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250 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 1/30:2010/06/05(土) 21:12:37 発信元:123.108.237.30

( ;ω;)「ここ、どこだお……」


 暗い暗い夜の道。
 さ迷い歩く少年1人。





( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです







251 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 2/30:2010/06/05(土) 21:13:53 発信元:123.108.237.29
 皆から「ブーン」という愛称で親しまれている内藤ホライゾンは、小学二年生になったばかりの少年である。
 その日、彼は夕飯前に母親と喧嘩してしまった。
 理由などは些細なものだったのだが。

(#^ω^)『もうカーチャンなんか知らないお!』

 そう叫んで、家を飛び出したのが2時間ほど前のこと。

 泣きながら、頭の中を母への罵倒で満たしながら、ただただひたすらに。
 家から――母から少しでも離れようとがむしゃらに走って。
 走って、走って。

 そして、今。

( ;ω;)「わかんないお、わかんないお……」

 彼は、現在地を把握出来ないまま、真っ暗な道をとぼとぼと歩いていた。
 いわゆる迷子だ。


254 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 3/30:2010/06/05(土) 21:16:20 発信元:123.108.237.27
 ブーンが家を出たのが17時だったから、現在の時間は19時ほど。
 まあ、正確な時間など、時計を持たぬブーンは知りようもないが、今が夜であるということだけは分かっているようだ。
 まだ幼いブーンからしてみれば、それだけの情報でも十分恐ろしくて仕方がない。

 細い夜道を1人で歩く。
 明かりといえば広い間隔で設置されている街灯程度。
 音といえば自分の泣き声と足音程度。

( ;ω;)

 暗い。
 寒い。
 お腹がすいた。
 寂しい。
 こわい。



( ;ω;)「……神様……」

 思わず口にした言葉。
 ブーンが今よりも小さい頃、夜寝る前に母親が話していたこと。

『――神様が、いつも傍にいてくれるから。
 困ったことがあったら、神様が助けてくれるのよ』


255 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 4/30:2010/06/05(土) 21:19:20 発信元:123.108.237.30
 ブーンの住んでいる地区では、生まれたときに、近所の「茂名神社」へ行けば、
 そこの神様が一生護ってくれるという言い伝えがあった。
 今となっては実行する者も少ない廃れた風習だが、母も、その言い伝え通り、
 8年前に赤子のブーンを神社に連れていった。
 だから神様が護ってくれていると、母は毎日のように話していたのだ。


( ;ω;)「……神様ー……」

 ブーンが祈るように呟く。
 だが、このとき彼を救ったのは神ではなかった。

 「何してるの」

( ;ω;)「ひっ!」

 冷ややかな声。
 ブーンは辺りを見渡した。

 「前よ、前」

 声の言う通りに、前へ目を向ける。
 少し先にある街灯。
 その光の下に、少女がいた。


256 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 21:20:54 発信元:118.15.157.183
ホラーだったらどうしよう
 
 
257 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 5/30:2010/06/05(土) 21:22:24 発信元:123.108.237.25
ξ゚⊿゚)ξ「あんた、こんなところでどうしたのよ」

 少女といっても、ブーンよりもずっと年上のようだ。
 高校生ほどだろうか。
 金色の巻き毛を二つに結った、可愛らしい顔立ちの女の子。
 真っ白いワンピースを身にまとっている。

( ;ω;)「お……」

ξ゚⊿゚)ξ「さっさと家に帰りなさい。
      夜にこんなところにいたら危ないわよ」

 睨むような瞳、突き放すような口調。
 それでも、ブーンは彼女を恐れなかった。

( ;ω;)「……おうち、わかんないお……」

ξ゚⊿゚)ξ「……なあに、迷子?」

( ;ω;)「……お」

 こくり、頷いて返すと、少女は溜め息を漏らした。

ξ-⊿-)ξ「家に帰りたい?」

( ;ω;)「……」


258 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 6/30:2010/06/05(土) 21:25:38 発信元:123.108.237.3
 答えに詰まる。
 母と喧嘩して出てきた手前、素直に帰りたいと言うのは悔しいのだろう。
 でも。

