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 ※この作品は、図書館で行われた【 長編序章祭(仮) 】 にて投下された作品です。


462 :(´・ω・`)自己絶対矛盾は旅するようです/ ゚、。 /:2010/05/29(土) 14:04:00 発信元:218.216.163.208
 ブロックを積む。高く積む。低かったブロックが高く積まれるのは快感だ。
僕が愉悦を覚えたのはそんな単純なルーチンワークではなく、そのブロックを壊すことだった。
高かったブロックは、やがて消えてなくなる。盛者必衰、祇園鐘舎の鐘の声、沙良双樹の花の色。

 僕は自分の存在を認めてほしかった。
だから笑顔は僕の身から姿を消した。希望を望む僕は、希望を望むが故に死に絶えた。

 変革を、実際のところ、僕はしたかったのかどうか、分からない。
もしかすると今のまま、惰性で生きる方が良かったのかもしれない。

 死という概念は美学だが、死ぬことは最低の美術だ。

 愛することは最悪だが、愛されることは災厄だ。

 僕は旅が出来ない。何故なら僕は家が好きだから――という詭弁を持っているから。
本当は、外がたまらなく怖い。他人の目線が怖い。汗を掻いてしまう。笑い声が怖くて。

「俺、好きな人が出来たんだ」

 彼が二股をしていた――これは正しくないな。僕が遊びだった、そう、これだ。
僕が彼のセフレだとか、そんな打破すべき関係だったことを知ったのは、かなり後のこと。
本命と愛し合うために、僕のような、便利な心の繋がりを欲したのだろう。

 他人と関係することが怖くなったのはこれが原因ではない。そんな美談はないし、そんなにやわでもない。
元から怖かったのに、彼に裏切られ、更に恐怖は増大した。絶対に、誰も信じるものか。

≪平行空想存在≫の旅を決意したのも、やはりそれがきっかけというわけではなかった。


463 :(´・ω・`)自己絶対矛盾は旅するようです/ ゚、。 /:2010/05/29(土) 14:06:02 発信元:218.216.163.208
/ ゚、。 /「あたしは他動的なのでございますわ」

 風する彼女はそう言った。空想された風であるところの鈴木はそう言った。
.                            ・ ・.・
/ ゚、。 /「風はですね軽すぎでございますのでおもしをしなければならないのですよ。おかしいでしょう」

 鈴木は、だからヘッドホンをいつも付けていた。何を聴いていたのかは分からない。

/ ゚、。 /「あたしは心の臓さえ抉り取られるほどのぐちょぐちょとした深き深き傷を負っておりますの。
.      ですのであたしには誰か芯となる存在が必要でございましてだからあなたを訪ねましたの」

 風する鈴木は妖艶に微笑むこともなく淡々と言葉を紡いだ。さながら絵画のように。

/ ゚、。 /「ゆりかごの中というのは思いの外気持ちの良いものであたしなんて陶酔してあすこで一生を
.      終えたいなぞ思いましたがそれではいけませんものね。ですのであなたを見てみたく思いましたの」

 鈴木は来ていた衣類を四方八方に滅法構わず脱ぎ始めた。

/ ゚、。 /「あたしを抱いてくださいましあなたをキット幸せにしてみせますので。早くあなたの
.      裸体を見たいものです。どうぞ気の済むまであたしを死の淵まで凌辱してくださいまし」

 風するその肢体は爛れた僕を目覚めさせる気付け薬になったのかもしれない。

/ ゚、。 /「別に一人で扱きなすっても構いませんのよ。あたしは何であれあなたと関係したいのですものククッ」

 鈴木は心底可笑しそうに笑った。
 
 
464 :(´・ω・`)自己絶対矛盾は旅するようです/ ゚、。 /:2010/05/29(土) 14:08:00 発信元:218.216.163.208
 文字が川となっていた。
 僕はその光景を見て、少しだけ笑ってしまった。

