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540 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 22:04:49 発信元:219.160.193.199

(・∀・)(今度のは完璧だ。文句は付けさせない!)

マタンキエフには自信があった。

彼が向かう先は、ブーン系小説総合案内所。
ヴィップグラードの雑居ビル3階にある事務所だ。
ここでは、ブーン系小説の新人発掘、批評、会誌の
発行などを行っている。

だが、ここのところは斜陽気味で、持ち込みを行う新人は
彼ぐらいになってしまった。

しかし彼は燃えていた。彼には倒すべき敵がいた。

それは、偏屈な編集長である。

彼が編集長と出会ってから一年くらいになる。


542 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 22:08:34 発信元:219.160.193.199
一年前のその日、マタンキエフは希望と期待に
胸を膨らませて案内所に向かった。

勢いよくノックした。
「入れ」と言われ、ドアを開けた。

夕暮れの窓をみながら、一人の男が立っている。
だが返事はなく、振り向きもしなかった。

(,, )「なんだ、ツケの請求か。明日にしてくれないか。
    無いものはないんだ」

(・∀・)「いえ、..........あの原稿の持ち込みを」

(,, )「そんな信販会社は知らん」

(・∀・)「いや、自分なりにいい作品が出来たんで、批評、
    あわよくば掲載なんて思いまして」

そこで男は我に帰って振り向いた。背の低い中年男。
どうやら彼が編集長らしい。



546 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 22:10:49 発信元:219.160.193.199
(,,゚Д゚)「何? ひょっとしてお前は、ブーン系小説を書いてきた、
    とでもいうのか?」

(・∀・;)「いや、そういうとこでしょ、ここ」

(,,゚Д゚)「もう滅びかかってて、読む奴も書く奴もめっきり減った、
    そんなブーン系小説をか?」

マタンキエフはカチンと来た。

(#・∀・)「そんな言い草ないでしょ!
     まだまだ好きな人はいます!」

.....しかし彼は、自分と同時期の同人がほとんど
雲散霧消してしまった事を思い出した。

(・∀・)「少なくとも....僕はそうです」

(,,゚Д゚)「とんだ物好きだな。どれ、お前の自信作とやらを見せてみろ」
 
 
549 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 22:13:09 発信元:219.160.193.199
カツカツと歩み寄って、マタンキエフの手にあった原稿をむしり取った。
息が酒臭い。
かなり飲んでいるようだった。

編集長は一瞥してすぐに原稿を突き返した。

(,,゚Д゚)「ダメだ。ダメだ。お話にもならない」

(#・∀・)「ろくに読んでない癖して、そんな言い草ないでしょ!」

(,,゚Д゚)「読まなくたってわかる。じゃあ、聞くが、ブーン系で
    一番大事なのは何だと思う?」

(#・∀・)「AAキャラの持ち味を生かすことじゃないですか?次にプロットだ」

(,,゚Д゚)「俺もそう思う。そしてAAキャラの最大の個性は、勿論AAとネーミングだ」

(#・∀・)????


550 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 22:15:44 発信元:219.160.193.199
(,,゚Д゚) 「良くみてみろ...」



(・∀・;;;)「あーーーーー!」


痛恨のミスだった。ヒロインのツンを、デレと間違えて書いていたのだ。


(,,゚Д゚)「そんな初歩的なミスを犯す奴に、到底ろくなものがかけるとは思えん。
    批評の対象にすらならんな」

(#・∀・)「そ、それを直せばいいんでしょ」

(,,゚Д゚)「いんにゃ。書き出しの数行をみてみたが、どうも痛い。

    出直してこい。もっとも、お前の為を思って言うが、ブーン系小説なんぞに関わるな。
    もう終わりなんだ。もし、才能があるなら、他のジャンルで発揮しろ。
    
    もっともお前にはそれは感じられないがな」



553 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 22:18:26 発信元:219.160.193.199
マタンキエフは憤然として案内所のドアを後にした。
階段の踊り場に貼ってある、