( ;ω;)「帰りたいお……」

 ここで意地を張ってしまったら、二度と帰れなくなる気がしたのか。
 ブーンはもう一度、頷いた。

ξ゚⊿゚)ξ「そう。……おいで」

 少女が手招きをする。
 ブーンは駆け足気味に、少女へ近寄った。
 ようやく孤独から逃れる。

 「ツン」

ξ゚⊿゚)ξ「!」

 少女の後方から声。
 少女は、ブーンを背に隠すようにして振り返った。

川 ゚ -゚)「どうしたんだい、美味しそうな匂いをさせて」

ξ゚⊿゚)ξ「……何も」

 声の主は、20代ほどの、美しい女性だった。
 長い黒髪。藍色の着物。
 闇の中に溶けていってしまいそうな。


261 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 7/30:2010/06/05(土) 21:28:29 発信元:123.108.237.4
( ;ω;)「……?」

川 ゚ -゚)「おや」

ξ;゚⊿゚)ξ「あっ……!」

 少女の後ろから顔を覗かせたブーンを見て、女性が口元を緩める。
 対して、少女は慌てたようにブーンの頭を右手で押しやった。

川 ゚ -゚)「ずるいね、ツン」

ξ;゚⊿゚)ξ「……何が」

川 ゚ -゚)「独り占めするつもりだったのかい」

ξ;゚⊿゚)ξ「違う! この子はただの迷子よ、家に帰すの!」

川 ゚ -゚)「子供の肉は美味いものな。
     ぷりぷりとしていて、やわらかくて。
     汚れていない、澄んだ味で。綺麗で。甘くて」

 独り占めしたくなる気持ちも分かるよ、と。
 女性は言う。

ξ#゚⊿゚)ξ「私は子供なんか食べないわ!」

川 ゚ -゚)「ならばどうする」


263 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 8/30:2010/06/05(土) 21:31:48 発信元:123.108.237.3
ξ#゚⊿゚)ξ「言ったでしょう、帰すのよ」

川 ゚ -゚)「なんて勿体ない。
     食べないというなら私にくれよ」

ξ#゚⊿゚)ξ「あげるわけ……っ」

川 ゚ -゚)「ああ恐い。分かった分かった。
     食べないから、そんなに怒るなよ」

 少女が怒り、女性が笑う。
 ブーンはきょとんとして、黙って2人のやり取りを眺めていた。

川 ゚ -゚)「ただ、せめて、その子の涙だけでも味見させてくれ」

ξ#゚⊿゚)ξ「……何するつもり」

川 ゚ -゚)「噛んだり千切ったりしないよ。
     舐めるだけ……」

 音も立てずに女性が歩み寄る。

ξ#゚⊿゚)ξ「近寄らないで!」

川 ゚ -゚)「涙一滴でいいんだ。本当だよ」

 言い合う内に、女性は少女の目の前に立った。
 そして、ブーンに手を伸ばす。

ξ;゚⊿゚)ξ「ちょっと――」


266 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 9/30:2010/06/05(土) 21:34:25 発信元:123.108.237.30
( ;ω;)「――おっ?」

 女性の人差し指がブーンの頬に触れる。
 涙の跡を擦るように、指が頬を辿って。
 目尻に浮かぶ滴をすくい取った。

 ぺろり。それを舐める。

川 ゚ー゚)「美味いな」

 満足そうな笑みを浮かべて、女性は踵を返し、闇へ溶け込んでいった。



ξ゚⊿゚)ξ「……お家に帰してあげる」

 女性の向かった方向をしばらく睨みつけていた少女は、不意に口を開いた。

ξ゚⊿゚)ξ「帰るためには、少し歩かないといけないわ。
      その途中、変なのに会うだろうけど……。
      私と一緒にいれば、きっと大丈夫だから」

 だから私から離れないで。
 そう言って、少女は右手でブーンの左手を握った。

ξ゚⊿゚)ξ「名前は?」

( うω;)「……内藤ホライゾン……」


267 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 21:39:53 発信元:124.146.175.67
クー怖い


268 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 21:40:29 発信元:58.88.227.48
なんだろうか


269 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 21:42:30 発信元:61.198.173.83
狂気


270 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 10/30:2010/06/05(土) 21:43:32 発信元:123.108.237.21
ξ゚⊿゚)ξ「ホライゾン」

