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 ※この作品は、図書館で行われた【 長編序章祭(仮) 】 にて投下された作品です。


484 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 15:35:52 発信元:61.117.8.65

兄者が自殺した。


それを聞いたとき、俺が泣きもわめきもせずに
落ち着いていられたのは単に、
その言葉が正しく脳に届いていなかったからだと思う。



485 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 15:36:39 発信元:61.117.8.65

(´<_` )「……はい?」

俺は受話器を左の耳から右の耳に当てなおして、言った。

  『ですから、兄者さんがこちらで先程、首を吊っている姿で発見されまして』

兄者の上司だと名乗った男が淡々と答える。

  『つきましては、どなたか研究所までお越し願いたいのですが?』

(´<_` )「……はい、判りました」

日時を決め、相手の連絡先と名前を控えて、
向こうが電話を切ったのを確認してから俺は受話器を置いた。


486 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 15:37:28 発信元:61.117.8.65

気のせいだろうか。
兄者が自殺した、とか、言っていたような気がするのだが。

(´<_` )「……兄者が、自殺?」

兄者が首を吊って自殺。
馬鹿なことを。
何かの間違いだ。
兄者は馬鹿なんだからそんな馬鹿なことをする筈がないじゃないかだって、

……だって、俺はひとりでここにいるのに。





兄者が……


死んだ?
 
 
487 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 15:41:27 発信元:61.117.8.65


・序幕   喪失





電話が鳴る、その少し前。

俺は不思議な夢を見ていた。真っ暗で、しんとした夢だった。


  「……」


暗闇で誰かの声がする。


  「……、……」


ああ、夢だ、と冷静に思い当たった後も、
俺の意識はただ漫然と黒い空間を漂い続けていた。

聞き覚えのあるその声の主をどうしても思い出すことが出来なかったからだ。


声は、静かに泣いているようだった。


488 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 15:42:38 発信元:61.117.8.65

  「どうして、ないてるの……?」


やがてそこに別の声が重なった。
少しだけ舌っ足らずで、儚くて、ガラスみたいに透き通った声。


  「イタイの? カナシイの?」

  「……」

  「サミシイの……?」

  「……」

  「……サミシイのね」


489 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 15:44:28 発信元:61.117.8.65

  「……祈って、くれないか」


やがて涙で嗄れ果てた哀れな声はそうつぶやく。


  「イノル……?」

  「そう。俺が心から愛した君と、そして俺の片割れが、どうか」


――兄者。

そうだ、これは兄者の声だ。どうしてすぐに気づいてやれなかったのだろう。
泣いているのは……俺の片割れ。




  「どうかしあわせでありますようにと」





491 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 15:47:03 発信元:61.117.8.65

そこで俺は夢から覚めた。


小さな電子音が寝起きの頭にむりやり進入してくる。
PCがメールを受信した事を知らせる音だ。

(´<_` )「……むう」

ひと声うめき、俺は机の上に突っ伏していた顔を上げた。
すぐ目の前にディスプレイがある。ずっと机に乗せていた腕が痛い。
どうやらPCの前でうたた寝をしてしまったようだった。


何やらおかしな夢を見たような気もしたが、

(´<_` )「あーと……まあいいか」

思い出せなかったので二秒で諦めて、しぱしぱする目をこすりつつ
手癖で受信フォルダを開き、俺は届いたばかりのメールの差出人の名前を確かめた。

(´<_` )「ん……なんだ、兄者からか。
      珍しいな。最近ちっとも連絡をよこさなかったくせに」

そう呟いて、本文を読もうとした瞬間、廊下で電話のベルが鳴ったのだった。
姉者は仕事に出かけている。
俺はメールを後回しにして、電話を取りに廊下に出た。


492 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 15:47:55 発信元:61.117.8.65


それは終焉を告げるベルだった。



493 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 15:50:16 発信元:61.117.8.65
l从・∀・ノ!リ人「ちっちゃい兄者ー」


