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933 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 07:37:38 発信元:221.39.238.147
tp://sogomatome.blog104.fc2.com/blog-entry-481.html

朝っぱらから投下。
連載物。視点の練習。人によっては閲覧注意。


934 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 07:39:44 発信元:221.39.238.147

( ^ω^) in the ドームのようです


doomed ━━ a.不運な, 運の尽きた

doom・y ━━ a.縁起の悪い, 不吉な




正直者が血を吐いて、思いやりが少しだけ薄れた世界。



937 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 07:43:22 発信元:221.39.238.147

こちらには、僕ことホライゾン、そして兄者と毒男。

向こうには、兄者の弟と、刃物を持った仮面の男。

仕切っているのは強化ガラス。突破は出来ない。


この部屋のクリア条件は、弟者の行方を決める事。

仲間に入れれば、僕らの中の誰か一人が外れる。

放置はそのまま、あの男と二人で、部屋にそのまま。





放置した後どうなるかは、全て想像。
                      妄想。
                          空想。


938 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 07:46:23 発信元:221.39.238.147

- 3つ目の部屋 -


( ´_ゝ`)「やっぱり、放置を選んだらいいんじゃないか」

(;'A`)「なんでだよ! 兄弟だろ!?」

( ´_ゝ`)「お前ら弟者と仲良かったっけ?」

( ;^ω^)「そんなに良くはないけど……」

('A`)「……そうか、ブーンは中学校の時に一悶着あったんだっけ」

( ´_ゝ`)「俺は放置でいいよ、お前らもそうでいいんじゃないか?」

(;'A`)「……」

( ;^ω^)「……」


弟者の言葉は僕らに届くが、僕らの言葉は弟者に届かないらしい。

強化ガラスは音も通さないのか、弟者の声はスピーカーから聞こえてくる。

ジェスチャーで意思疎通を図ろうと試みたが、3分では限界があった。

今は話し合いタイム。けど、話い合いと言うよりは僕らの言い訳大会に近い。


939 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 07:51:27 発信元:221.39.238.147

そうだ、僕は弟者は嫌いだ。仲間には入れたくない。

僕らとは正反対で、ピアスぶち開けてるし、何よりDQN。

でも、大切な友人の弟で、しかしその友人は放置を推す。

囁かれるその甘言に、涎を垂らして乗りたいのは山々だ。

けど、目の前で死ぬのは寝覚めが悪い。いくらなんでも。

だから、でも、しかし、けど、そしたら、この状況が、尚更。


言い訳ばかりだ。言葉にできない言葉が頭に渦巻く。


だから僕は、毒男の垂らした釣餌に食いついた。


(;'A`)「そうか、あれは単なる脅しなんだ」

( ´_ゝ`)「……そう、その可能性もあるんだよ」


940 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 07:53:36 発信元:221.39.238.147

またしても会話に置いていかれたが、ここは頑張ろう。


( ^ω^)「どういう事だお?」

( ´_ゝ`)「ほら、命の危険はないって、最初の放送にあったろ?」

(;'A`)「だから、弟者もそうだと思うんだ。俺達と同じで」


そちらのほうが、きっと、僕にとって、良い方へ向かうから。


( ^ω^)「つまり、あの男は単なる脅しの飾りって事かお」

(;'A`)「そうなんだ。多分、俺達が放置を選んでも何もされない」

( ^ω^)「……逆に言えば、僕が外れても何もされないって事かお」

( ´_ゝ`)「だな。けど俺は、お前らと一緒のほうがいいわ」

(;'∀`)「はは、俺もだぜ。外れるのも弟者が入るのも、ぶっちゃけ、な」


いつもより意味を成していなくて、自分に言い聞かせるような言葉が多い。

そんな多弁な毒男に感謝を捧げて、目を逸らす。心の中で手も合わせよう。


941 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 07:56:58 発信元:221.39.238.147

('∀`;)「なあ、ブーン、放置でいいよな。な?」


否定できるようで、出来ない。崩れた笑顔で近付く毒男。

念を押すような、願うような、祈りを通り越して呪いのような毒男の言葉。


( ^ω^)「…………」


それに気圧された訳じゃない。元より隠れ放置派だ。

会議などで一人はいる、自分の意見はあるけど手をあげて言えない奴。

言いたいけど、語彙がなく、教養もないから言い負ける。

無駄に言葉を発しても、唾を飛ばす自分が醜くなるだけ。

だから、どちらでもない、もしくは迷っているフリをして、どっちつかずの奴。

そんな奴は、場が自分に有利な状況になると、多数決に紛れて手をあげる。

他人の意見に納得したフリをして、そいつに賛同したフリをする。

僕は無言で、こっくりと頷いた。
 
 
( ´_ゝ`)「スピーカー、答えは『放置』だ」


942 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 08:00:16 発信元:221.39.238.147

