スポンサーサイト

--/--/-- -- --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告
 
454 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/10(月) 22:46:25 発信元:218.216.163.208

                            「作品を
                            投下したい」

                     ブーン力のある   それは VIPの
                       作者にとって    総合スレに
                   それは ごく自然な    限った事では
                        欲求である   ない

                       推奨BGM:機械/筋肉少女帯
           ttp://www.nicovideo.jp/watch/nm6045575(ニコニコ勘弁、申し訳ない)

早めてみた投下時間・投下・十九のレス・これより始める
以下、開始。


 ←前編へ戻る


455 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 22:47:35 発信元:218.216.163.208
 あれから五十三年。

 ミルナが消えた折に、私は発狂して、自殺を図った。
その際に壊されてしまい、バックアップによって復旧した以外は、私は五十三年前と何ら変わりない。

 全てを引き継いで、まるで死んでいないように見せる。

 それは奴らが望む科学であった。地で科学する私としては、早く死にたいのに。
 永遠の命を手に入れたところで、奴らは何をするのだろうか? 金も名声も女も手に入れたから、道楽か。

 ベリヤ大国は五十年前から依然、永世中立国宣言を崩しておらず、現在も、平和そのものだった。
寧ろ大陸への移民が現れ始め、あちらでもベリヤが、永世中立が受け入れられるようになっていった。

 ビッチ大統領による永世中立宣言は、歴史に大きく名を残した。
ここ数年で急速に永世中立宣言が認められ、見直された。既にいくつかの国が名乗りを上げんとしていた。

 電脳戦争の時代とはいえ、仮想敵国にシミュレートで勝利したからと言って
戦争で勝利したこととは直結しない。人類がいくら進化しようが、戦争に犠牲はつきものである。

 そもそも永世中立で子孫繁栄することがおかしな話。初期には傭兵として成人男子を戦場へ駆り出す案もあったようだが、
永世中立の名折れ、らしく、現在では対外的には秘密裏に、内戦を国家規模で行っている。本末転倒だ。

他の国よりも残虐な永世中立国。体外受精や未来チックな技術は、頭の固いお偉いさんが頑なに拒否をする。
だから己が精子で子孫を残すべく、定期的に公で、成人男子に殺し合いを行わせる。人間は、末恐ろしい。

 ――未だ『クレアの悲劇』は勃発していない。


457 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 22:50:51 発信元:218.216.163.208
 今思うと、ミルナと出会い、極上の幸福を手に入れたことで――私の歯車は、狂い始めた。
 私ごときが、キャパシティを超えるほどの幸福を持ってはいけなかったのだ。当然の、然るべき報いだった。

                         ――――――――――――――――――――――――――――――

                                 ―――――ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです

                         ――――――――――――――――――――――――――――――


             ――――――――――――――――――――――――――――――

                              後編―――――

             ――――――――――――――――――――――――――――――
 
 
 私が聞きたくなかった言葉を、ことごとくミルナは発音した。そしてそれは意味を持ち始めた。
言葉の鼓動が伝わってくる。全て、本心からの言葉だと。それらは私を締め付けた。

 奴らはベリヤで一、二を争う富豪だ。それも、性質の悪い。
奴らは専ら、ロボット研究によって私腹を肥やしている。その名のとおり、ロボットを使った実験だ。
ロボットの思考実験に始まり、変わり種では己の機械化などを図る。

奴ら組織に通称はない。『奴ら』というのも私が呼ぶだけで、決まった呼び名などありもしない。

 奴らは道楽のために私を生かす。
私が果たして、何年間生きられるか。既に私は二百十三年生き続けている。
記憶の保持もしており、優秀らしい。忘れたい記憶もあるし、死にたい時だってある。

 そして、殺したいと思う時も。


459 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 22:52:42 発信元:218.216.163.208
 現在の平均寿命間近であり、最古参のニクド成金のロマネスク=ハンネ。
 試運転という立場で半機械化に成功した、腕力だけならば最高峰である<歯車王>。
 危険な立場で実験を繰り返すため短命の一族に生まれた、本プロジェクト最年少のオザム=テイラー。
 冷酷な鶴の一声を発する、ロマネスク翁に唯一釘を刺せる存在であるエアレル=トソン=ツムラ。
 政府へのコネクションを持つ、最も表社会に近しい男であるギィ=コールド=ラグ。