俺が電話の前でぼんやりしていると、妹者がパタパタと足音を立ててかけて来た。

(´<_` )「ん……ああ」

l从・∀・ノ!リ人「お電話、おっきい兄者からなのじゃ? 妹者もお話しするのじゃ!」

妹者は無邪気に「おっきい兄者」に向かって手を伸ばす。
その手が永遠に届かないと知ったら妹は、
俺たちのかわいい妹者はどんな顔をするだろう。

(´<_` )「……。いや、残念ながら違う。それにもう切ってしまった。すまんな妹者」

l从・-・ノ!リ人「むー……そうなのじゃ?
         最近おっきい兄者はちっともお家に帰ってこないのじゃ。つまんないのじゃー」

(´<_` )「……」


口をとがらせて部屋に戻っていく妹者を見送り、俺は一人、途方に暮れた。


495 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 16:04:02 発信元:61.117.8.65

母者と父者が死んでから随分経つ。


一番年上の姉者が働きに出てくれたので、
まだ学生だった俺と兄者、それに幼い妹者の三人は、どうにか離れ離れになることなく
この≪地下街≫の小さな家で一緒に暮らしていく事ができた。

驚いたのは、俺たち二人が学校を卒業してからのこと。
兄者までもが働きに出ると言い出した事だった。

生粋のネットジャンキーで頭も悪くて学習能力ゼロの兄者が社会に出る事など可能なのだろうかと
心配する俺たちをよそに、兄者は一ヵ月後にはちゃんと就職先を決めてきた。

それは≪塔≫の中にある大きな研究機関の事務の下処理で、
まあ、要は単なる雑用係として雇われたという話だったが、
それでも当時はずいぶん立派だと思ったものだ。


すました顔で妹者の賞賛の声を受け流していたが、
一番びっくりしていたのは兄者本人だったことを俺は知っている。


496 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 16:10:17 発信元:61.117.8.65

(´<_` )「……そりゃ、過去の思い出も頭をよぎろうってもんだよな」

何しろ兄者が死んだのだから。
俺はどこかの回線が切れてしまったような頭で自嘲気味に考える。

(´<_` )「それにしても……よりによって自殺? 食あたりとか事故じゃなくて自殺?
      あの馬鹿がそんなデリケートな真似するだろうか……
      ……まさか壮大な釣りじゃないだろうな」

いや、その可能性は充分にあった。
何しろ兄者は馬鹿なので空気が読めない。
こういうシャレにならないボケは昔から兄者のお家芸だった。

たとえば今頃、ドアの外でこちらの様子を伺っているとか、そういう可能性だってある。
癇に障るにやけ顔で「釣りですた」とか言いながら入ってきて、そこに俺が全力で殴りつける。
いつものパターンだ。そうだ、きっとそういう事なのだ。

(´<_` )「ねー……あるあるwww」

そう思って俺は玄関を見たが、誰も入ってくる様子はなかった。


人の少ない家の空気はとても静かで、乾いていて、薄暗くて――

(´<_` )「……」

俺は急に子供のように心細くなり、逃げるみたいに自分の部屋へ舞い戻った。


497 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 16:14:55 発信元:61.117.8.65

(´<_` )「あ」

その途端、PCの小さな明かりが目に入る。

(´<_`;)「そうだ……メール!!」

つい先刻、兄者からのメールを読もうとしていたことを
俺は完璧に忘れていた。
無我夢中でPCに飛びつき、もどかしくマウスをすべらせる。

(´<_`;)「ははっ……な、なんだ、斬新な釣り宣言だな、流石だな兄者!」

きっとこれがドッキリカメラのネタバラシなのだ。
だって兄者が死んだのならメールなんか届く訳がない。
兄者は生きてる。ちゃんと生きてる。

(´<_` )「全く、悪ふざけにもほどがあるぞ! あとで姉者にチクってやるから覚悟しろ!
      それこそ死ぬほど辛いおしおきを……覚悟して……」

俺は兄者のメールを読み、
もう一度、最初から最後まで読んで、呟いた。

(´<_` )「……何だこれ」


499 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 16:18:58 発信元:61.117.8.65
そこには、釣りの文字も、謝罪の言葉も、何もなかった。