結果的に、僕の胸には蟠りがある。罪悪感だ。

弟者には全く無いが、兄者には溢れる程にある。

だから僕は、兄者の横まで忍び足で近付く。

彼の横顔は無表情で、視線は自分の弟を向いている。


( ^ω^)「あー……」

( ´_ゝ`)「なんかしたか?」

( ;^ω^)「あぅお、いや、ごめんお」


話し掛けれる雰囲気ではなかったので、うっかり変な声が出る。

兄者は、完全に弟のほうに向きなおってしまった。もう顔色は窺えない。


弟者も兄を見ている。ただそれは、感動ドラマにあるようなものではない。

明らかに、弟は兄を睨みつけている。助けを乞う視線ではなく、憎悪。


(´<_`# )「────……」

(    )「………………」


943 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 08:01:17 発信元:221.39.238.147

こちらには聞こえてこなかったが、僕らの出した答えが、『放置』が、

向こうの部屋のスピーカーにのみ流れたのかもしれない。


それに怒って、弟者は兄者を睨んでいるとか、だとしたら。

それなら、兄者は一体どんな顔をしているんだろう。

それなら、何故僕らではなく、兄者だけ睨むんだろう。


兄者は弟者にどんな顔をして睨まれているんだろうか。

申し訳なさそうな顔だろうか。涙でも流しているのだろうか。


彼とその弟との関係性については、僕は何も知らない。

今思えば、その話題が出た時はそれとなく逸らされていた。


殺意を覚える程に憎悪していたのなら、嘲笑か、笑顔か。

それとも、いつもの感情の読めない、無表情だろうか。


だろう。かも。全ては、もしかしたら。ものみな想像でしかない。


945 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 08:04:29 発信元:221.39.238.147

『クリア、そのまま進んでくれたまえ』


1つ目と2つ目をクリアした時の和やかな戦勝ムードはない。

当たり前だ。こんな終わりでは、無意味な想像をしてしまう。


『次は君達の部屋だ。今日はもう休むといい』


放送が途切れるのと同時に、仕切り板がまた落ちてきた。

兄者は板を見つめ、毒男は逃げるように部屋から出る。

僕はどちらに付いて行こうか迷い、二人の中間地点を彷徨う。


( ;^ω^)「ぁぅぁぅ」


向こうの部屋には布団が見える。仮眠室だろうか。

迷っている間に板が落ち切ってしまい、兄者と僕が取り残される。

いや、これは人数的に、毒男が先に取り残されたんだろうか。

先に行ったのに、残されるってのも変な話だ。


948 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 08:07:31 発信元:221.39.238.147

この部屋の観察者は、今の僕らの心理を楽しんでいる事だろう。


( ;^ω^)「って、そーじゃなくて!」


兄者に駆け寄り、肩を掴む。

振り向いた顔は、いつのも無感情だ。


( ´_ゝ`)「ああ、鬱田は先に行ったのか」

( ;^ω^)「そうだお。布団が敷いてあるから、今日はもう休むお」

( ´_ゝ`)「もうちょっと一人で居させてくれ」

( ^ω^)「兄者、やっぱり……」

( ´_ゝ`)「いや、ここにずっといたらどうなるのかなーってな」

(  ゚ω゚)「そりゃ別の意味で笑えないお! 危ないお!」


いつもの、兄者なりの冗談だ。

この状況じゃ、ちっとばかし笑えないが。


951 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 08:10:47 発信元:221.39.238.147

兄者の全身から『先に行け』というオーラが出ていたので、

無言の圧力を受けないうちに、そそくさと部屋を出る。

出たところで、気になるのが人の性。

野次馬根性なのか、友情なのか、そのどっちもなのか、

自分にはよくわからない。心理分析学者が頑張ってくれ。


毒男は既に布団の中に潜っていたので、気にはしない。

ドアの影。兄者の死角になる場所。声が聞こえる場所。

それでいて、兄者が来た時、何の不自然もなく入れる場所。

兄者がいる部屋に一番近い布団を陣取り、聞き耳を立てる。





    「あのまま死んでくれたらいいのになあ」


聞こえないように、呟くように聴こえた言葉に、鳥肌が立った。


952 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 08:13:09 発信元:61.198.170.236
ひゃー


