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※スレ立て短編。
  スレ: http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1276524602/




2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:11:41.83 ID:frYLnZkc0
( ^ω^)「木星綺麗だおー」

('A`)「綺麗な包丁だ…」

ある夜の同時刻、二人はそれぞれの場所でそう呟いた。



('A`)の木星は( ^ω^)の太陽で輝くようです



学校も終わり、部活をしていた生徒達も皆家路につき始めた日暮れ。
ブーンは大きな筒を持って学校の廊下を歩いていた。

( ^ω^)「ふー…重たいお…よいしょっと」

何度も抱え直しながら大きな筒を持ち、ブーンは階段を上っていく。
ブーンは屋上に出る扉の前に着いた。
普段はカギが閉まっていた生徒が入ることの出来ない錆びた扉にブーンはポケットに入れていた鍵を差し込んだ。

ガチャ、ギィィ

扉の軋む音と共に屋上の扉が開く。
周りを囲むフェンス以外は何もない、コンクリート打ちの床、そして夕日に染まった赤い空。
ブーンは大きな筒を床に置き、一度深呼吸した。

( ^ω^)「んー…晴天だお、今夜は観測日和だお」


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:13:26.33 ID:frYLnZkc0
晴天に気分を良くしたブーンは鼻唄混じりに大きな筒の蓋を取り、中に入っていた望遠鏡を引っ張りだした。
慣れた手つきで三脚を立て、望遠鏡を設置する。

( ^ω^)「これで良しだお。さ、家に帰って急いでご飯食べてくるお!」

準備を終えたブーンは両手を広げ走りながら屋上を後にした。
鍵を閉めることを忘れて。



ブーンが学校を後にしてすぐの学校。
ドクオはいつものように一人で呟いていた。

('A`)「ふぅ…死にたい…」

ドクオはいつも一人だった。
他人を避けるドクオをいつの間にか周りの皆も避けるようになっていた。
ドクオがそうなってしまったのは幼少期に両親を交通事故で亡くしたことが原因だった。
絶対的信頼を寄せる両親がいなくなったドクオは誰にも心を開けなくなっていた。
施設で暮らすことになってからも、施設の皆を家族だと思ったことは無かった。
もし自分が死んでも泣いてくれるような人間はもうこの世にいない、ドクオはそう考えていた。
そんな毎日をただ消化する日々にドクオは嫌気がさしていた。


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:16:02.49 ID:frYLnZkc0
('A`)「首吊りは怖いんだよなぁ…それにロープとか買うのマンドクセェし…」

ふらふらと目的もなく学校を彷徨った。

('A`)「練炭自殺とか…死ぬにも結構物入りだよなぁ…」

なんとなく階段を上がっていく。

('A`)「なんつーか、こう…眩しすぎるんだよな…同級生の奴らって…」

ゆっくりと3階、4階と上がっていく。

('A`)「なんであんな人生楽しそうなんだあいつらは…」

同級生が楽しそうにしながら下らない話で盛り上がっているのを見てドクオはいつも疑問に思っていた。
どこかで程度の低い奴らだと見下し、自分を保っていたのだ。
しかし、それすらも自分へのごまかしだということにもドクオ自身気づいていた。

('A`)「うぇ…行き止まりかよ。」

いつの間にか階段を上り切って、屋上の扉の前に来ていた。

('A`)「…」

ドクオはなんとなくドアノブに手を伸ばした。


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:18:09.49 ID:frYLnZkc0
ギィィ

(;'A`)「空いてるよオイ…」

ドクオは恐る恐る屋上に出た。

('A`)「おー…そういえば屋上に来るの初めてだな」

太陽も落ちかけ、辺りが暗くなってきたこともあって屋上には涼やかな風が吹いていた。

('A`)「…いいね、気持ちいい。」

ドクオは体で風を受けながら歩き、フェンスを掴み下を覗き込んだ。

('A`)「案外高いんだよなぁ…屋上って。飛び降り…とかもアリか…。」

ドクオは床に仰向けに寝転んだ。
まだ空は完全に暗くはなっていなかったが月が薄く見え始め、かすかに星が輝いていた。
ドクオのすぐ上を風がまた吹き抜ける。

('A`)「はぁ…気持ちいいな、ここ…」

しばらくしないうちにドクオはそのまま眠ってしまった。


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:20:18.55 ID:frYLnZkc0



( ^ω^)「おっおっおー♪」

晩御飯を食べたブーンが学校に戻った頃にはすっかり外は暗くなっていた。
家に帰った時と同じように両手を広げ軽快なステップで階段を上っていく。
屋上の扉前についたブーンは夕方の時と同じように鍵穴に鍵を差し込んだ。

カチャカチャ

( ^ω^)「お?」

ギィィ…

( ;^ω^)「か、鍵閉め忘れてたおー!」

設置した望遠鏡が誰かにいたずらされていたらという考えが脳裏をよぎったブーンは勢いよく扉を開けた。

バターン!!

