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743 :( ФωФ)銃とワイン(゚- ゚ 川)のようです:2011/05/05(木) 16:24:18 ID:fXilGOj.0
薄暗い部屋。
天井に吊るされたランプが室内を照らしている。

部屋の中心には、白いクロスが敷かれたテーブル。
そしてそれを挟むようにして置かれた、二つの椅子。

今、そこには二人の男女が座っていた。

チャコールクレーのスーツを着こなしている男。
黒のパンツスーツに身を包んだ女。
二人は何も語らず、視線をぶつけ合っている。

( ФωФ)「……」

川 ゚ -゚)「……」


rano27_1.jpg

( ФωФ)銃とワイン(゚- ゚ 川)のようです


744 :( ФωФ)銃とワイン(゚- ゚ 川)のようです:2011/05/05(木) 16:25:34 ID:fXilGOj.0
( ФωФ)「ふむ、中々殺風景な部屋であるな」

ややあって、男が口を開く。
その声は低く落ち着いたもの。

顔に刻まれた皺、白髪交じりの頭髪が、男がこれまで過ごしてきた時間を語っている。

川 ゚ -゚)「今回は、そちらの手配だった筈だが?」

男の独り言とも取れるような言葉に、女は間を置かず返す。
少し掠れたハスキーボイスは堅の音を含んでいた。

( ФωФ)「確かにそうではあるが、手配したのは我輩自身ではないのでな。
        今回の商談が、どのような場所で行われるのかなど、聞いていないのだ」

川 ゚ -゚)「この部屋を手配した方の事、随分と信用しているようだな、杉浦翁」

杉浦――そう呼ばれた男は、深くゆっくりと頷く。

( ФωФ)「うむ。まだ若輩者だが、信用出来る男よ。今も、組織の二番手を任せている」

川 ゚ -゚)「ほう……杉浦一家の二番手といったら、並大抵の事では務まらないだろうに。
      一体、どんなヤツだ?」

( ФωФ)「興味がお有りかな?」

川 ゚ -゚)「ああ、こんな部屋を選ぶセンスの悪さについて文句の一つでも、とね」


745 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/05(木) 16:27:05 ID:fXilGOj.0
杉浦は苦笑を浮かべる。

( ФωФ)「それでは、次回の商談には連れて来よう」

川 ゚ -゚)「それはどうも。ちなみに、ソイツの名は?」

( ФωФ)「ドクオ――ドクオ・シノ。それがヤツの名前である」

川 ゚ -゚)「なるほど、覚えておこう。それでは早速、商談を始めたいのだがな。
     素直商会の代表ともなると、一分一秒でも時間が惜しいのだよ。なんせ取引先が多くてな。
     だがその前に一つ、聞いてもいいかな?」

( ФωФ)「何であるかな、クール嬢」

川 ゚ -゚)「この、テーブルの上に置かれたワインは?」

そう言って彼女は顎で指す。
二人の間にあるテーブル。

そこには赤ワインのボトルが一つに、グラスが二つ。
ご丁寧にコルク抜きも置いてあった。

( ФωФ)「大方、ドクオが置いたのであろう。商談が成立したら飲もうではないか」

川 ゚ -゚)「そうか。まあ、いいだろう。では本題に移っても?」

( ФωФ)「ああ、構わないのである」

杉浦の言葉に、クールは椅子の横に置いていた鞄から数枚の書類とペンを取り出す。


747 :( ФωФ)銃とワイン(゚- ゚ 川)のようです:2011/05/05(木) 16:28:49 ID:fXilGOj.0
川 ゚ -゚)「こちらが重火器類の詳細。こちらが拳銃等の小型の物。また、それに使用する弾薬。
     途中は飛ばすが、最後は奴さんの詳細。私が言うのも何だが、貴方は戦争でもするのかね、杉浦翁」

