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456 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ:2010/04/20(火) 02:16:51 発信元:59.135.38.141
深夜ですが10レスだけ投下させていただきます

前回変なとこでぶったぎってしまった上に、投下間隔がだいぶ空いてしまったので覚えている人がいるか不安ですが

これまで
http://sogomatome.blog104.fc2.com/?mode=m&no=246



457 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ:2010/04/20(火) 02:19:13 発信元:59.135.38.144
/ ,' 3 「言いたいことはそれだけか?」

ζ(゚ー゚*ζ「……はい。私の思うところは、全て申しました」

/ ,' 3 「ならば、もう貴様に用はない。せめて魂だけでもアッラーの身元へ行けることを祈るのだな」

ζ(゚ー゚*ζ「私は、アッラーの元へは参りませぬ。娘たち共々、死してあの天に輝く星となりましょう」

/ ,' 3 「貴様という娘は、言うに事欠きアッラーまでも否定するというか。この不届き者め!!」

ζ(゚ー゚*ζ「それは大きな間違いです。何故なら私も、私の語る娘のうちの一人なのですから」

/ ,' 3 「何? それはどういうことだ!!」

ζ(゚ー゚*ζ「死にゆく者の言葉に疑問を投げ掛けるなど愚かしいことです。さぁ、王様。どうかあまり痛まぬよう一思いに」

/ ,' 3 「くっ……」

ζ(゚ー゚*ζ「……」



458 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ:2010/04/20(火) 02:20:56 発信元:59.135.38.147
―――カラン

/ ,' 3 「……もうよい。ゆけ、娘」

ζ(゚ー゚*ζ「王様……剣を……」

/ ,' 3 「どうした。部屋から疾く立ち去れと余は言っているのだ」

ζ(゚ー゚*ζ「では、私の申したことは、考えていただけるのでしょうか?」

/ ,' 3 「その話はするな。今はただ、そちの首が胴に繋がっていることだけを喜べばいいのだ」

ζ(^ー^*ζ「やはり王は寛大な方でございました。私は、嬉しゅうございます」

/ ,' 3 「いいからゆけ。余はそちの顔なぞもう見たくもないわ」

ζ(^ー^*ζ「王様、誠にありがとうございます。私は今宵の出来事を、生涯忘れることはないでしょう」

/ ,' 3 「同じことを何度言わすか。余は疲れた、早う立ち去らぬか、馬鹿者め」

ζ(゚ー゚*ζ「はい。では……」

/ ,' 3 「……」

senya3.jpg


 
 
459 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ:2010/04/20(火) 02:26:05 発信元:59.135.38.141
―――

ζ(゚ー゚*ζ「はぁ……」

(´・ω・`)「おぉ、娘よ。無事だったか!」

ζ(゚ー゚*ζ「はい、なんとか……」

(´・ω・`)「大丈夫か? 何か、酷く憔悴しているようじゃが」

ζ(゚ー゚*ζ「何でもございません。ただ、今宵は少し、王とのお話に疲れただけでございます」

(´・ω・`)「お前が昨日、ただではすまぬようなことを言っておったゆえ、ひやひやしながら帰りを待っていたところだ」

ζ(゚ー゚*ζ「申し訳ありませぬ。ですが、恐らくはあと少しで、王様を説得ことと思います。それまでどうか、ご辛抱を…」

(´・ω・`)「もう良い、そのように無理をするな。今宵のように憔悴するお前を見るのは、私には耐えられん」

ζ(゚ー゚*ζ「無理などはしておりませぬ。それに、今のこの機会を逃せば、王は闇の淵に立ったまま行き場を無くすことにもなりかねませぬ」

(´・ω・`)「それならば良いが。すまぬなぁ、娘であるお前にこのような大事を押し付けて」

ζ(゚ー゚*ζ「私は平気です。王のため、国のため、そして他ならぬ私自身のためですもの」

(´・ω・`)「……そうか」

ζ(゚ー゚*ζ「それではお父様、おやすみなさいませ」

(´-ω-`)「うむ……」



460 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ:2010/04/20(火) 02:29:02 発信元:59.135.38.149
翌朝…

ζ( ー *ζ「おはようございます、お父様……」

(;´・ω・`)「うむ、おはよう……うぉ!? お前、どうしたのじゃ、その顔は!!」

ζ( ー *ζ「みっともないところをお見せして、申し訳ございません。昨夜は何故か涙が止まらず、一晩中泣き明かしておりました」

(´・ω・`)「それは、王とのことが原因であるのか?」

ζ( ー *ζ「それは分かりませぬ。この命が今もあることが嬉しかったのか、王に兆しが見え始めたことが嬉しかったのか……」

(;´-ω-`)「私としたことが、配慮が足りなかったな。娘であるお前がそこまで思い詰めて

   いたとも知らず、王が大人しくしていることをただ喜んでおった」

ζ( ー *ζ「お父様がお悩みになることはございません。けれど、このような顔を王様の前に晒しては、それこそお父様の恥となりましょう」

ζ( ー *ζ「お手数ですが、今宵の語らいには行けないと、王にこと使っていただけないでしょうか」

(´・ω・`)「そのくらいでお前の気が休まるのなら、いくらでもこと使ってやろう」

ζ( ー *ζ「ありがとうございます。それともう一つ……」

(´・ω・`)「なんだ?」



461 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ:2010/04/20(火) 02:31:09 発信元:59.135.38.142
―――

