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※タイトルがなかったので、勝手につけさせて戴きました。
 
563 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 05:33:51.85 ID:trbMBZ7Q0
 光が私を見ている。
 そんな風に勘違いしそうになるほど、夜の空に浮かぶまあるい月は輝いていて。暗く陰る
はずの景色は、溢れ、零れる落ちる月光によって照らされている。
 だからこそ。だからこそ、夜を照らす力強い光は、少しばかり私には眩しすぎて。
 
 小さい小さい私みたいな存在では、とても耐えきれるものではなくて。

lw´‐ _‐ノv「なんつ……って」

 風が吹きあがり、夜風が私を背中から押し出してきた。その勢いに逆らわず、風と一緒に
私は駆けだし始める。そして、駆けだした後に気付いたけど、私。

lw´‐ _‐ノv「裸足だった……り?」

 すぐさま足の裏に走る激痛にて、その場にすっころんだ。 
 無様に頭から地面に突っ込んでいった。
 
 
564 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 05:35:38.66 ID:trbMBZ7Q0
w´‐ _‐ノv「うむ……」

 むくりと腕立て伏せの要領で起き上がる、私。そこで初めて、この場の状況に気付く。
 ぺたんと座り込んで、ぐるりと首を回して、周りを見回してみて。

lw´‐ _‐ノv「草、げん……かなかな?」

 見渡す限り、あたりは草が生えわたっていた。あぁ……ここは外なんだなって改めて頭の
なかで理解が済んだ。どうして外にいるのか分からないけど、外にいるのなら私は外に出たのだろう。

lw´‐ _‐ノv「人生単純……だよね」

 独りで頷き、私は解釈を終える。
 そうだ人生なんてほんと単純。




565 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 05:37:12.42 ID:trbMBZ7Q0

( ゚д゚ )「姫」

 私は草と一緒~、と風と共に草原に揺れていれば。一つの人影が近くに起き上がった。い
つから君はそこにいたのだろうか、あぁもしかしたら、ずっとそこにいたのかもしれない。
 彼はそういったものだから。

lw´‐ _‐ノv「あらら……みるちゃん、じゃないの……かえ?」

( ゚д゚ )「エルキシオ・ミルナ・ミキダウ、です、姫」

lw´‐ _‐ノv「しらねぇよ……なげぇよ」

( ゚д゚ )「ごめん」

lw´‐ _‐ノv「…ン…?なに、いま……?」

( ゚д゚ )「?」

 不思議そうな顔をする、異様に肌の色が黒い男。そもそもコイツには表情を表す制約がな
いはずなのだが。あれ、どういうことなの。
 つぅか、今、こ奴はため口聞きなかった?

lw´‐ _‐ノv「みるちゃん……あなた、もしや…」

( ゚д゚ )「姫、エルキシオ・ミルナ・ミキダウ、です、姫」

 うるさいよばか。少し黙ってなさい。


566 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 05:40:07.69 ID:trbMBZ7Q0
lw´‐ _‐ノv「………あう。ぐあう。ぎゅりあうかう」

 喉の奥で鳴らすような、ぎゅりぎゅりと磨り潰すように、私は声を出す。実際潰して鳴ら
しているのだが、ここは説明省いて先送り。

( ゚д゚ )「…」

 擬音。轟音。粘着音。到底人の声とは思えないだろうなって思うほどに奇怪な声を、目の
前の男に向かってはき続ける、私。 
 
lw´‐ _‐ノv「げぇるぎゃるぐおおぉおぉううぃ………あれぇ、れ?」

( ゚д゚ )「姫」

lw´‐ _‐ノv「ん、あ、ちょと待って…ごほんごほん…あい、あいい。何?」

( ゚д゚ )「殺します」

lw´‐ _‐ノv「……おぉう」

 展開的になんですかこれっていいたい。


567 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 05:42:10.59 ID:trbMBZ7Q0
lw´‐ _‐ノv「…まぁ、ね。言霊通じないもん、ね…?」