953 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 08:13:50 発信元:221.39.238.147

一応、中学校の二年生で一時期いじめを経験してきているので、

相手に聞こえないよう演じながら聞こえるように言う悪口なんて類のものは

聞き分けられる程度にはなっていた。と手前で勝手に自負している。


兄者のさっきの呟きは、弟にあてたものでもなく、僕らにあてたものでもない。

それが純粋な恐怖を呼び起こした。僕に鳥肌を起こさせるくらいの。


彼の足音が近付いてきたので、布団の皺を直すフリをする。


( ´_ゝ`)「どうした内藤、顔色が悪いぞ」

( i|^ω^)「いや、なんでもないお」


しゃがんで、顔を覗き込まれた。さっきのも相俟って心臓に悪い。

毒男はさっさと夢の世界へ旅立っていた。

もしかしたら、悪夢かもしれない。


954 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 08:17:04 発信元:221.39.238.147

僕が人から聞いたり、見たりした兄弟仲は悪いようだった。

本人にそれを聞いて良いのか悪いのかはわからない。


兄者の背中を見ても、聞いてほしそうだとか、ほっといてほしいとか、

そんな難しいものは、よくわからない。漫画じゃあないのだ。

人の心理や心情なんて、感じた事や思った事が正しいとは限らない。

ここは僕の頭の中の妄想ではない、れっきとした現実なのだ。


( ´_ゝ`)「なんでもないって、どう見たって具合悪そうだぞ」

( i|^ω^)「本当になんでもないんだお。さっき食べ過ぎたんだお」

( ´_ゝ`)「そりゃまた」


空いてる布団に移動しながら、薬でも頼んだらどうだと言う。

背中ごしに、今度そうするおと言いながら布団に潜る。


955 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 08:20:10 発信元:221.39.238.147

『みんな布団に入ったね。それじゃあおやすみ』


消灯。


修学旅行を思い出しながら、枕に頭を乗せる。

色々とあって今日は眠れないかもと思ったが、色々有り過ぎて疲れたらしい。

緊張していた体は寝る体勢に入って、力が抜けた。もう起き上がりたくない。

食事に一服もられたのかとも思ったが、それなら逆に有り難い。


寝るまでの間、あまり動かさない頭を動かす。

毒男の行動。兄者の言葉。僕のこれから。

一番最初の部屋にあった、『諦めは死へと』の文字。

明日の朝は、二人にそれを聞いてみよう。

何かに繋がるかもしれないから。






956 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 08:23:30 発信元:221.39.238.147

( ´_ゝ`) in the ドームのようです


dooms・day  世界の終りの日;

           最後の審判の日;

          全ての判決の日;




涙で濡らされる枕が減り、詐欺師が増えた世界。


958 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 08:25:05 発信元:221.39.238.147

古いテープレコーダーを再生した時のような、くすんだ声。

終始耳障りだったそれに、今この瞬間にだけ感謝をした。


('∀`;)「なあ、ブーン、放置でいいよな。な?」

( ^ω^)「…………」


鬱田の懇願に、内藤は素直に肯いた。

二人とも、弟者とは『仲が良くない』程度の仲ではない。

鬱田は小心者だが狡賢くて、こういう時は保身に走る。

だから、その背を少し押してしまえばいい。

内藤は流されやすいが、自分に近い意見には乗り易い。

だから、そんな状況にしてしまえばいい。


打算的なのは自他共に認めている。

それでも俺は、二人を親友だと思い込んでいたい。


961 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 08:42:29 発信元:222.5.63.155

この部屋が、『見捨てる』か『助ける』の二択だけな事にも助けられた。

その他に選択肢が残されていたとしたら、二人は助けようとしただろう。


いくら苦手な人間、嫌いな者とはいえ、殺意とは無縁の二人だ。

あの状況と放送は回答者に想像の余地を与え、詰まらせる。


放置という回答は、学校生活を送る上で障害が一つ減るという、

鬱田にとっても内藤にとっても俺にとってもプラスになる要素しかない。

しかないのだが、人死にに抵抗のある彼らでは、自ら選択しないだろう。

だから俺は、だから俺が、全員の総意を言語にしなくてはならない。


( ´_ゝ`)「スピーカー、答えは『放置』だ」


これが出題者の意図だとしても、今は乗ってやる。


962 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 08:47:52 発信元:222.5.63.151