 私と直接会ったことのある人間だけでも五人に上る。
私は彼らを殺したい。
 彼らの下を辿っていけば、一体、私は何人の人間を殺さねばならないのだろう。
しかし、何年掛かろうが、私は絶対に奴らを殺してみせる。

 奴らは形はどうあれ、不老不死の座を狙う者だ。
そしてモルモットとして、私はあまりに優秀すぎた。

 いつか来る好機に備え、私は日夜、凌辱される。

 ――さて。
 私がミルナの死を感知するまで。
 私はいかにして彼に犯され続けたのか?


460 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 22:55:19 発信元:218.216.163.208
 ザーメンの臭いが、部屋中に充満していた。鬱屈するへどろのような臭い。
 私はベッドに横たわるミルナを横目で見遣った。

( ゚д゚ )「どうした? クレア」

 出会いから一年が経ち、ミルナと私の関係は、全く別のそれへと変貌していた。

 ――一言で表すならば、それは『暴力』だった。

 初めての性交の時点で私の中の綺麗事は全て消え去った。そして快感によがり、いつしか下品な単語さえ厭わなくなった。
それをミルナがどう受け取ったか分からないし、自身がどう変わったかさえ分からない。ただ、何かが歪になった。
 私は生憎、暴力に愉悦を見出せるほどの女ではない。そしてそれは、確実に何かの終わりを告げていた。

私はあんたの所有物なんかじゃない。

ハハ ロ -ロ)ハ「――」

 私は文句を講義したかった、声を大にして、日ごろの不満を打ち明けたかった。しかし、それは叶わなかった。

ハハ ロ -ロ)ハ「……ううん」

 私は弱い。私は弱すぎる。頭がくらくらして胃がきりきりして膝がくすくすして背中がぞぞぞぞする。

( ゚д゚ )「そうか」

と言い放ち、ミルナはそっぽを向いた。向いた瞬間の横目が、私の畏怖を増幅させた。

 私は――私は人間だ。


462 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 22:57:32 発信元:218.216.163.208
 暴力は絶えず行われた。

 ある日、時は訪れた。
 彼の旧友と町ですれ違った。

( ゚д゚ )「いや、別に、んな仲じゃないさ。こいつはロボットだぞ?」

 私との暴力的な粘膜の接触は――そんな、仲、じゃ、ない、の、か。違っ、た、の、か。私を、騙して、いた?

 避妊具を付けなくとも妊娠する心配がないから――ああ! だから。

 馬鹿馬鹿しいッ。忌々しい!

 所詮彼も、奴らが用意しただけの男だったんだ。
私は怒り心頭怒髪天を衝く――とはいかず、ただ、喪失感を味わった。

 私は既に、冷めていた。醒めていた。褪めていた。

 ――そして彼とディレルドとの関係は露呈した。


465 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 23:05:34 発信元:218.216.163.208
ζ(゚ー゚*ζ「あなたが」

 ――死――

ζ(゚ー゚*ζ「あなたが死ねば良いのよ」

 ばちりばちりとショートする頭。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::私は、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::破壊された。:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

( ФωФ)「<歯車王>が遂に動き出した」

【+  】ゞ゚)「示唆された可能性の助長ですね」

('、`*川「ロボット殺人――ねえ。しかも分が悪いことに、ベリヤから」

(,,゚Д゚)「既に死刑は決定しているらしい。尤も、形だけだがな」

 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


467 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 23:07:27 発信元:218.216.163.208
 彼は言い訳をしなかった。そこだけは潔い。

( ゚д゚ )「こいつには私が必要なんだ」

 ディレルド=ファクトは遂に詳説を語らなかったが、何らかの病気を患っていたらしい。
彼のY染色体に潜心する庇護欲を刺激したディレルドは刺激的な性生活を送っていたらしい。
らしい、らしいのらしいづくし。私は何も知らない。