/ ,' 3 「……」

(´・ω・`)「王様、失礼致します」

/ ,' 3 「誰じゃ」

(´・ω・`)「大臣でございます。少々お耳に入れたいことがあるのですが、よろしいでしょうか」

/ ,' 3 「勝手にせい」

(´・ω・`)「はっ、では……」

/ ,' 3 「何じゃ。些末事ならば貴様一人で対処せよと言っておったはずだが?」

(´・ω・`)「はい、それはもう。ですが私の用事は、我が娘のことでありまして」

/ ,' 3 「何?」

(´・ω・`)「実は、娘めが昨夜少々顔を腫らしまして。王の御前にみっともなき

  顔を晒すことを恥じ、今宵の語らいはお休みさせてほしいと……」

/ ,' 3 「知ったことか。余もあやつの顔なぞ見たくないと思うていたところじゃ」

(;´・ω・`)「それはそれは……」



463 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ:2010/04/20(火) 02:35:16 発信元:59.135.38.148
/ ,' 3 「貴様にも言うておくが、貴様の娘は不遜が過ぎるぞ」

/ ,' 3 「余へ向けて行いを省みよと言うのみならず、果ては唯一絶対なるアッラーまでも否定する始末」

(;´・ω・`)「そのようなことが……誠、申し訳ございません。それも全ては、私の教育の至らなさにございます」

/ ,' 3 「神への冒涜なぞ、本来ならば極刑をも免れえぬところだが、何故か昨夜は剣を降り下ろすことが出来なんだ」

(;´・ω・`)「はぁ…作用でございましたか…」

/ ,' 3 「娘へ言うておけ。昨夜のような気紛れ、今後も起こすと思うなとな」

(´・ω・`)「はい、きつく申しつけておきまする」

/ ,' 3 「分かったならば、もう貴様に用はない。帰れ」

(´・ω・`)「はい、ですがもう一つ娘より言伝てが……」

/ ,' 3 「何じゃ」

(´・ω・`)「本来なら娘が王へ語るはずだった物語を、今日は私から語ってほしいと頼まれまして」

/ ,' 3 「なんだと?」

(´・ω・`)「それが済みましたら、私もすぐさま退散致しますゆえ」

/ ,' 3 「親子共々、奇特なことよ。そんなに自らの命を粗末に扱いたいのか?」

(;´・ω・`)(私もそう思います…)



464 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ:2010/04/20(火) 02:39:06 発信元:59.135.38.141
/ ,' 3 「そちが何のつもりかは知らぬが、娘と同じようにつまらぬ話をすれば命はないぞ」

(´・ω・`)「は、はい。それでは失礼して……」

(´・ω・`)「私が娘から聞きましたのは、王が気にしておりました剣の娘の話であるとか」

/ ,' 3 「なんだと? それを早く言わぬか。余もその話の続きが気になっておったのだ」

(;´・ω・`)「は、はぁ……しかしながら娘が言うには、王へ語った話の娘と、私へ語った話の娘は違うそうなのです」

/ ,' 3 「何を申す。あのような奇っ怪な娘が、そうそう居てたまるものか」

(´・ω・`)「それがそうでもないようなのです」

(´・ω・`)「娘の夢に見たる国では、剣のような尖った言葉を持った娘は

   ごまんといるそうな。これはその内の一人とお思いくださいと、娘から」

/ ,' 3 「つまりは、似た性格の別人ということではないか。つまらん」

(;´・ω・`)「い、いやいや王様、どうかそうお気を悪くせず。お気に召すかどうかは

   分かりませぬが、決してつまらないなどということはありませぬゆえ」

/ ,' 3 「保身に必死か。そのように焦らずとも、貴様が語り終わるまでは殺したりはせぬわ」

(;´・ω・`)「は、はい……(語り終えた後の命は保証しないと言われた気がする)」



465 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ:2010/04/20(火) 02:41:26 発信元:59.135.38.149
【ツンデレに真実薬】

