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461 :( ^ω^)あおぞらにとけるようです:2010/02/04(木) 22:38:19.82 ID:Vq8y4OIL0

( ^ω^)「…」

 その日は、澄み切った青が空に鎮座していた。
 何をしている訳でも無い。
 ただ、ただずっと悲しみに暮れる僕を見守っている。

( ^ω^)「……」

 僕は、死んでしまった。



( ^ω^)あおぞらにとけるようです




 
 
462 :( ^ω^)あおぞらにとけるようです:2010/02/04(木) 22:40:29.16 ID:Vq8y4OIL0
 死というのは案外、呆気なく訪れるものだ。
 僕の場合もそうだ。

 他愛もない。
 交通事故。
 交差点を渡っていた時、突然横からの凄まじい衝撃に襲われた。

 勿論、信号は青のままだったし僕意外にもそこを渡っていた人は数人いた。

 大方、飲酒運転か何かだろう。
 夜通し飲み倒したサラリーマンが車の制御を謝った……そんなところか。

( ^ω^)「悲しいお…」

 何が悲しいのか、実は自分でもよく分かっていない。
 死んだこと…はこの際別にどうでもよかった。
 運悪くその日に死ぬ運命だっただけだ。

 では、一体何が僕を戒める?

( ^ω^)「……家、行ってみるかお」


463 :( ^ω^)あおぞらにとけるようです:2010/02/04(木) 22:42:38.96 ID:Vq8y4OIL0
 僕の家は、事故現場から少し歩いた場所にある。

 頑張って、頑張って。
 ようやく買えた二階建ての白い一軒家。
 少し口惜しくはあるけど。
 彼女ならちゃんとこの家を守ってくれるだろう。

( ^ω^)つピンポーン

(;^ω^)「鳴ったお!?」

 よもや鳴るまいと思って押した呼び鈴は、綺麗な音で屋内に響いた。
 しかし、彼女が出てきたところで…。
 死んでしまった僕を認識してくれるのだろうか?

「はーい」

ξ゚⊿゚)ξ「どちらさm……」

ξ゚⊿゚)ξ「……ブーン?」

(;^ω^)「た、ただいまだお」

ξ゚⊿゚)ξ「?…呼び鈴なんて鳴らしてどうしたの?」

(;^ω^)「ぼ、僕が分かるのかお?」

ξ゚⊿゚)ξ「へ?当たり前じゃない?」


464 :( ^ω^)あおぞらにとけるようです:2010/02/04(木) 22:44:52.54 ID:Vq8y4OIL0
 これまた驚いた。
 すっかり死んだと思っていた僕を妻はしっかり認識してくれた。

ξ゚⊿゚)ξ「とりあえず入ったら?」

(;^ω^)「お…」

 事実の認識もできぬまま、僕は僕の家に足を踏み入れた。

(*゚∀゚)「おとーさーん!おかえりー!」

 僕の気配を嗅ぎ付けたのか、家の奥から娘が飛び出してきた。

(;^ω^)「ただいまだお…」

(*゚∀゚)「?…おとーさんなんか変ー!」

(;^ω^)「へ?…い、いやそんなこと無いお!」

(*゚∀゚)「んー?」

 娘は、少し不自然な父の様子に首を傾げる。
 しかし今の娘にそんな些細な事はどうでも良かったようだ。

(*゚∀゚)「まーいいやー」

( ^ω^)「…いや、ちょっとは心配して欲しかったお…」


465 :( ^ω^)あおぞらにとけるようです:2010/02/04(木) 22:47:10.64 ID:Vq8y4OIL0
(*゚∀゚)「それよりもねー、おとーさーん!」