 彼は言った。

( ゚д゚ )「すまん」

 私が聞きたかったのはそんな言葉じゃない。

 おかしいな。
私、ロボットなのに涙が出ている。

 端的に言い現わすならばそれは『浮気』。
浮気。
別れた理由というものは、それは千差万別だと思う。私が別れた理由は、ポピュラーな浮気。
彼が浮気していた。だから別れた。すっきりするほどの理由で、びっくりするほどの理念だ。

 こうして私と彼の間の溝に雪が積もり、やがて冬が来た。

ζ(゚ー゚*ζ「ごめんなさいね、あんたに勝っちゃって」

 ディレルドが私に向けて放った唯一の言葉がそれだった。


468 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 23:09:49 発信元:218.216.163.208
 私は決意した。
ミルナがなくなったこの世界に意味はない。
私のレーゾンデートルは、ようやくなくなった。枷が、鎖が、箍が、外れた。

 分かっていたはずだ。暴力を受け始めた時点で、ミルナは消えていたのだと。
 分かり切っていた。浮気でも何でもなくい、私が受ける、然るべき処罰だと。

 手塚治虫の『火の鳥』の一節に、ロボットが自殺をするシーンがある。
私に存在意義がなくなった今、私は私を必要としていない。そうだ、自殺しよう。

砕け散った硝子の恋。飛び降りたい。そんな衝動が体中を駆け巡った。

 よし、飛び降り自殺をしよう。

 八回目のデートで彼が買ってくれた犬のぬいぐるみと共に心中しよう。
そして来世で、いぬおくんと一緒に、らぶらぶの生活を送るのだ(笑)。

 死恐怖症というものがある。私にはない概念だ。死が怖い。どんな感覚なのだろう。
流石に妻と刺し合ったり己が首を刀で斬り落とすなんてことは出来ないが。

 我が家へ帰った私は、土へ還るべく(私は土から出でたわけではないが)、いぬおくんを用意するのであった。

そこでようやく気付いた。ここ一帯、高層ビルも何も、高い建物が皆無だ。これでは飛び降りることが出来ない。
私は思案した。どうやって自殺しよう。ああ、そうだ。この時の私は、どうやら狂っていたようだ。

ああ、そうだ。

 奴らに頼んで処分してもらえば良い。


470 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 23:11:57 発信元:218.216.163.208
 アイザック・アシモフが提唱した、ロボット三原則。

第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。
      また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条 ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。
      ただし、与えられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反する虞のない限り、自己を守らなければならない。

 要約すると、『人に危害を加えず、命令に服従し、自分を守れ』。

 私は、
ロボット三原則なんて糞喰らえ。

 私は将来を見通して製造されたロボットだ。異端のナイン・ナンバーズの中でも最異端。
私には一切の束縛がない。束縛のなさこそが束縛である。だから――わたしには強固な鎖が纏わり付いている。

 ――だから私は人間を殺せる。

 だから、でも……私は自殺することが出来るのか?

この時の私には正常な思考なんて出来るはずもなかった。一生を誓えそうな彼が消えたのだから。

 私は<ロボトミー・ラボトリー>の門を叩いた。

かちりと右手より伸びた端子が門へと接続される。やがて聞こえる解除音。
入室の許可を得た私は、広大な庭を悠然と歩き、奴らの元へ向かう。「殺してください」、そう言うために。

 個体識別が行われる。表示名は『H9-M:NN』。既に私の中の『ヘル=O=バルクレア』は死んでいた。
認証が済み、接触が起こる。そして静かに扉が開かれ、彼との面会と相成った。


471 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 23:15:12 発信元:218.216.163.208
ハハ ロ -ロ)ハ「私を殺してください」

【+  】ゞ゚)「H9-Mですか……は?」

 見たところ、ラボにはテイラーしかいなかった。

ハハ ロ -ロ)ハ「他の方は?」

【+  】ゞ゚)「…………」

 放心。彼は憮然としていた。

【+  】ゞ゚)「連絡はとれるはず」

 彼の視界に私はいない。

 三時間が経過し、プロジェクトのメンバーが揃っていた。

( ФωФ)「本当であるな? H9-M」

(゚、゚トソン「やめておきなさい。何があった」

(,,゚Д゚)「……殺して、ねえ」

|::━◎┥「そうか」

 自殺くらい、させてよ。私にも選択権はある。

ハハ ロ -ロ)ハ「殺してください」


473 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 23:17:15 発信元:218.216.163.208
 私は死んだ。
ならば何故、このように思考出来ているのかというと、死んでいないからだ。
私は社会的に死んだ。私という存在は世界から消え去った。