 不倫相手は同性愛者だった。
彼は随分、独り善がりのセックスをした。僕はでも、それがひどく快感だった。僕は物だった。

 ある日、ビジネスホテルの一室で彼が死んだのを、僕は彼が死んだビジネスホテルの一室で知った。

 星路町連続殺人事件の最初の被害者が死んだ日、そのビジネスホテルには、人気アイドルが泊っていた。
と言っても、そのアイドルの影武者なのだが、その影武者というのが何人もおり、ファンがばらけて、その
幾つかのホテルに待機していたのだった。結局、このホテルには影武者が宿泊していた。

 高校時代、僕の幼馴染みが殺された。幼馴染みを殺した彼は、半年ほど前から、小学校で飼っている
うさぎなんかを殺して回っていた。この時のための試し切りだったのか、それとも単なる猟奇趣味だったのかは
分からない。彼は僕の彼氏だった。僕が浮気しているのが許せなかったのだろう。僕は泣かなかった。

 社会人でない内は迫害される。そして幼馴染みは僕に惚れていた。だから彼女は、僕の偽彼女となることを望んだ。
但し、僕はその代償に、彼女とセックスすることを義務付けられた。これは、ちょっぴりだけ気持ち良かった。
それを浮気と見なし、彼は彼女を殺したに違いない。僕はストーカーと化した彼に悩まされたが、それを救ったのが――

 僕は目の前で死んでいる不倫相手を見た。僕は彼に惚れていたのだ。

 ゲイは結婚後も男を忘れられないという。
彼は、伴侶の両親と同棲していた。マザコンやファザコンではなく、
女子特有の、両親との結束というやつだろう。そのストレスを、僕の体で解消していたのだ。

 ストーカー被害から救ってくれた彼は、やはり何度見ても、遺体だった。


465 :(´・ω・`)自己絶対矛盾は旅するようです/ ゚、。 /:2010/05/29(土) 14:10:00 発信元:218.216.163.208
 コンクリートは静かに、しかし急速に、僕の体を蝕んだ。

いつしか僕は、ブロックを積まなくなった。

 だから僕は旅に出ることにした。

 高校時代、残りの二年、僕はいじめられて過ごした。
親とは険悪な関係を建設し、超えることを考える余裕がないほどに高い壁がそこにはあった。

僕は同性愛者であると同時に、女性恐怖症にも、高校時代、陥ってしまった。
携帯電話で男を漁り、僕の心理状態は淫靡なそれへと堕落していた。

 僕は両親を空想殺人し、そして手に入れた遺産で旅に出ることを決心した。

 僕は心に空いた穴を埋めるために旅をしたのかもしれないし、そうでないかもしれない。
どちらでも良いことだった。僕は全てを忘れたかったのだ。

 旅の道中、鈴木に出遭った。

/ ゚、。 /「正解を終わりましょう。踊りましょう。戻りましょう。あたしはあなたを求めておりますわ」

 鈴木は僕を変えた。

(´・ω・`)「うん……鈴木。僕は――僕も、君を求めているんだ」

 これは、つまり愛?

 これは≪平行空想存在≫を通して、彼女を愛するための旅だったんだ――
そう気付いたのは、それなりに後のことだった。僕にも人を愛する権利があったんだ。


466 :(´・ω・`)自己絶対矛盾は旅するようです/ ゚、。 /:2010/05/29(土) 14:12:00 発信元:218.216.163.208
(´・ω・`)「僕は君を愛するよ。大好きだよ、鈴木」

/ ゚、。 /「あたしはあなたを永久に愛しますわ」

(´・ω・`)「捨てないで。裏切らないで」

/ ゚、。 /「あたしと一緒に歩むのです」

(´・ω・`)「鈴木。抱き締めて頂戴」

/ ゚、。 /「抱き締めてくださいまし」

(´・ω・`)「幸せにしてみせるよ」

/ ゚、。 /「幸せになりましょうね」

 これは僕が愛を知る物語。

 僕が誰かを愛するための旅。

 大切な人を抱き締める物語。

 孤独に耐えるための旅。

 拒絶を辞める物語。

 痩せ我慢を忘れる旅。

                        (´・ω・`)自己絶対矛盾は旅するようです/ ゚、。 /
                                    -prologue-



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