将来や未来は、ある種、自分の過去を映す鏡でしかない。

過去を思って未来を想う者は、いつか後悔に苛まれる。


確か、インド関連の本に書いていた言葉だ。らしいと言えばらしい。


未だに殺意まで昇りつめていない感情を胸の内で燻らせていた頃、

あいつは壁に跳ね返ったボールを追って軽自動車に撥ねられた。

ボールは硬式で、俺の顔を狙って全力で投げられたものだった。

当たったらタダでは済まされない。俺はグローブをつけていない。

避けるという選択を取った俺が、責められる言われはない。


撥ねたのは若い男女で、すぐに車を停めて降りてきた。

顔の良く似た俺を兄弟だと思ったのか、電話を掛けてくれと頼む。

携帯電話なんて普及していなかった時代だから、仕方ない。


当時は自分もパニックに陥っていて、素直に救急車を呼んでしまった。


963 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 08:52:00 発信元:222.5.63.156

母者の話では、俺は弟の頭を踏ん付けて出てきたらしい。

その所為で、奴は首が変な方向に曲がって大変だと聞いた。

どうせなら、首の骨の数が元の3倍になるまで蹴るべきだった。

そうすれば、俺が屈辱を味わう事も、殺意を覚える事も、

二人に辛い選択を選ぶ事を、強要する事もなかった筈だ。


( ^ω^)「あー……」

( ´_ゝ`)「なんかしたか?」


過去に後悔はある。今にはない。

反省はしない。過去に反省はする。


( ;^ω^)「あぅお、いや、ごめんお」


もし仮に、俺に後悔が追い付くとしたら、それはどんな時だろう。


964 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 08:56:01 発信元:222.5.63.156

そんな迷いも、あいつの粘った視線を受ける事で霧散した。


(´<_`# )「────……」


出来れば、死んでほしい。それが俺の望みではある。

仮面の男に視線をやってみるが、動く気配はない。


最初の放送で『命の危険に晒したりする気はない』とあった。

だがそれは、捉えようにとってはどう危険に解釈する事も出来る。


人が生きる上で、死とは肉体的なものだけではない。

脳死による植物状態、四肢欠損、あらゆる障害。

社会的な死というのも、十二分に有り得る。


でなければ、最初の部屋に、相手を死に追いやる様な事を、

『愚者を殺めよ』なんて言葉を高々と掲げる訳がない。


965 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 08:56:33 発信元:221.39.238.147

ゲームのプレイヤーは、俺達だけではないのだ。

奴もプレイヤーで、何らかの条件を課せられていた場合がある。

もし、奴のペナルティが『死』だったのならば。


『クリア、そのまま進んでくれたまえ』


奴の目が、驚愕に見開かれる。

何かを宣告されたんだろう。


『次は君達の部屋だ。今日はもう休むといい』


鬱田はドアが開くと同時に、次の部屋へ駆け込んだ。

横からしか見えなかったが、酷く憔悴した表情をしていた。無理もない。

内藤は、俺と鬱田のどちらに付くか迷っているようだ。

これはほぼいつもの事なので、無視をする。

寄ってきたら、先に部屋へ行くようそれとなく示せばいいだろう。


966 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 09:00:44 発信元:222.5.63.152

板が落ち切る前に、奴の行方が決定されないかどうか。

それだけが気になって、俺は部屋に足を留める。

だが、仮面の男は半分を過ぎても動かなかった。

向こうの部屋もロックが解除されたのか、奴は別の部屋へ逃げる。

追わないのかと期待していると、仮面の男の足が動いた。


奴の逃げた方向へ。


ふと顔に手をやって、そこで初めて自分が笑っている事実に気付いた。

板は既に落ち切っていて、この目で最期を見る望みは叶わない。

そこは想像して楽しめという、出題者の思惑、という事にしておこう。


( ;^ω^)「って、そーじゃなくて!」


内藤が何か叫んだ瞬間、肩を掴まれた。

笑みを消して、普段の顔に戻る。


967 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 09:04:34 発信元:221.39.238.147

ここは当たり障りのない返事を言葉を発しておこう。


( ´_ゝ`)「ああ、鬱田は先に行ったのか」

( ;^ω^)「そうだお。布団が敷いてあるから、今日はもう休むお」


内藤の頭越しに部屋を覗くと、確かに布団が敷いてある。

ここから見える布団には、輪郭を強調した複雑な紋様が描かれている。

色はないが、模様だけで中世ヨーロッパ風だと思わせてくれる。

この類のデコラティヴな趣味を持つ者がいたのか、単に安かったのか、

裁縫したのか、それは俺の知る所ではない。ただ、嫌いではない。


( ´_ゝ`)「もうちょっと一人でいさせてくれ」


この壁の、板の向こうから何か聞こえないか。

普段なら有り得ない事にばかり執着してしまう自分がいた。


969 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 09:07:58 発信元:221.39.238.147