私が死んで変わるほど世界はやわではなかったが、それでも変革を要した人間が存在した。
彼だ。彼は私の訃報を聞き付け、新たな人生を歩むべく旅立った。

『彼女を道具として使ったことは解せぬが貴君らが彼女と出会いの場を設け、そして関係を持つことを許したのには
. 感謝している。私が一方的に彼女への別れを告げたことは悲劇であり、現在彼女の立場を考えてみると、不覚にも
. 私に両眼からは涙が止まらぬ。そんな仕打ちを彼女に仕向けてしまった。私は私が情に流されやすい人間だと知って
. いたし、浮気相手が肉体を求めていることも知っていて、関係を持ち責任感に押し潰されることも知っていた。しかし
. 私は関係した。愚かである。無様である。最後まで彼女に謝ることが出来ず、悔む。何文字の言葉であれ、私は
. 感情を込めて伝えるべきだったのだ。それが出来なかった。やはり私の中の彼女は泣いていた。何が関係したのか
. 分からぬが、やはり彼女の死には私の浮気も付き纏ったに違いない。私は弱い人間だ。だから私は死を選ぶ。こんな
. 場でも浮気相手を心配する私は馬鹿だろう。お前を救ってやれなくてごめん。そしてクレア。君のことは大好きだったし、
. 今でも特別に大好きだ。さようなら。私は死人にしか告白できない弱虫だ。私は私のためだけに自殺する。コンツァー』

 私が見せてもらった手紙にはそう書かれていた。ああ、そういえば、彼の字なんて見るの、これが初めてだな。
あー。私、彼のこと、何も知らなかっただ。真実の彼なんて一寸も知らなかった。どっちが馬鹿だろうね。ミルナ、大好き。

 私は奴らの手によって、脳だけの存在として生きることとなった。
確か、クズムシ女かその前の時代に、こんな小説があったな、と思い出す。手以外の感覚がなくなっちゃう。
 私はミルナへの感情がなくなっちゃった。きっと、好きなのに。でも、想いを口に出せないよ。

 ミルナ。
 ミルナ。

 大好きだよ、ミルナ。

 愛してるよ、ミルナ。


475 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 23:19:31 発信元:218.216.163.208
 愛、ってさ。愛って、結局、言葉では表せないんだよね。
でも私は愛してるよ、ちゃんと。届いてる? 良かった。愛してる。
いくら言葉にしたところで、人の心なんて分かんない。

 好き、って感情って、何だろう。それはもう、恋の病だと言えば簡単だけど。
好きになるって、私、素晴らしいことだと思う。大好きだよ、ってね。
でもさ、好き、だって、本当かどうかなんて誰にも分かんない。

              神様にも。
              相手にも。
              本人にも。

 だぁれにもさ、愛なんて、恋なんて、好きなんて、分かんないの。

..... ( ゚д゚ )「でも私は」 「でも私は」ハ(ロ -ロ ハハ

...... ( ゚д゚ )「クレアを」 「ミルナを」ハ(ロ -ロ ハハ

 ( ゚д゚ )「大好きだし」 「大好きだし」ハ(ロ -ロ ハハ

..   ( ゚д゚ )「愛してる」 「愛してる」ハ(ロ -ロ ハハ

.                     ――いつから崩れたんだろう。

ミルナが浮気してから? 相手が現れてから? 尋常学校の旧友に会ってから?


476 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 23:22:02 発信元:218.216.163.208
 それから五十三年。

 ミルナが亡くなった折に、私は発狂して、自殺を図った。脳だけでは死ねなかった。
限界を感じた奴らによるバックアップによって復旧した以外は、私は五十三年前と何ら変わりない。

 全てを引き継いで、まるで死んでいないように見せる。

 それは奴が望む結末であった。ミルナを愛する私としては、早く死にたいのに。
 永遠の命を手に入れたところで、奴は何をするのだろうか? 私を、殺すこと。いっそ殺して。

