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川д川雪女のようです

2010/11/19 Fri 06:14

 
245 : ◆KAKASHIqlM :2010/11/17(水) 00:28:05.72 ID:bJX+njGT0

( σ^ω^)σ「ふふふ、かわいいお、雪女さん」

川д川「……」

私の前に、だらしない体にだらしない口元をした男が近づいてくる。
スポーツなどとは無縁なような体型に、うだつの上がらない表情。
女性と付き合ったことなんてないのでは、などと余計な心配までしてしまう。

そんな男が、眼前に迫ってきているのである。
付け加えるならば、両手をわきわきと……いやらしく動かしながら。
私の侮蔑を込めた視線も介さずに、彼はゆっくりと、だが確実に私に近づいてきていた。

川д川「……あなた、私が雪女だといっても怖くないの?」

( σ^ω^)σ「怖くなんてないお、やさしくしてあげるお!
         さっさと僕に身を任せるおー」

川д川「話を聞けよ」

尚も不気味な動きを続けるピザを尻目に私は溜め息をついた。
自分だって雪女としてのキャリアがそこまであるわけではないが、それでもこのように少しも物怖じしない男というのは珍しいのではないか。

本来なら、今頃はとっくにこの男の命を奪っているはずが、どうしてこんなことになってしまったのか。
私はそっと目蓋を閉じた―――――



246 : ◆KAKASHIqlM :2010/11/17(水) 00:29:09.09 ID:bJX+njGT0
***

雪深い山腹、いつものように吹雪を引きつれて歩いていた私は、廃屋となったはずの山荘から煙を出ていたのを見つけた。

川д川「……今日の獲物には、なんとかありつけそうね」

雪に閉じ込められた旅人の命を奪い、身ぐるみを剥ぐ。
私たち雪女はそうやって今日まで生きていたが、急激に進んだ現代化の波には勝てなかった。
次第に山中から暮らしやすい都会へと人々は移ろい、雪女が人間と接するような機会は失われていった。

雪女として、この世に生を受けた意味は分からない。
生きる目標もこれといって無いが、それでも、他にやることがないからしょうがない。

川д川「……さてと、始めますか」

山荘の扉の前で、誰に聞かせるわけでもなくつぶやくと、スッとその華奢な腕でドアをノックした。
ほどなくしてドアは動き出し、隙間から温かな光が漏れだす。

( ^ω^)「おっ!こんな時間にこんな場所でどうしたんですかお!?
      さぁさ、中に入ってくださいお!!11!」

出てきたのはずいぶんと人が好さそうな男で、まったく疑うことなく私を屋内へと招き入れる。

( ^ω^)「いやぁ、ふぶかれちゃいましたおねぇ!
      お互い災難でしたお、さぁ暖炉に当たるといいお!!」

異常に絡んでくるのを疎ましく感じながらも、私は自分の生業に励むことにする。

川д川「……暖炉は……必要ありませんわ…………
     だって私……雪女なんですもの…………」


248 : ◆KAKASHIqlM :2010/11/17(水) 00:30:07.62 ID:bJX+njGT0

さあ、恐怖に慄くがいい。
醜悪に歪んだその表情そのままに、芯まで凍り付かせてやr―――――

( ^ω^)「なんと!雪女さんでしたか!!
      僕、妖怪とかそういう系に遭うのって初めてなんですお!!
      こんな幸運に恵まれるなら、吹雪ってのも悪くないですおNE!!!」

川д川「……はい?」

初めての展開に、逆に私は凍りつく。

( ^ω^)「ちょっと触ってみていいですかお?
      ……おっ!本当に冷たいですお!!
      いや、これ夏とかは過ごしやすいんじゃないですかお?」

川д川「……いや……暑さにはあんまり強くはないので……
     ……基本的に山奥で“夏眠”するのですが……」

( ^ω^)「おっおっおっ!冬眠じゃないんですね!!」

川д川「そうですね……ってそうじゃなくて!!」

自分としては不本意な流れに、自然と語尾を荒げてしまう。

川д川「あなたは……私が怖くないんですか!!?」


( ^ω^)「怖くないお」



251 : ◆KAKASHIqlM :2010/11/17(水) 00:31:09.82 ID:bJX+njGT0

川д川「なっ……」

無邪気に言い放つ彼に二の句を告げずにいると、彼は嬉々として続けた。

( //ω/)「むしろ、雪女さんのことが気になっちゃてるお!!!」

ああそうか、こいつ馬鹿か。
頭の中が真っ白になってしまった私は、ただ茫然と目の前の男を見ていることしかできなかった。
 
 
***

( ^ω^)「さぁさ!僕の胸に飛び込んでおいで!!」

川д川「……行きません」

( ^ω^)「ならば僕の方から行くお―――――おっ!?」

終始この変な男にペースを握られていたが、このまま引き下がったとあれば、雪女の名がすたる。
さすがに彼もこの事態には平静を保っていられなかったようだ。
じっと自分の腕を見つめている。

