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普通、のようです

2009/11/14 Sat 17:28

 
462 :普通、のようです:2009/11/14(土) 10:45:34.06 ID:mK8JbHTB0
此処へやってきたのは、君が始めてだ。

僕の過去の話を聞きたがるとは、何とも物好きな方も居るものだよ。

こんなにありふれた人生など、聞く価値も無かろうに。
聞きたいと言うなら、僕はかまいやしないけれどね。

さあ、平凡な人生を語ろうか。

あれは何年前の事だったかな。
此処では時間が流れないように思えて、困る。



『二度と、妹に近づく事、無きように』

聞いたことも無いほど怒った声で、たからは、そう言った。

(,,^Д^)「嗚呼、貴方を信用してしまった、僕も悪かったのです。
     可哀想な、でぃ。此れは何の罰だというのでしょう」

常の笑顔など、無かったかのように、冷たい瞳だ。
そして、彼は僕の物だった女を連れ去ってしまう。


463 :普通、のようです:2009/11/14(土) 10:48:09.15 ID:mK8JbHTB0
( ・∀・)「たから、たから、待ってくれよ。
      僕から此れを奪うなんて、非道い事は止しておくれ」

僕の家の、重い扉が、大きく音を立てて閉められた。

其れは、僕の心が壊れる音。

孤独の部屋で、僕は泣く。
床に落ちていた、でぃの左の耳朶を拾い上げ、涙を注いだ。

( ・∀・)「彼の娘を、取り戻さねばなるまい」

頬を伝った悲しみは袖口が吸い取った。
 
 
手の上の耳朶を、僕はゆっくり飲み込み、床から奇麗な刃物を取り上げる。

( ・∀・)「其れは、僕の所有するものであるから。
      そう、髪の一筋まで、人に渡してはならぬのだ」

喩え、其れが彼の者の兄であっても。
僕は彼の者を渡しては、ならぬ。


464 :普通、のようです:2009/11/14(土) 10:51:34.45 ID:mK8JbHTB0
( ・∀・)「さあ、取り戻しに行こう」

そして、二度と奪われてはならない。

彼の娘は、やっと罪を許された。
其の身に刻まれた傷跡が、其の免罪符と為る。

原罰を許された娘を、僕は娶るのだ。

自らを奮い立たせて、住処を飛び出す。

彼の娘と、その兄たからの家を訪う。

戸を数度叩くと、たからが顔を出した。

(,,^Д^)「近づくな、と。僕は確かに君に忠告した筈ですよ。
     此処で君が命を落としても、約束を違えたのは其方なのだから。
     文句は言わないでくれ給え」

一度に其れだけ言う。
僕は少し距離をとって、彼に頭を下げた。


465 :普通、のようです:2009/11/14(土) 10:54:05.99 ID:mK8JbHTB0
( ・∀・)「でぃを、返しておくれよ。
      僕の物になったのだ、あれは」

奇麗に光る刃物を僕の手の内に見つけたたからは、憤った。

(,,^Д^)「僕の妹を、まだ傷つけると言いますか。
     君が此処まで畜生の道に墜ちていたとは、思わなかった」

違うのだ。
違うのだ。

此れは、あの娘の為なのだ。

僕は何度も、そう言った。

何時しか、僕の周りに人垣が出来、公僕達が身柄を取り押さえようとしていた。

( ФωФ)「お前かい。暴れているのは」

( ・∀・)「やめないか。やめないか。僕は、目を開いているぞ。
      唯、彼の女を娶りに来たのみだ。
      この国は、求婚することも罪悪なのかい」


466 :普通、のようです:2009/11/14(土) 10:57:08.73 ID:mK8JbHTB0
大きく腕を振り回すと、公僕が僕の腕を捻り上げた。
よく見ると、たからも、僕を抑える公僕も、あちこちに裂傷を負っている。

(,,^Д^)「君が暴れている事が、罪悪なのだよ。
     官憲の者は、求婚など、罪としないさ」

( ФωФ)「そうとも。
        恋愛を罪悪などと言うのは、言葉遊びの出来る階級の者だけだ」

奇麗だった刃物が、地面に墜ちる。

血液で汚れている。

嗚呼、僕はこんなに奇麗な物を、でぃの血以外で汚してしまった。

(,,^Д^)「官憲の方。此の者は、僕の妹を閉じ込め、傷つけたのです。
     どうぞ、座敷へ上がって、妹に与えられた非道い仕打ちをご覧なさい」

( ・∀・)「其れは、いけない。
      あの免罪符を見て良いのは、僕だけなのだ」

座敷へ上がって行く公僕に飛び掛ろうとした。

だが、二人がかりで止められては、僕の矮躯ではどうしようもない。


467 :普通、のようです:2009/11/14(土) 11:00:14.69 ID:mK8JbHTB0
(,,^Д^)「何を言うのです。医師に見せずに、どうやってあの傷を治せましょうか。
     君、一度癲狂院にでも行って来た方が、良いのでは」