 思考実験。例えば好きな人を追って自殺することに、寝取られた恋敵をぶち殺すことに、何の意味があるのだろうか。
そこには何の意味もないしルサンチマンしか生まれない。カタルシスは未登場の舞台。

 ディレルド=ファクトが。ミルナの死後、すぐに男を乗り換えたあの女。奴が登場したことでこの物語は
どういった進展を迎えたのだろうか。彼女は必要だったのか――それとも。

 それとも、尋常学校時代の彼がいけなかったのか。分からない。全てが悪いのかもしれないし、
どれもが悪くないかもしれない。私には判断出来ない。私は無知だ。何も分からない。

 ――『クレアの悲劇』への布石は、着々と打たれていた。


479 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 23:24:42 発信元:218.216.163.208
 私はミルナと出会う前の生活に戻っていた。
珈琲を啜る私は、どこか滑稽だった。暢気なものだ。

 あれから五十三年が経った。
 私が失ったものは、もう戻ってこない。

 ミルナはずっと、私の記憶でしか生きられない。

 ――と。

 ど、ど、ど。

ハハ ロ -ロ)ハ「誰……?」

 眉間に皺を寄せて、音のした、部屋の一角を見遣る。
眉間に何かが当たった。かなり、痛い。それを取り除く。そして後方の壁を見る。

 銃弾だ。誰かが狙撃してきた。

 やがてマフラーを巻いた少女が現れた。彼女の両手にはH&K G36Cが二丁、握られていた。
彼女は眼鏡を掛け、ボブカットだと思うが、うさみみフードによって情報は阻害されてしまっている。
短いスカートがいやに色っぽく、黒のソックスも背伸びを感じさせない落ち着きを演出している。

ζ(゚ー゚*ζ「お久しぶり。五十三年ぶり。ヘル=O=バルクレア」

 そうだ。見覚えがあると思ったら、少女は。
少女は、ディレルド=ファクトだった。
 ミルナから愛を受け取った女。私の、敵。私を殺そうとしている?

ハハ ロ -ロ)ハ「随分のご無沙汰。ディレルド=ファクト」


480 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 23:27:55 発信元:218.216.163.208
 奴は微笑んだ。

 そして私の左肩にそっと、右手のH&K G36Cを仕向けた。がちり、という接続音が響く。そして引き金が引かれる。
ぐど、という鈍重な痛みが、私の左肩を刺激した。すごく簡単に、繊細に、刹那に私の肩は外れた。
 ごう、と私の左腕が床に落ちた。奴は左腕を踏み潰した。ごりげり。砕け散った破片は、既に私ではなかった。

ζ(゚ー゚*ζ「驚いた? あたし、あなたを殺すために機械化したの」

 うさみみフードを取り、彼女は髪を掻き上げた。邪悪な笑みを浮かべた。

 冷凍保存装置≪コールド・スリープ≫によって眠った奴は、奴の奴隷たちによって稼がれた金銭で機械化したのだと言う。
理由は一つ。私を殺すため。馬鹿げた動機で生きる女もいるものだ。私は呆れた。