(;'A`)「うおおお!?」

予期せぬ轟音にドクオは思わず飛び起きた。

( ^ω^)「良かった…望遠鏡は無事だお…」

ブーンは望遠鏡に駆け寄り、何か異変が無いかをあらゆる角度から落ちつきなく調べていた。


8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:20:48.95 ID:5yAM4CPJ0
wktk
 
 
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:22:23.06 ID:frYLnZkc0
('A`)「あぁ、お前の望遠鏡だったか…」

ドクオのこの声で、ようやくブーンは屋上にいるのが自分ひとりではないと気付いた。

( ^ω^)「おっ!?C組のドクオだお?もしかしてブーンの望遠鏡見ててくれたのかお?」

('A`)「よく俺のこと知ってたな…いや別に俺は」

( ^ω^)「ありがとだおー!」

ブーンはドクオの元へ駆けより、強引にドクオの手を取り握手した。

(;'A`)「え、いやだから俺は…」

( ^ω^)「この望遠鏡はブーンが刺身にタンポポを乗せるバイトしまくって
      やっと買った(まだローンは残ってるけど)望遠鏡なんだお!ほんっとーにありがとだお!」

('A`)「(まぁいっか…)気にすんなよ、ブーン」

( ^ω^)「ブーンのこと知ってくれてるのかお!?」

('A`)「まぁ、お前有名だしな。俺の名前知ってるほうが驚きだよ。」

( ^ω^)「ブーンは学年が変わるごとに各クラスに誰がいるかを覚えるのが習慣なんだお。」

('A`)「マンドクセェ習慣だな…」

ブーンはこのような性格ということもあり交友関係も広く
そして学校で唯一の天文学部員としてちょっとした有名人だった。
ブーンの底抜けの明るさと人当たりの良さはドクオの言う”眩しい奴ら”の代表のような存在だった。


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:24:27.10 ID:frYLnZkc0
( ^ω^)「…」

('A`)「…なんだよ」

( ;^ω^)「もしかして入部希b…」

('A`)「ねーよ、たまたま空いてたから寝てただけだ。」

( ;ω;)「うぅ…」

(;'A`)「泣くなよマンドクセェな…」

( ^ω^)「まぁどうせだから一緒に観測するお!楽しいおー!」

(;'A`)「いやいいって、俺もう帰るから…」

( ^ω^)「……ブーンは先生から許可をもらってるからいいけど…ドクオ…屋上へは立ち入り禁止だお…」

('A`)「え?」

( ^ω^)「ブーンはドクオが先生に怒られるのを見たくないお…」

(;'A`)「お前…チクる気か…」

( ^ω^)「安心するお!天文学部に入部すれば屋上にいても怒られることはないお!」

(;'A`)「!…や、やだよ!」

( ^ω^)「体験入部でもOKだお!」


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:26:41.56 ID:frYLnZkc0
(;'A`)「…」

( ^ω^)「先生にズタボロになるまで起こられるか、楽しく天体観測するか…どっちがいいお?」

(;'A`)「悪魔め…わかったよ…体験入部にしといてくれ…」

( ^ω^)「! 歓迎するおドクオ!」

ブーンが両手を広げドクオに微笑みかける。
俺の胸に飛び込んで来いというボディランゲージのようだが、ドクオはスタスタとブーンから離れ、また床に寝そべった。

('A`)「じゃあ俺はお前が帰るまで寝るから、帰る時起こしてくれ。」

( ^ω^)「…」

('A`)「じゃ、おやすみ」

( ^ω^)「体験入部なのに体験しないつもりかお?」

('A`)「…」

( ;ω;)「ドクオ…」

(;'A`)「わーったよ!体験するよ!」

ドクオはコロコロと喜怒哀楽の切り替わるブーンに振り回されっぱなしだった。
人と接することを避けてきたドクオには対処しきれなかったというのもあるが
ドクオが避け切れずにいたのはブーンの人徳もあったのかもしれない。


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:28:45.87 ID:frYLnZkc0
ブーンは楽しそうに天体の説明をした。
ドクオはあまり反応を示さなかったが、ブーンの説明に耳を傾けながら星を眺めていた。

( ^ω^)「とまぁ、肉眼で見えるのはこんなところだお」

('A`)「へぇ…」

( ^ω^)「お次はお待たせいたしましたお!望遠鏡の登場だおー!」

('A`)「おー…」

( ^ω^)「いえーい!」

('A`)「…」

( ^ω^)「いえーい!!」

(;'A`)「…いえーい」

早速ブーンは望遠鏡のファインダーを覗き込みながら、角度を変え、また覗き込み、メモリを絞り、また覗き込んだ。
それを何度か繰り返しているとブーンが嬉しそうな声で「よし!」と言って、望遠鏡からドクオのほうに目を向けた。

( ^ω^)「覗いてみるお」

('A`)「…おう」

少し躊躇しながらもドクオはファインダーを覗き込んだ。



14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:30:56.00 ID:frYLnZkc0
(;'A`)「うおっ…」

