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375 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 19:48:15.00 ID:frBrcc7u0
午前九時。天気は快晴。

( ´ω`) 「あ゙ー、クソ暑ちぃお……」

僕は仕事場の椅子にもたれながら呟いた。
後ろにある窓からは、太陽がこれでもかと言わんばかりに降り注いでいる。
季節は春の終わり。
僕が住んでいるところは、一年を通して比較的涼しい地域のはずなのだが、

『ここ数日は真夏日になりそうです』

と言ったニュースの天気予報通り、三十度を越す日が続いていた。

「確かに暑いな」

( ´ω`) 「……お?」

どうやら、先程の呟きが聞こえたらしい。床に座って作業していた彼が、こちらに顔を向けた。

('A`) 「しかしよう、ブーン。暑いなら、いい加減クーラー直そうぜ」

彼の名前はドクオ。僕と同じく、ここの社員だ。
しかし、社員といってもこの会社には彼と僕の、二人しかいない。
僕が社長で、彼が副社長。
たった二人だけの貧乏会社。それでも、僕らの大切な城だ。


( ^ω^)内藤修理センターのようです


377 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 19:51:40.38 ID:frBrcc7u0
( ´ω`) 「クーラー壊したの、誰だと思ってるんだお……」

('A`) 「あ? そりゃあ、お前と俺だろう?」

( ´ω`) 「水ぶっ掛けたのはドクオだお」

あれは昨日の事だった。
連日の真夏日に加え、暇を持て余した僕らは、近所にある雑貨屋で小型の水鉄砲を買った。
久しぶりに童心に戻った僕らは、熱中して周りも見ずにはしゃいでいた。
そして、

(; ゚ω゚) 『アッーーーー!!』 (゚A゚:)

ドクオが放った一撃は見事、稼働中だったクーラーに当たり、バチバチと音と煙を上げて止まってしまった。
『バロス』と書かれたメーカーのマークが、熱で『ワロス』に変わっていたのは皮肉か何かだろうか?

( ´ω`) 「というか何で室内でやったんだお……昨日の僕らをぶん殴ってやりたいお」

('A`) 「過ぎた事を言ってもしょうがねぇだろ。とにかくアレ、中身入れ替えたら直るだろ?」

( ´ω`) 「そんな金、ウチにあると思ってんのかお?」

(;'A`) 「えっ、まさか……無いの?」


378 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 19:55:04.88 ID:frBrcc7u0
ドクオの言葉に、僕は静かに頷いた。
年がら年中金欠の我が会社だ。正直自分でも、よく潰れないと思う。

(;'A`) 「おいおいおいおい、壊れたクーラーなんて置物にもなりゃしねぇぜ!」

( ´ω`) 「仕方ないお。世の中、資本主義。お金様がなけりゃ何も出来ないお……」

(;'A`) 「クソっ、ブーン、仕事は!? 何か仕事は無いのか!?」

( ´ω`) 「今のところ、素直さんトコのおもちゃの修理と、杉浦のお爺さんトコの洗濯機。この二件だけだお」

(;'A`) 「もっと、もっと規模のデカいのは!?」

( ´ω`) 「そんなの、ウチみたいなところに来る訳ねーお」

(;A;) 「チクショウ、神は我を見捨てたのか……」

( ´ω`) 「お前、無神論者じゃなかったかお?」

僕らは顔を見合すと、ハァ、と溜息を吐いた。
窓から熱気と湿気を含んだ風が入る。
と同時に、一枚の紙切れまで入ってきた。


380 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 19:57:57.14 ID:frBrcc7u0
('A`) 「あ?何だこりゃあ」

紙切れを拾ったのはドクオだった。
僕は最初から動く気は無い。
椅子を後ろに傾け、器用にバランスを取りながら、窓から見える逆さまの世界を楽しむ。

( ^ω^) (今日も空が青くて綺麗だおー)

空は良い。あのどこまでも広がる青を見ていると、憂鬱な気持ちも吹き飛んでしまいそうだ。
そうしてしばらく、ぼけーっとしていると、

(;゚A゚) 「ブ、ブーンッ!!」

(; ゚ω゚)そ 「ふぉーっ!?」

突然ドクオが机を叩いたせいで、驚いた僕は椅子ごと倒れた。

(#^ω^) 「いたたた……人が気持ち良く空を眺めてるときに何するんだお!」

(;゚A゚) 「ブ、ブーン、いいからコレ見てみろ!」

ドクオは眼を見開いて、さっきの紙切れを僕に渡してきた。
心なしか、全身が震えてるように見える。


381 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 19:59:58.20 ID:frBrcc7u0
( ^ω^) 「……この紙切れがどうしたっていうんだお?」