「新人歓迎 いかなる時でもブーン系とその作者を応援する」

というポスターにパンチを喰らわせて出て行った。


(#・∀・)「あいつをギャフンと言わせてやる!」



そんな闘志が沸いてくるのであった。



556 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 22:20:54 発信元:219.160.193.199
それ以来、編集長との格闘が始まった。

書いては突き返され、書いては突き返されの
長い長いサイクルだ。

最初は、1ページ目を読んだところで突き返された。

でも改善を図るうちに、2ページ、3ページ、10ページと
読むページ数が増えていった。

批評の質も変わってきた。


560 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 22:24:13 発信元:219.160.193.199
最初の指摘は、小説以前の基本的な事柄だった。

(,,゚Д゚)「誤字脱字が多すぎる」
(,,゚Д゚)「文法がおかしい」
(,,゚Д゚)「つまらん」
(,,゚Д゚)「長すぎる」

そのうちに、内容に触れるような批評に変わってきた。

(,,゚Д゚)「興味が持続しない」
(,,゚Д゚)「バランスが悪い」
(,,゚Д゚)「時系列が曖昧だ」
(,,゚Д゚)「どこかで読んだことがある」
(,,゚Д゚)「動機が不明だ」
(,,゚Д゚)「関係性を明かにしろ」

そして、読み手を意識してものを書くようにとの批評になった。

(,,゚Д゚)「お前が伝えたい事をはっきりさせろ」
(,,゚Д゚)「読者のターゲットを絞れ」
(,,゚Д゚)「もうちょっと文章やエピソードに色気を出せ」



561 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/03/31(水) 22:25:45 発信元:121.2.98.95
ギコは出来る子、マタンキニコフもできる子


564 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 22:26:33 発信元:219.160.193.199
そしてついに今日を迎えた。

あれから一年間、彼は血の滲むような見参を積んだ。
今度のは完璧だ。あいつ見ていやがれ。

マタンキエフは鼻息荒く原稿を持ち込んだ。

編集長は最後のページまで読みきった。

(・∀・)「どうですか?」

(,,゚Д゚)「......俺はファンタジーは嫌いだ」

マタンキエフはガッツポーズをとった。
始めて自分の好き嫌いで、そして批評ではなくて感想をくれたからだ。

(,,゚Д゚)「まあお前にしちゃ良く頑張った。乙。掲載してやるよ。

    もっとも....読む奴なんかいるかどうかだがな」

しかしそんな事はマタンキエフにとって問題では無かった。
目の前の敵を屈服させた、その征服感に気持ちが高揚していた。



568 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 22:31:00 発信元:219.160.193.199

(・∀・)「今度はあなたごのみの話を書いてきますよ...
    あなたSFがすきなんでしょう?バトル満載の」

彼の机には、いつもSFアクションの小説が山積みになっていた。

(,,゚Д゚)「まあそうだが...でも持ち込みはしなくていいぞ」

(・∀・)「いや、必ず持ってきます

    必ず、必ずあんたをうならせてやります。覚悟していなさい」


そういってマタンキエフはドアから出て行った。




569 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/03/31(水) 22:31:36 発信元:121.2.98.95
いい関係


571 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 22:33:01 発信元:219.160.193.199
ビルの階段を3段飛びぐらいで降りていく。

('A`)「あんた、いつになくご機嫌だね」

モップを手にして話しかけるのは、ビルの管理人だ。

これまで幾度となく顔を合わせていたが、話したことは一度もなかった。

(・∀・)「へへ、まあね」

彼の頭には、新作の構想が溢れんばかりに湧き出していた。

そして、編集長好みのキャラ、プロット、エピソードなど、
次々と浮かんでくるのであった。


575 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 22:36:05 発信元:219.160.193.199
彼は一晩で新作を完成させ、昨日よりもさらに鼻息荒く
案内所に乗り込んだ。



