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157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/11(水) 20:35:12.76 ID:et+5MDSHO
 血液が彷彿としている。
 まるで太鼓を連打しているかのように心臓が高鳴る。
 感情が、心の奥底を照らすように強く、燃え盛っている。

 
 
(; ^ω^)「…ッは…ッは…!」

 噛み締めた口から、荒い息が漏れ出した。それは熱い蒸気となって、冷たい空気に溶けていく。
 一歩。足を踏み出した。次に、手を振り出す。それらを続けて起こす。すると自然とそれは
走る姿に代わっていった。
 地を駆けて、空を切り、息をして、心臓を高鳴らせる。
 心地よい振動と、限りない酸欠の壁に、脳が真っ白なシャウトがかかる。引き伸ばされた苦
痛の波が、信じられないほどの速さで体を蝕んでいく。



160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/11(水) 20:37:41.04 ID:et+5MDSHO
 だが、それでも走る。
 息が切れようとも、心臓が弾け飛ぼうとも、足腰ががたがたになろうとも。
 僕は、走る。
 視界は物体から線となり、そのうち光となった。
 だが走る僕には、もとから全て一つに見えていた。
 関係はない。映るものが僕に関与する一因になることはない。走るのは僕だ。対象物は僕だ
けでいい。周りは関係ない。空気も。空も。地も。土も。森も。木も。

(; ^ω^)「走り続ければいい……!!」

 走れ。なにも関与しなくてもいい。全てを放棄しろ。感情を捨てろ。脳を崩壊させろ。思考
を止めろ。それだけだ。走れ。走れ。走れ。

「─うぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!!」

 自然と、腕が広がった。
 まるで、羽ばたくような仕草。
 これから、長い助走の元。この限られた大地から逃げ出そうと、大きく大きく羽を広げて飛
び立とうとしているように。もがいて、もがみ続けて手に入れた苦肉の策のような、気合と根
性で成し遂げようとしている勢いで。

 かつての、寓話のような出来事のように──


162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/11(水) 20:39:28.78 ID:et+5MDSHO
(;  ω )「飛ぶんだお!!!!」

 姿勢が前方に向かって低くなる。さらに速さを求めるフォーム。
 あらん限りの力を出しつくし、速さだけを求めて走り行く。
 そして、蹴った。
 大地をその足で。
 そして少年は、空を見る。
 空はあった。自分の目の前に。

(* ^ω^)「飛んだおっ!飛んでるおっ!」

 風が自分を通り越して吹きあがる。
 僕は、空を飛んでいた。僕がいた世界はすべて、下方へと続く小さなものとなった。
 
 空には光が満ち、僕は照らされ、空を駆け飛ぶ。
 大きく広がる目の前の視界には遮るものはない。僕は本当に、本当に。
 空を飛んでいた。空を僕は駆けていた。

 やがて、その勢いがなくなり、その光が遠く離れていき。
 暗闇へと落ちる、その時まで。
 僕は確かに、飛んでいた。

( ^ω^)「飛んでるんだお」

 僕は、今、空を飛んでいた。



終わり


163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/11(水) 20:40:42.42 ID:et+5MDSHO
タイトルは

( ^ω^)やがて落ち逝く少年のようです。

 
総合短編(シリアス・鬱・ホラー) | コメント(0) | トラックバック(0)
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