(;゚A゚) 「いいから早く!」

よく分からないまま、紙切れを見る。そこには、

『第13回 美府市サバイバルレース 開催!!』

と書かれていた。

( ^ω^) 「ああ、毎年やってるあれかお」

興味が無いからよく知らないが。

(;゚A゚) 「バカッ! その下を見てみろ!」

( ^ω^) 「何なんだお、まったく」

言われるがままに紙切れの続きを見た。


『優勝賞金 100万円』


( ^ω^)
(^ω^ )
(^ω^)

('A`) 「ちょ、こっちみんな」


385 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 20:02:22.99 ID:frBrcc7u0
(  ゚ω゚) 「マジかお!? この大会、こんなに賞金出るのかお!?」

('∀`) 「マジもマジ、大マジだ! しかも出場は二人一組。かつて『美府高の走る肉塊』と呼ばれたお前の力、見せてやろうぜ!」

( ^ω^) 「やめて、それは言わないで。忘れたい過去なんだから」

('A`) 「スマンコ」

ドクオとの会話を軽く流し、僕は食い入るように紙切れ、もといチラシを見る。

( ^ω^) (開催日時は……7月28日。よし、まだ一ヶ月以上あるお。ルールは……無制限、だと? まぁいいお。
ええと、あとは……)

チラシを最後まで、それこそ穴が開くくらい見る。
そして僕は愕然とした。

(  ω ) 「……ドクオ」

('∀`) 「どうした、ブーン? 早く申し込みに行こ――」

(  ω ) 「……これ、〆切が昨日だお」

('∀`) 「……え?」


387 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 20:04:18.88 ID:frBrcc7u0
そうなのだった。
あと一日、一日早ければ、まだ僕らにチャンスはあった。
しかし、現実は無常だった。やはり神は僕らを見捨てたらしい。

( A ) 「……」

(  ω ) 「……」

( A ) 「……仕事、するか」

(  ω ) 「……そう、だおね」



こうして僕らは二人、黙々と作業を始めた。
外では、選挙カーが喧しく走っていた。
 
 
389 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 20:07:25.73 ID:frBrcc7u0
そして時間は過ぎ、お昼時。
午前中に作業を終わらせた僕らは、仕事場の奥にあるダイニングキッチンで男二人、向かい合いながら昼飯を食べていた。

('A`) 「なあ、ブーンよう」

( ^ω^) 「何だお? 飯くらい静かに食わせてくれお」

('A`) 「悪ぃ。けどよ、俺の記憶じゃ二週間ぐらい、ずっと素麺ばかり食べてる気がするんだが」

( ^ω^) 「気がする、じゃないお。実際そうだお」

('A`) 「なして?」

( ^ω^) 「婆ちゃんが素麺を大量に送ってきてくれたからだお。金欠の僕らにはありがたい話だお」

('A`) 「ああ、そうなの……。ちなみに後、どれくらいある?」

( ^ω^) 「あと二週間分くらいかお」

('A`) 「俺、他の物も食べたい」

( ^ω^) 「贅沢言うなお。飯食えるだけありがたいと思えお」

('A`) 「……それもそうだな」

それ以降、僕らは喋らず、ただズルズルと素麺を食べる音が仕事場に響く。


390 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 20:09:27.47 ID:frBrcc7u0
声が聞こえたのは、丁度ざるの中の素麺が無くなった時だった。

「すいませーん」

( ^ω^) 「お? お客様かお?」

('A`) 「俺、洗い物するから、お前に任せた」

( ^ω^) 「分かったお」

あまり待たせるのも失礼なので、急いで靴を履き替え仕事場に出る。

( ^ω^) 「申し訳ありませんお。お待たせしましたお」

('、`*川 「いえいえ、待ったというほどでもありませんので」

入り口に居たのは、淡い紫の着物を着た老年の女性だった。
外には黒い乗用車が停まっている。

( ^ω^) 「そうでしたかお。それで、どういったご用件ですかお?」

('、`*川 「こちら、『内藤修理センター』とありますけど、修理してもらえるのは何でもよろしいのかしら?」

( ^ω^) 「はいですお! ここには僕を含め、優秀な社員がいるので、任せてくださいお!」

('、`*川 「そうですか。では、田中」


391 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 20:11:48.69 ID:frBrcc7u0
女性がそう言うと、運転席から厳つい男が出て来た。
男は後部座席から包みを一つ取り出すと、静かに女性に渡す。