ハハ ロ -ロ)ハ「ならば、殺せば良い」

 私の下腹部を、奴が触る。そして端子が私の腰と胴の連結部分に差し込まれる。
がちり。私の連結は解除され、上半身と下半身が仲違いした。私は無様にもこけた。

 奴の履く安全靴によって私の下半身はぐちゃぐちゃの、破片にすらならない何かに変貌した。

ζ(゚ー゚*ζ「お前の後を追って! ミルナは! 死んだ!」

 ぎゃははははは。高笑いが響く。

ζ(゚ー゚*ζ「でも! お前は! 生きている!」

 げほげほげほげほ。吐血する。

ζ(゚ー゚*ζ「だから殺してやる!」


488 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 23:45:10 発信元:218.216.163.208
頭。目。鼻。唇。舌。喉。耳。肩。腕。手。肩。腕。手。手首。指。指。指。指。指。手首。指。指。指。指。指。爪。爪。爪。爪。爪。爪。
爪。爪。爪。爪。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第
二関節。第二関節。第二関節。第二関節。第二関節。第二関節。第二関節。第二関節。胴。腰。太腿。脹脛。脛。足首。指。指。指。
指。指。太腿。脹脛。脛。足首。指。指。指。指。指。爪。爪。爪。爪。爪。爪。爪。爪。爪。爪。第一関節。第一関節。第一関節。第一
関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。頭。目。鼻。唇。舌。喉。耳。肩。腕。手。肩。腕。手。手首
。指。指。指。指。指。手首。指。指。指。指。指。爪。爪。爪。爪。爪。爪。爪。爪。爪。爪。第一関節。第一関節。第一関節。第一関
節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第二関節。第二関節。第二関節。第二関節。第二関節。第
二関節。第二関節。第二関節。胴。腰。太腿。脹脛。脛。足首。指。指。指。指。指。太腿。脹脛。脛。足首。指。指。指。指。指。爪。
爪。爪。爪。爪。爪。爪。爪。爪。爪。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一
関節。第一関節。頭。目。鼻。唇。舌。喉。耳。肩。腕。手。肩。腕。手。手首。指。指。指。指。指。手首。指。指。指。指。指。爪。爪。
爪。爪。爪。爪。爪。爪。爪。爪。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関
節。第一関節。第二関節。第二関節。第二関節。第二関節。第二関節。第二関節。第二関節。第二関節。胴。腰。太腿。脹脛。脛。
足首。指。指。指。指。指。太腿。脹脛。脛。足首。指。指。指。指。指。爪。爪。爪。爪。爪。爪。爪。爪。爪。爪。第一関節。第一関節
。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。第一関節。頭。目。鼻。唇。舌。喉。耳。肩。腕。手
。肩。腕。手。手首。指。指。指。指。指。骨。皮。筋肉。内臓。私。殺戮。惨殺。銃弾。存在理由。私。彼。奴。奴等。殺人。


490 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/10(月) 23:46:45 発信元:118.9.232.116
ざわ・・・ざわ・・・


491 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/10(月) 23:47:30 発信元:121.2.98.95
うおっ


493 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/10(月) 23:48:44 発信元:59.135.38.142
どうなる?


494 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 23:50:00 発信元:218.216.163.208
 プログラムの馬鹿。

私は死ぬことも生きることも許されない。
罪を背負って罰を被って生きていかざるを得ない。
思考のルーティン化が出来る人間が羨ましい。忘却が羨ましい。

 次に死んだら、そうだな、巴里にでも生まれたい。そして誰も彼もが幸せになる恋愛をするんだ。

 私は知っていた。私が誰かに殺された時は、
殺した人物が奴らの手に渡ることを。知りながらにして、奴に私を殺された。

 現在思考している私は、もう何代目になるかも分からないバックアップ。偽造生存者。
無駄な生を受け、有意義に死ぬことさえ許されない。自由が束縛されている。

 もう私の中から、奴らを殺すという目的は失われていた。

 世界の傍観者となろう。何とも干渉せず、誰にも感傷せず、世界を観賞しよう。

 エアレル=トソン=ツムラが死に、その孫のエアレル=ペンリエッタ=ツムラがプロジェクトに介入した以外、
特に変動は起こらなかった。私の観測者が増える。私を道楽と捉える人間が増える。人間。
奴らの方がよっぽど機械で、私の方がよっぽど人間だというのに。やはりこの世界には神なんていない。

 神は私に、ディングエピローグなんて用意していなかった。
私に協力的じゃない神なんて、そんなもの、神じゃない。神も何もかも、死んでなくなれば良いのに。

 ――以上が『クレアの悲劇』の顛末である。


496 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 23:53:05 発信元:218.216.163.208
 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

( ФωФ)「余の玩具が一つ、増えるのであるな」

(,,゚Д゚)「ロマネスク卿。あんたはいくつになっても野心家だ」

【+  】ゞ゚)「しかし、これが人類の発展に繋がると良いのですが」

('、`*川「人類の発展? だからあんたの先祖は皆殺されているのよ。学習しなさい」
        ・ ・ ・ ・
【+  】ゞ゚)「殺された……?」

(,,゚Д゚)「フッ……いくらエアレルさんの孫だからって言っていいことか否かの分別は付けるこった」

( ФωФ)「余は本日は気分が良いからの。見逃せ」

(,,゚Д゚)「お人好しだ……いや、現金、かな」

( ФωФ)「それで、<歯車王>は奴を捕獲したのだな?」

【+  】ゞ゚)「はい。既に玩具に調教してあると報告があります」

(,,゚Д゚)「しかし、そろそろあんたらも、亡命の手立ては付けといた方が得策だ」

( ФωФ)「余が戦争のトリガーを引くとはな。思いもせんだ。長生きはするものだ」

('、`*川「稼ぎ時ねえ」

 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


499 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです2/2:2010/05/10(月) 23:56:10 発信元:218.216.163.208
 がらんどうの私。

