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黄昏の天狗のようです

2010/12/15 Wed 08:36

 
365 :黄昏の天狗のようです:2010/12/14(火) 00:58:50.19 ID:tJS9rtk90
夕立が去ったあとの森は、しっとりと湿っている。
私はその森の木の上に座し、雨の香りを残す空気を味わうのを日課としていた。
やはり、ここから見る風景はいつ見ても飽きない。

( ゚∋゚)チュンチュン

( ^ω^)「天狗様、またここにいらっしゃったのですかお」

( ゚∋゚)チュン?

森に住む猿が、いつの間にか梢までやってきていた。

( ^ω^)「また、面倒事にございますお」

( ゚∋゚)チュチュン?

( ^ω^)「はい…ばあ猪と来たばかりのムジナの若造が」

( ゚∋゚)チュン…

( ^ω^)「お願いしますお…このままでは死者が…」

( ゚∋゚)…

なにやら、また住人同士の争いが始まったらしい。
……今年に入ってから一体何度こんな事があっただろうか。

バッサバッサw( ゚∋゚)wクルポッポー!

とにかく、いそいでムジナの巣へと向かう。間に合えばいいのだが。


367 :黄昏の天狗のようです:2010/12/14(火) 01:03:19.26 ID:tJS9rtk90
巣の上空まで来ると、ある臭いが下から濃厚に放たれていた。
それに混じって、猪の血の匂いも。

J(; ー )し「く…」

('A`)「ババアめが、おれに牙を剥いたのが運の尽きであったな」

( ゚∋゚)…チュン

(;'A`)「ぬ…天狗殿、何用かな?
    見ての通り、今は取り込んでいるのだが」
    
ムジナが、穴に落ちた猪を見下ろしている。
巣穴として掘っていたものを、即席の落とし穴に仕立てたのだろう。 
猪の足からは尖った木の根か何かで傷つけたのか、勢い良く血が流れていた。

( ゚∋゚)…チュン?

('A`)「はて、何のことやら私はそんなものは…」

あくまでシラを切るムジナだったが、この臭いが現の証拠である。
こやつめは――――――。

( ゚∋゚)「……下手な嘘はつかぬほうがよいぞムジナよ。
     この臭いは一里の先から嗅ぎとっておった」
     
('A`)「……」

( ゚∋゚)「貴様、人間をさらってきたな?」



368 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 01:04:13.79 ID:BFZecXgMO
おぉ、喋った


369 :黄昏の天狗のようです:2010/12/14(火) 01:06:38.60 ID:tJS9rtk90
( ゚∋゚)「はじめは子どもが迷い込んだのかと探してみたが、
     森の境に履物が落ちていたきり。
     てっきりそこで帰ったかと思うていたが……」
     
私は、言いながら扇を取り出し、臭いの元ににじり寄った。

( ゚∋゚)「まさか、我らの懐まで来ていたとはな」

扇を一振り。
ふわり、とそよ風がその場に吹いた。
まだ若いムジナの術などこの程度で消し飛ぶ。

(;'A`)「あっ!」

お粗末な幻術は色水が吹き流されるようにして掻き消え、
その場に隠されていたものが露になった。    

lw´ _ ノv

(;'A`)「な、ばかな!」

( ゚∋゚)「人間や並の獣に通じても私には効かん。
     ……さて、新参者の分際で面倒事を起こした罪は重いぞ」
     
(#'A`) 「貴様ぁ…おれの獲物を……鳥風情が横取りする気か!?」
     
(#゚∋゚)ヂュン?

(;'A`) 「…ひ」


370 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 01:08:14.72 ID:BFZecXgMO
ドックンそれ死亡フラグや


371 :黄昏の天狗のようです:2010/12/14(火) 01:11:03.01 ID:tJS9rtk90
(#゚∋゚)「もう我慢ならん……貴様のような愚かな獣がこの山でどうなるか。
     とくと……思い知るがいい」
     
(;'A`) 「…なにをs)ry

(#゚∋゚)コッケコッコー!!!!!!!

