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45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 00:25:21.97 ID:mGmd6PMJO
( ^ω^)「ふぅ…」

溜息一つ、ついてみる。

窓の外からは蝉の鳴き声が聞こえる。

自分を落ちつかせよう。
周りを見渡せば、見覚えがあるものしか見当たらない。
子供の頃に駄々をこねて、買ってもらった金属バット。
駄菓子のおまけに付いていた遊び方がわからない玩具。
運動会のかけっこで一位を取った時の手作りのメダル。
古ぼけた机の上では、時計がチクチクと音を鳴らし時を刻んでいる。

どれもが僕の記憶の中に埋もれていた品々だ。


今度は大きく息を吸い込んだ。




おばあちゃんの匂いがした。




( ^ω^)伝えたいことがあるようです

 
 
46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 00:27:22.96 ID:mGmd6PMJO

( ^ω^)「…」

なぜ自分はここにいるのか?

まずそのことが頭に浮かんだ。
確か昨日は仕事が早く終わり、同僚と飲み明かしてヘロヘロな足どりでベットに飛びこんだはずだ。
此処は自分の部屋ではない。
正しくは昨日までの。

もう一度見渡してみる。


( ^ω^)「…ここは昔の僕の部屋?」



48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 00:29:25.95 ID:mGmd6PMJO
目を擦り、珍しく冴えた頭で考えてみる。

自分自身の頭が逝かれたのではないか?
夢の中ではないか?
まだ酔っているのではないか?


いろんな仮説を立ててみるが、どれもシックリ来ない。
ふと一つの考えが頭に浮かんだ。
そうだ。これだ。間違いない。昔本で読んだことがある。

( ^ω^)「これはタイムリープだお!」

断言。




50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 00:31:50.74 ID:mGmd6PMJO
部屋から出てみる。閉まりの悪いドアを開くと、気持ちが悪い熱気が襲ってきた。
にじり出る汗を拭いながら、一つ一つ慎重に階段を下りていく。昔から急いでいると、よく転げ落ちたものだ。

( ^ω^)「懐かしいお…」

階段を下りると、最初に玄関が目についた。
今では懐かしい横開きの硝子ドアである。

( ^ω^)「今の世の中じゃ無用心だおね…」
( ^ω^)「そうだお」

此処は家の中である。誰かがいても不思議ではない。
夢でもいい、思いっきり耳が遠くなった人にでも聞こえるように叫んでみた。

( ^ω^)「おばぁぁああちゃーーーーーーん!!!!」

しかし家の中で無惨にもコダマするに終わった。

( ^ω^)「いないのかお?」

家の中には誰もいなかった。


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 00:34:27.66 ID:mGmd6PMJO
とにかく外に出てみることにした。そしたらなにかが分かるような気がしたからだ。
危なげな音をたてるドアを開けた。
容赦ない太陽の光が襲ってきた。

( ^ω^)「熱いお…」

足のサイズに合う靴がなかったため、小さなサンダルにつま先を無理矢理突っ込んで道を進んだ。
サンダルから伝わるアスファルトの熱を感じながら、周りを見渡し人を探す。

何も変わっていない。少年時代の記憶を引き出しながら、風景を懐かしんだ。
ジャングルジムしかない公園。
泣きながら通った歯科医院。
一回見逃したら二度と来ない気がしたバス停。
すべてが懐かしかった。

しかし人の気配が全くしない。


54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 00:38:00.45 ID:mGmd6PMJO
知っている町なのに少し怖じけづいている自分に気がついた。
誰もいない。どこぞのホラー映画の舞台にいる気分になる。

( ^ω^)「そうだお。あそこに行ってみるお…」

そこは自分の家から五分と離れていない場所だった。
暇になればそこに寄り、嬉しい事があればそれを共用したくて靴も履かずに走って行った。

歩を進める。

思い出が沢山ある。楽しい思い出が。
ゲームをした。花火をした。
飼っていた犬の葬式を二人で行った。
餅を突いた。要領が悪いと怒られた。
おママゴトもした。二人しかいないのにペットの役をやらされた。
雪が積もれば雪で遊んだ。

そんな日々が永遠と続くと思っていた。

もういない幼なじみの一軒家にたどり着く。


( ^ω^)「ツン…」




56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 00:41:04.63 ID:mGmd6PMJO
とりあえず呼び鈴を鳴らしてみた。
もしかして。もしかしたら会えるかもしれない。
そんな期待が胸をよぎる。
こだまする呼び鈴の音が聞こえてきた。しかし中から反応がしない。
もう一度押してみる。

( ^ω^)「駄目かお…」

胸を撫で下ろした。正直に心に問い掛けた。
いなくて良かったなと。

しかし、

「ちょっとまっててください~」

体が自然に震えた。




58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 00:43:15.39 ID:mGmd6PMJO
扉が開いた。

ξ゚⊿゚)ξ「ブーンじゃない」

何も変わっていなかった。本当になにも。
自分より少ししか変わらなかった身長。
衝動的に触りたくなる、ほんのり赤いほっぺた。
歩くたびに震えるくるくる巻き毛。

( ω)「」

一番聞きたかった声が、聞こえた。

ξ;゚⊿゚)ξ「ぶ、ブーン?」

ξ゚⊿゚)ξ「泣いてるの?」


( ;ω;)

涙が止まらなかった。




59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 00:48:00.36 ID:mGmd6PMJO
( ⊃ω;)「泣いてなんかないお!目にゴミが入ったんだお!」

ξ;゚⊿゚)ξ「そ、そうなの…」
ξ゚⊿゚)ξ「とりあえず家に入ったら?なにか用事があってきたんでしょ?」

( ^ω⊂)「お!」


ξ゚⊿゚)ξ「で、何しにきたのよ?」

(;^ω^)「えっと…」




61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 00:50:05.21 ID:mGmd6PMJO
( ^ω^)「!」ピコーン
( ^ω^)「ツンに会いにきたんだお!」

