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僕のようです

2009/11/08 Sun 05:44

 
442 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 23:03:47.48 ID:aIJgA3alO

 僕には好きな人が居て
 あの人は、とても綺麗な人で

 僕はこんなにも醜い顔をしていて
 あの人は、僕から一番遠い人で

 僕のこの気持ちには行き場がなくて
 あの人を目で追うだけで壊れてしまいそうになって



  『僕のようです
    閲覧注意


 どうか、誰か、僕を、僕に、




 
 
445 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 23:06:11.90 ID:aIJgA3alO

 あの人は、綺麗な黒髪に綺麗な目の人だった。
 僕はそんなあの人を見て、一目で、心の根っこから掬われてしまった。

 あの人は綺麗な指をしていた。
 僕の指は傷だらけで、少しも綺麗ではなかった。

 あの人は綺麗な顔をしていた。
 僕の顔は傷だらけで、少しも綺麗ではなかった。

 あの人はとても澄んだ綺麗な声をしていた。
 僕の声は小さくて聞き取りづらくて、少しも綺麗ではなかった。


 僕は綺麗なあの人に、体の芯を揺さぶられてしまった。


 教室の隅からあの人を見ていた。
 あの人は僕の事になんか気付きはしなかった。

 教室の喧騒の中ですらも、あの人の声だけはしっかりと僕の耳に届いた。
 あの人の姿を見て声を聞いて、それだけで僕は幸せを感じていた。




448 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 23:08:09.22 ID:aIJgA3alO

 この気持ちの始まりなんて、もう分からなかった。
 始まりなんて、最初から無かったのかも知れなかった。

 ただ、気付けばあの人を目で追っていた。
 理由はきっと、あの人がとても綺麗だったから。

 あの人の声を聞いて、姿を見て、それだけで幸せを感じていた。


(*゚∀゚)『なあお前さ』


 僕の唯一の友達が、ある日、僕に話しかけた。


(*゚∀゚)『そんなに、あいつが好きなのか?』


 そう問う友達は、不思議そうに首を傾げた。

 僕は黙って、静かに頷いてみせた。




451 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 23:10:22.51 ID:aIJgA3alO

(*゚∀゚)『言わないのか?』


 友達の言葉に、僕は首を横に振った。


(*゚∀゚)『何でだ? おれなら、言うぞ?』


 だって、気持ち悪く思われるだろうと、僕は返した。


(*゚∀゚)『きもちわるいとか、関係ないだろ? 好きは好きだろ?』


 友達ははっきりと、僕の目を見て言った。

 でも僕には、そんな勇気は無かった。

 だって、きっとあの人は僕を気持ち悪く思うと思っていた。

 だって、僕はこんなにも醜かった。

 だって、だって、だって、




454 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 23:12:13.40 ID:aIJgA3alO

(*゚∀゚)『言えよ、好きって』


 それでも友達は、そう続けた。


(*゚∀゚)『ほら、好きなら好きって言ってみろよ』


 僕の顔を覗き込む友達は、真剣な目だった。


(*゚∀゚)『おれは、お前が好きなんだぞ』


 首筋を嘗め上げる様なその言葉に、僕の背筋にぞくりと何かが走った。


(*゚∀゚)『ほら、おれは言った、お前も言ってみろ』


 にこりと、赤い髪の友達は、笑った。




456 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 23:14:07.65 ID:aIJgA3alO

 『おれはお前が好きだ』

 『ほら、気持ちなんて簡単に言えるんだ』

 『言ってみろよ、お前も』

 『だってだってじゃなくて、言ってみろよ』

 『好きだよ、なあ好きだよ』

 『言ってみろよ、なあ、言ってみろよ』

 『口に出してみろよ』

 『お前は醜くないよ』

 『あいつなんかより、ずっと綺麗なんだよ』

 『どうしてわからないんだよ、お前』

 『こんなに綺麗なのに、綺麗なのに』

 『口を開けよ、なあ』



458 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 23:16:17.73 ID:aIJgA3alO