―――――その凍りつかされた指先を。

さあ、今度こそ慄くのだ!!
そして私の足元にかしづき、命乞い、泣き喚くがy

(*^ω^)「マジ雪女だお!!すげーお!!!」

あ、こいつ本当に馬鹿だ。


252 : ◆KAKASHIqlM :2010/11/17(水) 00:31:54.54 ID:bJX+njGT0

(*^ω^)「もっと雪女さんのこと知りたくなっちゃったお!!
      というわけで、どーん!!」

川д川「わっ!!」

茫然としていた私は、簡単にソファへと押し倒された。

川///川「なにするんですか!?」

(*^ω^)「オゥフ!クッションを投げないでくれお!!!」

川///川「大体、初対面なのにいきなり……じゃなくて!!
      私は雪女なんですよ!!!」

( ^ω^)「違うお」

感情が昂ぶって、自分でも何がなんだかわからない。
私が雪女でないのなら、なんだというのだ。

川;д川「違わないっ!!私は雪女d」

( ^ω^)「違うお」

( ^ω^)「君は、ツンだお」



254 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/17(水) 00:32:25.50 ID:4M//xTJf0
えっ


255 : ◆KAKASHIqlM :2010/11/17(水) 00:32:55.10 ID:bJX+njGT0

熱くなった頭が、一気に冷えて行くのを感じる。

( ^ω^)「去年、君と僕はスキー旅行に来て」

そうだ、あれはいつだったろう、ぼんやりとしてるけど、いつまでも消えない記憶。

( ^ω^)「君は一人ですいすいと滑って行ってしまって」

私は、止めるブーンの声も聞かずに。

( ^ω^)「僕がもう少し運動できれば、助けられたのかもしれないのだけど」

違う!あの雪崩は、誰が悪いというものでもなくて。

( ^ω^)「3週間経って、捜索は打ち切られて」

私は、雪山に取り残されて。

( ^ω^)「僕は諦められなかった、君の姿をこの目で見るまでは。
      諦めたくなかった、ただの我儘かもしれないけれど」

ξ゚ー゚)ξ「ありがとう、ブーン」

でも、私はもう。



256 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/17(水) 00:33:39.04 ID:D5Ru7Tcc0
なん…だと…


257 : ◆KAKASHIqlM :2010/11/17(水) 00:33:41.68 ID:bJX+njGT0

ξ゚ー゚)ξ「ありがとう、でも、もういいの。
      あなたは、何の罪も感じなくていいのよ」

本人が何と言ったところで、私は雪女で、彼は生きた人間。
だから、ここで終わらせなきゃだめだ。

ξ;ー;)ξ「だから―――――」

( ^ω^)「いいんだお、ツン」

だめだけど、彼が許してくれるのなら。

( ^ω^)「毎年、冬になったら会いに来るお」

ξ;⊿;)ξ「ブーン……私!」

( ^ω^)「せっかくまた会えたんだお!
      泣きじゃくってるよりも、笑顔のツンが見たいお!!」

ξ;⊿;)ξ「冬の間しか、会えないんだよ……!?」

( ^ω^)「寒じめ菜っ葉って言って、真冬の収穫期の方が美味しい野菜もあるお!
      気にすることないお!!」

ξ;ー;)ξ「……ぷっ」

私は思わず噴き出した。
ブーンはあの頃と、なにも変わってない。



258 : ◆KAKASHIqlM :2010/11/17(水) 00:34:32.40 ID:bJX+njGT0

ξσ゚ー;)ξ「なんですぐ食べ物で例えんのよw」

(*^ω^)「おっおっおっ!いつものツンに戻ったお!!」

ξ゚ー゚)ξ「くだらないこと言ってないで、ほら、しゃんとしなさい!」

こんな素敵なことが起こるなら、雪女としての人生も悪くないかな。
そんなことを温かなブーンの腕の中で考えながら、私は瞳を閉じた。



川д川雪女のようです

お題
>>148 凍った指
>>149 枕投げ
>>150 真冬の収穫期





263 : ◆KAKASHIqlM :2010/11/17(水) 00:40:48.29 ID:bJX+njGT0
まとめ
>>245
>>246
>>248
>>251
>>252
>>255
>>257
>>258

支援ありがとうございました。
批評などしていただけると嬉しいです。


259 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/17(水) 00:35:43.09 ID:be8JMCDF0


この発想は無かった


260 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/17(水) 00:35:43.99 ID:4M//xTJf0
なんかツンに違和感あると思ったら口がデルタじゃないだけか



261 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/17(水) 00:35:57.03 ID:tBY01NU3O
乙でした


262 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/17(水) 00:36:27.83 ID:D5Ru7Tcc0
乙!


 
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