( ^ω^)「あだ名はブーンだお」

ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ、ブーン。
      私はツンよ」

 ツンと名乗った少女は、ブーンの手を引いて歩き始めた。



 しばらく歩くと、前方にうずくまる人がいるのを見付けた。
 ツンが警戒するように足を止める。

( )「……いてぇよぉう……」

ξ゚⊿゚)ξ「ドクオ?」

(A` )「ああ……ツンかぁ……」

 ツンの言葉を聞いて、その人はツンへ僅かに顔を向けた。
 貧相な顔つきの、痩せぎすの男だ。
 ドクオ、というらしい。

ξ゚⊿゚)ξ「どうしたのよ、そんなところで」

(A` )「体のあちこちが痛くて……苦しいんだ……」


272 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 11/30:2010/06/05(土) 21:49:11 発信元:123.108.237.5
 悲痛な声。
 ブーンは、初対面ではあるものの、この男があまりにも苦しそうにするので、可哀相に思えてきてしまったようで。
 自分に何か出来ないものかと駆け寄ろうとしたが、

ξ゚⊿゚)ξ「離れないで」

(;^ω^)「あ、う……」

 つないだ手を強い力で引かれたため、諦める。
 ツンの顔を見上げてから、再びドクオを見ると。

('A`)

 先程まで傾いでいた顔が、真っ直ぐブーンへ向けられていた。
 爛々と光る目が、不気味だ。

('A`)「子供の肉、喰えばぁ……治るんだけど、なぁ……」

(;^ω^)「ぼ、僕、食べられないお……」

('A`)「喰えるよぉう……すっごく美味いんだ……」

ξ゚⊿゚)ξ「ふざけないで。仮病でしょう。
      ブーン、無視していいわ」

('A`)「ふふ、ひひひ。ばれちったぁ……。
    まあいいやぁ、クーがみんなに言い触らしてたからなぁ、誰かが捕まえてくれる……。
    そしたら山分けするんだぁ。
    俺は右手の親指から中指……」


274 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 21:51:08 発信元:58.88.227.48
おぞまっ


275 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 12/30:2010/06/05(土) 21:53:31 発信元:123.108.237.26
 ブーンの手をじっと見つめて舌なめずりをするドクオ。
 口の端から、ぽたりと涎が流れ落ちた。

(;^ω^)「……ツン……」

ξ゚⊿゚)ξ「気にしないで。
      ドクオ、邪魔よ。どきなさい」

 ツンが命令する。
 ドクオは耳障りな引き攣った笑い声をあげると、立ち上がり、ツン達に背を向けた。

( 'A)「早く喰っちまいてぇなぁ……」

ξ#゚⊿゚)ξ「さっさと消えなさい!」

( )「はいはい、分かりましたよぉう……」

 ひたひた、裸足のドクオが去る。
 その姿が見えなくなるまで、2人は息を殺して突っ立っていた。



(*゚ー゚)「あら、ツン。可愛い子を連れてるのね」

(,,゚Д゚)「どこから攫ってきたんだ」

ξ゚⊿゚)ξ「……しぃ、ギコ」

 次に遭遇したのは、やわらかな笑みを湛えた女と、厳つい顔をした男。
 ツンは、女をしぃ、男をギコと呼んだ。


276 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 21:56:17 発信元:124.146.174.6
どうなるんだ・・・・


277 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 13/30:2010/06/05(土) 21:58:51 発信元:123.108.237.22
(*゚ー゚)「こんばんは、僕」

( ^ω^)「こんばんは……」

(,,゚Д゚)「ちゃんと挨拶して偉いな」

(*^ω^)「……こんばんは」

(,,゚Д゚)「おう」

 褒められたブーンは頬を染め、ぺこりと頭を下げた。
 可愛い、と、しぃがくすくす笑う。

(*゚ー゚)「いい子ね、うちの子にしたいわ」

(,,゚Д゚)「そうだな。坊主、俺達の子供にならねえか?」

(*゚ー゚)「幸せにしてあげるわ。
     美味しいものを食べさせてあげるし、好きなことをさせてあげる。
     目一杯甘やかしちゃうわよ」

ξ゚⊿゚)ξ「そんなこと言って、すぐに食べるんでしょう。
      ブーン、あいつらは悪い奴よ。言うこと聞いちゃ駄目」

(;^ω^)「……わかったお……」

 ブーンは、しぃとギコが悪者であるとは思えないらしい。
 それも仕方ない、どこからどう見ても優しそうな男女。


278 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 21:59:49 発信元:58.88.227.48
カニバリズム