 口を開いた僕の中へぬるりと友達の舌が流れ込んだ。
 僕はただ何も見ずに何も見えずに友達の赤い髪だけが頭の奥で弾けていた。
 友達の僕を好きだと言う言葉の真意は分からなかったけれど舌と唇の温もりだけはわかった。
 傷だらけの頬を撫でる指先は思ったよりも細くて冷たかったから僕は肩をびくりと震わせた。
 それでも友達は僕の頬を撫でて指先で傷跡を優しく優しく撫でた。
 この傷を付けたのがこの細い指だと思うと胸の奥がしくしくと泣き出した。
 どうして友達はこうして僕を根っこから壊そうとするのか僕には理解が出来なかった。
 けれど友達の赤い髪がとても綺麗だったからあの人みたいだと少し思って瞼を下ろした。
 友達は未だに僕の中を壊そうと傷跡を撫でて上顎を舌の先でなぞっていた。
 ぬるりとした友達の舌と口の中から煙草の匂いと苦い味が流れ込んで僕の頭の芯は痺れていった。
 口の端から唾液がこぼれて糸を引いて制服を汚したけれど気にしなかった。
 僕は微動だにせず椅子に真っ直ぐ座ったまま友達の舌と口を受け止めながら目を瞑っていた。
 友達の舌が糸を引きながら離れた頃には僕はもうなすすべもなく腕の中へとおさまるしか無かった。



 ああ、あの人に思いを告げよう。


 友達の腕の中で揺さぶられながら僕はそう思った。

 友達は僕を揺さぶりながら何度も思いを告げろと言っていた。

 もうあらがう事なんて出来なかった。




460 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 23:18:24.55 ID:aIJgA3alO

( ・∀・)『何だい? 話って』


 僕の前に立つ彼は、相変わらずとても綺麗だった。
 耳から頬を首筋を撫でる様な声に、僕は僅かに身震いする。

 綺麗で濁った彼の目が僕を見る、汚い物でも見る様に僕を見る。
 友達の舌が流れ込んだ唇をそっと撫でて、何とか、声を絞り出そうとする。
 でもなかなか声は出なくて、彼は疎ましそうに顔を歪める。
 けれど、その顔すらもとても綺麗で。


( ・∀・)『そんなに怯えないでよ、取って食ったり、しないから』


 僕に近付く彼。
 綺麗な指が僕の髪を撫でる。
 ぞわりと背中に何かが走る。
 たまらない恍惚。
 彼の表情が少し和らぐ、綺麗な笑顔。
 とても、綺麗だった。




463 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 23:20:10.27 ID:aIJgA3alO

『どうしたの、顔色が悪い』

『そんなに俺が怖いかな』

『大丈夫だよ、怖くない』

『ほら顔を上げてよ、俺を見て』

『そう、可愛いよ』

『可愛いね、君は』

『声をかけてくれて嬉しいよ』

『本当だよ、君はこんなにも可愛い』

『可愛いから、ほら』

『殴りたくなるんだ』

『可愛い君を』

『その傷が、俺が付けた物なら良いのに』

『ずっとそう思ってた、本当だよ』




464 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 23:22:15.44 ID:aIJgA3alO

 腹部にめり込んだ彼の拳も、倒れた背中を踏みつける足も、吐きかけられるその唾も。
 カッターで切られた頬も、剥がされた爪も、額から流れる血も、何もかも。
 彼は綺麗な顔で、綺麗な笑顔で僕を見下ろす。
 何もかもが綺麗でたまらなくて幸せで。
 けれど脳裏に浮かぶのは赤い髪をした友達の顔で。
 友達に付けられた傷をなぞる様に与えられる新たな傷が、とても、嬉しくて、悲しくて。
 僕がへらりと笑うと、彼は更に笑顔になって。
 それが嬉しくて僕なねだって。
 ああ綺麗だよ可愛いよ。
 与えられる全てが嬉しくて。
 あは、は、あ、あはは、あはははは。
 虚ろな目をしてただ笑って。
 笑って。
 笑う僕の口に流れ込む舌が熱くて。
 熱くて。
 熱くて。
 ああ、あああ。
 あああああ。
 壊れてしまう。
 壊れてしまうよ。
 ああ、こわれる。
 ぼくはこわれる。
 ああ



466 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 23:24:11.26 ID:aIJgA3alO



『ほら、な、可愛いだろ』

『ああ、とても可愛いね』

『おれのなのに、お前が』

『しょうがないじゃないか』

『だって、おまえ、おれのなのに』

『しょうがないじゃないだろ、俺だって』

『だってじゃない』

『あのこは、大丈夫なのかな』

『大丈夫だよ、幸せなんだ』

『そうなのかな』

『そうだよ』

『じゃあ、』

『ああ、』




467 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/07(土) 23:26:07.04 ID:aIJgA3alO


 僕は、彼と友達を受け入れて。
 ただ、受け入れて。

 こわれてゆく、僕をみて。
 ただ、ただ、わらって。



 ああ、ああ、

 どうか、誰か、僕を、僕に、


 その願いは、かなって。


 ぼくは、しもべに、なって


『かわいいよ、でぃ』


 ああ、あは、あははは



おわり。

 
総合短編(シリアス・鬱・ホラー) | コメント(0) | トラックバック(0)
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