( ^ω^)「おっおっおっw」

ドクオの目に飛び込んできたのは茶色く縞模様のある巨大な惑星だった。
ブーンはドクオのリアクションに満足したようで、嬉しそうに説明しはじめた。

( ^ω^)「太陽系最大の惑星、木星だお」

('A`)「へぇ…すげぇ…」

思わず口から素直な感想が零れてしまう。
それほどにその存在は圧倒的で、ドクオはファインダーから一時も目を離すことができなかった。

( ^ω^)「直径は地球の約11.2倍もあって、質量は約318倍もあるんだお。
     よく見てみると木星の周りに4つの衛星があるのがわかるかお?」

('A`)「ん…おぉ、ほんとだ。あるある。」

( ^ω^)「その星達はガリレオ衛星と言って、あの有名なガリレオ・ガリレイが発見した衛星なんだお。
     それぞれイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストって言うんだお。」

('A`)「すげぇな…」

ドクオは被り着くように木星を眺め続けた。
ドクオ自身、これほど何かに熱中したのは久しぶりに思えた。

( ^ω^)「あ、そうそう。木星っていうのは太陽になれなかった星とも言われてるんだお。」

('A`)「へぇ…なんで?」


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:33:01.93 ID:frYLnZkc0
( ^ω^)「少し大きさが足りなかったんだお、もう少し大きければ核融合反応が起こって太陽になれたんだお。」

('A`)「少し違うだけで太陽になれなかったのか…」

ドクオは木星に自分を重ねていた。
人と少し違う境遇を持ってしまったことで、輝く事の出来なくなった自分。

('A`)「通りで目が離せないわけだ…俺自身かよ。」

ドクオはファインダーから目を離した。

( ^ω^)「お?」

('A`)「ありがとよ、楽しかったぜ。」

( ^ω^)「おっおっおっ、星の魅力がわかったかお?」

('A`)「まぁ…ちょっとはな。」

( ^ω^)「明日にでも入部届を提出しにいくお!」

ブーンはそう言って嬉しそうにドクオに笑いかけた。

('A`)「お前ってさ…いや、ブーンは…太陽みたいだな」

( ;^ω^)「……体型がかお?」

(;'A`)「ちげーよ」


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:35:11.91 ID:frYLnZkc0
('A`)「お前はよ、皆からも慕われてるし、いつだって明るくて太陽みたいに眩しいよ。
   俺は暗くて、誰からも慕われない。太陽になれなかった木星みたいだろ?」

( ^ω^)「……それは違うお。」

('A`)「?」

ブーンは夜空を見上げながら、話しだした。

( ^ω^)「ブーンは木星が一番好きだお。おっきくて綺麗で静かで見ているだけで心が落ち着くお。」

('A`)「…」

( ^ω^)「木星を英語でなんて言うか知ってるかお?Jupiterだお。ギリシャ神話に出てくるゼウスを表してるんだお。
      木星の堂々とした存在感と多くの人々に慕われてきたからこそJupiterと呼ばれているんだとブーンは思うお。」

('A`)「あぁ…すまん、俺なんかと一緒にするべきじゃなかったな…」

( ^ω^)「違うお!ドクオはブーンのことを太陽だと言ったお、でも今の空を見てみるお。どこにも太陽なんて無いお。
     いつだって輝いている星は無いんだお、木星はマイナス2等星の凄く明るい星だお。
     太陽がいない夜空を明るく照らしているのは木星だおドクオ。お昼には見えなかった星達だお。」

('A`)「…」

( ^ω^)「ブーンはいつも一人で星を眺めていたお、でも誰も来てくれなかったお。
     でも今日、ドクオが来てくれたお、ブーンはとっても嬉しかったお。
     ドクオ知ってるかお?木星は夜中でも光り輝いているから”夜半の明星”と呼ばれているんだお。
     誰もいない夜空にドクオが来てくれた、ドクオはブーンにとっての夜半の明星、木星だお。」


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:37:12.93 ID:frYLnZkc0
('A`)「…」     

( ^ω^)「…」

('A`)「…長いし、セリフがくせぇよ。」

( ^ω^)「おっおっおっw将来はこのセリフで彼女にプロポーズすることにするおw」

('A`)「へっ…振られちまえw」

( ^ω^)「ひどいおww」

('A`)「フヒヒw」

( ^ω^)「おっおっおっw」



その日以来、ブーンとドクオは夜の屋上で星を眺めるようになった。
ドクオはブーンのおかげで輝きを少しずつ取り戻していっているようだった。


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:39:01.01 ID:frYLnZkc0

――しばらく経った日の午後の授業中。


('A`)「(あ~…マンドクセェ…ブーンにSF小説でも貸りて授業中にでも読もうかな…)」

( ・∀・)「おい…おい、透明人間。」

ドクオの後ろの席の男がドクオを呼んだ。
透明人間とは人を避けるドクオについたあだ名の一つだった。

('A`)「(返すときに中身エロ本にでもすり替えておくか…ブーンのリアクションが楽しみだ)フヒヒw」

(;・∀・)「あ?おい、こいつ笑ってんぞ…きめぇ」

( ^Д^)「うはwwきめぇwおい、おい!ドクオ!」

ドクオの通路を挟んで横の男が座っているドクオのふくらはぎを通路越しに蹴った。

(;'A`)「え、え?」

( ・∀・)「何笑ってんだよ、透明人間は透明の漫画でも持ってんのか?w」

(;'A`)「…」

( ^Д^)「お前、今日暇か?」

(;'A`)「え、いや別に…」


20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:42:59.49 ID:frYLnZkc0
( ・∀・)「じゃあさ、放課後ちょっと付き合えよ。」

