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124 :ミセ*゚ー゚)リミセリが有名になってから10年後、のようです:2009/12/22(火) 01:01:01.52 ID:IUg4UfW3O

「はい、カーット!」

それほど狭くはないスタジオ内に監督の声が響き渡る。
演じる私たちの声以外は静寂が支配するその場所では、それほど大きな声を出さなくても伝わるのだが、あれはこの監督の
癖のようなものらしい。

私の方から向かうまでもなく、多くの人が私の元に歩み寄ってくる。
口々に私の事を褒め称えるが、私は私に出来る最善を尽くしただけだ。
仕事なのだからそれは当然だ。

一応リテイクがないか監督に聞いてみるが大丈夫らしい。
今日も完璧だとかまくし立てられ、余計なおべっかばかりな気もするが、リテイクがないのは本当らしい。
それではと、私は居並ぶ皆に挨拶をし、スタジオの外に向かう。

今日はこれで撮影も終わりなので帰る事にする。
背後では深々とお辞儀をした皆の姿が並んでいるが、多分それは私の姿が見えなくなるまで続くのだろう。
私は足早にスタジオを出る事にした。



125 :ミセ*゚ー゚)リミセリが有名になってから10年後、のようです:2009/12/22(火) 01:03:05.48 ID:IUg4UfW3O

モ・_l_・)ブ「お疲れ様です」

ミセ*゚ー゚)リ「ご苦労さま。車、回しといてもらえる?」

スタジオを出ると、私の付き人のモブ・山田が待ち構えていた。
真面目で気の利く子だが、この世界では中々芽が出ず、私の付き人をしながら色んなオーディションも受けている。

モ・_l_・)ブ「はい、5分後に正面口の方でお待ちしてます」

ミセ*^ー^)リ「10分後でいいよ。あんまり慌てなくていいからね」

真面目すぎるくらい真面目な部分は美点ではあるものの、演技の上では欠点となり得る事もある。
彼が伸び悩んでいるのは、そういった点も関係しているかもしれない。

彼にはもう少し遊びが必要だ。

以前に私がそんな話をしたら、その翌日、彼は髪形を変えてきた。
いわゆるミセリカットと呼ばれる、自己主張をかねた今ではメジャーな髪型だ。
自分の名前が使われているのは少々気恥ずかしいが、この道の先駆者として誇らしい事も事実である。

ただ、彼にはあまり似合ってないのだが、流石にそれを告げるのは少々気の毒で告げられずにいる。



126 :ミセ*゚ー゚)リミセリが有名になってから10年後、のようです:2009/12/22(火) 01:05:04.90 ID:IUg4UfW3O

モ・_l_・)ブ「お待たせしました」

きっかり10分後に姿を見せるモブ。
生真面目すぎる彼の性質が遺憾なく発揮されるのを私は苦笑しながら受け止めた。

黒塗りの車の後部座席に乗り込み、深々とシートに背を預ける。

ほとんど音も無く、車は静かに発進し、速度を上げた。

モ・_l_・)ブ「まだお時間は早いですがどうされますか?」

自宅に直行するか聞いてくるモブだが、今日は予定がある。
だから撮影が速めに終わるように調整したのだ。

ミセ*゚ー゚)リ「今日は特別な日だからね」

私のその言葉にモブは気付いたのか、身を固くし、慌てて謝罪の言葉を述べる。

ミセ*゚ー゚)リ「気にしなくていいよ。あくまで私の個人的な用事なんだから」

これまでも何度か送ってもらってはいるので、行き先は把握しているだろう。
少し休むからとモブに告げ、私は目を閉じた。
 
 
127 :ミセ*゚ー゚)リミセリが有名になってから10年後、のようです:2009/12/22(火) 01:07:03.21 ID:IUg4UfW3O
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ミセ*゚ー゚)リ「どうも、今日ご一緒させて頂くミセリです! よろしくお願いします!」