( ФωФ)「なあに、流石の奴等とちょっとな」

川 ゚ -゚)「……流石一派。ラウンジの過激派だったか。
      また五年前のように、この街は血と硝煙で溢れるのだろうな」

( ФωФ)「おや、お嫌いかな?」

その一言に、クールは妖艶な笑みを浮かべる。

川 ゚ー゚)「ハッ、まさか。寧ろ大歓迎さ。武器商人が闘争を歓迎しない訳が無い。
      こっちはそのお陰で、儲けさせてもらっているのだからな」

( ФωФ)「ふむ、それもそうであるな」

言いながらも、杉浦は書類を確認していく。
一枚一枚、時間を掛けてじっくりと。

( ФωФ)「うむ、確認した。サインは何処にすれば宜しいかな?」

川 ゚ -゚)「最後の書類、その一番下に頼む」

( ФωФ)「分かった」

彼はペンを取ると、サインを書いていく。
流れるような字で書かれたそれは、筆記体で『Romanesque Sugiura』。

ここに、商談は成立した。


749 :( ФωФ)銃とワイン(゚- ゚ 川)のようです:2011/05/05(木) 16:31:51 ID:fXilGOj.0
クールは杉浦のサインが入った書類を確認すると、それを鞄に仕舞う。
そして、改めて椅子に座り直した。

互いが座っているソファ型の椅子は、人一人楽に座れる余裕がある。
体格の良い杉浦とは違い小柄なクールは、柔らかな背もたれにすっぽり埋もれていた。

川 ゚ -゚)「それで?」

( ФωФ)「それで、とは?」

川 ゚ -゚)「おいおい、短時間で呆けた訳でもあるまい。
     商談の成立を祝して、乾杯とやらでもしようと言ったのを忘れたか?」

( ФωФ)「無論、忘れてはおらんよ。だが――」

その瞬間、杉浦の手には一丁の銃。
しかし、眉一つ動かさずクールは応じる。

川 ゚ -゚)「何のつもりだ?」

( ФωФ)「なあに、保険であるよ。一応、我輩の命を狙う輩は多いのでな。
        此処に先に居たのは……クール嬢、お主であったよなあ」

川 ゚ -゚)「そうだが?」

( ФωФ)「様々な商品を扱う素直商会代表ならば、
        もしかしたら、封を切っていないワインに毒を入れる事も可能かもしれない。
        そう考えても、おかしくはなかろう?」

川 ゚ -゚)「なるほど、一理ある」
 
 
750 :( ФωФ)銃とワイン(゚- ゚ 川)のようです:2011/05/05(木) 16:33:31 ID:fXilGOj.0
だがな、と前置きして彼女は言う。

川 ゚ -゚)「その銃は何だ?
     これまでの取引を通じて、そこそこの信頼はあると思っていたのだが」

( ФωФ)「勿論、ある程度は信頼しておるよ? だから言ったであろう、保険だと。
        万が一、というのが我輩は怖いのでな」

溜息を一つ吐き、クールは彼の手にある銃を見る。
武器商人である彼女は、当然その銃を知っていた。

川 ゚ -゚)「先の大戦で使用されたDTシリーズ……それも初期のD-90、か。
     よく手入れされているが、やはり時代遅れの玩具(オモチャ)だな」

( ФωФ)「その玩具に命を握られているのは、何処のどちらかな?」

川 ゚ -゚)「……はぁ、分かった。つまりは、私が毒見すればいいのだろう?」

( ФωФ)「その通りである。さあ、時間が惜しいのであろう?」

再び溜息を吐くと、クールはボトルを開けに掛かった。
封を切り、徐々にではあるがコルクを抜いていく。

その様子を、杉浦はじっと見ていた。


752 :( ФωФ)銃とワイン(゚- ゚ 川)のようです:2011/05/05(木) 16:35:15 ID:fXilGOj.0
川 ゚ -゚)「開いたぞ」

( ФωФ)「ならば、お主側のグラスにそれを注いでもらおう。そして――」

川 ゚ -゚)「飲め、か」

( ФωФ)「うむ」

クールは杉浦の言葉通り、グラスにワインを注いでいく。
三分の二ほどのところで、注ぐのを止めた。

( ФωФ)「おや、もう少し飲んでも良いのだぞ?」

川 ゚ -゚)「言っただろう、この後も商談があるんだ。あまり飲むわけにはいかない」

( ФωФ)「それもそうであったな。では、飲んでもらおうか」

彼が僅かながら銃をクールに突き出す。
彼女は、黙ってグラスの中を飲み干した。

川 ゚ -゚)「どうだ? これで文句は無かろう?」

( ФωФ)「ああ、見事な飲みっぷりだった」

川 ゚ -゚)「では、そちらのグラスにも注g――」

不意に、クールの言葉が途切れる。
杉浦がどうかしたのかと尋ねる前に、赤い液体が、彼女の口から吐き出された。


753 :( ФωФ)銃とワイン(゚- ゚ 川)のようです:2011/05/05(木) 16:37:59 ID:fXilGOj.0
ワインを注ごうとしていた彼女の肢体は、テーブルの上に落ちる。
ボトルやグラスは床に落ち、クロスは赤く染まっていく。

