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35 :( ^ω^)は遺言を受け取ったようです:2010/02/20(土) 22:35:01.87 ID:85W9DzD+0
/ ,' 3「わしゃあもう、ダメみたいじゃのお……
    ブーン、そんなに……泣くんじゃあない」 
    
祖父がどれほど制しようと、少年は泣くのを止められなかった
そのかすれ気味の声がひどく胸を痛めつけていたから

祖父はため息をつき、震える手でブーンの頭を撫でた
とても愛おしそうに

少年は肩を震わせて泣いていた

ここは病院の一室だった
少年の他には両親と、看護師が一人きり
窓の外に見える真っ青な空が、祖父の最期を見送っていた

/ ,' 3「ほれ、ブーン……少し耳を近づけろ」

少年はハッと顔を上げて、祖父の顔を見る
祖父はわずかに頷いた
少年は言われた通り、耳を祖父の口に近づける

/ ,' 3「親には内緒じゃぞ……男と男の約束じゃ」 
    
その後続けた言葉が、祖父の最期の言葉であった 

~~( ^ω^)は遺言を受け取ったようです~~              
 
 
37 :( ^ω^)は遺言を受け取ったようです:2010/02/20(土) 22:38:35.51 ID:85W9DzD+0
~~~~~~~~~~~~~~~~
(´・ω・`)「本当にすまないが、無理なものは無理なんだ」

(;^ω^)「どうにかならないものかお?
      こんなチャンス滅多に無いんだお! 」
      
あの日病室で涙してた少年ブーンは今、親友のショボンと口論していた

(;^ω^)「お前はもうじきあの空に行くんだお
      僕の悩みを解決するにはうってつけなんだお! 」
      
ショボンは数週間後にスペースシャトルへ載ることになっていた
宇宙飛行士になりたくて海外の大学へ行き、そのチャンスをつかんだのだ

(´・ω・`)「確かに君のおじいさんは航空業の第一人者だ
       僕も大いに尊敬している
       まあ航空と宇宙じゃ随分違うけれど、空を目指した点では同じだ」
       
(´・ω・`)「とにかく――これは」

ショボンは白い粉末の入った瓶を取り出し、ブーンにつきつける

(´・ω・`)「持って行けないよ
       おじいさんの遺骨なんて、持ち込めない
       そういう規則なんだ」   


39 :( ^ω^)は遺言を受け取ったようです:2010/02/20(土) 22:41:35.13 ID:85W9DzD+0
ブーンは瓶を受け取り、しばらく唸る
それから困り顔でショボンを見つめた

(;^ω^)「ほんのちょっと、宇宙の撒くだけでもだめかお? 」

(´・ω・`)「無理だね」

(;^ω^)「外の装甲にくっつけといたり」

(´・ω・`)「燃えるよ」

(´・ω・`)「だいたい君のおじいさんは、君にどんな言葉を遺したんだい?
       まだはっきりと聞いていないんだが」
       
ブーンは残念そうに瓶をしまい、ショボンに向き直る

( ^ω^)「『わしの遺骨を、あの青い空に撒いてほしい』
      僕のじーちゃんはそう言って、息を引き取ったんだお」
      
その後、ブーンは自宅へ帰る準備を始めた

(´・ω・`)「こんなこと言っちゃなんだが、宇宙に撒くのはやはり違うと思う
       宇宙は真っ暗だ。青くなんかない
       もっと別の方法を探した方がいい」
       
( ^ω^)「ご忠告ありがとうだお」


40 :( ^ω^)は遺言を受け取ったようです:2010/02/20(土) 22:44:03.21 ID:85W9DzD+0
ブーンは自転車に載って自宅へ向かった

スペースシャトルに載る友達がいるというのに
未だに車すら運転できない自分のことがひどく惨めに感じた
もっともしばらく風を受けていると、そんな気持ちは無くなっていったが

( ^ω^)「……お? 」

自宅の前に一人の男がいる


('A`)

男はブーンの家を見上げていた


( ^ω^)(あのひしゃげた口は――)

ブーンはブレーキを掛けて、男の傍で止まる
男はわずかにびっくりした様子だが、依然として気だるそうな顔だった

( ^ω^)「ドクオかお? 」