(´・ω・`)「では、失礼して……」

/ ,' 3 「うむ」

(´・ω・`)「そもそも剣の娘というのは、惚れた男児の前で素直になれず、厳しい言葉や態度を取ってしまう娘のことを言うとか」

/ ,' 3 「そのくらいは知っておる」

(´・ω・`)「では、そのような娘がもしも真実しか喋れなくなったらどうなるでしょうか」

/ ,' 3 「むぅ……それは、むしろ万々歳なのではないか? 己が好意を偽りなく伝えられるのなら、無用な苦しみも減ろうが」

(´・ω・`)「いやはやそれが、素直になったところで頑なな生来の性格は変わらず、ますます照れるばかりなのでございます」

/ ,' 3 「何? それでは正直になったところで何も変わらぬではないか」

(´・ω・`)「しかし、相手の男児にはちゃんと好意は伝わっております。その者も、それを分かって娘に接しているのですよ」

/ ,' 3 「むぅ……なんと言うべきか、懐の深い男よの」

(´・ω・`)「それに、相手に思いが伝わるを照れるなぞ、実に初々しく可愛らしいではありませぬか」

/ ,' 3 「そうか? 余にはそのような娘、もどかしくて全身がかゆくなるわ」

(´-ω-`)「それは王が王族だからでございましょう。平民の恋慕は、王とは違い常に相手ありきでございますからなぁ」



466 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ:2010/04/20(火) 02:44:23 発信元:59.135.38.150
/ ,' 3 「しかし、嘘がつけぬというのはある種便利ではあるな」

(´・ω・`)「と、言いますと?」

/ ,' 3 「決まっておろう。嘘さえつかねば、人は人を裏切ることも、謀ることもなかろうからな」

(´・ω・`)「あの……それはもしや、お妃様のことを言っておられるのでしょうか?」

/ ,' 3 「だからどうした。よもや貴様まで、余に説教しようなどとは思っていまいな?」

(;´・ω・`)「そ、そのようなつもりは……」

/ ,' 3 「確かに、貴様の話は興味深かった。だが、今の話は余へも素直になれと言っておるようで鼻につくわ」

(;´・ω・`)「も、申し訳ありません」

/ ,' 3 「謝る暇があるなら早う部屋から出ていってはどうだ。貴様の首が胴から離れぬうちにな」

(;´・ω・`)「で、では、長々と失礼をばいたしました」

/ ,' 3 「……ふん。おどおどしい狸めが、娘に入れ知恵されおったか」



468 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ:2010/04/20(火) 03:00:13 発信元:59.135.38.150
―――

(;´-ω-`)「はぁ……ただいま帰ったぞ」

ζ(゚ー゚*ζ「お帰りなさいませ。その様子からすると、王に私の言った話をして下さったようですね」

(;´・ω・`)「全く、生きた心地がしなかったぞ。お前が大丈夫というから平時と変わらぬよう

   話したが、それでもいつ何時、王の逆鱗に触れるかとビクビクし通しであったわ」

ζ(゚ー゚*ζ「王は私の話へ好奇心を抱いているようでしたので、それを話すとなれば過ちを犯すはずがありませんわ」

(;´・ω・`)「お前、毎日毎日あの緊張感に包まれて、本当に平気なのであろうな?」

ζ(゚ー゚*ζ「はい。むしろ私は、王へお話しさせていただくあの時間が、楽しみで仕方ないのです」

(´・ω・`)「むぅ……我が娘ながら、変わった感性の持ち主よ」

ζ(゚ー゚*ζ「明日の夜は、私がきちんと出向きますゆえ、ご心配なく」

(´・ω・`)「うむ、娘よ。頼んだぞ」






469 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ:2010/04/20(火) 03:02:03 発信元:59.135.38.150
さるくらってました。これで今回の投下は終わりです
もっとコンスタントに投下出来るようになりたいな…

・参考新ジャンル
新ジャンル「ツンデレに真実薬」http://gxc.google.com/gwt/x?client=ms-kddi_blended-jp&wsc=tc&wsi=9cb56b72141e67be&u=http%3A%2F%2Fnanabatu.web.fc2.com/new_genre/tun_dere_truth.html&ei=epfMS6HZI5zAsAK-jdizCQ


 
 ↓※4/21更新分

 
504 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ 1/17:2010/04/20(火) 22:18:02 発信元:59.135.38.142
ζ(゚ー゚*ζ「失礼致します」

/ ,' 3 「……」

ζ(゚ー゚*ζ「昨夜は大変失礼いたしました。本来ならば手打ちにされても仕方なきところ、王の寛大な処置に感謝の言葉もございません」

/ ,' 3 「形式ばった挨拶なぞ良い。それにあそこまで余を痛罵しておきながら、感謝も何もあるまいに」

ζ(゚ー゚*ζ「誠に申し訳ございません。ですが、王の寛大さに感激したことは、偽りではございませぬ」

/ ,' 3 「たわけが、おべっかなぞ聞きたくもないわ」

ζ(゚ー゚*ζ「お怒りも当然のことと存じます。私めへ罰を与えるなら、甘んじて受け止めましょう」

/ ,' 3 「昨日までより嫌に殊勝だな。何やら気味が悪いわ」

ζ(゚ー゚*ζ「はい。私の申したいことは、全て申しましたゆえ」

/ ,' 3 「申したいこととな?」

ζ(゚ー゚*ζ「そうでございます。王が優しき王へ戻ろうとしている今、私の存在などもはや微々たるもの」

ζ(゚ー゚*ζ「ゆえに私は、どのような懲罰も恐ろしくはないのでございます」

/ ,' 3 「またぞろその話か。口では感謝を示しながら、心の内ではやはり罰せられると思っておるではないか」

ζ(゚ー゚*ζ「言われてみれば。これは失言にございました」

/ ,' 3 「心配せずとも、そちを罰するような真似はせぬ。その代わり、今宵はまず余の質問に答えてもらおう」



505 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ 2/17:2010/04/20(火) 22:20:32 発信元:59.135.38.148
ζ(゚ー゚*ζ「質問、でございますか? 私に答えられることならば、何なりとお尋ねください」