(*^ω^) (これはもしや、大きい仕事の予感……)

状況から考えて、自然と頬が緩む。

('、`*川 「すいません」

(;^ω^) 「は、はいですお!」

('、`*川 「こちらをね、直してほしいのですが」

女性が包みを開くと、中にあったのは、

( ^ω^) 「……テープレコーダー、ですかお?」

('、`*川 「ええ、長年使っていた物なのですが、一昨日突然壊れてしまって。お願いできますか?」

(;^ω^) 「テープレコーダーならメーカーに言えば、有料になると思いますが修理してもらえるはずですお?」

僕がそう言うと、女性はゆっくりと首を横に振った。


393 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 20:14:41.02 ID:frBrcc7u0
('、`*川 「昨日、お店に聞きに言ったところ、どうもそのメーカーさん、今はもう無いそうで」

( ^ω^) 「……ちょっと見せてもらっても、よろしいですかお?」

('、`*川 「ええ、どうぞ」

女性からテープレコーダーを預かる。古い物だからかそこそこ大きく、手にずっしりときた。
落とさないように注意して、裏面を見る。そこにはメーカーのロゴが刻まれていた。
使わない頭から記憶を引っ張り出せば、それは確かに昔倒産した企業の物。

( ^ω^) 「……うーん、これは買い換えた方が良いかもしれませんお」

('、`*川 「やはり、そうですか……」

( ^ω^) 「やはり?」

('、`*川 「いえね、昨日行ったお店でも同じ事を。あの、どうしても直らないんでしょうか?」

(;^ω^) 「いえ、直らないわけではないんですお。ただ、このメーカーの製品は独自の部品が多くて、
今だと中々部品が手に入りにくいんですお」

( 、 *川 「……そうなんですか」


395 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 20:17:20.09 ID:frBrcc7u0
僕の話を聞いて、女性は悲しそうにテープレコーダーを見る。

( 、 *川 「これね」

(;^ω^) 「はい?」

( 、 *川 「これ、娘が始めてのお給料で買ってくれた物なの。『音楽が好きなお母さんに』って。
『これから好きな曲が何度でも聴けるね』って」

( ^ω^) 「はあ」

( 、 *川 「それから、ずっとこれで色んな音楽を聴いてきたわ。だからある意味、長い時間を共有した
友人みたいなものだったの」

( ^ω^) 「……」

( 、 *川 「でも、物はいつか壊れてしまうものよね。しょうがないわ、諦めま――」

( ^ω^) 「ちょっとお時間掛かるかもしれませんが、よろしいですかお?」

('、`;川 「え?」

( ^ω^) 「こちらの修理、僕達に任せてくれませんかお?」


397 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 20:20:31.95 ID:frBrcc7u0
('、`;川 「えっ、でもさっき……」

( ^ω^) 「お客様の大切なものですお。バッチリ直してみせますお!」

('、`*川 「本当ですか!? ありがとうございます!」

女性の表情がパッと明るくなる。
やっぱり女の人は笑っていた方が素敵だと思う。

( ^ω^) 「つきましては、お客様のお名前とお電話番号を教えて頂けますかお?」

('、`*川 「伊藤です、ペニサス伊藤。電話番号は0115‐○×‐▲□◆☆です」

( ^ω^) 「伊藤様ですおね? 分かりましたお。それでは修理終わり次第、連絡しますお」

そこまで言ったときだ。彼女、ペニサスさんの顔が曇る。

('、`;川 「あ、あの」

( ^ω^) 「どうかいたしましたかお?」

('、`;川 「実は――」



直後、彼女が言った言葉と暑さで、僕は軽く眩暈がした。


400 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 20:23:18.90 ID:frBrcc7u0
( ^ω^)ノシ 「ありがとうございましおー」

ペニサスさんを乗せた車が去って行くのを見送り、僕は仕事場に戻る。
丁度ドクオも、キッチンから戻ったところだった。

('A`) 「どうだった?」

( ^ω^) 「仕事が一件。コイツだお」

ドクオが近寄ってきて僕の手元を見るなり、元から暗い顔が更に暗くなった。

(;'A`) 「うへぇ、バロス製のテープレコーダーかよ。今時どこ探したって見ないぞ、こんなの。
部品だって手に入りにくいから、時間と手間掛かるしよ……。まぁいいや、期日は?」