280 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 22:02:01 発信元:210.169.97.105
俺ならついて行く


282 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 14/30:2010/06/05(土) 22:03:23 発信元:123.108.237.21
 しかし、ツンの言葉とブーンの返事を聞いた彼らは、即座に本性を現した。

(*゚ー゚)「あらあら残念」

(,,゚Д゚)「……ちっ、ツンの奴め。
     あいつがいなけりゃ、今頃は」

ξ゚⊿゚)ξ「いいから、どこかに行って」

(*゚ー゚)「つまらない子」

(,,゚Д゚)「まあ誰かが捕まえてくれるさ」

(*゚ー゚)「そうね」

ξ#゚⊿゚)ξ「……行けって言ってるの」

(*゚ー゚)「うふふ、坊や、またね」

(,,゚Д゚)「また後でな。
     ……会うときにゃあ、お前は左足だけになってるだろうが」

(;^ω^)「……」

 やはり、ツンの言う通りだった。
 しぃとギコは忍び笑いを残し、道の奥へ消えていった。


283 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 15/30:2010/06/05(土) 22:08:34 発信元:123.108.237.4


 ここは。
 おかしい。

(;^ω^)「……どうして、みんな、僕を食べようとするんだお?」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

 ドクオも、しぃもギコも、初めに会った女性も。
 みな、ブーンを食べると言う。

 まるで――。

 まるで、物語に出てくる化け物のようだ。

ξ゚⊿゚)ξ「……ここは、あなたが住んでいるようなところとは違うの」

(;^ω^)「え……」

ξ゚⊿゚)ξ「あなたは迷い込んできてしまったのよ。
      少しだけ違う世界に」

 ツンは、前を向いたまま説明するが。
 ブーンにはいまいち理解ができない内容だ。

ξ゚⊿゚)ξ「ここに住んでるのは、あなたとは違う生き物たちなの。
      ……おばけって言ったら分かる?」

(;^ω^)「おばけ……」


285 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 16/30:2010/06/05(土) 22:13:13 発信元:123.108.237.25
 信じられるような話ではない。
 だがツンが嘘をついているようには感じられないし、どこかしっくりきてしまう。
 存外あっさりとブーンはツンの説明に納得した。

 しかし、そうなると。

( ^ω^)「……ツンも、おばけ、かお?」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

 ひくりと、細い肩が揺れた、気がした。

ξ゚⊿゚)ξ「……今はね」



 次に現れたのは、1人の女。

川 ゚ 々゚)「おいしそう」

 道の真ん中で立ち尽くしている。
 白い、丈の長いワンピースを身につけているが、所々が裂けていて、また、薄汚れていた。

 右手に、包丁。

川 ゚ 々゚)「おいしそう」

 顔立ちは、どこか、着物を着ていたあの女性に似ている。
 だが、肌のあちこちに引っ掻き傷があったり、口をだらしなく開き唾液をだらだらと流していたりと、雰囲気が全然違う。
 瞳孔の開いた目がブーンを舐めるように眺めていた。


289 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 17/30:2010/06/05(土) 22:18:56 発信元:123.108.237.28
(;^ω^)「……」

 ブーンはツンの服を縋るように掴む。

川 ゚ 々゚)「おいしそう」

ξ゚⊿゚)ξ「くるう、どいて」

川 ゚ 々゚)「おいしそう」

 くるうという名前らしい。
 くるうは、口を閉じないまま、囁くように同じことだけを言い続けた。

川 ゚ 々゚)「おいしそう」

ξ;゚‐゚)ξ「……こいつはめんどくさいわ……」

川 ゚ 々゚)「おいしそう」

(;^ω^)「う……」

川 ゚ 々゚)「おいしそう。おいしそう」

 ぽたり、ぽたり。
 涎が地面に落ちる。

川 ゚ 々゚)「おねえちゃんが、おね、ねえ、いっ、おねえち、こども、いってた、つ、つん、つん、つれてる、いってた、ごちそう、おいしそう」


290 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 22:20:28 発信元:58.88.227.48
狂っとる


291 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 22:20:34 発信元:114.166.232.207
狂気っ・・・!