『弟者へ。』


ただ一言。


『家族を頼む。』


たった一言、そう書いてあるだけだった。



ああ、兄者。駄目だこんなこと書いちゃ。

(´<_` )「一体何を考えてるんだ」

だって兄者、これじゃあまるで、


(´<_` )「まるで遺書みたいじゃないか」




自分の言葉のその重みに、俺は心底ぞっとした。


500 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 16:23:04 発信元:61.117.8.65

・第一話  塔 -1-





俺たちの住んでいる処は【地下収容住居施設VIP第三ドーム】といい、
人口およそ七百人程度、
形状は、なるべく短い言葉で説明するなら「逆ドーナッツ型」と言うのが一番早い。

平たい円形の空間に街が形成されており、
中心には天に向かって――といっても、地中に掘られたドーム状のこの街に
いわゆる「空」は存在しない。ゆるいカーブを描く
塗り固められた天井があるだけだ――ひときわ大きな≪塔≫が建っている。


≪塔≫―― タワー。
それは≪地下街≫の住人が嫌でも毎日眺めて暮らしている
この街の象徴のような建造物である。
           ・ ・ ・
よくは知らないが偉い人が住んでいるらしい。
金持ちとか、ドーム内の生活を支える技術者とか。
その周りを取り囲む土地は一般庶民の住む住宅地で、≪地下街≫とはその地域の名称だ。


501 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/29(土) 16:26:02 発信元:210.136.161.14
面白いな


502 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 16:28:17 発信元:61.117.8.65

土の中で暮らしている我々にとって、
たとえばドーム内の空気を循環させてきれいにする機械だとか、
地面が崩れてこないよう防護壁を補修する職人だとか、
そういう「技術」なくてはならない大切な存在だ。

俺たちの先祖(と言うのも大袈裟だが、この街に人が住み始めて何百年経つのか、俺は知らない)が
ドームに住み始めて十数年後には、もうすっかり

 一般人<<<<越えられない壁<<<<<<何らかの技術者・専門家

という図式が完成していたらしい。
必然、高いスキルを持つものだけが権力を行使するようになり、
いまや技術者たちの城である≪塔≫は
一般市民が羨望の眼差しを向ける一種の聖域と化しているのだ。

そして、兄者の勤め先というのが、その≪塔≫の中にある技術研究施設なのである。


ちなみにこのドーム内では
ドーナッツのはじの方、外側に行くにつれて生活レベルが落ちてゆくので、
俺たちのように≪地下街≫の端っこにひっそり住んでいるような輩は
まあ最低ライン上に位置していると言っていい。


503 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/29(土) 16:30:19 発信元:219.125.145.44
これはwktk


504 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 16:32:16 発信元:61.117.8.65

さて。
以上を踏まえ、そんな聖域扱いされている現場に
俺みたいなどこの馬の骨とも知れない不審人物が鼻息荒く踏み込もうとした場合、
どうなるかというと――


∩(´<_` )∩「まあこうなりますよねー」


警棒を持ったガードマン数人に取り囲まれ、
両手を上げながら俺はそんな事をつぶやいたりしてみた。


505 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 16:37:15 発信元:61.117.8.65

∩(´<_` )∩「えーとすいませんテロじゃないですごめんなさい。敵意も武器も持ってません。
         SⅡ機関のダイオードって人呼んでもらえますかすいません
         兄者の弟って言えば判ると思うんでホントスイマセン」


兄者からのメールを読んだ後、俺は弾かれたように家を飛び出して、
気付いた時にはすでに≪塔≫に向かっている最中だった。
自分では冷静なつもりだったが
一種の恐慌状態だったのかも知れない。

だが流石に聖域、勢いだけで突入できるような気軽な場所では無論なかった。
あっという間にガードマンに首根っこを引っつかまれて、今に至る、という訳である。


膠着状態は十分ほど続き、
ぼちぼち上げた腕が疲労しはじめた頃にその男はやってきた。


/ ゚、。 /「何事ですか……騒々しい」

フォーマルなスーツの上に白衣を羽織り、いかにも研究者然とした格好だ。
細い眉を不機嫌そうにひそめて、虫の居所が悪いのはひと目で判るのに
なぜか無表情にも見える。不思議な印象の人物だった。