( ^ω^) 「それなんだけど……」



(*^ω^) 「ゴメン、明後日の13時。テヘッ☆」 



(;゚A゚)そ 「なんだとぉ!?」

出きるだけドクオを驚かさないように、と思った僕の気遣いはその一言で無駄になった。


401 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 20:26:00.54 ID:frBrcc7u0
そう。あの後、ペニサスさんは、

('、`;川 『実は私、明々後日には海外へ行くことになるんです』

(;^ω^) 『海外、ですかお?』

('、`;川 『ええ、夫の都合で私も付いて行かなくてはいけなくて。ですから、明後日までに何とかお願い出来ませんか?』

なんて事を言ってくれた。
こちらとしても一度引き受けた手前、『やっぱり出来ません』などとは言えず結果、今に至る。

(;'A`) 「おまっ、そりゃあ厳しいだろjk」

(;^ω^) 「し、仕方ないんだお! ペニサスさんの大切なものだお! 直してあげたいお!」

(;'A`) 「……だからってなぁ。大体お前、代金前払いにしてもらって、修理したら郵送すれば良かったんじゃねぇの?」

(;^ω^) 「あ」

('A`) 「バーロー」

(;^ω^) 「と、とにかく早く修理に掛かるお!」

('A`) 「掛かるお! って言われても、どうすんだよ? ウチにバロス製の部品なんてあったか?」

( ^ω^) 「無いお。だから」

( ^ω^) 「ショボンさんの所に行くお」


407 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 20:56:00.33 ID:frBrcc7u0

美府市の北に広がる森林地帯。現在僕らは、その一角に向かっていた。
ガラクタや、もう使われなくなった物が積み上げられているため、付いた名前が『ガラクタ山』。
捻りも何も無い。そのまんまだった。

(;'A`) 「あぢー死ぬー」

(;^ω^) 「頑張れおドクオ! あと少しだお!」

(;'A`) 「なあ、なして俺ら、炎天下の中、リアカー押してるん?」

(;^ω^) 「そりゃあ、二人とも、免許持ってないから、だお」

坂道でリアカーを押す男二人。
これが夜で積荷がいっぱいだったら、夜逃げに見えるだろうか?
……考えてみると笑えなかった。

(;^ω^) 「この坂道を、越えたら着くから、もうちょっと、頑張れお!」

(;'A`) 「了、解、っと!」

途中、休憩を二度挟みながらガラクタ山に着いた頃には、太陽が沈みかけていた。
積み重なるガラクタが影を作るなか、その手前にある広場に立つ人影が一つ。


412 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 21:05:32.32 ID:frBrcc7u0

やあ (´・ω・`)
ようこそ、ガラクタ山へ。
このガラクタはサービスだから、まず持って落ち着いて欲しい。
うん、「ゴミ」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、このガラクタを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「少年の日のワクワク」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
そう思って、このガラクタを渡したんだ。

じゃあ、注文を聞こうか。


(´・ω・`) 「って何だ、君達か」

(;^ω^) 「相変わらずですおね、ショボンさん」

(;'A`) 「ご無沙汰してます」

ショボンさん。
このガラクタ山の管理人(自称)。
僕らよりも少し年上らしいのだが、正確な年齢は知らない。
密かにドクオと二人で『ホームレスではないか?』と疑っている。


414 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 21:12:36.19 ID:frBrcc7u0
(´・ω・`) 「久しぶりなのはいいけど、こんな時間にどうしたんだい? もうすく夜だよ?」

(;^ω^) 「実は――」

ショボンさんに事情を説明すると、

(´・ω・`) 「そういう事なら自由に探して良いよ。ここのガラクタ達も、もう一度人の役に立てて嬉しいだろう」

と、言ってくれた。

(´・ω・`) 「何かあったら、僕はあそこの小屋にいるから呼んでくれ」

彼の指差した方向には、トタンやらの金属板で出来た小屋(のような物?)があった。

(;^ω^) 「あれ、住めるんですかお?」

(;'A`) 「何か、今にも崩れそうな……」

(´・ω・`) 「中は意外と快適だよ。造りもしっかりしてる。っと、そんなことより時間が無いんだろう? 急がなくていいのかい?」

(;^ω^) 「そ、そうでしたお! ドクオ、行くお!」

(;'A`) 「お、おう!」

ショボンさんに背を向け、僕らは夜のガラクタ山を登り始めた。


416 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 21:20:07.03 ID:frBrcc7u0
そして四時間後。