/ ,' 3 「うむ。余が尋ねたかったのは、昨夜の貴様の言動についてだ」

ζ(゚ー゚*ζ「私めが、何かおかしなことを申しましたでしょうか?」

/ ,' 3 「おかしいと言うなら全てがおかしいが、余が気になったのは刃を向けた時の貴様の言葉」

/ ,' 3 「貴様は、死した後アッラーの元へは行かず、天の星になるとかなんとか言うておったな」

/ ,' 3 「そしてまた、己も己の語る娘の内の一人である、とも」

/ ,' 3 「余にはその言葉の示すところが分からぬ。一体貴様は何を思ってアッラーを

    否定し、実在せぬ夢の娘と己を重ね合わせるのか、嘘偽りなく答えてみよ」

ζ(゚ー゚*ζ「はい……と言いたいところなのですが、実を申しますと、私も未だその答えを見つけていないのです」

/ ,' 3 「何?」



508 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ 3/17:2010/04/20(火) 22:22:30 発信元:59.135.38.143
/ ,' 3 「どういうことだ? よもや、命が助かりたいがために口から出任せを喋ったのか」

ζ(゚ー゚*ζ「そうではございません。その問の答えは、私が全ての娘の物語を語った先にあるのです」

/ ,' 3 「では、なぜあの時お前はそのようなことを口走った?」

ζ(゚ー゚*ζ「さて、それはなぜでしょうか。予感めいたものなのか、もしくは夢の娘が私にそう言わせたのか」

ζ(゚ー゚*ζ「ともあれ今の私に出来ることは、娘の楽しげな話を語り、王の耳を楽しませることだけでございます」

ζ(゚ー゚*ζ「それが叶わなければ、私が王の御前に立つ意味もなくなりましょう」

/ ,' 3 「さても、不可思議な話よ。まるで余は悪霊に翻弄させられておるようだ」

ζ(゚ー゚*ζ「私は悪霊でございますか。それは考えたことのない発想でございました」



510 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ 4/17:2010/04/20(火) 22:24:55 発信元:59.135.38.147
ζ(゚ー゚*ζ「ならば私は、私が悪霊になどとり憑かれていないという証明をしてご覧に入れましょう」

/ ,' 3 「どのようにそれを証明すると申すか。そちは呪い師でも何でもあるまいに」

ζ(゚ー゚*ζ「では王様、私の手をお取り下さいませ」

/ ,' 3 「む……こうか?」

ζ(゚ー゚*ζ「はい、ようございます。王様、私の手は、温かいでしょうか、それとも冷たいでしょうか?」

/ ,' 3 「このような温暖な気候の夜に、手が冷たくなるはずがなかろう」

ζ(゚ー゚*ζ「そうでございますね。では、悪霊に憑かれた者が、果たしてこのように温かい手をしているものでしょうか?」

/ ,' 3 「それは……まず、なかろうな」

ζ(^ー^*ζ「左様でございましょう。王様の手も、どれ程冷たいふりをなさっても、温かでございますよ」

/ ,' 3 「……ふん」



511 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ 5/17:2010/04/20(火) 22:28:49 発信元:59.135.38.144
【素直HOT】

ζ(゚ー゚*ζ「そういえば、私の夢の娘にも、このような温かな手をした娘がおりました」

/ ,' 3 「そのようなもの、取り立てて騒ぐようなことでもあるまい。血の通った人ならば大抵温かな手をしておるわ」

ζ(゚ー゚*ζ「いいえ。それは比喩的な意味ではなく、読んで字の如く人より体温が高いのでございます」

/ ,' 3 「何じゃ、その娘は体でも壊しておるのか?」

ζ(゚ー゚*ζ「それも違います。その娘の体温は、病の時に発する熱とも違い、長く触れていると火膨れを起こすほどの高さなのです」

/ ,' 3 「ぬぅ……そのような娘がおるとするなら、それこそまさに悪霊ではないか」

ζ(゚ー゚*ζ「しかし、その娘は、冷たく冷えた殿方を己の温かさで温めようとしておりました」

ζ(゚ー゚*ζ「これは、一見負の価値しか見出だせないような事柄であっても、

      使い方次第では人のためになるということを示しているとは思いませんか?」

/ ,' 3 「ふむ。そう思うと何やら余まで、暑くなってきたような気がするな」

ζ(゚ー゚*ζ「では次は、正真正銘の幽鬼のお話でもしましょうか」

/ ,' 3 「何?」

ζ(゚ー゚*ζ「と言いましても、恐ろしげなところなぞ何一つない霊ではございますが…」



513 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ 6/17:2010/04/20(火) 22:32:23 発信元:59.135.38.150
【元気な憑依霊】

