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546 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/05(木) 06:36:15 ID:kBRVf81c0

rano27_1.jpg

【No.27】 http://blog-imgs-34-origin.fc2.com/s/o/g/sogomatome/rano27_1.jpg

(#゚;;-゚)煙草ばっかし吸ってるなよばか、のようです


547 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/05(木) 06:37:21 ID:kBRVf81c0

夕日が窓から差す彼の部屋で、私は描きかけの油絵を見ていた。
背景のないその絵には、重なり合うように拳銃とワインが描かれている。

(#゚;;-゚)「……」

彼がその絵を何を思いながら描いたのか、私は考える。
思い当たることはすぐに見つかったのだけれど、それを言葉にはできない。

(#゚;;-゚)「ねえ、この絵って……」

換気扇の下で壁に掛けられたキッチン用品と共に、その絵の作者は佇んでいる。
私の口からは当たり障りのないセリフが漏れ出していた。

(#゚;;-゚)「拳銃は男性性で」

(#゚;;-゚)「ワインは女性性を表しているの、かな」

独り言ともしれない私の言葉は回る換気扇に吸い込まれずに、彼の耳に届いたらしい。
壁をぼんやり眺める彼は、煙草を咥えたまま適当な相づちを打った。

爪'ー`)y‐「……」

爪'ー`)y‐「そうかもしれない、なあ」


548 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/05(木) 06:38:14 ID:kBRVf81c0

爪'ー`)y‐「フロイトに聞かせてやりたいね」

(#゚;;-゚)「……嘘ばっかり」

私はカンバスから顔を逸らして、数メートル先の喫煙者に視線を向ける。
フライパンの中央に当たりなんて文字はないのに、彼は決まってそこに煙を吐いていた。

爪'ー`)y‐「そうだね、本当は何も考えずに描いたんだ」

(#゚;;-゚)「それも嘘」

爪'ー`)y‐「どうかな」

彼は、煙草を持つ細い腕を掲げたままに深呼吸をしている。
そのとき私ははじめて、煙草の煙に種類があることを知った。

彼が咥える煙草の先端からは、絶えず白色の雲が換気扇に向かって流れている。
それはウェディングドレスやお腹の中の胎児の肌とも違う白さだった。
何もしていないのに汗ばむような、夏の日の雲に似ている。
 
 
549 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/05(木) 06:38:54 ID:kBRVf81c0

(#゚;;-゚)「日陰の種を作ってるみたい」

爪'ー`)y‐「……」

彼は、細い眼をさらに細めて私を見つめる。

少しして、偉い哲学者がするように思慮深く頷いた。
それはまるで私の言ったことが分からなかったように、私には思えた。

私は胸に火傷を一つ負ったような気分になる。

(#゚;;-゚)「ばか」

爪'ー`)y‐「……」

爪'ー`)y‐「そうかもしれないなあ」

もう一つの煙草の煙は、少し濁った色をしている。
ゆっくりと唇から煙草を離したときに、そこから広がる煙だ。

フィルターと肺を通して白さは失われ、幾分紫に近い色合いになる。
ため息に色があれば、こんな色なのかもしれないと私は思う。


550 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/05(木) 06:39:57 ID:kBRVf81c0

誰かのため息を吸っているから、彼はきっと暗いのだ。

(#゚;;-゚)「……根暗男め」

爪'ー`)y‐「そうだなあ……」

以前私は、煙草を吸っている人とは付き合えないと彼に言った。
私は厳粛にそれを彼に伝え、裁判を傍聴する心持で判決を待った。

けれど彼はいつもと変わらない調子で、デヴィッド・ボウイは結婚している、と答えた。

(#゚;;-゚)「それは関係ない」

爪'ー`)y‐「だけど、彼も煙草を吸っているよ」

(#゚;;-゚)「……タバコ中毒はみんなクズだ」

爪'ー`)y‐「そうすると」

爪'ー`)y‐「君の好きなアーティストもそうなのかい?」

(#゚;;-゚)「……」

私はそれを思い出し、改めてずるいと思った。
何時だって彼は適当に取り繕った言葉で私をはぐらかす。


551 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/05(木) 06:40:42 ID:kBRVf81c0

煙草をふかす姿を飽きずに眺めながら、私は居間の絵のことを思っていた。

描かれているのは浅黒い血液によく似た赤ワインと、無慈悲に命を奪う拳銃。
その絵は、子供を欲しがらない彼の深層心理の表れだと本当は分かっていた。

けれど私にそんなことは言い出せやしない。
はっきりと何かを言えないのは、私も同じなのかもしれない。

(#゚;;-゚)「あなたは自分のことしか考えてない」

爪'ー`)y‐「どうして?」

(#゚;;-゚)「……そう思うから」

自分でも論理的な答えじゃない、と思った。


552 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/05(木) 06:41:19 ID:kBRVf81c0

けれどB級映画の結末のように、私には彼の考えることがよく分かる。
彼と共にいて、呼吸出来ないほどの火傷を私は全身に負ってきたのだ。

爪'ー`)y‐「どうだろう」

爪'ー`)y‐「ちょっと待って」

彼はまた、空想の世界で見つけてきた言葉を言うのだろう。
あるいはクーラ・シェイカーのことも考えている、なんて話すのかもしれない。

(#゚;;-゚)「……」

私はひたすら待つだけだ。
的外れなことを語る彼を罵る、予定調和な時を。


553 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/05(木) 06:42:13 ID:kBRVf81c0

煙草を灰皿に揉み消した彼は、石鹸で丁寧に指先を洗い何度かうがいをした。
やがて換気扇の止まった静けさの中、彼は言った。

爪'ー`)「……言葉にするのがひどく億劫なだけで」

爪'ー`)「君の事も考えているよ」

ぎこちない微笑を浮かべ、まだ水滴の残った両手をこちらに向けている。
私は、それが何を意味しているのかよく分からなかった。

(#゚;;-゚)「えっ……?」

爪'ー`)「それと……」

爪'ー`)「お義父さんに挨拶に行かなきゃなあ」

聞こえた言葉には、何の曖昧さも多義性も比喩もない。
思いがけない言葉に、私は彼を罵倒する百ものセリフを忘れてしまった。

(#゚;;-゚)「ええっ! それって……」

カンバスに立て掛けられた1枚の油絵は、どうやらまだ未完成のようだった。



終わり





554 :以下、名無しにかわりましてブーンがお送りします:2011/05/05(木) 06:45:23 ID:kBRVf81c0

ありがとうございましたー
こう、朝っぱらから投下があるのも祭りらしくていいんじy(ry

絵描いた方、ハードボイルドじゃなくてごめんね!


 



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