('A`)「ああ、やっぱりブーンの家か
    見たことあるとは思ったんだ」


43 :( ^ω^)は遺言を受け取ったようです:2010/02/20(土) 22:47:01.29 ID:85W9DzD+0
( ^ω^)「ただいまだおー! 」

J( 'ー`)し「おかえりなさい
      ショボンちゃんをちゃんと見送れたかしら?
      ……あら」
      
('A`)「あ、ども
    おじゃまします」
    
( ^ω^)「昔近所にいたドクオだお! 」

J( 'ー`)し「ああ! あの引っ越しちゃったドクオちゃんね!
      こんなに大きくなっちゃって
      口元がお父さんそっくりだわ」
      
('A`)「はあ、そうですか」

( ^ω^)「僕らは部屋にいってるお」

母親にそう告げると、ブーンはドクオを率いて自分の部屋へ向かった

( ^ω^)「ホントに懐かしいお
      ドクオ、あれからどうだったんだお? 」
      
部屋に入ってすぐ、ブーンは興味津津な様子でドクオに質問した


44 :( ^ω^)は遺言を受け取ったようです:2010/02/20(土) 22:50:01.17 ID:85W9DzD+0
('A`)「まあねえ、いろいろ大変だったよ
    お前ら家族みたいなやたらと明るい人はいなかったが」
    
( ^ω^)「軽いスキンシップだお
      大学は行ったのかお? 」
      
('A`)「いや……高校でドロップアウトしたよ」

さすがにブーンは答えにくくなって、黙ってしまう
そんな様子を見て、ドクオは軽く鼻で笑った

('A`)「そんな深刻な顔すんなよ
    俺は元々人づきあいが苦手なんだ
    それに、やることだってあるから心配ねえ」
    
('A`)「今はよ……絵を描いてるんだ」

( ^ω^)「絵、上手いのかお? 」

('A`)「描きたいものを描くだけだ。上手さなんてわからねえ
    それがよ、この前結構有名な画家さんに目を掛けられてな
    その人の作品展に、一つ作品出せることになったんだ」
    
(*^ω^)「それは凄いお! どんな絵だお? 」

('A`)「空の絵なんだ」


46 :( ^ω^)は遺言を受け取ったようです:2010/02/20(土) 22:53:00.91 ID:85W9DzD+0
( ^ω^)「空…………」

('A`)「そう、空だよ
    その作品展のテーマでもあるんだ
    けどさ、その肝心の空がなかなか決まらなくて」
    
ドクオは深いため息をつく

('A`)「ただ青く塗るだけじゃだめだ
    空にはもっと深く、鋭く、そんでもって人を惹きつける力がある
    それを表したくて……なかなかできねえんだよこれが」
    
ドクオの目線が自然と動く
ブーンもそれにつられて動いた

窓の外の空が目に映った

ブーンはふと、自分の祖父を思い浮かべた

( ^ω^)「ひょっとしてドクオがここに来たのって、僕のじーちゃんのことが関係するのかお? 」

('A`)「んー、どうなんだろうな
    たしか有名なパイロットだったんだっけ
    空が好きだったんだろうなあ」
    
空に惹かれた祖父――気がつけばブーンはあの瓶を取り出していた 


48 :( ^ω^)は遺言を受け取ったようです:2010/02/20(土) 22:56:01.99 ID:85W9DzD+0
(;'A`)「な、なんだあ? 」

( ^ω^)「僕のじーちゃんの骨だお
      『青い空に撒いてくれ』って言われたんだお
      遺言として」
      
( ^ω^)「ドクオ、お前の空の絵に撒いてみていいかお? 」

('A`)「う~ん、どうだろうねえ
    まあ少量ならいけるかな」
    
('A`)「でもさ、やっぱり絵ってのは良くないんじゃないの?
    こんなこと言うと元も子も無いが、俺の描く空はお前のじーちゃんの言う空じゃねえ」
    
(;^ω^)「やっぱりダメそうかお? 」

('A`)「ああ
    上手く言えねえが、絵に撒くのは違う
    そんな気がする」
    
しょんぼりした様子で、ブーンは瓶をしまった
ついさっき同じようなやりとりをしたばかりであり、同じように失敗したのだ

('A`)「…………