ζ(゚ー゚*ζ「その霊は、殿方に憑き纏いたる娘の幽霊なのでございます」

/ ,' 3 「そのような娘がおるとは、にわかには信じがたいな」

ζ(゚ー゚*ζ「おりますとも。それも、死してなお有り余る生気を迸らせる、気のよい娘の霊でございました」

/ ,' 3 「馬鹿な。死者が生者と、同じように振る舞えるはずがあるまい」

ζ(゚ー゚*ζ「それは、我々の常識の範疇。あちらでは、死霊が生者と遊ぶことさえ可能なのです」

/ ,' 3 「ぬぅ……」

ζ(゚ー゚*ζ「娘はまるで死者ということを感じさせず、殿方と共に日々を楽しく過ごしておりました」

ζ(゚ー゚*ζ「死者の娘でさえ思いを成就させてしまうあちらの世界は、素敵な場所だとは思いませぬか?」

/ ,' 3 「それは、どこか恐ろしげでもあるな。余は例え愛した娘であっても、死した後まで一緒でありたいとは思わぬ」

ζ(゚ー゚*ζ「私は、死した後であっても、王の傍らに立ち娘らの話を語らいたく思いますが」

/ ,' 3 「ふん、そのようなことをすれば、それこそそちは悪霊ではないか」

ζ(゚ー゚*ζ「ですが、志半ばで散るも人の世の常。なればこそ、死した後に残した者を案ずるも、人の努めではないでしょうか」

ζ(゚ー゚*ζ「無論それは、王自身がそれを望めばの話でございますが」

/ ,' 3 「余からすればそれは、余計なお節介に他ならぬわ」



515 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ 7/17:2010/04/20(火) 22:35:36 発信元:59.135.38.143
/ ,' 3 「さっきから聞いていれば、そちの語り口は余への当てつけにも聞こえるわ」

/ ,' 3 「もしや、昨日の妃と娘とのことへ、暗に釘を刺しておる訳ではあるまいな」

ζ(゚ー゚*ζ「そのようなはずがありませぬ。それに、私が悪霊のようだと言ったのは、王が最初でございますわ」

/ ,' 3 「ぬ……それは、そうだったかも知れぬが」

ζ(゚ー゚*ζ「もしも私のお話が気にかかったのなら、それは王自身がお妃様と娘らのことを気にかけているからに相違ございません」

ζ(^ー^*ζ「王はやはり、私の確信した通り、優しき王でございました。私は嬉しゅうございます」

/ ,' 3 「そのようなことを言っておきながら、腹の中では余が本当に墓を作るなどとは思っていないのだろう。違うか?」

ζ(゚ー゚*ζ「いいえ。私は王の御心と、この温かな手を信じておりますゆえ」

/ ,' 3 「いつまで人の手を握っておる。さっさと離さぬか」

ζ(゚ー゚*ζ「申し訳ありませぬ。それでは、切りも良いようですので、今宵はこの辺でおいとまさせていただきます」

/ ,' 3 「ぬ、そうか……」

ζ(゚ー゚*ζ「それでは王様、お休みなさいませ」

/ ,' 3 「……」



516 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ 8/17:2010/04/20(火) 22:39:34 発信元:59.135.38.143
―――翌、昼間

/ ,' 3 「……」

(´・ω・`)「王様、お呼びでしょうか」

/ ,' 3 「うむ……ちと、な」

(´・ω・`)「何やら考え深げなご様子ですが、もしや私の娘が昨晩王様に粗相を致したのでは……」

/ ,' 3 「いや、違う。今日は貴様に尋ねたいことがあって呼んだのだ」

(´・ω・`)「は。尋ねたいことでございますか? 執務の方は滞りなく進んでおりますが」

/ ,' 3 「そうではない。貴様は余の質問に、忌憚なき意見を述べればよいのだ」

(;´・ω・`)「は、はい」

/ ,' 3 「では、尋ねるが……余は、余のしたことは、間違っていたか?」

(;´・ω・`)「は……?」

/ ,' 3 「間抜けた顔を晒すでない。貴様は何度『は』と言えば気が済むのだ」

(;´・ω・`)「し、しかし、あまりにも唐突な質問でしたので……王のしたこととは、例のあのことでございますよね……?」

/ ,' 3 「そうだ。あの件に関しては事の全てを知っているのは貴様と余しかおらぬのだ。貴様に是非を尋ねるのは当然であろうが」

(;´・ω・`)「それはそうでございますが……」



517 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/04/20(火) 22:40:40 発信元:124.146.175.104
いいね


522 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ 9/17:2010/04/20(火) 23:00:41 発信元:59.135.38.145
/ ,' 3 「して、貴様はどう思う。余が妃を殺し腹いせに娘をも殺したこと、是と言うか非と言うか」

(;´・ω・`)「し、失礼ながら、私には少々荷の重い問題かと……」

/ ,' 3 「貴様も片棒を担いでいるのだ。まさか、知らぬ存ぜぬで通しきれるはずがあるまい」

(;´-ω-`)「……さすれば、お答え申し上げまする」

(´・ω・`)「お妃様が亡くなられた後、砂漠の果てへ亡骸を捨てましたのは私の仕事」

(´・ω・`)「そして、毎夜ごとに王様へ献上する娘を探しだすのも私の仕事」

(´・ω・`)「そのいずれもが、正直に言って私には大変な痛苦でございました。

     我が娘が名乗りを上げなければ、それは今も続いていましょう」

(´・ω・`)「その私の苦痛を思えば、いかに王様と言えどあの行為を是とする訳には、やはりいかないでしょう」

/ ,' 3 「……」

(;´・ω・`)(しまった。今少し言葉を選ぶべきだったか……?)