しかしそこには、だれもいなかった。

そこへビルの管理人が近づいてきた。
('A`)「おう、あんたか。編集長が、これを渡してくれってさ」

「マタンキエフヘ

 突然だが、今日からお前が編集長だ。
 仕事は、新人の追い返し、しつこい奴には難癖つけ、
 そして会誌の発行だ
 各種請求支払いは、自腹でやれ

 詳しいことは、ビルの管理人にでも聞け

 以上」


577 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 22:40:21 発信元:219.160.193.199
(・∀・;)「こりゃ一体、どういうことですか!?」

('A`;)「んな事いわれても、俺なんにもわかんねえよ。

   まったく、いい加減な奴だよな

   でもまあ、この分だとシベリア送りになったぽいな」

(・∀・;)「そんな.....」

原稿を持つ手がぐったりと垂れ下がった。

机の上のSF小説だけは、しっかりと持っていったらしい。
あとは乱雑なままであった。

**********



579 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 22:43:21 発信元:219.160.193.199
マタンキエフは新編集長になった。

最初は何の引き継ぎもなしに忽然と姿を消した旧編集長に
憤りを覚えていた。しかしすぐに慣れた。若さの特権である。

彼は紙面の刷新に取り掛かり、新人への添削も大いに行った。
もっとも新人の数はやはり低調であったが、何よりも彼は
ブーン系に携われるのが嬉しくて仕方なかった。

来月号の会誌の編集を終えて一息つくと、窓に夕日がまぶしかった。

彼は考える。こうやって、いつも窓を眺めていた前の編集長の事を。

ブーン系に絶望していたのだろうか。でも批評は的確だった。
人当たりは悪く、人間的にも最悪だったけど、自分を育ててくれたのは、
やっぱりあの人だった。

今どうしているのだろう。
いい加減な人だから、飲んだくれて凍死してるかもしれない。




583 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 22:47:20 発信元:219.160.193.199
そんな折に、一本の電話があった。
シベリア図書館館長のブーンからだ。

図書館は流刑になったブーン系民によって立てられ、
地道な歩みを刻んでいた。


【(・∀・)「やあ、そっちはどうだい?」

( ^ω^)】「なかなか盛り上がってるお。
       この前は感想祭だったお」

【(・∀・)「そうか...いいな盛り上がってて。
     こっちは相変わらず人がいないよ」

( ^ω^)】「まあこっちもシベリアにしては盛り上がったって
       いうくらいだから、そう変わらんお

       あ、そうそう、規制が一部解除されるってお」





585 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 22:51:09 発信元:219.160.193.199
【(・∀・)「そうか!そしたら人も戻るかな...」

( ^ω^)】「思いだしたお。
       こっちで、やたらと熱心な新人が現れたんだお。
        
       規制解除でそっちいくと思う。
       ぜひ見てやってくれお」

【(・∀・)「おう。楽しみにしてるわ」

少しは人も戻るだろうか。
マタンキエフには、淡い期待のようなものが芽生えた。

さて、規制解除が行われた。
それに伴って、案内所にも原稿の持ち込みが徐々に増えてきた。


ある日の夕方、そろそろ帰ろうとしていた矢先である。
案内所をノックする者がいた。


588 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 22:53:25 発信元:219.160.193.199
(・∀・)「原稿の持ち込みかい?もう定時なんだよ。出来れば明日....」
ドアを開いてマタンキエフは驚いた。


(・∀・;)「あっ、あんたは!」


(,,゚Д゚)「すんません、そこを見てもらえませんか」

かつての編集長だった。手に分厚い原稿を抱えている。

(,,゚Д゚)「いやいやいや、しばらくぶり。

    初めて書いてみたんだが、自信がなくてな

    編集長に批評を仰ごうと思って」

マタンキエフはまだ呆然としていた。


589 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/03/31(水) 22:53:50 発信元:121.2.98.95
おお……!