    なあ、じーちゃんの写真とかないの? 」


50 :( ^ω^)は遺言を受け取ったようです:2010/02/20(土) 22:59:14.23 ID:85W9DzD+0
ドクオに言われてブーンはアルバムを取ってくる
部屋で広げて、埃っぽさに目を細めながら写真を指差す

( ^ω^)「これがじーちゃんだお
      パイロットとして活躍していたころの写真だお」
      
      
/ ,' 3  


('A`)(…………)

('A`)「ブーン、この写真貸してくれないかな? 」

( ^ω^)「お? 別に大丈夫だけど
      何に使うんだお? 」
      
('A`)「いやなーに、ちょっと閃いただけさ
    なあブーン」
    
('A`)「じーちゃんは本当に空が好きだったみたいだぜ?
    そのことをよーく考えれば、遺骨撒くことの答えも見つかるかもな」
    
その後、ドクオは満足そうに帰って行った
気だるそうな感じは無くなり、希望に満ちた表情で


51 :( ^ω^)は遺言を受け取ったようです:2010/02/20(土) 23:02:02.02 ID:85W9DzD+0
数日後
ブーンは祖父の墓参りに来ていた

( ^ω^)(じーちゃん、ごめんだお
      今年もまた、骨は撒けそうにないお)
      
墓の前で手を合わせて、頭の中で謝る

「あれ、ブーンじゃない? 」

突然掛けられた声に反応して、顔を上げて振り向く

ξ゚⊿゚)ξ「家この辺りだったのね
     知らなかったわ」
     
(;^ω^)「ツンさんかお?
      どうしてここに」
      
ξ゚⊿゚)ξ「さん付けは止めてって、大学生のときから言ってるでしょ」

ξ゚⊿゚)ξ「あたしのおばあちゃんがこの辺りの出身なの
     墓もこの墓地にあるってわけ」
     
( ^ω^)「なるほどだお
      大学も懐かしいお
      最後にツンと会ったのは卒業後にサークルのみんなで遊びに行ったときだったお」


52 :( ^ω^)は遺言を受け取ったようです:2010/02/20(土) 23:05:01.49 ID:85W9DzD+0
( ^ω^)「ハングライダーのサークルなんて変わってたお」

ξ゚⊿゚)ξ「まあ、あまりポピュラーじゃないわね
     でもあんたはその中でもかなり変わってたほうよ」
     
墓地からの帰り道、二人は一緒に歩いていた
日は傾いて、徐々に山に沈もうとしている

( ^ω^)「何か変なことしたかお? 」

ξ゚⊿゚)ξ「なんとなく、態度が違ったのよねえ
     他の人は飛ぶことに夢中になってたけど
     あんたは空そのものが好きみたいだった」
     
ξ゚⊿゚)ξ「スキューバダイビングに行ったのに、ただ海に浮かんで満足しちゃってるって感じ」

( ^ω^)「おっおっお、まるで温泉だお」

ξ゚⊿゚)ξ「変だって言ってるの
     まあ嫌いじゃなかったけどね」
     
陽光が、橙色の光を投げかけて
二人の足元には長い影ができていた

ξ゚⊿゚)ξ「ねえ、あんたどうしてあのサークル入ったの? 」


54 :( ^ω^)は遺言を受け取ったようです:2010/02/20(土) 23:08:02.70 ID:85W9DzD+0
( ^ω^)「…………
      僕のじーちゃん、有名なパイロットだったんだお」
      
( ^ω^)「引退してからも、僕にたくさん話をしてくれたんだお
      雲の上とか、嵐の中とか、あの大きい飛行機だってほんの少しの風でダメになる時もあるとか
      危険だったこと、楽しかったこと、いろんな人との出会いや別れ――話まくったんだお」
      
(*^ω^)「すごくわくわくしたんだお。話をきいて!
      僕もじーちゃんと同じように、空が大好きになったんだお」     

ξ゚⊿゚)ξ「…………」

( ^ω^)「じーちゃんは僕が小学生のときに死んだお
      『遺骨を、青い空に撒いてほしい』って言葉を遺して
      まあ正直最初はその言葉を実行する気にはなれなかったお」
      
( ^ω^)「とにかくじーちゃんが好きだった空を感じたかったんだお
      空を飛ぶことがどういう気持ちが、じーちゃんが空をどんな風に好きか、知りたかったんだお」
      