( ^ω^)「ん?どうしたんだお?」

ξ゚⊿゚)ξ「あ、そうだ。帰ってきたら伝えたい事があるって。メールしたでしょ?」

( ^ω^)「へ?」

 全く記憶にない。
 もしや、死んだあとに送ったのだろうか。
 だとしたら今は話を合わせたほうがよさそうだ。

( ^ω^)「あー…きてたきてた」

ξ゚⊿゚)ξ「つーったら凄いのよー」

(*゚∀゚)「あーおかーさん言っちゃ駄目ー!」

ξ゚⊿゚)ξ「ふふ、はいはい」

(*゚∀゚)「あのねー、つーねー…」

( ^ω^)「お、お、なんだお。早く教えてくれお」

(*゚∀゚)「明日のおゆうぎかいのしゅやくになったのー!」


466 :( ^ω^)あおぞらにとけるようです:2010/02/04(木) 22:49:24.81 ID:Vq8y4OIL0
( ^ω^)「あし…た?」

 そうだ。
 明日は、僕の久しぶりのお休みで。
 娘のお遊戯会があるから、って。

( ^ω^)「す…凄いお!」

 絶対、いくからね、って。

(*゚∀゚)「でしょでしょー!お姫様なんだよー!」

 楽しみに…。

( ^ω^)「おー!つーにぴったりだお!」

(*゚∀゚)「えへへー!」

 楽しみにしてるって…。

( ;ω;)「楽しみ…」

ξ゚⊿゚)ξ「……ブーン?」

( ;ω;)「楽しみ…だお…」

 約束したのに。


467 :( ^ω^)あおぞらにとけるようです:2010/02/04(木) 22:51:42.61 ID:Vq8y4OIL0
(;゚∀゚)「お、おとーさん?」

ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン!?どうしたの!?」

 涙が、止まらなかった。
 そうだ。
 僕がこんなに悲しいのは。

 これなんだ。

( ;ω;)「ごめんお…ごめんお…ツン、つー…」

 死ぬ間際に、唯一後悔したのは。

( ;ω;)「明日、お休みなのに……やっと、つーのお遊戯会に行けると思ったのに」

 そんな小さな幸せを、もう感じられなくなってしまう事。

(*゚∀゚)「おとーさん…?」

 娘の元気だった声から段々とその元気がなくなっていった。

(*;∀;)「お…とーさん…ってばぁ…」

 終に娘は涙を流して僕に抱きつく。

( ;ω;)「ごめんお…ごめんお…」

(*;∀;)「お…ぅぇ…どーざ…ぇ…でばぁ…」


468 :( ^ω^)あおぞらにとけるようです:2010/02/04(木) 22:53:53.77 ID:Vq8y4OIL0
 夫が崩れ泣き、娘もそれに釣られて号泣する。
 妻はその光景にどう対処すればいいのかわからなくなっていた。

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

 ただ、夫の身に何かが起きた。
 それだけは分かった。

 それから、暫く涙は止まらなかった。
 漸く泣き止んだとき、娘は泣きつかれて眠ってしまっていた。

(*-∀-)zZ

( ^ω^)「……可愛い寝顔だお」

 泣いた後の腫れぼったい目で、すーすーと寝息を立てている。

ξ゚⊿゚)ξ「…ねえ、ブーン」

( ^ω^)「…わかってるお」

 僕は妻に全てを話した。
 交通事故にあった事。
 多分自分は死んでいること。
 もうすぐ警察から身元確認の連絡も来るだろうということ。


469 :( ^ω^)あおぞらにとけるようです:2010/02/04(木) 22:56:03.82 ID:Vq8y4OIL0
ξ-⊿-)ξ「……」

( ^ω^)「……」

 全てを語り終えた後も妻はじっと目を瞑っていた。

 その口火を切った時、妻が発した言葉は僕の予想を超えていた。

ξ゚⊿゚)ξ「……ありがとう」

(;^ω^)「…え?」

 意外だったのだ。
 もっと、
「はあ?どうして?」
 とか
「だったらわざわざ出てこなくてもいいわよ!」
 とか。

 どんな時でも強がってしまう僕の妻が発した言葉としては、意外だった。

ξ゚⊿゚)ξ「……最期でしか、言えなかったけど」

 妻の目に、涙が溜まっているのを僕は見つけた。

ξ;ー;)ξ「私を…つーを愛してくれて、ありがとう…ブーン」


471 :( ^ω^)あおぞらにとけるようです:2010/02/04(木) 23:03:37.27 ID:Vq8y4OIL0
 年甲斐もなく、また僕の頬に涙が流れた。