292 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 22:21:34 発信元:61.198.172.217
くるうっとる


295 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 18/30:2010/06/05(土) 22:23:28 発信元:123.108.237.25
ξ;゚⊿゚)ξ「この子は食べちゃ駄目よ。
      この子は、あの……美味しくないから」

川 ゚ 々゚)「うそうそうそうそうそうそうそうそ」

ξ;゚⊿゚)ξ「本当よ」

川 ゚ 々゚)「おいし、におい、におい、におい、いい、おおおお、おい、しそう、おいしい、うそつきうそつきうそつきうそつき」

ξ;゚⊿゚)ξ「匂いだけよ……」

川 ゚ 々゚)「うそつきうそつきうそつきうそうそ、
      ほんと?」

ξ;゚⊿゚)ξ「本当!」

川 ゚ 々゚)「いら、ない」

ξ;゚⊿゚)ξ「そう……そう、いらないの」

川 ゚ 々゚)「いらない……」

 心なしか沈んだ声で呟き、くるうは首を傾げる。
 そして――包丁の刃を左手で握りしめ、その手を上下に動かした。

 裂けた皮膚から血が滴り落ちる。

(;^ω^)「っ!」


298 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 19/30:2010/06/05(土) 22:28:18 発信元:123.108.237.22
ξ;゚⊿゚)ξ「……くるう、私達、そこを通りたいの。
      どいてくれる?」

川 ゚ 々゚)「はぁ、い」

 包丁が無用となってしまったのが腹立たしいのだろうか。
 左手を離すと、今度は包丁を口に突っ込み、がちがちと刃を噛みながらその場を去った。



ξ゚⊿゚)ξ「――そろそろ家に帰れるわ」

 どれほど歩いただろうか。
 ツンが前方を指差した。
 点在する街灯。
 そのずっと向こうに、街灯よりも淡い光がある。
 そこがゴールなのだとツンは言う。

ξ゚⊿゚)ξ「あそこまで行けば……」

(;^ω^)「ひうっ!」

ξ;゚⊿゚)ξ「どうしたの!?」

(;^ω^)「何か、何か――」

 びくりと肩を跳ねさせたブーン。
 右手に、変な感触がしたと騒ぐ。
 ツンは、ブーンを引き寄せた。


299 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 22:29:34 発信元:121.111.227.72
怖い


303 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 20/30:2010/06/05(土) 22:32:59 発信元:123.108.237.26
( ・∀・)「ツン、何してるの」

 すると、ブーンがさっきまで立っていたところから男が這い出てきた。
 見た目は若く、なかなか美形な男だ。
 だが、口元から垂らしている異常に長い舌が、この男も「おばけ」の類であることを示している。
 ブーンの手に触れたのは、男の舌だろう。

ξ;゚⊿゚)ξ「……モララー」

( ・∀・)「みんなのために美味しそうな肉を連れて来てくれたんでしょう?
      なのに帰らせようとしてるの? ねえ? ねえ?」

ξ;゚⊿゚)ξ「違う……」

( ・∀・)「いつかの君のようにね」

ξ;゚⊿゚)ξ「――!」

(;^ω^)「ツン……?」

 モララーという男の言葉。
 それを聞いた瞬間、ツンの体が固まった。
 顔を青くさせ、足が震える。
 そんなツンの反応に、ブーンは戸惑い、彼女を見上げた。

( ・∀・)「ほら、ツン、その子を僕にちょうだい。
      僕は鼻から上を食べられるんだ。いいでしょう」

ξ;゚⊿゚)ξ「……嫌……」


305 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 22:35:20 発信元:121.111.227.84
ツン!!


306 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 22:35:36 発信元:58.88.227.48
まあブーンて旨そうだよな
ドクオよりは丸々として


308 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 21/30:2010/06/05(土) 22:36:47 発信元:123.108.237.25
( ・∀・)「そういえば――」

 君を食べたときも、僕は鼻から上を食べたんだっけ。


ξ; ⊿ )ξ「――いやあああああっ!!」


 叫び、ツンがへたり込む。
 つないでいた手を離されて、ブーンは狼狽し、どうしていいか分からなくなった。

 ツンの様子を見るべきか?
 それとも、男から逃げるべきか。

 あの淡い光へ逃げ切れればいいのだ。
 ツンを置いて走れば……――

(;^ω^)「……ツ、ン……」

ξ; ⊿ )ξ「いや、やだ、許して、やだ……」

(;^ω^)「……!」

 ――……そんなこと、出来はしない。

 ツンがいなければ、着物の女性に、ドクオに、しぃとギコに、くるうに、モララーに今頃食われていた。
 ここまで守ってくれたツンがこうして怯えているのに、自分だけが助かろうなんて。