506 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 16:42:41 発信元:61.117.8.65

∩(´<_` )∩「あのー。鈴木ダイオード……さっきの電話の人ですよね?」

/ ゚、。 /「……」

白衣の男はその質問には答えず、
警備員に取り囲まれている俺を見て、かくん、と首を斜めに傾けた。
そのままじっと俺の顔を見つめる。

(´<_` )「俺は兄者の双子の弟です。弟者と言います」

初対面の人間に兄者と間違われた経験はこれまでにもごまんとあったので、
両手を下ろして自己紹介すると、
ダイオードは納得した様にこくんこくんとうなずいた。

/ ゚、。 /「双子ですか、成程ね。あんまり似ていたので一瞬混乱してしまった。
      ついさっき見た死に顔と同じ顔が目の前にあるというのは妙な気分ですね……
      カレの遺体を引き取りに来たのですか?」

死に顔。
遺体。
兄者の遺体。

音はちゃんと耳に届くのに言葉がまるで意味を成さない。
脳が消化するのを拒否しているのかもしれなかった。


508 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 16:46:43 発信元:61.117.8.65

俺が黙っていると、ダイオードは返事を待つのが面倒になったのか
もう一度だけ俺をざっと見て「ついて来なさい」ときびすを返して歩き出した。
それを合図に警備員軍団は解散し、
開放された俺はあわててその後を追いかける。

/ ゚、。 /「それにしても弟者君。ワタシは明日の午後に来るようにと言った筈ですが」

なんで急に来るんですか、迷惑ですよ、と
ずいぶんストレートな事をごく自然な口調で言われた。

/ ゚、。 /「身内を失くして気が急いたというのも判らないではありませんが
      この≪塔≫に出入りできる人間は限られているんです。
      本来ならアポイントも許可証もなしに入れるような処じゃないんです」

(´<_`;)「……返す言葉もございません」

/ ゚、。 /「まあ来てしまったものは仕様がないから入れてあげますけど、
      余計なものには触っちゃだめですよ」

(´<_` )「それはもう」


519 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 16:58:16 発信元:61.117.8.65

自分でも意外なほど俺は冷静で落ち着きはらっていた。
……と思ったのだが、それは表面上そう見えていただけで
実はそうでもなかったらしい。

なにしろ後々、この時のことを思い返そうとしても
ところどころ記憶が飛んで、どんな処をどういう風に通ったのかまるで思い出せないのだ。
ただなめらかに白く代わり映えのしない廊下を延々歩いた記憶しかない。

覚えているのは、ダイオードが「ここです」と言って立ち止まった扉の正面、
その前で足を止めたあたりからだった。


/ ゚、。 /「どうぞ。入っていいですよ」

(´<_` )「……あ、ああ」


ぱしっ、と軽い音と共にスライド式のドアが開き、
俺はダイオードに促されて室内に足を踏み入れた。

途端、ひんやりとした空気が体の表面を包み込む。
くすんだ銀色の壁、クリーム色の床。薄暗い青い淡い光。

ダイオードがついと部屋の隅を指さした。
そこには簡素な寝台と思しきものがいくつか並べて置いてあり、
その中にたったひとつだけ、薄っぺらいシーツのかけられたふくらみがぽつんと乗っているものがあった。

俺はゆっくりとそこに近付く。
自分の足音がまるで他人のそれのように聞こえた。


522 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 17:01:25 発信元:61.117.8.65

(´<_` )「……」


三十秒くらい、無言で寝台の前に立ってから、
俺は白いシーツのはしをそっとつまんで持ち上げた。
かすかな衣擦れの音。

現れたのは、仰向けに寝かされている、なんだか奇妙なものだった。

幾度も見慣れたもののようにも、はじめて見たようにも思える。

俺と同じくらい高い鼻も。
俺と同じくらい細い目も。

布ごしに浮かんだ身体の線は最後に見たときより痩せて見え、
くちびるは乾いていて色みがなかった。

鎖骨のあたりまでシーツをめくり上げてみる。衣服は何も身に着けていないらしい。
首には――

首には、グロテスクな暗色の痣が首輪のようにぐるりついていた。


(´<_` )「……」


俺はただ静かにそれを見下ろした。
これはいったいなんなんだろう。
そんな、意味のない文字の羅列ぐらいしか頭に浮かんでこなかった。


526 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 17:04:30 発信元:61.117.8.65

/ ゚、。 /「上司とはいえ、ワタシはカレと直接話したことはあまりないのです。
      遺体の第一発見者がカレと親しかったそうですが、面会を希望しますか?
      少しなら話を聞けると思いますよ」

そうですね、お願いします。それより兄者はどこにいるんですか?