ξ#゚⊿゚)ξ⊃゜ω゚)ウギャー

ξ#゚⊿゚)ξ「だから、何しにきたかって聞いてんのよ」

(*^ω^)「おっお!」

ξ;゚⊿゚)ξ「何笑ってんのよ?ドMか!」

(*^ω^)「ツンのパンチがうれしいんだお」

ξ//⊿/)ξ⊃゜ω゚)ギャー
ξ//⊿/)ξ「わ、私の!ぱ、パンチラが、す、すき好きとか!この変態!」

(;^ω^)「パンチラじゃないお!パンチだお!」

ξ//⊿/)ξ「う、うるさい!」


64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 00:52:31.78 ID:mGmd6PMJO
そういえばなぜ僕だとわかったのだろうか?
大人になって身長も伸び、顔も多少なりとも変わっているはずなのに。
すぐに聞いてみた。

ξ;゚⊿゚)ξ「なにいってるのよ?別に変わってないわよ?」

ツンはそういうと僕に手鏡を渡してくれた。
しかしそこに映ったのは大人な僕であり、背が縮んでたりはしていなかった。
なぜツンの目には少年の頃の僕の姿が映るのだろうか?

そんな疑問を浮かべていたら、頬に痛みを感じた。僕のほっぺたが痛みを訴えている。

(;^ω^)「な、なんだおツン?」

ξ゚⊿゚)ξ「なーに考えてるのよ?」

(;^ω^)「お…ごめんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「まぁいいけどね、私が暇になるじゃないの」

( ^ω^)「お!じゃあ公園にでも行くお!」



66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 00:56:16.52 ID:mGmd6PMJO
昔からそうだった。ツンは僕が悩んだりしているとすぐに気がついてくれる。
そして悩み事を忘れるぐらいに一緒に遊んでくれる。
一度礼を言ってみたことがあったが、真っ赤になって否定されてしまった。
本人からしたら、ただ暇なだけだそうだ。

色々聞きたいこともあるが、とにかくツンと遊ぶ事を考えた。
身体は大人になってしまったが心はあの日の子供時代に返し、心ゆくまで思う存分遊んだ。

公園にはジャングルジムしかないけど。



気が付けば夕方になっていた。


( ^ω^)「…」

ξ゚⊿゚)ξ「…」



67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 00:59:04.03 ID:mGmd6PMJO
( ^ω^)「…ツン」

ξ゚⊿゚)ξ「…」

( ^ω^)「ツン?」

ξ゚⊿゚)ξ「…なに?」

( ^ω^)「楽しかったお」

ξ゚⊿゚)ξ「まぁ私も」

( ^ω^)「ツン」

ξ゚⊿゚)ξ「なに?」

( ^ω^)「元気かお?」

ξ゚⊿゚)ξ「元気よ」

( ^ω^)「ツン」

ξ゚⊿゚)ξ「…」

( ^ω^)「…」

伝えなければ。




68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 01:02:15.13 ID:mGmd6PMJO
夕陽が僕らを照らしてくれる。自然のステージが出来上がる。
僕とツンとの二人だけの舞台が。

今伝えなければ。
夢でもいい。幻覚でもいい。
今伝えなくちゃ。

きっと神様がくれたチャンスなんだ。
悪魔でもいい。魂を売ってやる。

もうなんでもいい。

目の前にいるんだ。ツンが。


69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 01:04:34.38 ID:mGmd6PMJO
( ^ω^)「ツン」

ξ゚⊿゚)ξ「…」

( ^ω^)「伝えたいことがあるお」

ξ゚⊿゚)ξ「…」

( ^ω^)「ツン、」

ξ゚⊿゚)ξ「?」

( ^ω^)「ツン大好きだお」

ξ゚⊿゚)ξ「」

( ^ω^)「…」

ξ゚⊿゚)ξ「私も」

( ^ω^)「…」

ξ ⊿ )ξ「…」


そのあとツンは一言も喋らなかった。
なにも言わずになにも返さずにツンの家にたどり着いた。

別れがくるのがなんとなくわかった。



71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 01:08:36.31 ID:mGmd6PMJO
( ^ω^)「…」

ξ゚⊿゚)ξ「…」

( ^ω^)「…えっと」

ξ゚⊿゚)ξ「送ってくれてありがとね!」

( ^ω^)「…お!」

ξ ⊿ )ξ「また明日!」

(  ω )「お!」

最後に顔を見ることができなかった。
答えは返ってこなかった。
でもいいんだ。
言えたんだから。
ちゃんと伝えることができたと思うから。

家に帰るとすぐに寝た。


73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 01:11:16.58 ID:mGmd6PMJO
目が覚めるといつもの僕の部屋だった。
それからいつもの生活に戻った。
なにも考えなかった。
なにもなかったかのように。
働いて飲んで寝て。

つまらない日常が戻ってきた。
しかし今でもこの事は忘れない。
絶対に忘れない。


ツンがいなくなって伝えることができなかったことが言えたから。



74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 01:14:28.64 ID:mGmd6PMJO

ツン。

きっと僕にはつらい事がこれからあるお。

きっと全部楽しい思い出話になるお。

きっといつか僕も天国に行くお。

きっとまた会うことができるお。

きっとその時まで。

さようなら。



終わり








76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 01:16:38.96 ID:mGmd6PMJO
終わりです。
支援ありがとうごさいました。
ブーン小説に活気が戻ってきますように。


75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/03/31(水) 01:16:12.05 ID:EPax/IOL0
otu

切ないね...


 
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