 強制排出呪文。土により作られし精霊を呪に返す、反則的な程の力でやっても効かなかったし。
 みるちゃん。貴方、指導権……とられちゃいましたね。

( ゚д゚ )「殺します、殺します、殺します?殺します?」

lw´‐ _‐ノv「……疑問系?」

 んむ。んむむ。単にとられてはいないのだろうか。
 先ほどまでの様子を見ると、少しほどの自我はあったみたいに感じられた。では単純に操ら
れているわけではなく……。

lw´‐ _‐ノv「なる、ほど」

lw´‐ _‐ノv「規制、されてるのね……みるちゃん?」

( ゚д゚ )「姫、ひひひ、ひえひひえへひえっへえええええ」

( ゚д゚ )「えけけっけ逃げげげgggけけええkkkkっころします、殺します。殺します」

( ゚д゚ )「ころ────」

lw´‐ _‐ノv「うむ。完全に規制された、ね……」

( ゚д゚ )「   」

 失くした言葉とともに、彼が急激にこちらへと爆進した。


568 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 05:44:25.22 ID:trbMBZ7Q0



 少しあった距離が一気に詰められる。あぁ、このまま殺されるのかなって思ったりするが、
まぁそんなことはないのだろう。ないのだから、私はだって。
 ここにいるのだから。

lw´‐ _‐ノv「……あ、こんなところに…」

( ゚д゚ )「   っ」

lw´‐ _‐ノv「草結び」

 溢した私の言葉と一緒に、見事にひっ掛った。
 盛大に頭から地面に突っ込む、男。勢いが良すぎて、ぐしゃぁああと物凄い破滅音が目の
前で起こる。ああ、これ頭割れたかなって期待するが土で出来たものにそんな期待は意味はなし。

(  д゚ )「   」

 やわらかい素材で作られたためか、彼の顔は大きく変形し、片方の眼は眼孔の奥へと入り
込んでぐちゃぐちゃになっていた。血は出ない。代わりに紫色の液体が零れだしていた。


569 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 05:47:01.75 ID:trbMBZ7Q0


lw´‐ _‐ノv「ぐ、ろい…」

(  д゚ )「──   ─ 」

 彼が何かをつぶやく。だがもはやそれは言葉ではなく、意味を成さないただの空気。

lw´‐ _‐ノv「……」

 だが、それを吐き出す口元で。彼が何を言いたいのかが汲みとれてしまった。

lw´‐ _‐ノv「…みる、ちゃん」

 だんだんと規制されていくのは、とてつもない苦痛がともなうはずだろう。それはまだ単
に操られ、自分の意思を無視したままのほうが気が楽のはずだ。
 規制とは、体を蝕む毒のようなものだ。一度かかれば、簡単には抜け出せない。そしてか
かれば、どんなに自分が行いたい行動があっても全て制限される。

 自分がやりたいことを、全てできなくなってしまう


570 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 05:48:56.37 ID:trbMBZ7Q0


lw´‐ _‐ノv「…そうか、そうか」

(  д゚ )「──  ──  ─」

lw´‐ _‐ノv「……だね、だーねだね」
 
 私の足元で、ぐにゃりぐにゃりとうねる粘土細工は、私の裸足の足にまとわりつくように
絡んできた。まるで冷たい土の中に埋められたような、体の体温を静かに奪っていく寒さが
足元から這い上がっていく。

lw´‐ _‐ノv「う、む。うむ……それで?」

(  ゚     )「      」

lw´‐ _‐ノv「もう、口がない……のさね」

 ぐにぐにと動くたびに、彼だったものは次々に形を崩していった。最終的には、それはも
うに形としての形状をなしてはおらず、液体のように流動的な動きをし始めた。

 もしかしたらもう、彼の自我は消えたのかもしれない。
 しかし、それでいいのだ。それでいい、うん。それでいい。


571 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 05:50:46.78 ID:trbMBZ7Q0

lw´‐ _‐ノv「なまじ……力強いと、あれだよね」

 腰のあたりまで土に飲み込まれてしまった。すでにその冷たさに肌の感覚はなくなっている。
それと同時に、私の命も吸われているのだろう。そうなれば、この冷たさの範囲が広がれば、
広がるほどに私の命が危なくなっていく。

lw´‐ _‐ノv「簡単なのっと、り……できないし」

 臍のあたりでうごめいていた彼は、一気に顔のあたりへと範囲を伸ばしてきた。
 ここまで飲み込まれれば、いくら私でも死ぬだろう。

lw´‐ _(   )「リスク、も高いから……呪いの〝規制〟のほうが……」

lw´(    )「か、んた──  」

 暗くなる視界。のっとられた。やばい。やばいのか?
 私は、わたし──わた、しは……のっとられうおか?