もう少しでそう言いそうになった。

妹が淋しがっているから今日こそ連れて帰らなくちゃいけないんです。 いくら仕事が忙しいからって
家族をないがしろにするなんて、まったくあの馬鹿から家族思いっていう取り柄を取ったらなんにも
無くなってしまうじゃないですかそれをこんな処で死んでいるなんて俺は妹者や姉者になんて言えば
いいんでしょうね兄者を呼んでくれませんかあいつは本当に一度ガツンと言ってやらないとやっぱり
馬鹿は死ななきゃ直らないって言いますからああでももう兄者は死んでいるのに。おかしいですね。
そう思いませんかダイオードさん?

/ ゚、。 /「……弟者君?」

ダイオードはなぜか不思議そうに俺を見て、またかくんと首を傾ける。
どうやらこれはこの人の癖らしい。
感情の薄い、つくりもののようなふたつの目。首の据わらない人形みたいだ、と思った。


529 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 17:08:32 発信元:61.117.8.65

(´<_` )「これ、何の匂いですかね」

俺は人形を見返しながらぼそりと言った。

部屋には独特の臭気が充満していて、それは匂いの粒子というより
もっと細やかで濃密な、気配、とでも言うべきものであり、
俺はさっきからそれが気になって仕様がなかったのだ。

/ ゚、。 /「弟者君? 弟者君、大丈夫ですか?」

(´<_` )「ええ、もちろん大丈夫ですよ」

一体何の匂いだろう。錆びた鉄のような、濁ったぬるい水のような、
もう終わってしまった事を十二分に知らしめる
老廃した時間が腐り落ちてそのまま凝ったような匂い。

不快な匂いを嗅いでいたら胸の底がぐらぐらし出した。
みぞおちのあたりだ。ひどく熱い。
そのくせ、一瞬でも気を抜いたら心臓まで凍り付いてしまいそうな気がした。


ああ、そうか。
恐らくこれが――



これが死臭というものだ。


531 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 17:12:36 発信元:61.117.8.65


そう思った瞬間、ふっと視界が暗くなった。



533 :(´<_` )託されたようです:2010/05/29(土) 17:16:34 発信元:61.117.8.65

       塔 -2-





(-@∀@)「ふふふ、屍体を見て卒倒するなんて初々しい話だ。
       ま、実の兄の遺体じゃそれは多少なりともショックを受けて当然か。
       ダイオードくんは研究者としては優秀なのだけれど
       人の心理に関してはまったく配慮に欠ける処があってねぇ」

(-@∀@)「ん? 倒れてない? 立ちくらみがしただけ? まあ同じようなものじゃないか。
       どのみち点滴は大袈裟だろうね。少し休めばよくなるだろう」

(-@∀@)「いやいや、お礼なんていらないよ。
       おっと、自己紹介が遅れたね。ぼくはアサピー。SⅡ機関の広報だ。よろしく同士」



(-@∀@)「ああ、ところで――」





(-@∀@)「君の兄さんは本当に自殺をするような人間だったかい?」







537 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/29(土) 17:19:28 発信元:61.117.8.65
はい、以上です

途中さるっちゃってごめんなさいね!支援ありがとう


538 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/29(土) 17:21:22 発信元:61.198.173.13
あー、そうだったな、序章祭りの作品だったな
続きがないのは残念だが、乙乙


539 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/29(土) 17:31:27 発信元:210.153.84.109
乙!
続き……
自分達でやっといてなんだが、この生殺し感がきついwww


541 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/29(土) 17:34:43 発信元:118.15.157.183
今北乙
サスペンスなのかな?


 
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