(;'A`)「いや俺…」

ブーンと屋上で星を眺めるつもりだと言えば良かったのだが、ドクオは委縮してしまい言うことができなかった。

( ^Д^)「じゃあもう好きなだけ笑ってていいぞww」

('A`)「…(うぜぇ…)」

―放課後。

( ^ω^)「そうかお…急用なら仕方ないお。」

('A`)「悪いなブーン…じゃあまた明日な…」

( ^ω^)「また明日だお!」

ブーンと別れ、廊下を曲がったところで先ほどの男二人が待ち伏せしていた。
強引に肩を組まれ歩かされる。

( ・∀・)「よぅ、じゃあ行こうぜー」

(;'A`)「ど、どこに行くんだよ…」

( ^Д^)「腹減らね?俺すげー美味しいラーメン屋見つけたんだけど」

( ・∀・)「それ採用!w」

(;'A`)「…」


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:45:39.31 ID:frYLnZkc0
ドクオは二人に連れられ強引にラーメン屋へと入っていった。

(´・ω・`) 「はい、らっしゃーせー!ご注文は!?」

席につくや否や、勢いのあるのか無いのかわからない顔つきの店長が注文を聞いてきた。

( ・∀・)「”ぶっ殺すぞラーメン”3つと、”バーボン餃子”5人前、あと…まぁこれくらいでいいやw」

( ^Д^)「ww」

(´・ω・`) 「はいよー!ぶっ殺すぞ3!バーボン5!」

ドクオに何も聞かずに注文を頼み、二人は何やら笑いながら何かを話していたがドクオがそれに混ざることはなかった。
しばらくしてドクオ達の席に注文の品が運ばれてきた。

( ・∀・)「うまそー!いっただっきまーす!」

( ^Д^)「いただきまーすw」

('A`)「…」

( ・∀・)「うめーw何してんだよ、お前も食えよw」

( ^Д^)「そうそうww」

二人に囃し立てられドクオはラーメンを口に付けた。
確かに美味い。


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:47:20.20 ID:frYLnZkc0
ドクオは無言で麺をすすった。
美味しいけど、麺は喉をなかなか通ってはくれなかった。


( ・∀・)「ふー…食った食った…。」

( ^Д^)「もう食えねぇ…w」

ラーメンと餃子をたらふく食べた男達は満足げに椅子に寄りかかっていた。

リンガディンドン♪リンガディンディンドン♪

電子音が店内に鳴り響いた。

( ・∀・)「お、俺の携帯だ…」

そういって男は携帯を取り出し、誰かと通話しはじめた。
男は手でドクオ達に待っていてくれと指示し、拝み手を作って謝罪しながら店の外に電話をしに出て行った。

それから5分。

( ^Д^)「おせぇなぁw」

('A`)「…」

電話しにいった男はまだ帰って来ていなかった。

( ^Д^)「ちょっと見てくるわw」

('A`)「え?」


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:49:48.20 ID:frYLnZkc0
もう一人の男もそう言って店を出て行った。
店から出る瞬間、男が異様に笑っているように見えた。

それから更に1時間の時が流れたが男達が帰ってくることはなかった。

('A`)「…」

ドクオは黙って立ちあがり、カウンターへ向かった。

('A`)「御勘定お願いします…」

その声にカウンターで新聞を読んでいた店長は新聞を畳み、カウンターを出てドクオの前まで歩いてきた。

(;'A`)「あの…御勘定を…」

(´・ω・`) 「680円」

(;'A`)「あ、いえ…あとの二人の分も一緒で…」

(´・ω・`) 「680円でいいよ。」

(;'A`)「え…?」


(´・ω・`) 「その代りと言ってはなんだけど、今度は誰か連れてもう一度食べに来てくれよ。」

店長は全てわかっていた。
あの男達が仕組んでドクオに嫌がらせを仕掛けたのだということに。
ドクオは深く頭を下げ礼を言った。


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:51:58.18 ID:frYLnZkc0
('A`)「すいません…ありがとう…ございます…」

(´・ω・`) 「お前が謝るんじゃねぇよ、顔上げな。」

しかしドクオはしばらく顔を上げなかった。
今顔を上げてしまったら店長に涙を見られてしまうから。

―翌日。

登校してきたドクオが教室に入ると二人がドクオに駆け寄ってきた。

( ・∀・)「いやーwマジですまんかったww親戚が危篤ってんで急いで病院に行ってたんだwww」

( ^Д^)「俺も俺もww」

('A`)「…」

二人は嘘をつく気すらなかった。
ドクオが誰にも訴えかけないことを知っているから。

(-@∀@)「ドクオ君はいますかー?」

朝の賑やかな教室に先生の声が響いた。
クラスが静まり返る。

(;'A`)「え?あ、俺ですけど…」

ドクオが先生の元へと歩いていく。
その後ろで男二人がニヤニヤと笑っていた。


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:54:05.13 ID:frYLnZkc0
(-@∀@)「これ、君のでしょう?」