573 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 06:01:30.23 ID:trbMBZ7Q0

lw´‐ _‐ノv「なんてね」

 べりりりーと一気に、顔に張り付いた土を剥がす。この感覚はどこか、日焼けして剥けた
皮を綺麗にとれた時と似ていた。きもちーい。

lw´‐ _‐ノv「…ン……ほっ……やっ…」

 そして剥がした土を、さらに下半身にとりついた土と一緒にまとめて、固めていく。ぐり
んぐりんと固めて、固めて、かためたそれは、ついに塊としてそれを成した。

lw´‐ _‐ノv「おいでー…ン……じゅがごいうげきまぁぬくえぇぇ」

 さらに呪文をくわえちゃう。くり返しくり返し、言霊を塗りたくり塗りたくりした結果。
 できた土の魔力の塊。夜の暗闇の中、その月の光と相なって、ひとつの月となった。

lw´‐ _‐ノv「こん、にちわ……みるちゃん」

( ゚д゚ )「エルキシオ・ミルナ・ミキダウ、です、姫」

 うるせーよばか。黙ってなさい。


574 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 06:03:50.25 ID:trbMBZ7Q0

lw´‐ _‐ノv「さて、……新しい体どう?」

( ゚д゚ )「良好です、ありがとうございます、姫」
 
lw´‐ _‐ノv「それ、は……よかなりよ」

 よかたよかた。私はそのみるちゃんの姿をみて笑ってみる。
 すると彼はなぜか浮かない顔を浮かべていた。ややこしいわ。

( ゚д゚ )「姫」
 
lw´‐ _‐ノv「どしたの」

( ゚д゚ )「大丈夫なのですか、体」

 こやつ、創造主の体の心配しやっがたぜ……。と少しばかり、心の中で悪乗りしてみるが
相手に反応なし。心読めるんだけどねコイツ。わざと突っ込んでこないのかな。

( ゚д゚ )「本気できいてます、姫」

 やっぱ読めてんじゃねーか。早く突っ込めよ馬鹿。


575 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 06:06:09.70 ID:trbMBZ7Q0


lw´‐ _‐ノv「良好すぎ、て……どう答えればいいのやら」

( ゚д゚ )「  、本当ですか、姫」

lw´‐ _‐ノv「だいじょうぶ、よーん…」

( ゚д゚ )「…」

lw´‐ _‐ノv「大丈夫だってば」

 そうですか、わかりました。と彼は小さくつぶやき、ゆっくりと土の中に戻り始めた。おい、
なんだ私の体の心配だけか、おまえさん。もっということあるじゃないの?

( ゚д゚ )「だって、もうわかっているのでしょう、姫」

 どういうことだい、我が僕よ。

( ゚д゚ )「貴方は、神様」

 一部ではそう呼ばれてるね。だが、完全なる神じゃーない。
 
( ゚д゚ )「いえ、貴方は完璧、全知全能じゃなくても」

lw´‐ _‐ノv「んん~…なんだい?」 

 私はつい、声に出して聞いてみる。彼は心を読めるけど……これを聞いてる奴は聞こえてな
からね。



576 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 06:08:47.11 ID:trbMBZ7Q0
( ゚д゚ )「〝幸運の神様〟だからです、姫」

( ゚д゚ )「それで、十分でしょう?」

lw´‐ _‐ノv「……いうねぇ…見なおしたよ。ミキダウ」

 ありがとうございます、姫。
 そうして土と戻った彼は、魔力となり、自然へと発散されていった。

lw´‐ _‐ノv「……こりゃ、ちょっと魔力いれすぎ……たかな?」
 
 彼が消えた場所を見つめながら、私は少し後悔する。
 軽く自分自身の自我を作ってしまっていた。私がもとではなく、オリジナルとしての性格
が彼としての〝ひと〟を作ってしまっていた。

lw´‐ _‐ノv「まいって、しまったですね……月の神?」

 私は微笑みながら、空へと手を伸ばす。
 夜空には大きな月がきらきら輝き。そう、それはまるで私を……

lw´‐ _‐ノv「ご見学…どうでしたか?満足しましたか?」

 その言葉とともに、さらに光が強くなった。気がした。


577 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 06:11:01.06 ID:trbMBZ7Q0