素直商会代表、素直クールが動く事は、無かった。

この場に居るのはただ一人。
その彼は、

( ФωФ)「やはり、毒か」

と呟いた。

ワインかグラスか、もしくは両方か。
手配した者の事を考え杉浦は、更に呟く。

( ФωФ)「全く……よくやった、と褒めてやりたいが、
        これでは我輩まで死ぬところではなかったか」

濃い笑みを浮かべ、席を立つ。
素直クールを一瞥すると、唯一あるドアへと向かう。
そしてドアノブに手をかけた所で、

( ФωФ)「――」

杉浦の脳天を、一発の銃弾が駆け抜けた。
身体が力無く崩れ落ちる。

彼は最後まで、自身に何が起きたのか、理解していなかった。


756 :( ФωФ)銃とワイン(゚- ゚ 川`)のようです:2011/05/05(木) 16:39:34 ID:fXilGOj.0
「やれやれ、年は取りたくないものだな」

倒れた杉浦の後ろ。
そう呟いたのは、

川 ゚ -゚)「なぁ、そうは思わんかね? 杉浦翁」

素直クール。
彼女は椅子に座ったまま、左手に持った銃を下ろした。
空いている右手を使い、自分の口に指を入れる。
そこから何かを取り出すと、床に捨てた。

川 ゚ -゚)「ふぅ、口内装着型の血糊か……クソッ、やはり自社の物の方が良いな。
     時間に余裕があれば用意したものを。あの男め」

吐き捨てるように言うと、彼女は席を立つ。

川 ゚ -゚)「だがまあ、これで後は残党を潰す事で杉浦一家のシマは我が素直商会の物になる。
     流石一派は……まあ、どうにでもなるだろう」

脳裏に浮かぶ未来のヴィジョン。
クールは満足気に頷くと、杉浦に目を遣ることも無く部屋を出ようとする。

しかし。

川; - )「な゙ッ!?」


759 :( ФωФ)銃とワイン(゚- ゚ 川A`)のようです:2011/05/05(木) 16:42:26 ID:fXilGOj.0
胃から何かが込み上げて来る。
耐え切れず吐き出されたのは、紛れもない本物の血。

川; - )「な゙っ、ぜ……ゴボッ! ゲホッ、グェッ!」

右手で口を押さえる。
そうしている間にも、血は絶えず、溢れていく。

しかし、それだけではなかった。
血はもはや、クールの毛穴という毛穴から流れ出していた。

その姿は文字通り、血達磨。

この状態に、彼女は覚えがあった。
浮かぶのは自身が取り扱う商品の一つ。

素直出血毒。

川; - )「バ、ガな゙…………ヷイ゙ン゙に゙……どぐ、な゙ん゙で……」

纏まらない思考でクールは考える。
……ワインに毒なんて入ってないと言っていたじゃないか。
これでは話が違う。杉浦を謀殺して、二人でこの街を手に入れる筈じゃなかったのか。
ワインに毒が入っているように見せかけて。血糊まで用意して――血糊?

そこでようやく彼女は気付く。
自分が騙されていた事に。

川; - )「ぐぞ、が……」


760 :( ФωФ)銃とワイン(゚- ゚ 川のようです:2011/05/05(木) 16:43:38 ID:fXilGOj.0
その言葉を最後に、クールは今度こそ動かなくなった。
己が血で、己を濡らしながら。さながら、赤いワインに身を浸したように。

部屋には男女の死体が二つ。
音一つ無く、静かに時が流れていく



はずだった。



静寂を破るのは、何かが開く音。
その発生源は、クールが座っていた椅子。

その背が、開いたのだ。

('A`)「……よっこらセックス、っと」

出てきたのはひょろっとした小男。
彼は首を鳴らすと、床に伏せている二つの死体へと向かう。

懐に手を入れる。取り出したのは小型の拳銃。
それを杉浦の頭部に向けると、発砲。
そして今度はクールの頭部に向けると、同じように引き金を引いた。

('A`)「はン、テメェ等みてぇな害虫が、信用だの信頼だの、笑わせるな」

そう言って、男は部屋を後にした。


761 :銃とワインのようです:2011/05/05(木) 16:44:29 ID:fXilGOj.0







「裏社会の屑共は、俺が皆殺しにしてやる」

そう、残して。







( ФωФ)銃とワイン(゚- ゚ 川A`)のようです 了



 



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