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536 :ζ(゚ー゚ζ思案するようです:2009/11/14(土) 23:55:22.48 ID:8nxDpclmO




( ・∀・)「私は、狂ってると思うかい?」


僅かに赤く腫れた頬を擦りながらそう問いかけてきた男は、どことなく寂しそうな横顔をしている。

ζ(゚ー゚ζ「解りません。人の感情、ひいては心というものは、私には複雑怪奇かつ理解不能ですから」

ただ、あくまでも機械人形として自分の意見を淡々と答えると、男は変わらぬ寂し気な笑顔で、私を見ていた。

 
537 :ζ(゚ー゚ζ思案するようです:2009/11/14(土) 23:56:58.34 ID:8nxDpclmO


( ・∀・)「お見送りをしておいで。もう9時だ」

ζ(゚ー゚ζ「畏まりました」

都内を全て見渡せそうな位置に属する男、もとい主の部屋を出、私はエレベーターを目指す。

主の悲しそうな笑顔について、私は思案しながら歩く。
だが、所詮は機械。解る筈などないのだが。


「母上」


悲しみを含んだ、震える声の呼び掛けに私は歩みを止めた。



538 :ζ(゚ー゚ζ思案するようです:2009/11/14(土) 23:58:12.04 ID:8nxDpclmO

左後ろ125度を振り向くと、まだ7つにも満たない『私の娘』が、目尻いっぱいに涙を溜めて私を見上げている。
私は娘を抱き上げると、娘は体を私に預けるようにしてぐずりだした。

l从;∀;ノ!リ人「兄者が動かないのじゃ。兄者は死んでしまったのじゃ?」


わあわあと泣き続ける娘をあやしながら、私は娘の部屋に向かう。

ピンクで統一された部屋には、場違いのように一人の男が安楽椅子に座っている。
水色の縞模様の寝巻きを着て、膝にタオルケットを掛け、不自然なままに固まった両手は、左で何かを支えるように、右手には絵本をもっていた。




540 :ζ(゚ー゚ζ思案するようです:2009/11/14(土) 23:59:21.43 ID:8nxDpclmO
l从;Д;ノ!リ人「絵本を読んでくれる筈だったのじゃ。ピノキオのお話をしてくれる筈だったのじゃ…!」

それだけ言うと、『私の娘』はまた大きな声で泣き出した。

男は私と同じく「機械人形」だ。死ぬ事は無い。
男の体をあちこち弄っていると、どうやら寒さで関節が凍結し、会話プログラムがコールドスリープしている事が分かった。

プログラムを再開させると、男は閉じていた目蓋をゆっくりと開く。


l从・∀・*ノ!リ人「兄者!兄者が生き返ったのじゃ!」




541 :ζ(゚ー゚ζ思案するようです:2009/11/15(日) 00:00:18.94 ID:C1ZBHVLwO

ピョンピョンと男の周りで飛び回る娘は、あっという間に男の膝に飛び乗った。

l从・∀・*ノ!リ人「早く!早くお話して欲しいのじゃー!」

( ´_ゝ`)「…ああ、分かったよ。ホラ、ちゃんと座って」


至極嬉しそうに戯れる兄妹を確認し、私はドアを閉めた。
表情筋にあたる場所が、僅かにつり上がるのが解った。


( ゚∀゚)「ロボットにも愛情ってェのはあるんだな」


背後から、無礼ともとれる台詞が聞こえた。




542 :ζ(゚ー゚ζ思案するようです:2009/11/15(日) 00:02:15.50 ID:8nxDpclmO

ζ(゚ー゚ζ「…長岡様ですね。もうお帰りになられたのかと思いました」

( ゚∀゚)「余りにも騒がしかったもんでな。ガキの泣き声聞いて放っておける程、俺ァ薄情じゃねえ」


フン、と鼻を鳴らす長岡様は、兄妹の居る部屋の入り口を一瞥し、私へと視線を戻す。

 _,
( ゚∀゚)「しかし、茂良の奴は変わったなあ。
胸糞悪い意味で」


私の頭の天辺から爪先まで、じろじろと眺め回す長岡様。

その視線は、明らかに軽蔑という感情が含まれていた。




544 :ζ(゚ー゚ζ思案するようです:2009/11/15(日) 00:04:28.04 ID:C1ZBHVLwO

ζ(゚ー゚ζ「お荷物をお持ちしましょうか」

( ゚∀゚)「良い、女に持たせる訳にはいかねえ」


そう言うと、長岡様は私に背を向けた。

(  ∀ )「茂良も狂ったもんだ、死んだ嫁さんと子供を機械なんぞにしちまうとは」

胸糞悪ィ、と吐き捨てる長岡様。

ζ(゚ー゚ζ「主の考える事は、残念ながら私には分かりません」

( ゚∀゚)「…だろうな、俺も分からねえ」

同じ人間なのにな、と自嘲する長岡様。
人になれば、主のあの表情の意味も分かると思ったのに。

長岡様の背中を見送りつつ、私は1人、今日も思案する。


人としての、感情の知り方を。


終わり。


 
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