先生がドクオに手渡したのはドクオの体操着のズボンだった。
二日前から見当たらなくて施設の誰かの洗濯物に紛れ込んでしまったのかと思っていたズボンだった。

('A`)「あ、俺のです!どこにあったんですか?」

(;-@∀@)「えーと…それは…」

('A`)「?」

明らかに先生は言うのを躊躇しているようだった。
その反応に自然と教室中の耳が先生に向いた。

(;-@∀@)「じ、女子トイレの中に…あったそうです…」

(;'A`)「なっ!?」

その瞬間、クラスが一斉にざわついた。

( ・∀・)「ちょwwwwドクオww女子トイレでズボン脱いで何やってたんだよwwww」

( ^Д^)「さすがの俺もそれは引くわーwwwプギャーww」

二人の言葉を聞いた女子達のドクオに向けた視線が疑いの眼差しから軽蔑の眼差しへと変わった。
クラス中の軽蔑の眼差しがドクオに突き刺さった。


28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:56:08.23 ID:frYLnZkc0
(;-@∀@)「こ、こら!騒ぐんじゃありません…!」

先生の声はもう騒然とするクラスには届かなかった。

( A )「…」

あの二人がやったことだというのはすぐにわかった。
ドクオは先生を跳ね飛ばして教室を飛び出した。
背後で「女子トイレに行くなよーww」という声が聞こえた。

( ^ω^)「んー…昨日はアニメの見過ぎで夜更かししちゃったお…早く教室に行かないと…お?」

登校してきたブーンが見たのは廊下を全速力で走るドクオ。

( ^ω^)「ドクオー、おはようだお。」

( A )「…」

ドンッ!

( ;゚ω゚)「おお!?」

ブーンを跳ね飛ばしてドクオは何も言わずにそのまま一階へと階段を駆け下りていった。

( ;^ω^)「ドクオ…どうしたんだお?」



30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:58:39.06 ID:frYLnZkc0
ドクオの様子を見に来た二人がブーンを見つけた。

( ^Д^)「おwブーンじゃんw」

( ・∀・)「よぉ、ブーン。廊下に座り込んでどうした?w」

ブーンはズボンを叩きながらゆっくりと立ち上った。

( ;^ω^)「いや…ブーンは別になんともないお。それよりドクオ何かあったのかお?二人ともドクオと同じクラスだお?」

( ・∀・)「あーwあいつねww」

( ^Д^)「女子トイレでズボン脱いでオナニーしてそのままズボン穿き忘れてズボン拾われたんだってよwwww」

( ;^ω^)「は?え…どういうことだお?」

( ・∀・)「まぁ要するに女子トイレでの変態行為がバレて逃げたのさ」

( ;^ω^)「ドクオがそんなことを?見つけたのは誰だお?」

( ^Д^)「知らねぇww今朝教師が持ってきたんだよw」

( ^ω^)「…なぁんだ、良かったお。」

( ・∀・)「あ?」

( ^ω^)「ということは別にドクオが女子トイレから出てきたり、何かをしたところを見たわけじゃないんだお?
      なら誰かのイタズラだお、きっと。」


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:00:40.50 ID:frYLnZkc0
( ・∀・)「…」

( ^Д^)「で、でもアイツ逃げたんだぜwww」

( ^ω^)「ブーンでも覚えの無い非難を受けたら逃げだしたくなるお。」

( ・∀・)「…ふーん」

( ^Д^)「…」

明らかに二人はつまらないといった表情だった。

( ^ω^)「二人ともドクオと同じクラスの友達なら、そんな根拠の無い噂なんて信じないで
     ドクオとこれまで通り付き合ってほしいお。」

( ・∀・)「…はいよ」

( ^Д^)「…」

二人は心底呆れたような表情で自分の教室へと帰っていった。

( ^ω^)「ドクオ…」


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:02:35.15 ID:frYLnZkc0
――その日の晩。

('A`)「くそ…!くそぉ…!」

ドクオは電気も付けずに真っ暗な自室のベッドでうつ伏せになり泣いていた。
奴らへの憎悪と自分への嫌悪で頭の中がいっぱいだった。

ブゥーン…ブゥーン…

携帯が震えている。
ベッドに顔をうずめたまま携帯を手探りで探し、顔に近づけ画面を覗き込む。




From ブーン
Sub 大丈夫かお?

ドクオ大丈夫かお?
あんな下らない噂なんて気にすることないお!
ブーンはドクオがそんなことしないやつって知ってるお。
また元気出して一緒に天体観測するお!