川 ゚ -゚)「ミ……セリ……?」

ミセ*゚-゚)リ

川 ゚ -゚)「ああ、元野球選手の……」

ミセ;゚ー゚)リ「いえ、それじゃなくて……」

ノパ⊿゚)「よろしくなー! パセリーっ!!!」

ミセ;゚ー゚)リ「いえ、ミセリです」

lw´‐ _‐ノv「ミセリ(笑)」

ミセ ゚-゚)リ


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128 :ミセ*゚ー゚)リミセリが有名になってから10年後、のようです:2009/12/22(火) 01:09:06.10 ID:IUg4UfW3O

ミセ*-、-)リ「……んむ」

ミセ*゚-゚)リ「夢か……」

いつの間にか眠っていたようだ。
といってもほんのわずかのようで、まだ目的地に着くまでは時間がある。

ミセ*゚-゚)リ「しかし……随分と懐かしい夢を見たな」

モ・_l_・)ブ「夢ですか?」

思わず口をついていた言葉を、モブが耳敏く拾う。
そう言えば1人ではなかったんだっけ。
聞かせるつもりは無かったのだが、まあいいだろう。

ミセ*゚ー゚)リ「そう、夢。デビューした頃のね」

モ・_l_・)ブ「へー、それは興味深い。どんな夢なのですか?」

モブの様子を見る限りでは、華々しくデビューを飾る私の姿を想像しているのだろうが、残念ながらデビュー当時の
私の扱いはひどかった。



129 :ミセ*゚ー゚)リミセリが有名になってから10年後、のようです:2009/12/22(火) 01:11:19.46 ID:IUg4UfW3O

マイナーが売りである事を芸風にした私の扱いは、どこに行ってもいじられ役。
ある意味美味しいポジションだが、精神的にも肉体的にも辛いものがあった。
そもそも、芸人と紙一重のとこからスタートした事すらモブは知らないのかもしれない。

モ;・_l_・)ブ「そ、そうだったんですか……知りませんでした」

ミセ*^ー^)リ「でしょうね。まあ、昔の話だしね」

あれから10年が過ぎた。
10年といえば大したことのない時間のように思われるかもしれないが、毎日のように何本も作品が投下されるこの世界では、
10年は随分と長い時間なのだ。

この世界が一変するのに十分なぐらいには。

ミセ*゚-゚)リ「10年か……」

10年。

言葉にすれば一言だが、実際には一言では言い表せない沢山のことが起こった。
最底辺に位置していた私は、今では看板役者と呼ばれる所まで来た。

私に起きた変化と同じ様に、その当時隆盛を極めていた他の先輩の方々にも色んな変化が訪れ、今に至っている。



130 :ミセ*゚ー゚)リミセリが有名になってから10年後、のようです:2009/12/22(火) 01:13:06.11 ID:IUg4UfW3O

( ^ω^)内藤ホライゾン、通称ブーン。

このブーン系の名を背負う、押しも押されぬ大役者だったが、今は引退して静かな暮らしをしている。

数多くの作品に出演し、その全てにスタントなしの体当たりで挑んだ彼は、撮影の際に大きな怪我を負い、鼻が潰れてしまった。

( ^Ω^)

それでも体当たりの演技を続けていた彼だが、往年の切れがなくなったことを自覚し、自ら第一線を退いた。
その勇退を惜しむ声は数多くあったが、『後は若い世代に任せるお』という彼の優しい笑顔は未だに忘れられない。


ξ゚⊿゚)ξツン。

ブーンさんと恋人関係にあった当時の看板女優であるツンさんも、同じく引退した。

彼女は『べ、別にブーンの事が心配で引退するわけじゃないんだからね』と最後まで女優魂を忘れない、テンプレートな台詞を
残し、ブーンさんと静かに暮らしている。


131 :ミセ*゚ー゚)リミセリが有名になってから10年後、のようです:2009/12/22(火) 01:15:04.00 ID:IUg4UfW3O

('A`)ドクオ。

盟友ブーンさんが引退した後、ブーン系を盛り上げるのは自分だとがんばっていたが、童貞をこじらせて亡くなった。
魔法が使えるようになって役の幅が広がったと喜んでいた矢先の出来事だ。
そのあまりにも早すぎる死に多くの人が涙した。