 鋼鉄の檻のベッドに腰掛け、私は一枚の写真を手に取った。

写真には、『みーと』と書かれていた。
みー、とは、ミルナ=コンツァーのことであり、私が唯一心の底から愛した男だ。

そして今も変わらず愛し続けている。

 でもね、ミルナ。

私は変わってしまった。ずっと奴らの犬になっちゃった。

 ねえ、ミルナ。ミルナ。助けてよ。私の王子様になって。

( ゚д゚ )「クレア」

 突然視界にミルナが現れ、私は困惑した。

( ゚д゚ )「愛してるよ」

 幻影のミルナは、やはり私を救ってはくれなかった。

 苦しいよ。

 私はどうしたら救ってもらえるの?

 何にも分かんないよ。

                                                            ハハ ロ -ロ)ハ心を「移」すようです――終








503 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/11(火) 00:02:21 発信元:218.216.163.208
以上、終了。

前回投下後に告知する予定だったもの
ttp://bit.ly/9v2XCX(ttp://bit.ly/cvW7X2)
こちらの作品を読んでおくと面白いかもしれません。
14レス目のイメージはttp://bit.ly/97XLnoです。

訂正:>>480三行目、AK-47→H&K G36C

多くの支援・乙、ありがとうございました。感想系のレスも励みとなりました。
また、今回の投下中、2ちゃんの仕様によって情報伝達に齟齬が発生しました。
以下、単なる自己満足的な訂正を行います。でも、聞いて。


505 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/11(火) 00:08:02 発信元:218.216.163.208
>>465、九、十行目は、本来は

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::私は、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::破壊された。:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

となり、更に

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

が上下四行に挿入される予定でしたが、要領の都合上、削った形で投下しました。
また、>>488は三十行に渡って書かれていましたが、同じ理由で削りました。



506 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/11(火) 00:10:32 発信元:218.216.163.208
>>465の四角も、>>496と同様の長さの予定でしたがやはり同じ理由で。
>>480-488間は、お察しのとおり、さるさんでした。

重ね重ね支援・乙、ありがとうございました。
またいずれ、新作を投下出来る日を願って。


500 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/10(月) 23:57:27 発信元:59.135.38.148
乙っした
救いようのない話でしたね……



501 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/10(月) 23:57:44 発信元:119.230.64.81
乙……


502 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/10(月) 23:59:10 発信元:118.9.232.116
乙です
一生苦しみ続けるのか、哀しいな・・・



 


 
520 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです3/2:2010/05/11(火) 16:52:07 発信元:218.216.163.208
『クレアの悲劇』より十年が経った。

『平和な小戦争』によって設けられた協定により、
プィヴよりの移民が段々と増えつつあり、百年植民地化計画も着々と進められつつある。

 驚いたのは、ロマネスク卿が意外にもあっさりと死んだこと。
平均寿命から更に倍以上も延命したにも関わらず、死なんてものは全てに平等に訪れる。
さっさと諦めて完全に機械化すれば良かったのに。何百年も生きれば脳のメモリ増設も必要だろうに。

 そして流石と言うべきは、コールド=ラグとペンリエッタの共同戦線。
彼らの御国を屁とも思わぬ荒稼ぎには感服するばかりだ。そこまでして、何故、金が欲しいのだろうか。

<歯車王>は詰めが甘かったとしか思えない。彼らしくもなく、私に正体を悟らせるとは。
しかし、それでもディレルド=ファクトを殺したのは愉快だった――こう考える私は、だいぶ堕落したのだろう。

 テイラー氏は相も変わらず研究熱心である。きっと一番長生きするだろう。そして一番最初に機械化に
成功するに違いない。しかし短命の一族、機械化した後に殺されそうでもある。まったく、薄幸が似合う男だ。