この男には、罪が何たるかが分かっていないのだ。

妹と違って、物分りの悪い。

( ・∀・)「しかしね、君。完成された物は、罪なのだよ。
      僕が、それを濯がなければ、彼の娘は」

(,,^Д^)「慎みなさい。でぃに此れ以上、君の存在を知らせたくないのだ」

部屋の奥で、公僕がたからを呼んだ。

( ФωФ)「おい、おい。
        此の娘が、何か話している」

たからはすぐに、その枕元へ駆け寄った。

(,,^Д^)「でぃ、兄さんだよ。
     解るかい」

(#゚;;-゚)「兄さん、兄さん。
    もららーさんを、此処へ」


468 :普通、のようです:2009/11/14(土) 11:03:01.42 ID:mK8JbHTB0
彼の娘のか細い声に、たからは背を仰け反らせた。

(,,^Д^)「でぃ、彼の者は、お前を傷つけたのだよ」

娘は微笑う。

(#゚;;-゚)「まあ。そのような戯言を。
    これは、傷ではありません。免罪の証です」

(,,^Д^)「戯言を言うのは君だよ。
     もららーはこれから、官憲の罰を受けるのだ」

何度も繰り返す彼に、娘は声を些か大きくして言った。

(#゚;;-゚)「私はあの方と契ります。
    其の為に、今までの罪悪を濯いで戴いたまでの事」

公僕も、たからも、言葉を失った。

僕を捕まえた、公僕の腕を振り解き、その枕元へ寄った。


469 :普通、のようです:2009/11/14(土) 11:06:07.23 ID:mK8JbHTB0
( ・∀・)「でぃ、君を娶りに来たよ」

でぃは、華が開くように美しい笑みを浮かべた。

(#゚;;-゚)「嬉しいこと。私は、仕合せ者に御座います」

不束ですが、と。
横たわったまま頭を下げる真似をする。

( ・∀・)「たから、此れも、言っているだろう。
      さあ、返しておくれ」

(,,^Д^)「しかし、それは出来ない」

迷いながらも、たからは言った。

( ・∀・)「ならば、君の罪も濯ごう。
      そうすれば許しておくれだね」

そう言って、彼の腹へ、奇麗な刃物を深く刺し込んだ。


471 :普通、のようです:2009/11/14(土) 11:09:14.34 ID:mK8JbHTB0
公僕が、大声を上げた。
僕をたからから引き剥がし、何処かへ連れて行こうとする。

( ・∀・)「待ってくれ。僕を連れて行くなら、でぃも。
      彼の娘も、同行させてくれ。
      あれは、もう僕の妻なのだ」

( ФωФ)「嗚呼。後から、連れて行くとも。
        どうせ行き先は同じだよ」

其れを聞いて、僕は胸を撫で下ろした。

其れきり、僕はずっと、巣鴨にあるこの大きな施設で、でぃと一緒に暮らしている。

たからは、あれきり塞ぎ込み。
空気の良い田舎へ引っ越したと聞く。

僕は毎日、でぃと二人で仕合せだと言いながら、生きる。


472 :普通、のようです:2009/11/14(土) 11:12:42.53 ID:mK8JbHTB0
訪ねて来る者など、一人とて居なかった。
そう、だから君が始めてさ。この話を最後まで聞いたのは。

嗚呼、でぃの事かい。

でぃなら、今君の目の前に居るだろう。

僕はでぃの一部を取り込んだからね。
彼の者が居なくなってしまった今となっては、僕がでぃでもあるのだよ。

おや、もう飯時かい。
早いものだ。

君も食べていくといい。

僕は、でぃを取り込むのに忙しいからね。
君は僕の分の飯を食べてお行き。

何、気味悪く思う事は無い。

何なら僕は、君の罰を濯ぐ事も厭わないよ。

逃げなくても、良いじゃあないかい。

どうせ、此処に踏み入れた者。
きっと君も、何時かはこの施設で暮らす事になると、僕は思うのだけれどね。




 
総合短編(シリアス・鬱・ホラー) | コメント(0) | トラックバック(0)
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