(;^ω^) 「ドクオー! あったかおー!?」

(;'A`) 「見つからねぇー! つーかこれ、明日にした方が良いんじゃねぇかぁー!?」

ドクオの言う通り、頼りになるのは手に持った懐中電灯のみ。月明かりがあるとはいえ、流石にそろそろ厳しい。

(;^ω^) 「それじゃあ、一回下りるかおー!?」

(;'A`) 「そうだなー! そうしようー!」


○  ○  ○


(´・ω・`) 「で、見つからなかったと」

( ´ω`) 「そうなんですお……」

山から下りると、ショボンさんが待っていた。
どうやら僕らが行った後、近くの木を背もたれにして本を読んでいたらしい。

(;'A`) 「明日もまたここに来て探すのかよ……」

ドクオは今日一日疲れたのか、地面に寝そべっていた。


419 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 21:29:52.03 ID:frBrcc7u0
僕も疲れたので地面に座っていると、ショボンさんが口を開く。

(´・ω・`) 「あのさあ、良かったらウチに泊まっていくかい?」

(;^ω^) 「「えっ?」」 ('A`;)

(´・ω・`) 「君達、家遠いだろう? 確か、ここから二時間ぐらいだっけ? だったらウチに泊まって
また明日探せばいいじゃないか」

(;^ω^) 「良いん、ですかお?」

(;'A`) 「それよりも、アレ、三人も入るんですか?」

二人で恐る恐る小屋(?)を見る。
どう見ても不安です。本当にありがt(ry

(´・ω・`) 「大丈夫だよ。心配しなさんなって。で、どうする?」

僕らは顔を見合わせると、

( ^ω^) 「それじゃあ……」

('A`) 「まあ……」

( ^ω^) 「「お言葉にお甘えします(お)」」 ('A`)

こうしてこの日の夜は、ショボンさんの家(?)に泊まることになった。


426 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 21:49:07.78 ID:xn6EDee10
ショボンの家に泊まったのか……


423 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 21:38:18.86 ID:frBrcc7u0

そしてそして、次の日





















の、夜。



425 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 21:47:26.47 ID:frBrcc7u0
(  ω ) 「……」

( A ) 「……」

僕らはリアカーを引きながら、トボトボ歩いていた。
今日はショボンさんにも手伝ってもらい、朝っぱらから探していたのだが、

(  ω ) 「どうして一個も見つからないんだお……」

手に入れたのは、汗だくの身体と疲労だけだった。

( A ) 「しょうがねぇだろ……バロス製の部品なんて、元々ある方が珍しいんだ。で、どうするんだよ?」

(  ω ) 「……何がだお?」

( A ) 「お客様になんて説明するんだよ?」

(  ω ) 「……正直に話すしかないお」

( A ) 「そうだよなぁ。……あー、やれやれだぜ。せっかく仕事が入ったと思ったら、部品無くて修理出来ないってか。
大体、さっさととっかえりゃあいいのによ。何だっけ? 娘さんからの贈り物だっけか? まったく律儀な事だよなぁ」

ん? ちょっと待て。コイツ今何て言った?


428 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 21:56:08.88 ID:frBrcc7u0
(#^ω^) 「ドクオッ!!」

(;'A`) 「うわぁっ!? 何だよ、急に大声出しやがって」

(#^ω^) 「今何て言ったか、もう一度言ってみろお!!」

('A`) 「あン? 何だよ、怒ったのかよ? 悪かっ――」

(# ゚ω゚) 「いいから早く!!」

(;'A`) 「な、何だよ……えっと、『まったく律儀な事だよなぁ』?」

(# ゚ω゚) 「違うお! それじゃないお!」

(;'A`) 「『何だっけ? 娘さんからの贈り物だっけか?』か?」

(# ゚ω゚) 「違う、違うお!」

(;'A`) 「じゃあ、『さっさととっかえりゃあいいのによ』?」

(# ゚ω゚) 「そ れ だ お っ ! !」

('A`) 「それがどうかしたのかよ?」


429 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 21:57:09.17 ID:FygSz4oTO
ん?