/ ,' 3 「…ふん、貴様らしい自分本意な意見だな。だが、分かった。貴様の言で決心がついた」

(;´・ω・`)「と、申しますと?」

/ ,' 3 「これより、妃と娘らのために墓を作る。早急に取りかかるのだ」

(;´・ω・`)「なっ…!?」



523 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/04/20(火) 23:02:05 発信元:121.2.98.95
ktkr


524 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ 10/17:2010/04/20(火) 23:04:14 発信元:59.135.38.141
(;´・ω・`)「正気でございますか!? そんなことをすれば、国民に王の凶行を知らしめることになるのですぞ!?」

/ ,' 3 「承知の上だ。それとも貴様は、この期に及んでまだ自身の身が心配か?」

(;´・ω・`)「私はどうなっても構いませぬ。ですが、この国の象徴たる王の権威が崩壊すれば、たちまちに国は滅びまするぞ!」

/ ,' 3 「何のための、誰の墓であるかは明かさねば良かろうが。それにこれは元々、貴様の娘の出した案であるぞ」

(;´゚ω゚`)「は、はぁ!?」

/ ,' 3 「やはり知らなんだか。あの娘、余へ向かって妃と娘らをないがしろにするなと言うてきた」

/ ,' 3 「その為に、墓を作って皆を弔え、と。その行為はいずれ余自身をも救うだろう、と」

/ ,' 3 「その言葉にほだされた訳ではないが、預言者めいた娘の台詞には少々感じ入るところもあったのでな」

/ ,' 3 「貴様がもし余のしでかした行為を非としたならば、その台詞に乗ってみるも一興かと思うただけよ」

(;´・ω・`)「なんと……たった三晩でそのような心変わりをなされるとは……」

/ ,' 3 「貴様の娘は、つくづくおかしな娘よの。そしてそれに興味を抱く余もまた、大した好き者だったという訳だ」



526 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ 11/17:2010/04/20(火) 23:08:50 発信元:59.135.38.141
(´・ω・`)「なれば、取り急ぎ人足を集め仕事に取りかかりましょう。王命とあらば、ゆるりとする暇もありますまい」

/ ,' 3 「うむ、頼んだぞ。大臣よ」

(´・ω・`)「ははっ。畏まりましてございます」

―――

(;´・ω・`)「ああ、忙しい忙しい」

ζ(゚ー゚*ζ「あら、お父様。そのようにお急ぎになられて、一体どうしたのですか?」

(´・ω・`)「おぉ、娘よ! お前はよくやってくれた」

ζ(゚ー゚*ζ「私が、何か致しましたでしょうか」

(´・ω・`)「たった今、王からの勅命で、お妃様と娘らへ墓を作るようお達しがあったのだ」

ζ(゚ヮ゚*ζ「まぁ! それは真にございますか?」

(´・ω・`)「おぉ、真であるとも。聞けばこの案はお前が提案したとのこと。全てはお前の影働きの成果であろう」

(´・ω・`)「この難事、よくぞこなしてくれた。父としてお前を誇りに思うぞ」

ζ(゚ー゚*ζ「私は、王の傍らで語らうただけでございます。真に称賛されるべきは、優しき気性を取り戻して下すった王にございましょう」

(´-ω-`)「謙遜なぞしなくてもよい。いずれにせよ、お前がいなければ王があそこまで決心することはなかったのだから」



528 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ 12/17:2010/04/20(火) 23:12:33 発信元:59.135.38.149
ζ(^ヮ^*ζ「あぁ、それにしてもなんと素晴らしいこと! 叶うならば今すぐ王へ謁見して、感謝を述べたいほど」