( ;ω;)「……僕の方こそ」

( ;ω;)「最期の最期に…何も出来なくて…」

 言いかけたところで、僕は額を妻に小突かれてしまった。

ξ;⊿;)ξ「ごめんなさいは無し!最期くらい、ありがとうで済ませなさいよ」

 結局、怒られてしまった。
 泣きたいやら、少しおかしいやらでなんだかよくわからない。

( ;ω;)「…ありがとう…」

 でも、

( ;ω;)「…ありがとうだお」

 精一杯の、ありがとうを。


472 :( ^ω^)あおぞらにとけるようです:2010/02/04(木) 23:05:48.82 ID:Vq8y4OIL0
ξ;⊿;)ξ「!……ブーン!体が!」

( ;ω;)「え?」

 見ると、既に僕の体は半透明になっていた。
 多分、消えるのだろう。

( ;ω;)「天国にでもいくのかな…」

ξ;⊿;)ξ「何…呑気な事言ってるのよ…」

 思わず、ははっ、と笑みがこぼれる。

( ;ω;)「つーには謝っといてくれお」

 結局お遊戯会にはいけなかった。

ξ;⊿;)ξ「わかった」

( ;ω;)「それじゃ、いってくるお」

 僕の体はその殆どを透明にている。

( ;ω;)「いつか、電報でも送るお」

ξ;ー;)ξ「なによ…それ…」

 一滴の涙が落ちたとき、僕は、天の青へと吸い込まれるように。

 消えた。


473 :( ^ω^)あおぞらにとけるようです:2010/02/04(木) 23:08:01.40 ID:Vq8y4OIL0
 あれから十数年程経っただろうか。
 少しだけ、ほんの少しだけ訪れた奇跡は、妻と娘の記憶にしっかりと刻み込まれていた。

(*゚∀゚)「おかーさーん?置いてくよー?」

 高校の制服を着た娘は些か苛々しながら母を呼んだ。

ξ゚⊿゚)ξ「はいはい、今行くわよ」

 家の奥から正装をした母が顔をだす。

(*゚∀゚)「もー……卒業式遅れちゃうよー……」

 ブーンが去った後。
 妻は必死に職を探し、どうにか娘を高校卒業まで育て上げて見せた。
 夫が残した白い一軒家を必死に守りながら。

ξ゚⊿゚)ξ「おまたせー」

(*゚∀゚)「おそいー!早く行こう!」

 娘は、そんな母の背中を見て育った。
 父の記憶は僅かにしか残っていないが、それでも父のことは大好きだった。

ξ゚⊿゚)ξ「わかったわよ。じゃ、行こうか」

 二人が玄関から出ようとした、その時だった。

「電報でーす」


475 :( ^ω^)あおぞらにとけるようです:2010/02/04(木) 23:10:10.85 ID:Vq8y4OIL0
 今まさに出かけようとしている時。
 少し邪険に思いながらその電報を受け取った。

「ありがとうございましたー」

(*゚∀゚)「電報…?祝電かな?」

ξ゚⊿゚)ξ「んー…多分ね」

 このご時勢、わざわざ祝電を送るとは律儀なことだ。
 そう思いながら母は中を見る。

ξ;゚⊿゚)ξ「!」

 そして、自然と涙が零れた。

(;゚∀゚)「おかーさん!?」

ξ;⊿;)ξ「…まったく……あの人は…」

 母から娘に、その電報は手渡された。
 娘は、不思議に思いながらその電報に目を通す。

(;゚∀゚)「!?」

 そして、彼女もまた、溢れる涙を止める事が出来なかった。

  ―――卒業 おめでとう
        産まれてきてくれて ありがとう―――
                 おとーさんより






476 :( ^ω^)あおぞらにとけるようです:2010/02/04(木) 23:13:02.58 ID:Vq8y4OIL0
おしまい。

>>461-469>>471-473>>475

久しぶりに綺麗な話が書けて面白かった
こういう話に滅法弱いんだ僕は

お題
>>401>>403>>405>>407
青空
電報
休日
青天の霹靂

支援ありがとうございました


 
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