lw´‐ _‐ノv「……おおぅ、大胆」

 その光を浴びた草たちが、急激に成長をはじめる。ぐわんぐわんと我が身をしならせ、破
潰しながらも伸ばし始めるその姿に狂気を感じさせた。

lw´‐ _‐ノv「……そこまでして、ほしいのですか」

 私を囲うようにして、その成長をやめない草木は、膝のあたりまでしかなかったはずが、
もうとうに私の背を追い抜いていた。

lw´‐ _‐ノv「私の、幸運を……ですか、月の神は?」
 
 返答はない。心の伝達もなし。好戦一方だった。

lw´‐ _‐ノv「……」

 まいったね。
 普通に勝てないわ。だって、相手は空。それよか宇宙にいんのに。
 私ってば地に立ってるよ。普通だよ普通。空飛びてー。


578 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 06:15:08.35 ID:trbMBZ7Q0

lw´‐ _‐ノv「……どうし、よっかなー」

 私は腕を組んで、悩んだ。心から悩んだ。でも答えは浮かばなかった。
 なので考えを放棄した。

lw´‐ _‐ノv「まぁ、いいや……ばっちこい」

 かもーん。と余裕ばっちりに空に向かって挑発をかます私。空に向かってつばを吐くに似
たものを感じた。すぐに忘れることにした。たぶん、黒歴史なるなこれ。
 案の定、その私の滑稽さに反応したのか空の輝きがさらに増す。

lw´‐ _‐ノv「……くるのかい?」

 ぎゃりばりごりげりゃり。成長の限界を超えた草木たちは、その個体をかため合い、さら
なる個体となり。大きな壁となった。その壁が私を磨りつぶ殺そうと迫ってきた。

lw´‐ _‐ノv「死ぬのかな」

 鼻先にふれる力の狂気。ちりっと熱を感じた。そういえばここ、暑いな。


579 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 06:18:58.08 ID:trbMBZ7Q0
lw´‐ _‐ノv「…んじゃ、みるちゃん。おねがーい」

 震えた。私じゃない。地がダ。地ではない。島がダ。島ではない。星がダ。
 ぐわんぐわんぐわんぐわん。
 ごろんごろんごろんごろん。
 ぎゃんぎゃんぎゃんぎゃん。
 その動きに、たちまち草木は引きちぎられていく。活発だった動きは一瞬で止まった。

 そして、最後に残ったのは。

( ゚д゚ )「エルキシオ・ミルナ・ミキダウ、です、姫」

 うるさいよばか。黙ってなさい。

lw´‐ _‐ノv「この星の乗っ取り、完了っと……んじゃ、あの月お願いね」

( ゚д゚ )「はい、姫、了解しました」 

 土から顔だけを出していた彼は、ずぽんと入り込むと、地が動き島が動き星が動いた。

lw´‐ _‐ノv「さよなら、月の神……さま?」

 そして。ここにも届くほどの破壊音の轟音。

lw´‐ _‐ノv「……わーお」

 後に残ったのは、月の明かりがふんわりと落ちてくる。
 やさしい夜だけだった。


580 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 06:21:04.31 ID:trbMBZ7Q0
 しばらくその景色を見つめていた私は、そばに来ていた彼のことにすぎには気付かなかった。
 やっと光が消えたころに、私は彼のほうへと視線を寄せた。

( ゚д゚ )「終了です、姫」

lw´‐ _‐ノv「ありがと」

 ぐにゅると土の中から出てきた彼。うむ、元気そうでなりようだ。

lw´‐ _‐ノv「……この、星には悪いこと……しちゃったね」

( ゚д゚ )「軽く、地形を変えた程度などで、安心してください、姫」

lw´‐ _‐ノv「……みるちゃんの軽くは、以外と信用できない……かなかな」

 前にいた星じゃあ、島を断裂させたじゃないの。チョップで。

( ゚д゚ )「なにはともあれ、これで百三人目ですね、姫」

lw´‐ _‐ノv「……んだねー」

 ……ごく最近にて始まった。神様同士の〝お遊び会〟。
 はてさて、いつまで続くのやら。

lw´‐ _‐ノv「さて、つぎのほしいこっか……みるちゃん?」

( ゚д゚ )「エクシオ・ミルナ・ミキダウ、です、エクシオ・シュール・パルッセオ姫」

lw´‐ _‐ノv「……姫でいいっつの」


581 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/15(日) 06:23:04.58 ID:trbMBZ7Q0
おわりです
おだいものでした


 
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