腰に差した大団扇を、下から上にぶうんと振り上げる。    
瞬間的に凄まじい風が吹き、ムジナのちいさな体を空高くに打ち上げる。 

(;゚A゚)「き、きいっ」

私は瞬時に、落ちゆくムジナのところに飛ぶ。
無論、助けるためではない。 

(;'A`)「た…たすけ」

(#゚∋゚)「そおい!」

(゚A゚)「ぎいっ!?」

今度は奴の横っ腹を直接団扇でぶん殴ってやる。
その一撃で再び起きた強風で、なすすべなくムジナはどこかに吹き飛ばされていった。

―――――――きいいいいいいいいいいいいっ。                

……飛ばされていくムジナの声は次第にちいさくなり、やがてふっつりと途絶えた。


372 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 01:14:34.10 ID:T5dAEWX4O
クックル△
 
 
373 :黄昏の天狗のようです:2010/12/14(火) 01:16:11.00 ID:tJS9rtk90

( ゚∋゚)シュタ

私が着地した一瞬あと、風で吹き上げられた雨露が遅れてその場に降り注いだ。
そして暮れかけの夕日の下、つかの間の虹が森を七色に彩る。

……やはり無礼な獣は、こうするに限る。

J(; ー )し「うー、天狗殿…余韻に浸ってないで助けてくだされい」

( ゚∋゚)「おう、すまぬなババ殿」

私は老いた猪の巨体をどうにかこうにか穴から引き上げると、
その重みに思わずほう、と息を吐いた。

(*゚∋゚)(お…今のはフクロウのようだったな。
     ……鳥の鳴きまねがまたひとつ増えた)
     
J(; ー )し「うう…」

(;゚∋゚)(おっと、いかんいかん)

いそいで足に腰から下げた手製の膏薬を塗ってやると、
猪の顔から苦悶が徐々に抜けていった。
仕上げに傷口を布で拭きとってやると、もう傷は跡形もなく消えている。

J(;'ー`)し「へえ…へえ…危うくあの若ムジナに殺されるところだったわい」

猪は流石ににまだ動けないらしく、土の上で荒い息をしている。
猪が先程までいた穴を覗くと、そこにはかなりの量の血が溜まっていた。


375 :黄昏の天狗のようです:2010/12/14(火) 01:20:12.33 ID:tJS9rtk90
( ゚∋゚)「足は折れていないか?」

J(;'ー`)し「大丈夫…ですがしばらく動けそうにありませぬ」

( ゚∋゚)「そうか……とにかく私はこの子を里まで送って行く。
     猿!そこにいるのだろう?」

私が呼ぶと、草つきの中から猿が音もなく現れる。
       
( ^ω^)「……なんでございましょうかお」

( ゚∋゚)「熊には私から手を出さぬように言っておいてあるのだが…。
     念のためだ、ババ殿が歩けるようになるまで見張っておけ。
     あやつは最近、食うものに困っているようだからな」
     
( ^ω^)「承知しましたお」 

J(;'ー`)し「……猿に守られるほど衰えてはおらぬ!
      と、言いたいところだがそういう訳にもいかぬのう」
      
( ^ω^)「おっお、僕のつぶての腕は山一番だお。
       安心して横になっててくれお~」 
       
( ゚∋゚)「よし頼んだぞ、猿」

やおら立ち上がった私が背を向けたとき、ぼやくように猪が呟く。

J( 'ー`)し「しかし……いつまでこんな事を続けるのですか?  
      かつては、我らの土地に入った人間は勝手に喰う。
      ……というのが流儀であったはず」


376 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 01:21:02.46 ID:BFZecXgMO
こえぇ


377 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 01:24:51.50 ID:tJS9rtk90

J( 'ー`)し「人間の匂いがしたときは久方ぶりにあなたの目の届かぬところで、
      人間を思う存分喰えると浮かれておったのですが…。
      まったく骨折り損のくたびれ儲けですわ」