33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:04:38.45 ID:0B2u89Fu0
('A`)「…」

ブーンだけは信じてくれている。
普段なら心の救いになってくれるブーンの言葉すらも、今のドクオの心に渦巻く闇を晴らすことはできなかった。
目を閉じるとあいつらの笑い声が聞こえてくる。
ドクオは先ほど台所から拝借してきたものをカバンから取りだした。
それは窓から見える夜空の星の光を受けて妖しく光っていた。
側面に綺麗に映り込んだ星達をドクオは見つめた。

('A`)「綺麗な包丁だ…」

('A`)「ブーン、木星が見えるよ…」



*



( ^ω^)「木星綺麗だおー」

ブーンは自分の部屋のベランダから星を眺めていた。
最近は木星を見るとドクオを思い出す。
太陽にはなれなかったけど、太陽の光を受け、夜空でひと際大きく輝く惑星。
ドクオの存在はブーンの中で木星の輝きのように次第と大きくなっていた。
ただの体験部員ではない、掛け替えの無い友達。

( ^ω^)「ドクオ、ブーンの中にも木星が見えるお」



34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:06:52.80 ID:0B2u89Fu0
翌日、ドクオは登校した。
ドクオが教室に一歩足を踏み入れた瞬間、賑やかだった教室が一瞬で静まり返った。

('A`)「…」

( ・∀・)「ちょwwドクオ来たしwww」

( ^Д^)「キター!ほら賭けは俺の勝ちだぞ!w」

 「変態…」            「来んなよ」

      「変態」

           「キモい」   「変態」

     「帰れ」                   「性犯罪者」


クラスから聞こえる蔑みの言葉を受けながら、ドクオは何も言わず自分の席に着いた。

( ・∀・)「よく来たなドクオwwさすがだわwww」

( ^Д^)「今日はトイレ行くなよなww」

二人が嬉しそうにドクオに絡みだす。
ドクオは何も言わず、授業の準備をした。


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:08:41.93 ID:0B2u89Fu0
( ・∀・)「おいー、何か言えよーw俺ら心配してたんだぜ?なぁw」

( ^Д^)「そうそうww」

('A`)「…あのさ」

( ・∀・)「?」

('A`)「放課後暇?」

( ^Д^)「…あ?」

( ・∀・)「…だったら何だよ」

二人は予期せぬドクオの言葉に思わず警戒した。

('A`)「一緒に屋上来てほしいんだけど…」

その言葉に一瞬場が固まった。

( ・∀・)「……ぷっwwいいぜwwwお礼参りか?ww上等wwww」

( ^Д^)「wwww」

('A`)「…」

二人はドクオがどういう意図で屋上へ連れて行こうとしているのかはわからなかった。
しかし、もし借りに二人に仕返ししようとしているのなら、ドクオが二人に勝てるわけがないということも二人は理解していた。
しかし二人は気付かなかった。
ドクオのカバンの中に普段そこにあるはずのない物が新聞紙で包まれ入れられていることに。


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:10:43.91 ID:0B2u89Fu0
ドクオは黙々と授業を受けた。
クラスの皆の軽蔑の眼差しに気づかない振りをしながら
ただひたすらに黒板に書かれていることをノートに映す作業で気を紛らわせた。

昼休み。
ブーンがドクオの元へとやってきた。

( ^ω^)「ドクオ!来てるんなら来てるって言えお!」

ドクオが学校に来ていると友達から知らされたブーンは急いでドクオの教室へとやってきたのだ。

('A`)「あぁ…ワリィ…」

ドクオと普通に話すブーンをクラス中の人間が信じられないといった表情で見ていた。

('A`)「…ブーン、お前もう教室戻れ…」

ブーンにまで冷え切った視線を受けさせることはドクオには耐えられなかった。

( ^ω^)「ブーンは気にしないお。それより今日は久しぶりに天体観測するかお?」

('A`)「え、あ…いや…今日はいいや…俺用事があるんだ…すまん。」

( ^ω^)「そうかお…。全然気にしなくていいお!また暇な時があったら教えてくれればいいお!」

( ・∀・)( ^Д^)「ww」

ドクオの後ろで二人がクスクスと笑っていた。



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:12:43.24 ID:0B2u89Fu0
('A`)「ブーン…頼むから教室戻ってくれ…頼む…」

小さな声ではあったが、ドクオの心からの悲痛な叫びだった。

( ^ω^)「…わかったお。ドクオ、いつでもブーンの教室に来てくれお。」

そういってブーンは笑った。

('A`)「あぁ…ありがとうブーン…」

ドクオは誰にも聞きとれないような声で礼を言った。
しかしブーンはそれに頷いて教室を出て行った。

午後の授業もノートを一心不乱に取っていることに専念した。
すると放課後はすぐにやってきた。
生徒達が家路に着く中、ドクオと男二人だけは教室に残っていた。


( ・∀・)「よーw行くか?ww」

('A`)「先に職員室で屋上の鍵貰ってくる…」

ドクオはカバンを持って職員室に向かった。
二人はその後ろをついていくようにして歩いた。
職員室の扉を開け、近くの先生に声をかけた。


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:14:40.61 ID:0B2u89Fu0
('A`)「すいません…屋上の鍵貸してもらっていいですか?」
  _
( ゚∀゚)「ん?おお、天文学部のドクオ君か。はいよ。」

