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('A`)記憶と大穴のようです

2010/01/13 Wed 07:20

 
101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 22:42:42.00 ID:S2/rlhEV0
ふとTVを見ると、野球のナイター中継をやっていた。

場面は9回裏。
2対2の接戦だ。

僕は野球にあまり興味がないので、その状況に対して、大したことも思わなかった。
どっちが勝っても負けても僕の今日一日の評価は変わらない。



102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 22:43:36.39 ID:S2/rlhEV0
( ・∀・)「おいドクオ」

そんなことを考えていると、ふいに向かいに座るモララーに呼ばれた。

( ・∀・)「お前の手順だよ」

('A`)「ん」

そう言われて、僕は自分が麻雀をやっている真っ最中であることを思い出した。

TVから目の前の麻雀卓に視線を戻して、そこに積まれた牌のひとつに手を伸ばす。

( ・∀・)「それじゃねーよ、こっちの列だ」

またも注意を促されて、僕は自分が取るべき牌を間違えていることに気づく。

('A`)「ああ・・・」

僕はまた曖昧な返事をして正しい牌を取って自分の手牌に加えると、少しばかり思考して手に要らないと思った牌を捨てた。
 
 
103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 22:44:44.40 ID:S2/rlhEV0
( ^ω^)「野球には興味ないなぁ」

さっきまで僕が思っていたことを口に出したのは、僕の右隣に座るブーンだった。

状況を付け足しておくと、ここはブーンが一人暮らしをしているアパートの一室である。

( ^ω^)「何ていうか、打順とか、攻撃守備とか、順番待ってやる辺りが嫌だお」

何とも漠然としている意見を述べると、彼もまた同じように牌を切った。
_
( ゚∀゚)「なんじゃそりゃ」

今度は左に座るジョルジュが笑いながら突っ込んだ。

( ^ω^)「こう、スポーツって常に運動していたほうがしっくり来るっていうか・・・」

( ・∀・)「ああ、なるほどね」

モララーがそれに納得して牌を切る。
_
( ゚∀゚)「おいおい、お前ら全然分かってねーなぁ」

そこから数分、ジョルジュの野球がいかに素晴らしいスポーツなのかを語る講義が続いたが割合する。


104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 22:45:59.40 ID:S2/rlhEV0


( ・∀・)「僕はそもそもスポーツ自体に興味がないなぁ」

そのジョルジュの熱弁を一蹴するようなモララーの一言。

( ・∀・)「野球って言って思い出すのは・・・子供のころに読んだ漫画くらいかな。
      ほら、ドラえもんの亜種みたいなヤツが野球やるアレ」

('A`)「ドラベース」

僕がモララーが説明した漫画の名前を答える。

( ・∀・)「そうそう、それ」

( ^ω^)「ああ、覚えてるお。
      Wボールとかいうの投げるアレだおね。
      あとやたらちびっこいのがやたら長ったらしい名前の・・・」

('A`)「チビえもん。
    必殺にんじんピーマンねぎごぼうきゅうりトマトなすキャベツ斬り」

僕はまた答えながら牌を切る。

(;^ω^)「・・・よくご存知で」



105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 22:47:10.92 ID:S2/rlhEV0
( ・∀・)「どうでもいいことまで気持ち悪いぐらいに覚えてるよな、お前」

モララーにそうからかわれて、僕はふと、自分の記憶力について思いを馳せる。

('A`)「・・・そうでもないと思うけど」

( ・∀・)「ドラベースの主人公の背番号」

('A`)「・・・5」

僕以外の三人がやっぱり、と言って笑う。
_
( ゚∀゚)「っていうか、その記憶力のおかげで、俺たちは今ここで麻雀打ってるようなもんだろ、なぁ?」

( ^ω^)「そうだおね、自分は携帯もたないのに何で僕ら三人の携帯番号覚えてるのっていう」

( ・∀・)「ドクオがいなかったら互いに連絡つかなかったもんな」

('A`)「・・・」

一巡回ってきて僕はもう一度牌を切る。


106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 22:48:45.33 ID:S2/rlhEV0
彼らと一緒に日常を送っていたのは学生のころ、もう何年も前の話だ。

しばらく離れ離れになっていて、久しぶりにブーンと会う機会があった。

彼は立派な会社員になっていて、未だに大学の研究室で誰にも知られないような研究を続けている僕とはすこし違った雰囲気の変わり方をしていた。

話を聞けば、学生のころから付き合っていたツンと結婚するという。

旧友であるジョルジュとモララーにも知らせたいのだが、番号を記憶していた携帯を壊してしまい、連絡先が分からないと言われ、

僕はモララーとジョルジュの携帯に電話をかけた。

番号を記憶したのは学生のころだったが、彼らはそれを変えずにいたので連絡がついた。

三人で彼を祝わないか、と誘うと、二人は二つ返事で答えた。

既知の仲で昔の話をするのは心地いいものがある。

僕は彼らの記憶の中で欠落した部分を穴埋めする役目を担いながら、他愛無い会話を楽しんだ。


108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 22:50:31.18 ID:S2/rlhEV0
ゆったりと進んでいく麻雀と会話のある空間で、僕はもう一度TVを見た。

試合は変わらず9回裏。
状況は二死満塁。
バッターボックスに立つのは背番号5の4番打者。

俗に言うサヨナラのチャンスと言うやつだ。

それに気づいたジョルジュが手を止めて、流れで皆でその場面を見る。

カウントは1ストライク2ボール。

二球進んで2ストライク3ボール。フルカウント。

ジョルジュは打つね、と言い、残り二人は無理そうだ、と評する。

お前は、と聞かれて、僕は答えた。

('A`)「デッドボールで出塁、サヨナラ勝ち」


110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 22:51:41.64 ID:S2/rlhEV0
(;゚∀゚)「・・・大穴すぎるだろそれは」

呆れるような、笑っているような口調でジョルジュが言いながら、止めていた手を動かして牌を切った。

( ^ω^)「それも昔からだおね、大穴狙い」

( ・∀・)「大学のミスコンでもありえねーこと言ってたなコイツ」

それはほっといて欲しい、と思うようなことを言われながら、僕は牌を持ってきて、ゆっくりと見る。



111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 22:52:29.97 ID:S2/rlhEV0

('A`)「・・・まぁね」

そう答えて、僕は自分の持ち牌を、今もってきた牌だけ少し離して、皆に見せるように押し倒した。

その牌はどれも緑色の刻印しかされていない牌ばかりになっている。

役の名前は緑一色。この手で上がれる確率は約0.0011%。超大穴。



112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 22:53:41.01 ID:S2/rlhEV0


「・・・うげぇ」

三人のぐぅの音を聞きながら、同時にTVのざわめきも僕は耳にする。

見てみると、腰を痛そうに抑えるバッターと、その前に転々と転がるボールが見えた。

野球の結果で今日一日の評価は変わらない。
その言葉は撤回する必要があるらしい。

今日はいい日だ。僕は一生忘れないだろう。




おしまい

 
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