590 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/03/31(水) 22:54:15 発信元:59.135.38.150
これはいい展開


592 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 22:58:54 発信元:219.160.193.199
とりあえず中に通した。

(,,゚Д゚)「ふん、まあよく続いてるもんだな、さすがだよ」

お茶を運びながら、マタンキエフは「何言ってやがる」と思った。

お茶をすすって、元編集長は言う。

(,,゚Д゚)「いやさ、俺、あのころ悲観的だったんだよな、ブーン系に。

    でもさ、お前の添削してるうちに、何かこう
    まだ捨てたもんじゃないかなって思ってな...
    ちょっとお前に期待し出したんだ。


    まあ最初は追い返そうとしただけなんだけどな。
    やってくうちに、本気になっちまった。
    ほんとは、最後の原稿なんか褒めまくってやりたかったけどさ、

    まあ何ていうか、テレっていうか」



595 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 23:03:24 発信元:219.160.193.199
(,,゚Д゚)「お前の特集組みたいと思ってたんだ。
     そんな矢先にシベリア送りさ。

    最初はクソ面白くねえ、って思ってたけど、
    あそこの連中は純粋に楽しんでるんだよな。
    何か初心に帰ったよ。
    
    この前の感想祭あっただろ。俺も感想書いたんだ。
    お前の作品でさ。
    
    他の人の感想もいっぱい読んだ。
    ああ、まだこれだけの人がブーン系待ってるんだ.....

    それでふと、思ったんだ。

    お前の散々批評しておいて何だが、俺実は読み専でさ。
    俺も待ってるだけじゃなくて、なんか書いてみようかなって」


596 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/03/31(水) 23:04:01 発信元:59.135.38.144
ギコ…


598 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 23:06:45 発信元:219.160.193.199
マタンキは体をふるわせていた。
それは喜びと怒りの入り混じった感情であった。

(#・∀・)「まったくもう、まったくもう、
     あんたって人は....

     いいだろう、批評しますよ。その代わり、手加減しないよ?」

口調は怒っていたが、顔は笑っていた。

(,,゚Д゚)「望むところだ....
    面白いところは笑ってくれ。感動したところは泣いてくれ。
    思う存分やってくれ」

(#・∀・)「ずいぶんな自信だね?」

(,,゚Д゚)「人の事言えた口か?


    あ、待て。俺もお前を批評しなきゃならん」

(・∀・)?????

(・∀・)!



603 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 23:09:52 発信元:219.160.193.199
マタンキエフは急いで机の抽出しを開けた。
かつて書き上げた、SFアクションだ。

この目の前にいる敵をうならせる為に書いた作品だ。
そのためだけに書いたので、公表していなかった。

二人は、面と向かい合って原稿を渡しあった。

そして、お互いを睨みながら、向かい合わせのソファに腰を下ろした。

さながらそれは、好敵手のボクサー同士のようであった。






605 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 23:11:42 発信元:219.160.193.199
その日、案内所の電灯は遅くまで消えることは無かった。

階下で、モップの手を止めて管理人が愚痴る。


('A`)「まったく、残業なんて何年ぶりだよ....早く帰らせろ...」


上から喧々諤々の議論する声、そして笑い声が絶え間なく聞こえてくる。
こんな賑わいは、まったく久しぶりだ。

('A`)「でもまあ、いっか」

管理人は肩をすくめて、またモップがけをしだした。

(終)






615 :(・∀・)は今回は自信があるようです:2010/03/31(水) 23:23:39 発信元:219.160.193.199
支援、誤字指摘感謝します。ブーン系に幸あれ。

>>540 >>542 >>546 >>549 >>550 >>553 >>556 >>560 >>564 >>568
>>571 >>575 >>577 >>579 >>583 >>585 >>588 >>592 >>595 >>596
>>603 >>605


606 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/03/31(水) 23:11:59 発信元:121.2.98.95
これはいい!


607 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/03/31(水) 23:12:44 発信元:121.2.98.95
あ、乙でした!
これは素晴らしい


608 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/03/31(水) 23:13:12 発信元:115.39.34.125
乙 イイハナシダナー!


609 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/03/31(水) 23:13:17 発信元:59.135.38.147
乙でした
なんか、切磋琢磨って言葉が浮かんだよ


554 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/03/31(水) 22:18:33 発信元:124.146.175.68
ブーン系は滅びないさ・・・・



 
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