ドクオの顔を見るなり先生は壁にかけられた屋上の鍵を渡した。

('A`)「ありがとうございます…」
  _
( ゚∀゚)「今日も綺麗に見えそうかね」

('A`)「綺麗ならいいんですけどね…ありがとうございました」

職員室を後にするとドクオは無言のまま屋上へと向かった。
その後ろを二人がニヤニヤと笑いながらついていく。

後ろでブーンがそんな三人の事を見ていたことに三人は気付かなかった。

( ^ω^)「ドクオ…?」

ブーンはドクオが出てきた職員室へと向かった。
扉を開ける前に先に扉が開いた。

( ;^ω^)「おっ!」
  _
( ゚∀゚)「おぉ、すまんすまん…お?ブーン君。屋上の鍵ならもうドクオ君に渡したよ?」

( ;^ω^)「へ?」


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:17:25.88 ID:0B2u89Fu0
( ・∀・)「うひょー、俺屋上初めて来たわw」

( ^Д^)「俺も俺もw」

屋上に上がると二人は子供のように騒いだがドクオだけは制服のポケットに両手を突っ込んで静かに立っていた。

( ・∀・)「で?なんだよ屋上に呼びつけてw」

('A`)「…」

ドクオは言葉に詰まった。
二人の非道さを身を持って味わっているが故に二人に言葉を発することに戸惑っていた。

( ^Д^)「早く言えよww」

(;'A`)「……だろ」

( ・∀・)「あ?聞こえねーよ」

(;'A`)「お前らがやったんだろ…ズボン…」

( ・∀・)「ははははwww」

( ^Д^)「ぎゃははwww」

(;'A`)「なんであんなことしたんだよ…」


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:19:48.93 ID:0B2u89Fu0
( ・∀・)「はーwおもしれーw」

( ^Д^)「まぁネタみたいなもんだろww」

(;'A`)「ネタ…?」

( ・∀・)「そーそーwお前のリアクション芸を磨いてやってんだよww」

( ^Д^)「ラーメン屋の時の俺が消える時の表情は最高だったぞww芸人になれるぜお前www」

('A`)「…ありがとよ」

( ・∀・)「あ?」

ドクオはポケットから手を出した。
出した手にはテープレコーダーが握られていた。

(;^Д^)「ちょ…」

('A`)「お前ら、これ校長にバラされたくなかったら二度と俺に関わるな。」

ドクオの鬼気迫る表情に一人は一圧倒された。
しかしもう一人はドクオの態度に怒り心頭のようでそれは顔を見るだけでわかった。

(#・∀・)「上等だコラ…」

激情した男がドクオに近づいてくる。

(;'A`)「ち、近づくな!」


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:21:41.49 ID:0B2u89Fu0
ドクオは男から逃げるようにして距離を開けた。

(#・∀・)「確かにそれ聞かれたらマズいわ…やばい。
      でもよ?そんなもん聞かれる前にお前から奪ってお前半殺しにすれば全部解決だろ?」

(;'A`)「うぅ…!」

ドクオはカバンの中から新聞に包まれた包丁を取りだした。

(;^Д^)「ちょ…お前!」

(#・∀・)「!」

(;'A`)「近づくな…!」

(#・∀・)「刺してみろよ、根性無しが…」

男はゆっくりとドクオに近づいていく。

(;'A`)「うぅぅ…!!」

(#・∀・)「オラァ!」

ドゴッ!

(;'A`)「うぐぅ!」


47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:23:50.76 ID:0B2u89Fu0
ドクオが躊躇している間に男の前蹴りがドクオの腹に直撃し、包丁はドクオの手から飛んで行ってしまった。
蹴りで吹き飛ばされドクオは地面にうずくまって身を捩りながら何度も、えずいていた。

(;'A`)「げほ!ごほっ…げほっ!」

ドクオの手元から離れ地面に落ちた包丁を男が拾い上げた。

(#・∀・)「お前…覚悟しろよ、正当防衛で半殺しだ。」

(;'A`)「はぁ…!はぁ…!」

(;^Д^)「オラ!オラ!」

地面にうずくまるドクオを踏みつけるようにして蹴った。

(;'A`)「ッ…!ぐぅ…!」

(#・∀・)「まだまだこれからだぞ…オラァ!」

ドクオの脇腹につま先を突きさすように蹴りを入れた。

(;'A`)「がぁぁ…!!」

ドクオの悲鳴が屋上に響いた。
しかし放課後の誰もいない学校で、ましてや立ち入り禁止の屋上での悲鳴など、誰にも届くわけはなかった。
ドクオの悲鳴はいつも誰にも届かない。


48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:26:16.12 ID:0B2u89Fu0


バタンッ!


いつぞやのように屋上の扉が激しく開いた。

(#・∀・)「!?」

(;^Д^)「!?」

予期せぬ音に二人は一斉に扉のほうを振り向いた。


バキッ!!