431 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 22:00:36.13 ID:frBrcc7u0
ドクオの質問に、僕はヒートアップした頭を冷やしながら答える。

( ^ω^) 「いいかお、ドクオ。バロスの製品の特徴を挙げて言ってくれお」

('A`) 「また訳の分からんことを急に……。あー、独自の部品を使ってる事か?」

( ^ω^) 「他には?」

('A`) 「丈夫で耐久性に優れている」

( ^ω^) 「他は?」

('A`) 「他は、って……あ」

ようやくドクオも気付いたようだ。僕は彼を見て頷く。

( ^ω^) 「 『バロスの製品は故障した際、他のバロスの製品と部品の交換が利く』 」

(;'A`) 「で、でもよ、テープレコーダー以外のバロスの物ってどこに――あっ! ウチのクーラーか!?」

( ^ω^) 「そうだお。ドクオが水掛けて壊したクーラー、あれから使える部品を探すお」

(;'A`) 「まだ根に持ってたのか……。だけどよ、クーラーとテープレコーダーだろ? 大丈夫かよ?」

( ^ω^) 「そこはやってみなくちゃ分からないお! とにかく急いで戻るお!」

(;'A`) 「お、おう! 分かった!」


430 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 21:57:30.74 ID:QQe4wXTJO
ようやくクーラーに……


433 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 22:01:54.69 ID:/qMQYPE00
無茶だ!


432 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 22:01:46.96 ID:FygSz4oTO
互換性あったらスゴいな


434 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 22:05:33.30 ID:frBrcc7u0


「どうだお?」

「この基盤はまだ生きてるみたいだ」

「マジかお! 良かったお!」

「あと使える部品は……これぐらいか」

「これだけあれば大丈夫だお! さっそく修理するお!」

「ちょい待て。ここがこうだから……あれ? これ下手すると全体の形変わるぞ?」

「そこはドックンの腕の見せ所……お? これはこっちの方が良いんじゃないかお?」

「ドックン言うなや……よし。おい、ブーン。向こうの棚から半田ごて取ってくれ」

「あいあいさーだお」

…………

……






437 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 22:12:47.44 ID:frBrcc7u0
「すいませーん。どなたかいらっしゃいませんかー?」

( つω-) 「……んん? なんだお?」

どうやら作業の途中で寝てしまったらしい。僕は自分の机に突っ伏していた。
ぼんやりとした頭で、眼を擦りながら壁の時計を見る。
時刻は13時10分。

( つω-) 「13時って……」

そこまで言って気付く。

(; ゚ω゚) 「約束の時間過ぎてるおーー!!」

バッと入り口を見る。
そこには見覚えのある乗用車と着物姿の女性。

(; ゚ω゚) 「ド、ドクオッ! テープレコーダーは――」

ドクオを探すと、彼は床の上で寝ていた。しかしその近くにテープレコーダーは無い。
慌てていつもドクオが使っている机を見てみると、

『出来た。動く。寝る。』

と書かれた紙の上に、探していた物はあった。
その間にも声は聞こえてくる。
急いで手に取り、入り口へ向かう。


440 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 22:18:59.97 ID:frBrcc7u0
('、`;川 「すいませ――きゃあ!?」

(;^ω^) 「ああ、これはすいませんでしたお!」

勢い良く引き戸を開けたせいで、ペニサスさんを驚かせてしまった。

('、`;川 「あの、それで、テープレコーダーは……」

( ^ω^) 「直りましたお! どうぞですお!」

手に持っていたテープレコーダーをペニサスさんに渡す。
彼女はそれを大事に抱え込み、愛しそうに撫でた。

('ー`*川 「良かった……。ありがとうございます。本当になんとお礼を申したら良いか」

( ^ω^) 「いえいえですお。僕達は直すのが仕事ですお」

('、`*川 「そうですか……。あの、それでお代の方は」

( ^ω^) 「そうでしたおね。三千円になりますお」

ペニサスさんは、右手に持っていた巾着から財布を取り出す。

('、`*川 「こちらでよろしいですか?」

( ^ω^) 「はいですお。それでは丁度、お預かりいたしますお」

('、`*川 「本当にありがとうございました。それでは、これで」

( ^ω^) 「お気をつけて、ですお」


441 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 22:21:09.39 ID:/9hAAXjD0
クーラーのねdn


444 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 22:22:59.72 ID:FygSz4oTO
良心的だな


