♪」

デレの手は、やわらかくて温かかった


505 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:36:38 ID:Ak/rDNjo0

(=゚ω゚)「デレ―」

ζ(゚ー゚*ζ「なぁに?」

(=゚ω゚)「デレは、僕が飛び出してきた時、びっくりした?」

ζ(゚、゚*ζ「そりゃあしますよ いきなり高校に小学生が降ってくれば」

(=;-ω-)「だから、小学生じゃないよぅ……」

ζ(゚ー゚*ζ「だって、ねぇ?」

繋いだ手を、ちょっと大げさに振ってくる 恥ずかしい

(=゚ω゚)「じゃあ、例えば今、いようが飛び出してきたらどうするよぅ?」


506 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/18(土) 18:37:14 ID:QbMdVmD60
こいつらには幸せになってもらいたい


507 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/18(土) 18:37:28 ID:pCDRJG5A0
もうすぐ会話出来なくなるのか・・・


508 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:37:54 ID:Ak/rDNjo0

ζ(゚ー゚*ζ「びっくりするけど、抱き締める」

(=-ω-)「あー 僕が勇気を振り絞って繋いだ手は放されちゃうのかよぅ」

ζ(゚、゚*ζ「あっ……えっと」

(=゚ω゚)「別にいいんだよぅ たいして変わらないし」

ζ(゚、゚*ζ「え?それどういう…」

(=゚ω゚)っ//「さてっ!カニカマ用意っ!!」

ζ(゚、゚*;ζ「えっ」

(=゚ω゚)o モグッ

ζ(゚△゚*;ζ「えっ!?」


509 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:38:34 ID:Ak/rDNjo0

しっかり掴んだカニカマをびしっと 沈みかけた太陽に向けて掲げる

噛付くと、デレは素っ頓狂な声をあげる
作戦成功 とばかりににやっと笑ってみせた

さよなら デレ


(=゚ω゚)o「デレッ!!今までありがとう!!僕の名前はいよう!君に助けられた猫で、
     デレのことをどっかで見ていたマホウツカイが遣わした 小さな野良猫!!」

(=゚ω゚)o「君のことが大好きな 非力で小さな子猫だよぅ!!!!」

叫ぶように 鳴くように
その声は高らかと、誇らしげで

視界は狭く、体は軽く、デレの顔は高い位置にある
もう「陽」の声は出ない


510 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:39:28 ID:Ak/rDNjo0


日没は約束通り、体を元に戻し 自慢の尻尾を奪っていった
後悔はしていない
充実した 幸せな三日間だった


511 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:40:12 ID:Ak/rDNjo0

りん
可愛い音が鳴る

それを見つめるのは、黒い外套を羽織った魔法使い

( ・∀・)「……で、今に至ると」

(=゚ω゚)「だよぅ まさかそのまま脱野良するなんて、思いもしなかったよぅ」

場所はとある民家の窓辺
梅雨の涼やかな夜風を取り込む為の隙間越し

赤い首輪と金色の鈴を首に下げたぃょぅと魔法使いモララーが、そこで密かに雑談を交わしていた

ぃょぅは、あれからデレ宅に迎え入れられた
カニカマとういんなーは、たまにのご馳走になった
デレのハンカチのベッドは、デレの枕の隣に設置されたクッションになった
野良猫ぃょぅは、飼い猫いようになった


512 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/18(土) 18:40:30 ID:kZdkV9ukO
いよういい男すぎるだろ


513 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:41:00 ID:Ak/rDNjo0

真実を知っているのは、いようとデレと、モララーだけ
幸せ者の飼い猫は 飼い主のデレに呼ばれて窓辺を離れた

残された魔法使いも 黒い外套を空気に馴染ませて消えていった


( ・∀・)「これもまた ひとつの「恋」のカタチ」

( ・∀:::: 「実れ 実れ 『恋』 実れ」

(  ∀;;:::: 「君に会える その日まで
       僕は叶える 人の恋」

:::: 「収穫祭は 満月夜
   籠目の中の 君の為」



( ・∀・)恋実れ!のようです          Case 3:ぃょぅ 了




514 : ◆zynqho4iRI:2011/06/18(土) 18:42:14 ID:Ak/rDNjo0
以上!!ありがとうございました!
続いて綴じ込みふろくを挟み、次の方お願いします


516 : ◆ROvSa.9JCE:2011/06/18(土) 18:44:18 ID:pCDRJG5A0
乙です!
なんでだろう、やっぱりニヤニヤしてしまうw
 

521 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/18(土) 18:47:48 ID:kZdkV9ukO
乙!
とにもかくにも可愛かったぞ!


517 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/06/18(土) 18:44:34 ID:QbMdVmD60

人間ぃょぅの最後のセリフがかっこよすぎる



 
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