)) ∀ )「ッ!」

))  Д )「あぐっ!」


振り向いた二人の顔面に大きな筒がめり込んだ。
二人は糸の切れた人形のようにその場に崩れ落ちる。



49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:28:17.72 ID:0B2u89Fu0
( ;゚ω゚)「はぁ…!はぁ…!ドクオ!大丈夫かお!?」

(;'A`)「ブ、ブーン!?」

大きく肩で息をしながらブーンはひしゃげた筒を持って立ち尽くしていた。

( ;゚ω゚)「てっきり…ブーンは新しい部員を…はぁ…はぁ…ドクオが内緒で連れてきてくれたのかと…
     だから…でも…ドクオの悲鳴が聞こえて…だからブーンは…えっと…望遠鏡を持って…望遠鏡……」

ブーンの持っている望遠鏡の入っている筒は歪んでいて、中を確認するまでもなく壊れているのがわかった。

(;'A`)「ブーン…望遠鏡が…」

( ^ω^)「…気にしなくていいお、また御刺身にタンポポを乗せればいいだけだお!
      それよりドクオが無事で良かったお。」

('A`)「ブーン…ごめん…ほんとに…ごめん…」

ブーンの気丈な態度にドクオはひどい罪悪感に見舞われたが、それ以上の感謝の気持ちがドクオの中に溢れていた。

( ;^ω^)「気にするなお!…で、この二人はどうするお?」

二人は鼻から仲良く鼻血を出しながら気絶していた。

('A`)「…このままでいいさ、ちょっと校長のところまで届けなきゃいけないものがある。ついてきてもらっていいか?」

( ^ω^)「もちろんだお!」

('A`)「ありがとな…それと、望遠鏡さ…俺バイトすっからさ、それで買おう。」


51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:30:21.56 ID:0B2u89Fu0

( ^ω^)「……」

ブーンは辺りをキョロキョロと見渡していた。
倒れている二人、ドクオの持っているテープレコーダー、そして地面に落ちている包丁。

( ^ω^)「ふふーん、なんとなく状況はわかったお。」

('A`)「…?げほっ…行こうぜ。」

そういってドクオはよろよろと立ちあがって屋上の出口へと歩いて行った。
ブーンは落ちていた包丁をこっそりと自分のカバンにしまった。



*



それからはとても早かった。
校長はひどく驚いていたが、翌日には二人は無期停学。
二人は包丁を持ったドクオに脅され正当防衛で暴行を働いたと証言したが、包丁はどこからも見つからなかった。
そして二人は後に行われる職員会議で退学にするべきかを議論することになるらしい。
C組に対する教師による説明も行われ、ドクオの無実の罪は一応のところ払拭された。
望遠鏡も暴行を働いた二人の両親が出し合って後日新品の望遠鏡がブーンの元へと送られた。


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:32:26.86 ID:0B2u89Fu0
――数日後の夜。
二人はいつものように屋上にいた。

( ^ω^)「この望遠鏡は最高だお、すっごい綺麗に映ってるお!」

('A`)「おい、部長。さっさと俺と代われ。」

( ^ω^)「副部長は部長が満喫した後にしか見ることが許されていないお」

('A`)「けっ…副部長なんてマンドクセェ役職につくんじゃなかった…」

( ^ω^)「ドクオ!木星がすっごい綺麗に映ってるお!縞模様まではっきりわかるお。」

('A`)「へーへーそりゃ良かったな。あ、そうそう今度一緒にラーメン屋行かないか?すげー美味いんだ、そこ。」

ドクオがそう言いながらブーンのほうを見るとブーンはファインダーから顔を離し、こちらを見ていた。

( ^ω^)「代わるお、ドクオ」

('A`)「…おう」

ドクオは新しい望遠鏡のファインダーを覗き込んだ。

('A`)「こりゃすげぇ…」


ドクオの心はブーンによってまたゆっくりと輝きだした。
太陽の光を受けて夜空に輝く木星のように。


54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:33:14.61 ID:0B2u89Fu0




                        ('A`)の木星は( ^ω^)の太陽で輝くようです




                                  おしまい










1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/14(月) 23:10:02.78 ID:frYLnZkc0
ブーン総合で「包丁」「木星」というお題をもらって書いてたんですが
鯖移転で総合落ちちゃうし本文も30レス越えそうなのでスレ立てしました。


57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:34:56.06 ID:lqULIvGK0
夢の中より乙

めしうま


58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:38:19.29 ID:06k/1tVT0
面白かったな          つづきはある?


59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 00:39:57.03 ID:0B2u89Fu0
>>57
夢の中から度々支援ありがとw

>>58
ありがとー
総合でお題もらってパっとの思いつきで書いたやつだから続きは無いぜい


61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 03:27:47.18 ID:WpKL4bwR0
おもしろかったぜ


62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 03:50:10.80 ID:JcsmlrT70
   `・+。*・     (´・ω・`)
     。*゚  。☆―⊂、  つ  
   。*゚    :     ヽ  ⊃
   `+。**゚**゚       ∪~



63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 07:17:49.16 ID:8w4F7z8AO
乙!よかった


70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 17:21:12.55 ID:bH8sFniTO
面白かった!乙!


71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 17:50:55.91 ID:xM2c3glvO
面白くていい話だった
乙だぜっ


74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/06/15(火) 19:55:39.06 ID:LwunPaI40
乙、良かった



 
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コメント
ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん
これはふかいいはなし

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