445 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 22:24:48.86 ID:frBrcc7u0
僕がそう言うと、ペニサスさんは一礼して車に乗り込む。

( ^ω^)ノシ 「ありがとうございましおー」

そうして一昨日、彼女が来たときと同じように、車が見えなくなるまで見送った。

( ^ω^) 「さて、と」

仕事場に戻ると、寝ていたはずのドクオが上半身を起こして頭を掻いていた。

( ^ω^) 「お? 起きてたのかお?」

('A`) 「ちげーよ、お前の声で起こされたんだよ。それより、お客様来てたのか?」

( ^ω^) 「ペニサスさんが。たった今帰ったトコだお」

('A`) 「……そうか。ああ、腹減ったな。素麺茹でるが、お前も食うか?」

( ^ω^) 「食べるおー」

('A`) 「おk」

言いながらドクオは立ち上がり、キッチンへと消えた。


446 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 22:26:35.97 ID:OPsivtxf0
二日で3000円か、素麺生活になるのも頷けるなw


448 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 22:30:05.74 ID:frBrcc7u0
( ^ω^) 「……」

がらんとした仕事場で僕は一人、先程のペニサスさんを思い出す。
無事直ったテープレコーダーを見て微笑むその姿は、とても綺麗で美しかった。
僕が、僕達がその笑顔を引き出せた。
そう思うと、自然と笑顔になる。

(*^ω^) 「ドクオー」

「なんだー?」

(*^ω^) 「お客様に喜んでもらえるのは、やっぱり嬉しいことだおね!」

「どうしたー? 突然そんな事言い出してー」

(*^ω^) 「ね!」

「……。ああ、そうだな」

キッチンにいるから見えないが、彼も今、笑みを浮かべているのだろう。
声のトーンが、そう教えてくれた。


450 :( ^ω^)内藤修理センターのようです:2010/07/02(金) 22:33:09.56 ID:frBrcc7u0
ドクオの返事を聞いて、窓から空を眺める。
天気は相変わらず快晴。太陽が燦々と輝いている。


( ^ω^) 「どんな故障でも、僕らが直してみせるお」


そこにお客様の笑顔が待ってるから――


僕の呟きは、どこまでも広がる青空に吸い込まれて消えた。












453 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 22:34:33.93 ID:frBrcc7u0
>>375>>377>>378>>380>>381>>385>>387>>389>>390>>391>>393>>395>>397>>400>>401
>>407>>412>>414>>416>>419>>423>>425>>428>>431>>434>>437>>440>>445>>448>>450

以上です。お付き合いありがとうございます。
お題は

壊れたクーラー
〆切
壊れたテープレコーダー

でした。

無理矢理すぎたかもしれない。
そして途中さるった……。あと、投下して初めて支援のありがたみが分かった。サンクス。

感想、批評、質問、 あればどうぞ。


451 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 22:33:55.19 ID:OPsivtxf0
ぴったり収まったなーw
乙!


454 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 22:34:58.52 ID:c0SQtOgzO
ほっこりしたよ、乙!


455 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 22:35:17.51 ID:FygSz4oTO
乙!おもしろかった


456 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 22:37:18.83 ID:QQe4wXTJO
乙!

欲を言えば、あの賞金100万というのをもっと使ってほしかった
ペニサスが、外国に行くため参加出来なくなったから出場権あげます~みたいな

でも面白かった!


458 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 22:39:42.18 ID:frBrcc7u0
>>456
それも面白そうだけど、流石に30レスギリギリだから厳しいなw
上手く纏めるのって難しい……


457 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 22:39:20.80 ID:FygSz4oTO
大会うんぬんはいらなかったかもと思った
金持ちそうだから解決→出場とかかなと思った


460 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 22:41:43.95 ID:frBrcc7u0
>>457
ぶっちゃけ大会はお題消化のためなんだ。スマン。


461 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 22:43:46.00 ID:QQe4wXTJO
>>460
〆切りのお題は、カセットテープ修理の〆切りで消化してると思ってた……


463 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 22:47:55.58 ID:frBrcc7u0
>>461
〆切と期日は違うものだと思ったんだ


459 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 22:39:56.38 ID:joOkwi6XP
これは稀に見る大作



462 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/02(金) 22:44:14.90 ID:9BZyaq5U0
乙っつ
よかったぞ



 
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コメント
ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん
これは続きがみたい

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