309 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 22:38:29 発信元:121.111.227.84
そんな…


310 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 22:39:18 発信元:27.228.69.93
やはりモララーは一味違った・・・


311 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 22/30:2010/06/05(土) 22:40:40 発信元:123.108.237.26

 そんな卑劣なことが出来る子ではないと。


          僕は知っている。



( ・∀・)「ふふ、ツン大丈夫?
      あのとき、体をむしられて、すごく痛そうにしてたからね。
      思い出しちゃったのかな?」

ξ; ⊿ )ξ「やだぁ……っ、やだ、いや……」

 ツンが頭を抱える。
 瞳からは涙がこぼれていた。

ξ;⊿;)ξ「ひぅう……っ」

( ・∀・)「ははは、可哀相にw」

(#^ω^)「やめるお!!」

( ・∀・)「――んん?」

(#^ω^)「ツンをいじめるなお!」

( ・∀・)「なぁにを言ってるの、この子は。僕はただツンとお話ししてるだけなのに。
      ……しかし、この状況で逃げないなんて、度胸のある子だ。
      さぞかし美味だろう……」


312 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 22:43:56 発信元:121.111.227.84
ブーンいいこ


313 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 23/30:2010/06/05(土) 22:45:22 発信元:123.108.237.25
(;^ω^)「っ、うあっ!」

 モララーの舌が伸びて、ブーンの首に巻き付いた。
 ぎりぎりと鈍い音を立てながら締め上げられて、ブーンが苦しげな声をあげる。

 さて。

 そろそろ、僕が出なければいけないな。


( ´∀`)「――あまり調子に乗るんじゃないモナ、おばけ風情が」


(;・∀・)「……あ……っ!?」

 指先を一振り。
 モララーの舌を裂く。

(;・∀・)「ひ、ぃぎぃっ!!」

 本体から離れてしまった舌は、蛞蝓のようにのたうち、ブーンを解放した。
 びくびくと痙攣する汚らしいそれを踏み潰す。
 子供に見せる光景じゃなかったかな。まあいいか。

(;^ω^)「う、ぇ……?」

( ´∀`)v「ぴーす」

(;^ω^)「?
       だ、誰だお……」


314 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 22:45:42 発信元:119.230.64.81
いぇーい


315 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 22:46:43 発信元:27.228.69.93
そういえばここまで第三者視点か
うまいな


316 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 22:47:21 発信元:121.111.227.84
僕=モララーかと…良かった神様で


317 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 24/30:2010/06/05(土) 22:48:57 発信元:123.108.237.25
( ´∀`)「モナー、モナ」

(;^ω^)「もな……。
       もな……?」

 気付いたかな?
 なかなか勘のいい子だ。

(;^ω^)「もな……茂名神社……」

( ´∀`)「そうそう、茂名神社の、
       ――神様モナ」


 君に初めて会ったのは、8年前か。
 母の腕に抱かれた君を見た日から、僕は、ちゃんと君を見守っていたよ。

(;^ω^)「カーチャンの話……ほんとだったのかお……」

(;・∀・)「茂名……!?
      かっ、神様!?」

( ´∀`)「モナ。
       僕の目を盗んで、好き勝手やってたみたいモナね。
       ……僕の領地で人を食っていいと、誰が決めた」

(;・∀・)「あっ、あ、あ……あああああっ!!」

(#´∀`)「ちょっと怒っちゃったモナ」


321 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 25/30:2010/06/05(土) 22:52:34 発信元:123.108.237.5

(; ∀ )「あああああああああ゙あ゙あ゙っ!!」

 舌も断末魔も、品のない奴だ。



(;^ω^)「おー……」

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

 ぽかんと僕を見るブーン。
 この事態を前にして、怯え震えることも忘れてしまった様子のツン。

 僕は少し迷って、それからツンの前に屈み込んだ。

( ´∀`)「ツン」

ξ;゚⊿゚)ξ「……はい……?」

( ´∀`)「一体いつ君がここで食われてしまったのか、僕は分からないモナ……。
       今日まで気付けなくてごめんなさいモナ」

 モララーとの会話から察するに、ツンも昔、ブーンのように、この外界から離れた世界へ迷い込んでしまったのだろう。
 そして妖怪達に食われてしまった。

 命を落としたというのに、魂だけでもここに残り続けたのは……。

 自分のような被害者を出さないようにするため、か。


322 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 22:52:58 発信元:58.88.227.48
千と千尋思い出した