ζ(゚ー゚*ζ「お父様、せめて一言交わすだけでも構いませんので、王のお顔を拝見することは出来ませんでしょうか」

(´-ω-`)「む……まぁ、その程度であれば良かろう。仮にもお前は、影の功労者な訳だからな」

ζ(^ー^*ζ「ありがとうございます、お父様」

(´・ω・`)「ただし、いつもの夜伽と違い、執務の最中であるということを努々忘れるでないぞ」

ζ(゚ー゚*ζ「はい。それでは行って参ります」

(´・ω・`)「……あのようにはしゃぐ娘の姿、初めて見たな」

―――

ζ(゚ー゚*ζ「失礼致します」

/ ,' 3 「誰だ、余はただいま執政の最中である。用向きがあるなら戸の外から要件を述べよ」

ζ(゚ー゚*ζ「王様、私でございます。大臣が娘にございます」

/ ,' 3 「何だ、そちか。このような明るい時間に、まさか夜伽でもあるまいに、一体いかなる用で来た?」

ζ(゚ー゚*ζ「はい。先ほど我が父と少し話を致しまして、王がお妃様と娘らの為にお墓を

      作るようご命令なされたと聞きましたので、ここに参じた次第にございます」

/ ,' 3 「あのおしゃべりめが……なぜ秘匿に事を進めることが出来ぬのだ」



530 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ 13/17:2010/04/20(火) 23:18:38 発信元:59.135.38.144
ζ(゚ー゚*ζ「娘である私に口を滑らせたのは、私にも関係のある話だったからでございましょう。どうかお父様を叱らないで下さいまし」

/ ,' 3 「あやつのおしゃべり癖は昔からよう知っておる。大臣としてはいかがなものかとは思うが、叱りなぞせぬから安心せい」

ζ(゚ー゚*ζ「左様でございましたか……。あぁ、それにしても私は感激致しております。王様がまさか、ここまで早く墓碑作りに取りかかって下さるとは」

/ ,' 3 「まるで余を、血も涙もない者とでも思っていたかのような口振りだな」

ζ(゚ー゚*ζ「いいえ、私は信じておりました。王は必ずや寛大な心を持って、改心して下さると」

/ ,' 3 「改心なぞしておらん。ただ、いかに余が国の音頭を取る要と言っても、妃や娘らの霊に祟られてはいかんともし難いからな」

ζ(^ー^*ζ「そのようなことをおっしゃらずに。私にはまるで、この扉越しに王の照れたお顔が見えるようですわ」

/ ,' 3 「なっ……ぶ、無礼者! 少しはわきまえた発言をせぬか!!」

ζ(゚ー゚*ζ「申し訳ありませぬ。でしたら、非礼を詫びる変わりにまた一つ、お話をさせて頂きたいのですが、いかがでしょう」

/ ,' 3 「何じゃ、またそちの夢の話か? こんな昼間に夢を語るとは、酔狂にも程があるぞ」

ζ(゚ー゚*ζ「では、また今宵、出直した方がよろしいですね」

/ ,' 3 「……いや、良い。よくよく考えれば、昼間語るも夜語るも同じこと。ならば部屋へ入り、足を伸ばしながら寛いで語るが良い」

ζ(゚ー゚*ζ「そのお心遣い、感謝致します。ですが、この話だけはこのままの方が、雰囲気が出て良いかもしれません」

/ ,' 3 「なにやら、また奇っ怪な話が聞けそうな趣だな」

ζ(゚ー゚*ζ「奇っ怪という程のことはありませぬが、少々特殊な状況下にある男女のお話ではあるやもしれませぬ」



532 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ 14/17:2010/04/20(火) 23:21:21 発信元:59.135.38.150
【壁越し】

/ ,' 3 「何じゃ、それは。あまり余に気を持たせるでない」

ζ(゚ー゚*ζ「はい。その男女の間には、ちょうど今の私と王様のように、二人を分かち隔てる壁がございました」

/ ,' 3 「むぅ、それは何故だ。その二人は何かしでかして、閉じ込められてでもいるのか」

ζ(゚ー゚*ζ「いいえ。その二人には友がおらず、常に一人きりで個室に籠っていたのでございます」

/ ,' 3 「それは随分と女々しい話だな。片方は男児であろうに、情けない」

ζ(゚ー゚*ζ「皆が皆、王のように猛々しい訳ではございませぬ。それに、個室で泣いている

      娘にその殿方が気付き、二人は次第に交流を持つようになっていったのです」

/ ,' 3 「ほう……」

ζ(゚ー゚*ζ「とはいえ、互いにはぐれ者の身ゆえ、話も弾もうはずがございません」

/ ,' 3 「さもありなん、といったところだな。まるでありありと情景が浮かぶようだ」

ζ(゚ー゚*ζ「しかし、それはそれで二人は救われていたのでしょう。同じような

      境遇の者が二人いれば、言葉は交わさずとも心の内は汲み取れるものです」

/ ,' 3 「弱い者同士が、傷を舐めあって何になろう」

ζ(゚ー゚*ζ「そうは仰いますが、孤独の内に傷ついた者を救えるのは、同じ孤独を味わったことのある者だけではないでしょうか」



533 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ 15/17:2010/04/20(火) 23:24:32 発信元:59.135.38.142
ζ(゚ー゚*ζ「それに、私にはこのお二方の孤独が他人事のように思えないのです」