そういうと猪は溜息のつもりなのかフゴフゴと鼻を鳴らして見せた。
その様子が滑稽で、思わず吹き出しそうになる。    
     
( ゚∋゚)「時代は変わったのだよババ殿。
     見境なく人を襲えば鉄砲で撃たれる」

( ゚∋゚) 「子どもがいなくなればすぐさま山狩りが始まる。
      そして犬が放たれ、うりぼうたちがその爪に引き裂かれる」

J(;'ー`)し「それはそうなのですが…」              

( ゚∋゚)「穏便に事を済ますのが、我々にとっては一番なのだよ」

J( 'ー`)し「……そうですかなあ」

猪が不満げに鼻を鳴らす音を背後に聞きながら、
私は女の子を抱えて山と里の境まで歩き出した。


378 :黄昏の天狗のようです:2010/12/14(火) 01:29:41.05 ID:tJS9rtk90
―――――――――
―――――
――


目を覚ますと、赤茶けた天井が目の前にある。
周りには見覚えがあった、お寺の庫裡だ。
妙にグラグラする頭を振ると、余計に気分が悪くなった。

( ゚д゚ )「おお、気がついたか?」

lw´‐ _‐ノv「だれ?このハゲ」

( ゚д゚ ) 「誰って…この寺の住職じゃ。
      見れば分かるじゃろ?」

lw´‐ _‐ノv「…でどうして私はここに?
       誘拐して写真とってネット上に流すの?」
       
(;゚д゚ ) 「はあ?なんじゃそれは?
       奇っ怪なことを言う子じゃのう」
      
老人をからかうのは楽しいものだ。

lw´‐ _‐ノv「じょうだんだよ…で私はどうしてここに?」

( ゚д゚ )「お前さんは石段のところで倒れておったんじゃ。
     あそこで一体何をしていたんじゃ?」                                 

lw´;‐ _‐ノv「え…石段のところ?」         


379 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 01:32:22.62 ID:BFZecXgMO
見知らぬ人をハゲ呼ばわりwwwwさすがシュー


380 :黄昏の天狗のようです:2010/12/14(火) 01:32:31.74 ID:tJS9rtk90

わたしはさっきまで家の裏で遊んでいて、それから。
……それから?
そういえば、よく覚えていない。

lw´‐ _‐ノv「家の裏で遊んでたら、森のほうから優しい声がしたの。
       それで、そっちの方を見たら気が遠くなって」
       
( ゚д゚ )「おお、狢か何かに化かされたのかの?
     しかし、この辺じゃあもう何十年もそんな事は起きとらんが」
     
lw´‐ _‐ノv「非科学的だね」

( ゚д゚ )「そういうもので割り切れんものもある」

カッカと笑うと、お坊さんは袂からいくつか飴を出して私の手に乗せた。

( ゚д゚ )「この飴もそういうものの一つじゃ、なめてみな」

lw´‐ _‐ノv「飴常備とかおばあちゃんかよ。
       それともロリコン?」
       
そう言いつつも、わたしはその飴を口の中に放り込んだ。
見かけはべっこう飴のようだったが、
口に入れると果物のような匂いがふんわりと口の中に広がる。

lw´*‐ _‐ノv「うまいな」

でも、なんだろうこの不思議な味は。
私はこんなにいい匂いのする果物を、私は知らない。


381 :黄昏の天狗のようです:2010/12/14(火) 01:35:28.34 ID:tJS9rtk90

( ゚д゚ )「そうじゃろう?気分もだいぶ良くなってきたんじゃないか?」
     
lw´*‐ _‐ノv「確かに」

そういえば頭痛が消えている。
さっきまで吐き気まで催していたのに。                               
さらになめていると手足にも力が戻ってきた。

( ゚д゚ )「そういう飴なんじゃよ。
     さ、もうお帰り、気をつけてな」
     
lw´‐ _‐ノv「うん」

立ち上がって、庫裡の戸を開けるともう日は落ちかけていた。
早く帰らないと、お母さんに叱られちゃう。
もう一度、お坊さんの方を振り返る。

お礼を言おうと思ったのだ。

lw´;‐ _‐ノv「あれ?」

お坊さんはいつの間にかいなくなっている。
明かりもいつの間にか消えていた。
ただ奥に下がったにしては早すぎる。

lw´‐ _‐ノv「……へんなの」

とにかく、わたしは急いで家に帰ることにした。
またムジナに化かされるのも嫌だった。


382 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 01:38:20.14 ID:BFZecXgMO
天狗様カッコいい