323 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 22:54:13 発信元:121.111.227.76
ツンもいいこ


325 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 26/30:2010/06/05(土) 22:56:01 発信元:123.108.237.22
( ´∀`)「そして、今までよく頑張ったモナ。
       ……ここには、もう誰も入れないようにするから、ゆっくり休むモナよ」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

ξ゚⊿;)ξ

ξ;⊿;)ξ「はい……」

(;^ω^)「……おー?」

( ´∀`)「ツンをいじめてるんじゃないモナよ」

 いまいち理解出来ていないブーンに、一応自分は悪くないと主張しておいた。

( ^ω^)「……ツン、悲しいかお?」

ξ;⊿;)ξ「ううん……」

( ^ω^)「嬉しいかお?」

ξ;ー;)ξ「……うん……」

(*^ω^)「……なら良かったお!」

( ´∀`)「――さあ、ブーン、帰るモナよ」

(*^ω^)「はいお!」


327 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 22:58:18 発信元:121.111.227.84
ツンも救われるんだな


329 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 27/30:2010/06/05(土) 23:00:04 発信元:123.108.237.22


 3人で並んで歩く。
 もう安全だというのに、ツンとブーンは再び手をつないでいた。

 ――街灯の強い光をいくつか越え、淡い光の前に着いて。

( ´∀`)「僕は少しだけやることがあるから残るモナ。
       2人共、先に行くといいモナ」

(*^ω^)「分かったおー!」

ξ゚⊿゚)ξ「……それじゃあ……」


 ありがとう。

 2人は同時にそう言って、光の先へ踏み出した。





332 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 28/30:2010/06/05(土) 23:04:31 発信元:123.108.237.4


****

 気付くと、つないでいた筈のブーンの手の感触が私の手から消えていた。
 目に痛いくらいに眩しく、でも優しい、暖かい光が私を包む。

 ああ。

 こんなに心地がいいのは、いつぶりだろう?

 私は、そっと目を閉じた。





333 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 29/30:2010/06/05(土) 23:07:42 発信元:123.108.237.4



*****


 ブーンこと内藤ホライゾンは、自宅の庭で目を覚ました。

J(;'ー`)し「ブーン! あんた、こんなとこに!」

( ^ω^)「お……ここ……家……?」

J( ;ー;)し「この子はもう……! 心配かけて!」

(;^ω^)「おっ、カーチャン苦しいお……」

J( ;ー;)し「ああ……無事で良かった……!」

( ^ω^)「……ごめんなさいお……」

J( ;ー;)し「それにしても、あんた今までどこに――」

( ^ω^)「――お?」

( ^ω^)(ツンは、どこに行ったのかお……)




335 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです 30/30:2010/06/05(土) 23:11:09 発信元:123.108.237.3


 もしかしたら。
 全て夢だったのかもしれない。
 ツンも、モナーも、どこにもいなかったのかもしれない。

 いや。
 夢だろうと現実だろうと、
 彼は、たしかに。




 奇妙な夜道を歩いたようです。











336 :( ^ω^)奇妙な夜道を歩いたようです:2010/06/05(土) 23:13:19 発信元:123.108.237.25
 俺! 投下! 終わった!
 長々とお付き合いいただきありがとうございます、そしてすみませんでした。

 お題は、

 ・家出少年
 ・条件題:神視点

 でした!
 「神視点」をちょっと捻ってみたり。


 ではでは、お題をくれた人、読んでくれた人、支援やレスしてくれた人、みなさんありがとうございました!

>>324
それぐらい気にしない気にしない


337 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 23:14:49 発信元:27.228.69.93

良いもん読んだ


338 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 23:14:50 発信元:219.125.145.47
>>336
乙だよ!


339 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/06/05(土) 23:16:03 発信元:114.166.232.207
乙乙!


 
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コメント
ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん
どっくんなにかたべたかな?

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