スポンサーサイト

--/--/-- -- --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告
 
419 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/06(金) 02:13:58 ID:8JcG8vWEO
乙乙

次、投下する
なんか微妙な気分になるがいい

No.9より
( ´_ゝ`)曇天にアイスを捧ぐようです


451 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/06(金) 03:10:15 ID:8JcG8vWEO
この日、珍しく雲が空を覆っていた。
吹き荒ぶ西風に乗って細かな砂が地を這い巡る。
砂色の波紋は荒野に築かれた壁にぶちあたり、軍服と銃の色を鈍らせていった。

砂塵に霞む晴天の国、ゲハ。

世界有数の産油国であり、宗教をめぐる紛争地帯でもある。
国連およびラウンジ、ニューソクをはじめとする国々が軍事介入を行っており――

( ´_ゝ`)「いい天気だな」

( ∵)”

ヴィップもまた、軍を派遣している国のひとつだった。



( ´_ゝ`)曇天にアイスを捧ぐようです


453 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/06(金) 03:10:30 ID:8JcG8vWEO
( ´_ゝ`)「風も止めばいいのに」

空を眺めながら溜め息をこぼす青年は兄者。
東国人の血をひいており、薄い顔立ちに碧眼がひどく印象的だ。

( ∵)”

うなずく寡黙な壮年の男はビコーズという。
数年前に突然入隊してきた変わり種で、階級は兄者と同じである。

2人は派遣されてからずっとこのエリアの警戒にあたっている。
主要な交戦地から離れているため、人も来なければ平和そのもので、見慣れた景色は一度も様相を変えたことはない。

( ゚  )”ヒョコッ

そして、背後から忍び寄る黒ずくめもまた、彼らにとってはお馴染みの存在であった。

( ´_ゝ`)「止まれ!」

( ゚  )「はーい」

兄者が銃口を向けるが、返ってくるのは緊張感のない高い声。
不審者は軍人が2人しかいないことを確認して、裾から服を巻き上げた。
 
 
454 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/06(金) 03:10:46 ID:8JcG8vWEO
从*-∀从「っあー……気持ちいいわー」

現れたのは、おそらく下着に分類されるであろう白のワンピース。
あっけらかんと肌を晒す少女は、ハインという。
近くの街の商人の娘で、兄者とビコーズの友人である。

形式的に向けていただけの銃を下ろした兄者が、ハインの右手を見て眉根を寄せた。

(#´_ゝ`)「おま……今日もアイス貰ってきたのか」

从 ゚∀从「ふっふーん、いいだろ」

(#´_ゝ`)「いちいち見せびらかすな! 謝罪と賠償はいいから一口よこせ」

从 ゚∀(;∵)「だーめっ」

少女は身軽にビコーズの背にしがみつく。
大抵の場合、そこから引きずり下ろすのに成功した頃には、アイスの棒しか残っていないのが常である。

諦めた兄者が鼻を鳴らして前方へ向き直る、と。

从 ゚―从「…………」


457 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/06(金) 03:11:04 ID:8JcG8vWEO
( ∵)「……?」

肩越しに見える表情が陰ったことに気づき、ビコーズが首を傾げると、少女はひょいと飛び降りた。

从 ゚∀从「なあ、アニジャ」

( ´_ゝ`)「んー?」

从 ゚∀从つ-━「こっち向け」

(;´_ゝ`)「何がぼぁ?!」

rano09.jpg

「だ」の形の口に突っ込まれたのは、溶けかけたアイス。
驚く兄者の目をのぞきこみ、ハインはにへらっと笑ってみせた。

( ´_ゝ`)「むぐ?」

从 ゚∀从「俺さあ、そろそろ結婚するんだ」

(;´_ゝ`)「へっほんん?!」

从 ゚∀从「北東の町の大地主らしいぜ。俺ってば玉の輿ィ」

(;´_ゝ`)「ほ、か……ほうなのか」

そう言ったきり、沈黙が落ちる。
ハインはじっと兄者の青い瞳を見つめる。
何かを訴えるように、何かを強請るように。


458 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/06(金) 03:11:22 ID:8JcG8vWEO
やがて。

(;´_ゝ`)「………っ」

耐えかねた兄者が目をそらしたのと同時、少女がまくし立てるようにして言う。

从 -∀从「あーあ嫌だわ。窮屈な服着て結婚して子供産んで、街から出ることもなく死ぬ運命だぜ。死んだ方がマシだね。むしろ死にたい」

( ´_ゝ`)「……ハイン」

从 ゚∀从「なあ撃ってくれよアニジャ。その手の銃で、ばーんって。銃の誤作動でも不審者を銃殺でもいいからさあ。心臓か頭を一発、」

( ´_ゝ`)「ハイン!」

从从 )「……まあ、冗談だけどさ。そういうことだから。
     アイスはやるよ。じゃあな」

そう吐き捨てて、少女は黒衣を纏いはじめた。
いつもなら「またな」で終わるはずの別れの言葉に、動揺した兄者は気付いたかどうか。


459 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/06(金) 03:11:44 ID:8JcG8vWEO
( ∵)「…………」

今のは失敗だったな、とビコーズは思う。
彼女は、兄者の言葉で踏ん切りをつけたかったのだろう。
おめでとうとか、頑張れよとか――この国から連れ出してやる、とか。
今の彼らとしてはどれも正解ではなくて、まさか撃つわけにも

――――カチッ

訓練で聞き慣れた音にビコーズが振り向くと、兄者が銃を放り出したところだった。

(;∵)「?!」

(  _ゝ )「なんだよおい。ヘッドショット決めようとしたのに弾詰まりとかないわー」

(  _ゝ )「どんな強運だよ。あいつアイス配ってる時に限って遊びに来るし、そのくせ監視網にはひっかからないし」

( ∩_ゝ )「あー……アイスうめぇ」

ビコーズはうまい言葉をかける術などもっていない。
だからせめて、馬鹿な若者の頭を拳で殴ってやった。

明日、彼らはヴィップに帰還する。



*****


460 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/06(金) 03:11:59 ID:8JcG8vWEO
それから一週間後。

2人は再びゲハの荒野に立っていた。
軍人としてではなく、ボランティア活動を行う民間人としてである。

( ´_ゝ`)「申請通るまでこんなに時間かかるとはなぁ。式に間に合えばいいけど」

( ∵)”

ヴィップ軍が引き上げたその日、大規模な市街戦が行われた。
死傷者は数十名。
そこにハインの名があったかどうかを確かめるべく。

兄者が今後の足を確保しに交渉へ向かう。
ビコーズはアイスを詰めた保冷ボックスを担ぎ直した。

目指すは少女の住まう街。

晴天の国、ゲハの片隅で。
見上げた空は、あの日と同じ、曇天だった。


end.





461 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/06(金) 03:13:08 ID:8JcG8vWEO
以上、投下終了
軍関係の描写に突っ込んではいけません
次どうぞー


464 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/06(金) 03:25:34 ID:8JcG8vWEO
>>461貼り忘れ

兄者が想定しているのは葬式か
それとも結婚式か
結婚式ならアイスをプレゼントとして「捧げる」のか
それともプロポーズとして結婚指輪代わりに「捧げる」のか
そもそもビコーズは必要だったのか
その辺はお好みで補完どうぞ

そして絵師さんと支援に感謝感謝
ありがとうでしたー


463 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/06(金) 03:22:24 ID:/SScKPYIO
乙!
やるせないな……



 
総合短編(シリアス・鬱・ホラー) | コメント(0) | トラックバック(0)
コメント

管理者のみに表示

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。