383 :黄昏の天狗のようです:2010/12/14(火) 01:38:40.87 ID:tJS9rtk90
その時、遠くの方に見える山からぽおんと躍り上がったのがのが目に入った。
そのなにかは人の形をしていて、さらに向こうの山のほうへと飛んでいった。
おばあちゃんから聞かされた、天狗の話を思い出す。

lw´‐ _‐ノv「あ…」

迷った人を里まで送り届け、森を荒らすものをやっつける。
そんな山に住む、心優しい天狗さまのおはなし。

lw´*‐ _‐ノv「…天狗様か」

夕立の残していった水たまりを避けながら私は走った。
おねえちゃん達に自慢してやるのだ。
……天狗様を見たんだと。



388 :(;゚∋゚)「猿っ貴様ぁ!」(^ω^;)「その猿とはちがいますお!」:2010/12/14(火) 01:55:18.23 ID:tJS9rtk90
―――――――――
―――――
――


(メ゚∋゚)…チュン

木の上から子どもが走り去っていくのを見届けた私は、
ぶるりと体を震わせて羽についた水滴を落とす。
山から山へ飛んだ時、着地に失敗したのだ。

(メ゚∋゚)(…天狗も頭から木に突っ込む)

懐から紙を取り出すと短くそう書き付けた。 
そこに、猿がやってくる。

(;^ω^)「天狗様、猪は無事に帰りましたお」
      ってずぶ濡れでいらっしゃるのはどうしてですか?」

(メ゚∋゚)「……気にしてくれるな」

ほう、とさっき習得したフクロウの鳴きまねをしてみるが、
あまり上手くはなかった。

ふと猿が、木の上からの眺めを見て驚いたように言う。

(*^ω^)「おお…ここからだと人里が良く見えますおね。
       なかなか美しいものですお」
       
( ゚∋゚)…チュン


392 :黄昏の天狗のようです:2010/12/14(火) 01:58:18.48 ID:tJS9rtk90
人里にかかっていた最後の夕日が山に遮られ消えるまで、
我々はじっとその様子を見ていた。

( ゚∋゚)「私は昔、人間だったことがあってな」

(;^ω^)「へ?」

( ゚∋゚)「夕方、こうして里の様子を見ていると思い出すんだ。
     あたたかな夕餉、そこに集まる家族。
     何もかもが懐かしい……。
     人間でなくなって百年近くになるのにな」

明かりが灯りはじめた里から、団欒の音が風に乗って聞こえてくる。 
……この気持ちはなんというのだろうか。
郷愁、哀惜、孤独――うまい言葉は見つからない。                            

( ゚∋゚)「ご苦労だった。
     お前はもう帰れ」

( ^ω^)「天狗様は……?」

( ゚∋゚)「私はもう少しここにいる」

( ^ω^)「……はい、では失礼いたしますお」

( ゚∋゚)チュン

猿がと木から降りて行くと、
木の上には僅かな虫たちと私だけになる。


395 :>>389いこうか:2010/12/14(火) 02:03:56.16 ID:tJS9rtk90
そうすると、里の音がより鮮明に耳に入ってくる。
……どうやらあの妙な子供は、無事に家に帰りついたらしい。
興奮した様子で、私のことを家の者に話している。

( ゚∋゚)…

家族のうちほとんどが子供の言う事を信じていなかったが、
一人だけ信じたものがいた。子供の祖母だった。

「……わたしも会ったんですよ、その昔にね」

「……山で迷った私を助けてくれて、お土産までくれたのよ。
 ふしぎな味のする飴で……」

( ゚∋゚)チュン

今日は、風が体に染み込むようだ。
黄昏に吹く風の中、私は静かに目を閉じると少し眠ることにした。
幸せな夢が見れるといい、そう願いながら。






396 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 02:05:39.31 ID:tJS9rtk90
おわり

>>389
駄目だった…すまんね


397 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 02:06:44.15 ID:jZYcJ/OX0
>>394 >>396
ありがとう好きだよ 投下中にもすまんかった


398 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 02:07:13.26 ID:BFZecXgMO
乙んこ
ちょうどいいところで切れてたから猿とは思わなかったぜよ



399 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/14(火) 02:14:17.84 ID:tJS9rtk90
>>397-398
いえいえ、ありがとうございました
それではおやすみなさい…。



お題: 湿気・天狗


 
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