ξ゚⊿゚)ξ「それでハングライダーを」

(*^ω^)「そうだお! 空を飛ぶのはすっごく気持ちよかったお
      でも、実は今でも遺骨は撒けないでいるお」
      
(  ω )「僕はまだ大切な約束を果たせていないんだお
      宇宙もダメ、絵もダメ、どうしたらいいんだお」


55 :( ^ω^)は遺言を受け取ったようです:2010/02/20(土) 23:11:15.53 ID:85W9DzD+0
ξ゚⊿゚)ξ

ξ゚ー゚)ξ「それって、ブーンが考える空でいいんじゃないかな? 」

(  ω )「? 」

ξ゚ー゚)ξ「おじいさんが好きだった空を探して、あれも違う、これも違うっていうより
     ブーンが、『自分はこういう空が好きだ』っていうのが伝わる場所で撒けばいい
     そうすればおじいさんもそれを理解してくれるって、そう思うのよ」
     
(  ω )「僕の考える空……」

ブーンは空を見上げた
もうすぐ夜になる
星がちらほら輝きだしていた

空を見上げるのが大好きだった

視界に空しか入らないと、まるで巨大な空間の中に放り出された感覚になる
空が自分に最も遠いところにあるにもかかわらず、最も親近感が湧く状態
吸い込まれるような、一つになるような感覚がたまらなく好きだった

(  ω )「ツン、ありがとう」

ξ゚ー゚)ξ「どういたしまして」

そうして二人はそれぞれの家路についた


57 :( ^ω^)は遺言を受け取ったようです:2010/02/20(土) 23:14:03.10 ID:85W9DzD+0
さらに数日が経った

目的の場所で、ブーンは瓶を取り出す

( ^ω^)(じーちゃん、長く掛かっちゃったお)

ブーンは真っ青な――海に来ていた

( ^ω^)(じーちゃん、ひょっとしたらじーちゃんにとってこの答えは意外かもしれないお)

瓶の蓋を開けて、海に足を浸す

( ^ω^)(でも、ちゃんと考えがあるんだお)

風が海の方から強く吹いてくる
磯の香りを感じながら、ブーンは屈んで風の影響をなるべく避ける

そして、遺骨を撒いた

( ^ω^)「じーちゃん、空を見てくれお」

そう呟きながら、ブーンは自らも空を見上げる

快晴だった
雲ひとつない青空が広がり、水平線で海と交わっている


58 :( ^ω^)は遺言を受け取ったようです:2010/02/20(土) 23:17:01.48 ID:85W9DzD+0
( ^ω^)「青い空に撒くことはできなかったんだお
      だいたい無茶な注文だお
      ものは地球なら落ちるし、宇宙は黒い、絵はじーちゃんの言う空じゃない」
      
( ^ω^)「だから青い空に撒くことは止めたんだお
      代わりに、とても広い場所を墓にしといたお」
      
( ^ω^)「そこからなら、世界中のあらゆる場所から
      誰にも邪魔されることなく空を見上げられるんだお
      どこかの海が嵐でも、どこかの海はかならず晴れているんだから」
      
      
「僕は、僕ら全てを包み込んでいる、この上空に途方も無く広がっている空が大好きなんだお
 それを伝えたいんだお」
 
        
      
波の音を後にして、ブーンは自転車にまたがった

( ^ω^)(そーいやじーちゃんは天国に行ったのかお? )

ふとそんなことを考えていた
そして、すぐに自分で答えを見つけた

( ^ω^)(たとえあの世のどこにいようと、空を目指しているんだお、きっと)


59 :( ^ω^)は遺言を受け取ったようです:2010/02/20(土) 23:20:03.57 ID:85W9DzD+0
ショボンのスペースシャトルが出発した後、ブーンはドクオの作品を見に行った
たった一つの作品だけど、額縁に飾られたその絵は自信に満ちていた

そして――


/ ,' 3


その中の雲の形は、とても誰かに似ていた
空の中で、満面の笑みを浮かべている誰かに







~~完~~


 
 
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ドックンドックン~!ふぅん!にゃーんにゃーん
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