                ――――――――――――――――――――――――――――――

                     ―――――ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです―――――

                ――――――――――――――――――――――――――――――


                ――――――――――――――――――――――――――――――

                            ―――――終劇―――――

                ――――――――――――――――――――――――――――――


521 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです3/2:2010/05/11(火) 16:52:48 発信元:218.216.163.208
 あの襲撃の後、早急に奴らの個人部隊によってディレルドが捕獲されたらしい。
そして<歯車王>による破壊が行われた。破壊の一部始終は、後に映像を体感した。
これぞカタルシス! といった惨劇だったが、何より恐ろしいのは、破壊された彼女が死んでいないということ。

現在は、ロマネスク卿の玩具となっているらしい。
そしてもっと驚愕なのが、内心私が、それを快く思っていなくないこと。つまり、少し、喜んでいる。
 ミルナを盗られたから――復讐のつもりなのだろうか。

 ディレルドは有意義な活躍をした。
 彼女によって『クレアの悲劇』は勃発した。

 ロボットが国家によって殺される時代。

 奴らのような存在がなければ、ロボットだって死ぬことは出来る。
 しかし、私やディレルドのようなロボットは、一生死ねないだろう。

 私たちは奴らの玩具なのだ。
しかし、ロマネスク卿が死んだ今、必要とされているのは私だけだ。
ディレルドが望めば死ねるし、それか肉体が与えられるだろう。


522 :ハハ ロ -ロ)ハ心を「うつ」すようです3/2:2010/05/11(火) 16:53:29 発信元:218.216.163.208
 世紀の謀反人ディレルド=ファクトは、プィヴ帝國陛下暗殺を企てた。
 その結果、彼女はベリヤの住人であるにも関わらず、プィヴの法によって裁かれることとなった。

 以上、史実。
 以下、事実。

<歯車王>は、プィヴ帝國の国王であった。
 彼が思い付いたのは、ベリヤ大国を我がものに――プィヴの領地にすること。
そのために、奴らと手を組んだ。プィヴへの思い入れがない奴らを操り、プィヴを侵略することを決意した。

 しかし、そのためにはやはり、奴らが納得する理由が必要だった。
どこまで根回ししたかは分からないが、<歯車王>は、ディレルドの奴隷とも関係があった。
 私を殺しに向かわせたことも、どこまで手回しされていたか、今となっては全てが不明だ。

 プィヴ陛下暗殺事件――及び、外国所有ロボット殺人法案を巡る争いは(当たり前だが)プィヴが勝利した。
ロボット死刑制度導入自体が、プィヴ初どころか世界でも初のことだった。

 これら一連の騒動は、いずれベリヤを強請る要因になると、誰しもが噂した。
そして十年の時が経つ。ベリヤが植民地化するのも、時間の問題だ。時間でしか解決できない
問題以外は、全て解決されている。あと十年と経たない内に、プィヴ帝國は新たな発展を遂げるだろう。

『クレアの悲劇』。
 私にとっての最大の悲劇なんて、今となっては何なのか、全く分からない。
漠然とした悲しみが、喪失感が存在するだけ。

 私は夜が更けるのを待った。脳だけで、心の定義なんて分からない。私はただの脳だ。
見世物として、永遠を生きる。愛なんて信じない。今となってはミルナさえ感じない。苦痛と共に死に絶えながら生きる。

                                                            ハハ ロ -ロ)ハ心を「鬱」すようです――結







523 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/11(火) 16:54:52 発信元:218.216.163.208
以上、投下終了。
当初三日連続十一時からの投下の予定でしたが、精神的に今晩の投下が出来なくなったため、今投下しました。
自分でも消化不良な設定が見受けられた作品でしたが、読んでもらえて光栄です。
当初三回目の投下を隠し玉に使うという案が出来上がって
書いた作品でしたが、こうして見ると三回目は必要なかったように思え、申し訳ないです。


524 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/11(火) 17:06:29 発信元:210.153.86.38
なんと
乙です


525 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/05/11(火) 17:14:07 発信元:114.166.222.41
乙!


 
 
総合短編(SF) | コメント(0) | トラックバック(0)
コメント

管理者のみに表示

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。