ブサメンの星、非リア王と彼の代表作は今でも語り継がれる。


川 ゚ -゚)素直クール。

そのドクオさんともっとも競演回数が多かった女性で、ツンさんと常に看板女優を争っていたクールビューティー。
ツンさん無き後、1人でヒロインの座を守り抜くのかと思いきや、病気で亡くなられてしまった。
その名が示す通り、病気も素直に受け入れてしまったらしい。


奇しくもドクオさんの後を追う形になってしまったが、2人は天国でもうまくやっているのだろうか。



133 :ミセ*゚ー゚)リミセリが有名になってから10年後、のようです:2009/12/22(火) 01:17:11.16 ID:IUg4UfW3O

(´・ω・`)ショボン

ブーンさん、ドクオさんに並ぶブーン系の顔といえばショボンさん。
様々な役柄をこなし、いろんな作品に出演して、その名を残した名優だった。
また、AA、顔文字としても一般的にブーン系一メジャーだったと言っても過言ではない。

しかし、そのメジャーさがショボンさんの運命を変えた。

ショボンさんは漢字として認定されてしまったのだ。

しょんぼりすることを表す漢字として、JISコードを与えられた。

漢字になって、1文字となってしまったショボンさんは、ものすごく光栄だけど、これではAAとは言えないねと、
少し寂しそうに笑い、ブーン系を引退した。

今となってはその活躍を目にすることはかなわなくなってしまったけど、時々台詞の端に現れる(´・ω・`)の漢字が、
私達に先輩の名演技を思い出させてくれる。

不思議な安心感とともに、おもいっきりしょんぼりした気持ちになれる(´・ω・`)



134 :ミセ*゚ー゚)リミセリが有名になってから10年後、のようです:2009/12/22(火) 01:20:32.11 ID:IUg4UfW3O

そしてもう1人、ブーン系から漢字になった人がいる。

\(^o^)/オワタ

彼に関しては、当時のテンプレ2からの抜擢だから、すごく出世したといえる。

しかし、その意味をどちらにするかで文部科学省は大いに頭を悩ませた。
最上級のハッピーを表すか、最大級の鬱を表すかで揉めたのだ。

勿論、私達は後者を支持した。
その甲斐あって、\(^o^)/の漢字の意味は最大級の鬱ということになった/(^o^)\

\(^o^)/も(´・ω・`)と同じように、台詞の中で目にすることが出来るが、出来れば\(^o^)/の使われる台詞の役は
あまりやりたくないというのが本音だ。

申し訳ないが、大体において悲惨な役回りだし。



135 :ミセ*゚ー゚)リミセリが有名になってから10年後、のようです:2009/12/22(火) 01:24:04.42 ID:IUg4UfW3O

その他にも、いろんな人がいろんな人生の転機に遭遇している。

(,,゚Д゚)ギコさんは、結局“のまギコ”としてメジャーデビューしてしまった。
他のいわゆる4大AAの方々と一緒に。

企業のキャラとなった彼をブーン系使うと、権利の兼ね合いでややこしくなるのでブーン系からは引退してしまった。
AAとしては大出世なので、皆はそれを暖かくお祝いして送り出した。

(‘_L’)フィレンクトは両手を失って引退。

(´・_ゝ・`)デミタスはキャラの方向性が定まらずフェードアウト。

o川*゚ー゚)oキュートは路線変更を繰り返した挙句、結局鳴かず飛ばずで今は主婦として落ち着いているらしい。

皆が良い方ばかりに転んだわけでもないのが悲しいところだが、人生とは往々にしてそんなものである。

そうそう、ある時期一世を風靡した以`゚益゚以イトーイ増井だが、ブーン系が浸透するに連れ、怖すぎるその顔は子供受けせずに
その人気はレイ○ーラモンHGやムー○ィ勝山のごとく一気に急降下した。