( ^ω^)「兄者、やっぱり……」


この内藤の言葉は、同情か、詮索か、疑念か。

彼の事だから、意外と何も考えずに口走ったかもしれない。

近いのは、俺にこんな選択させた罪悪感。それか、

俺にとって辛いと思われる選択を口にさせた罪悪感だろうか。


( ´_ゝ`)「いや、ここにずっといたらどうなるのかなーってな」


兎も角、内藤が俺に対して負い目を感じているのは事実だ。

ここは軽く冗談でも飛ばしておいたほうが、少しは気が晴れるだろう。


(  ゚ω゚)「そりゃ別の意味で笑えないお! 危ないお!」


内藤のツッコミは脊髄反射の代物なのか、素早く返ってきた。

思わず一歩後ろに引いてしまうが、彼には気づかれていないようだ。


971 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 09:12:12 発信元:221.39.238.147

その言葉に何も返さないでいると、これ以上は無駄だと判断したのか、

内藤は背を丸めて先の部屋へ入っていった。悪い事をしたと思う。

姿が全部消えたのを確認すると、また板のほうへ向き直る。


何も聞こえない。当たり前か。


( ´_ゝ`)「あのまま死んでくれたらいいのになあ」


運命なんてものは信じないが、スピーカーが聞く事を願って。

流れる星に願うようなロマンチックなものではなく、

希望的観測にも似た、ただの戯言だが。


『次の部屋に進んでね』


カメラは見当たらないが、スピーカーがその役割をしているのか。

巧妙に隠されているのかもしれないが、今は探す目的も時間もない。

放送に従って、部屋に進む。ドアを閉じると、自動でロックされた。


972 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 09:14:03 発信元:222.5.63.147

部屋を見回すと、鬱田は既に寝息を立てていた。

今日は会議しようと最初に言ったが、思いの外疲れたらしい。

勝手な奴だとは思わない。こんな状況だ。仕方ない。


内藤は、入ってすぐ近くの布団の皺を直していた。

意外と几帳面な奴なんだなと思ってしまった俺は、

内藤に過小評価を下していたらしい。自分を殴りたくなった。


視線を合わせようと屈むと、内藤の顔色がどう見ても悪い。


( ´_ゝ`)「どうした内藤、顔色が悪いぞ」

( i|^ω^)「いや、なんでもないお」


なんでもない筈がない。原因はさっきの部屋の答えか。

彼は思った以上にデリケートな性格のようだ。

いや、普通はそうなんだろうか。


973 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 09:17:43 発信元:221.39.238.147

( ´_ゝ`)「なんでもないって、どう見たって具合悪そうだぞ」

( i|^ω^)「本当になんでもないんだお。さっき食べ過ぎたんだお」

( ´_ゝ`)「そりゃまた」


確かに、今はどうしようもない。

ここは内藤の誤魔化しに乗る。


明日の朝、スピーカーに言って何とかしてもらおう。

申し訳ないと思いつつ、空いてる布団へ向かった。


( ´_ゝ`)「薬でも頼んだらどうだ」

( i|^ω^)「今度そうするお」


今度とはいつだろう。明日の朝ならいいが。


974 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 09:18:54 発信元:222.5.63.159

『みんな布団に入ったね。それじゃあおやすみ』


光が消える。


照明が見当たらないとか、そもそも光源は何処だとかどうでもいい。

内藤には悪いが、奴の末路を想像すると、胸のつかえが取れていく。

生まれて初めて、何の夢も見ずに眠れそうだ。

満たされない感情は、何かへ到るから。



俺は寝入った二人におやすみと言って、自分も寝た。



975 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 09:20:46 発信元:221.39.238.147

    in the ドームのようです


doom ━━ n. 運命; 破滅, 死; 判決




彼らにとって、世界とはどうでもいいものであった。

緑化運動や、核廃絶運動の使命感に燃える彼らが聞いたら、

罵倒にも等しい、激しい批難を浴びせかけただろう。

それに対して、彼らはこのように答える者達であった。


「それがどうした」






976 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 09:20:56 発信元:222.5.63.161
今回、謎々などから外れて心情練習してみました。
批評感想等ありましたらよろしくお願いします。


977 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 10:03:06 発信元:210.153.86.129
読み終わった乙!


978 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/07/07(水) 10:15:21 発信元:210.153.84.87
乙!
盛り上がって来たな 続き期待



  




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