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※タイトルがなかったので、勝手につけさせて戴きました。


492 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/03/05(金) 01:07:45 発信元:124.146.175.134
3階の303号室、手前から3つ目の部屋。
ぶらぶらと手持ちぶさたに、馴染んだワンルームを出る。

アパートの玄関の向こうには、静かな夜が広がっていた。
息を吸い込むと僅かに寒さを感じた。

この街の冬の暖かさには、いつの間にか慣れていた。
人々の心の冷たさにも、いつの間にか慣れていた。

ポケットを探り、煙草が切れていた事を思い出す。


リソ,,゚-゚)「財布は、と……あぁ、有った」


この街は夜すら休まない。

並び立つ街灯が夜を夜と認めない。

愛していた懐かしい時間は、この街にはない。



493 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/03/05(金) 01:09:04 発信元:124.146.175.134
リソ,,゚-゚)「……I lit out from Reno,I was trailed by twenty hounds...」


歌声は薄明かるい深夜の空に溶けてゆく。

聞き留める者の居ない穏やかな紺碧の空。

かつて共に歌った仲間は、今は居ない。


リソ,,---)「...Didn't get to sleep that night till the morning came around...」


目を瞑れば、いつかの故郷の雪景色が鮮明に浮かぶ。

先輩に無理矢理飲まされたヲッカの味が鮮明に浮かぶ。

陽気に歌う友の声が、鮮明に浮かぶ。

 
 
495 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/03/05(金) 01:10:46 発信元:124.146.175.134
リソ,,゚-゚)「...I set up running but I take my time,
      A friend of devil is a friend of mine...」


言葉が上手く口を出ない。

思い出に浸る内、いつしか歌声は止まってしまった。


リソ,,゚-゚)「……全く、僕らしくもない」


気付けば、もう随分と遠くまで歩いて来たようだ。
建物にも標識にも、見覚えのある地名がない。

まずはどこかで煙草を買おう。
近くに見えた全国チェーンのコンビニエンスストアの一店に足を向けた。

……



496 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/03/05(金) 01:13:24 発信元:124.146.175.133
右手に下げた袋には、2つの品物。

友が好きだったセブンスターを1カートン。
妹が好きだったコーヒーゼリーを1パック。

余計な買い物をしたのは、店員の無駄に明るい笑顔が、
故郷の親友の笑顔と似ていたせいだろう。


(*゚∀゚)「ありがとうございましたまたお越し下さいませー!」

リソ,, -)「……した」

(*゚∀゚)「?」


ぶらぶらと買い物袋を揺らし、馴染みのないコンビニを出る。

自動ドアの向こうには、静かな夜が広がっていた。
息を吸い込むと思わぬ寒さを感じた。

この街の冬の暖かさには、慣れていたつもりだった。
人々の心の暖かさには、気付こうとすらしていなかった。

ポケットに手を突っ込み、二度と会わないであろう同胞を思い出す。


リソ,,゚-゚)「……みんな、元気にしてるかな」



497 :いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2010/03/05(金) 01:14:21 発信元:124.146.175.133
愛していた懐かしい時間は、ここにはない。
かつて共に歌った仲間は、もう居ない。
陽気に歌う友の声は、聞こえない。


リソ,,゚-゚)「Just might get some sleep tonight...」


歌声は白み始めた夜の空に溶けてゆく。

(了)

 
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