今では無難な(’e’) セントジョーンズポジションに落ち着いている。

以`゚益゚以「うわ~」



136 :ミセ*゚ー゚)リミセリが有名になってから10年後、のようです:2009/12/22(火) 01:27:08.58 ID:IUg4UfW3O

10年。

本当にいろんなことがあった。
辛い事も苦しい事も沢山。

それらを全て乗り越えてここまで来れたのは、私だけの力ではない。
時に競い合い、時に支えあった、共にブーン系でがんばっていた仲間がいたからだ。

特に、私には最大のライバルで、最高の親友がいたから。

モ・_l_・)ブ「ミセリさん、着きましたよ」

ミセ*゚ー゚)リ「ありがとう。……あ、帰りは自分でどうにかするから、ここでいいよ」

私はモブに礼を伝え、予め買っておいた花束を手に車を降りる。
ここで待っているといってくれたモブを少々強引に帰らせ、私は1人歩き出す。

人気のない道。
寂しげな風が吹く。

空がまだ青い内に急ごう。
あいつは青い空が好きだったから。




137 :ミセ*゚ー゚)リミセリが有名になってから10年後、のようです:2009/12/22(火) 01:31:09.58 ID:IUg4UfW3O

ミセ*゚ー゚)リノ「いよっ、来たよ」

そこからわずかばかり歩き、少しだけ開けた場所に辿り付く。
几帳面だったあいつに似つかわしく、きちんと刈り揃えられた草の中に佇む石。

そこに刻まれた親友の名前。

都村トソンという名前。

ミセ*゚ー゚)リ「早いもんだね。あれからもう3年だよ」

あれから、トソンが亡くなってから3年が経った。
言葉にすれば一言だが、それからあった事は一言では言い表せない。

ミセ*゚ー゚)リ「今日も収録だったよ。あれから忙しくってしょうがないよ、もう」

あれから、トソンが亡くなってから程なく、私はこの業界でトップと呼ばれる地位まで上り詰めた。
時に親友として、時にライバルとしてトソンとしのぎを削っていた時に比べれば、何とも拍子抜けするくらいあっさりとしたものだった。

ミセ*゚ー゚)リ「全く、自分ばっかりさっさと逝って楽しやがってさ……」

私は携えて来た花を備え、トソンに話し掛ける。



138 :ミセ*゚ー゚)リミセリが有名になってから10年後、のようです:2009/12/22(火) 01:36:22.09 ID:IUg4UfW3O

トソンは毒舌が祟って亡くなった。
毒というぐらいだ、自分の身体も蝕んでいたのだ。

あいつはそんな素振りは微塵も見せず、病魔に倒れる直前まで現場に立ち続けた。

ミセ*゚ー゚)リ「今度の作品は結構自信作なんだ」

私は鞄の中から1冊の台本を取り出す。
そこには私の名前とともに、トソンの名前も並ぶ。

ミセ*゚ー゚)リ「ん? 何でトソンの名前があるかって? それは、ほら」

私は台本の表紙をトソンに突きつける。

 ミセ*゚ー゚)リと(゚、゚トソンはブーン系AAになるようです

ミセ*゚ー゚)リ「そう、私達の若い頃のお話だよ」

ミセ*゚д゚)リ「つっても、私はまだ若いけどな」

ミセ*゚ー゚)リ「ホントなら、私の相手役はトソン本人にやって欲しかったんだけどね」

ミセ*-ー-)リ「まあ、しょうがないよね……」



139 :ミセ*゚ー゚)リミセリが有名になってから10年後、のようです:2009/12/22(火) 01:40:50.95 ID:IUg4UfW3O

私は流れる風に頬に感じながら立ち尽くす。
もうすぐ空は茜色に染まるだろう。

変わらないものはないのだ。

それはわかっているけれど、出来れば、ずっと変わって欲しくないものもあった。

ミセ*-ー-)リ「また、いっしょにやりたかったな……」

それはもう、決して叶わない願いだけども
そう願わずにはいられない。

私の、ただ1つの願い。

ミセ*゚ー゚)リ「また来るね」

私はトソンに背を向け歩き出す。
また新しい作品に出るために。

私が私でいるために。

ミセ*゚ー゚)リノ「それじゃあね、トソン」

私はまた、歩き出す。




141 :ミセ*゚ー゚)リミセリが有名になってから10年後、のようです:2009/12/22(火) 01:45:48.69 ID:IUg4UfW3O
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───

   ○
   ゚
从'ー'从b「……って、夢を見たんだ」

ミセ;゚д゚)リ「「お前の夢かよッ!!!」」(゚、゚;トソン





 ~ おしまい ~



 
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