/ ,' 3 「来たぞ、余への説教が。貴様は遠い異国の地の話をすると見せかけて、すぐ余に何がしか含みを持たせようとするからな」

ζ(゚ー゚*ζ「あら、これはとんだご無礼を。王がこの話を不快に思うようなら、お止め致しますが」

/ ,' 3 「良い、今のはただの戯れ言だ。三日も続けて聞いていると、貴様がどのように余へ向けて説教するかが、逆に楽しみに思えてくるわ」

ζ(゚ー゚*ζ「説教などではありませぬ。ただ、娘らの話を言葉にすると、時たまこの世の真実のようなものを見つけることがあるだけなのです」

/ ,' 3 「ふふん、この世の真実と来たか。では、その二人から見えた真実とは如何様

    なものか。そして貴様が他人事とは思えぬという孤独とは何か、話してみせよ」

ζ(゚ー゚*ζ「はい。それは、人としての根元の孤独、己は己以外の者にはなれぬという孤独でございます」

/ ,' 3 「それは、一体どういったものなのだ。説明してみせよ」

ζ(゚ー゚*ζ「それは、王は王にしかなれず、また私も私にしかなれないという孤独のことでございます」

/ ,' 3 「それは、言うまでもない至極当然のことではないのか?」

ζ(゚ー゚*ζ「当然であるがゆえに不可避で、また当然であるがゆえに真実なのです」



537 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ 16/17:2010/04/20(火) 23:29:23 発信元:59.135.38.150
ζ(゚ー゚*ζ「人の心というものは、人が人である限り決して交わることはありませぬ」

/ ,' 3 「嫌にはっきりと断定するな。確かに人の本心がどこにあるかなぞ、分からぬものではあるが」

ζ(゚ー゚*ζ「それでも人は、このお二方のように、人と手を取り合わずにはいられない生き物なのです」

ζ(゚ー゚*ζ「亡くなった娘らへ墓を作るという行為も、それに似ているのではないでしょうか」

/ ,' 3 「……」

ζ(゚ー゚*ζ「王がおっしゃられたように、最初の動機は己のためでよいと思うのです」

ζ(゚ー゚*ζ「私の話しましたこの男女も、始まりは孤独な己を癒すために、互いに声を掛けていたに過ぎないのですから」

ζ(゚ー゚*ζ「しかし、この二人は徐々に涙する互いを慈しみ、壁を乗り越えようとするようになっていったのです」

ζ(゚ー゚*ζ「墓碑を作るという行為もそれと同じ。死者の心が我々生者と交わらぬ以上、最初は王の言う通り災いを

      避けるために作ったものでも、じきに亡くなられた方への弔意を示すものへと成り変わるはずでございます」

ζ(゚ー゚*ζ「私が以前申しました王自身を救うという言葉は、そういう意味なのです」

ζ(゚ー゚*ζ「殺めたる命は戻っては来ませぬが、ならばせめて、その方を一生涯忘れぬよう、いつまでも己の心にとどめておかねばならない」

ζ(゚ー゚*ζ「それが、生者が死者へ対して出来るせめてもの誠意なのではないかと、私は思います」

/ ,' 3 「やはり最終的には、余に対する説教になったではないか」

ζ(゚ー゚*ζ「そのようなつもりはなかったのですが……もしも機嫌を損ねましたのなら、どうかお許し下さいまし」



538 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ 17/17:2010/04/20(火) 23:32:31 発信元:59.135.38.150
/ ,' 3 「謝る必要はない。余とて別段怒ってはおらぬ」

ζ(゚ー゚*ζ「ありがとうございます。そのお言葉で、私も救われた思いでございます」

/ ,' 3 「余としたことが、政務もそっちのけで聞き入ってしまったわ」

ζ(゚ー゚*ζ「私も、長々と失礼致しました。続きはまた、今宵王のお部屋でお話しましょう」

/ ,' 3 「うむ。では、余も貴様の話を楽しみに待つことにしよう」

ζ(゚ー゚*ζ「え…? 王様。今、なんと?」

/ ,' 3 「改めて聞き直すでない。貴様の話には期待していると言っただけだ」

ζ(^ー^*ζ「初めて私の話を、楽しみだと言って下さいましたね。私は嬉しゅうございます」

/ ,' 3 「単なる言葉の綾だ。真に受けるでない」

ζ(゚ー゚*ζ「申し訳ありませんが、その言葉は聞き入れられませぬ。私も、王にお話するのが楽しみで仕方ありませぬゆえ」

/ ,' 3 「一時は殺されかけたというのに、そちはずいぶん豪胆な娘だな」

ζ(^ー^*ζ「うふふ……それでは、また今宵、娘ら共々お会いしに来ます」

/ ,' 3 「……うむ」





541 :/ ,' 3 新ジャンル千夜一夜のようですζ(゚ー゚*ζ:2010/04/20(火) 23:44:28 発信元:59.135.38.145
今回投下分終了です。支援感謝

途中さるくらったのに間を置かず投下しようとしたせいで、えらく遅くなってすんませんでした

・関連新ジャンル一覧

・素直HOT http://www18.atwiki.jp/takaharu/m/pages/3335.html?guid=on

・元気な憑依霊 http://hebiya.blog40.fc2.com/?mode=m&no=1821

・壁越し http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/kabe.html

ちなみに、関連新ジャンル一覧は自分が見やすいところから参考にしてるだけなんで
ググれば他にもまとめてあるサイトがあるかもしれません

それではまた、近いうちに


 
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