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※タイトルがなかったので、勝手につけさせて戴きました。
 

64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 17:29:15.75 ID:Ar6C6HQrP

 後輩なんかにはよくバカにされるんだけど、
 僕は煙草をやる。

 だらしなく唇の端に咥えたそれを吸うと、
 苦いけど、でも美味しい煙が口の中に満ちて、

 鼻のすぐ先で、赤い光がぽうっと膨らむ。


 僕はそれを、綺麗だと思う。



65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 17:30:19.78 ID:Ar6C6HQrP

ζ(゚ー゚*ζ「わ、また吸ってる」

 休憩室のドアを元気良く開けて、コンビニの制服をきた後輩のデレさんが入ってくる。

 よくバカにされる、なんて言ったけど、
 実を言うと、交友関係の狭い僕をバカにするような後輩なんて存在は、
 このデレさん以外には居ない。

( ´_ゝ`)「ん、ごめん」

ζ(゚ー゚*ζ「いい加減、辞めてくださいよ、煙草。
       もうすぐ大学卒業なんでしょう? ほら、良い機会ですよ」

 彼女の言葉に嫌味はない。
 だから僕は、あいまいな笑顔を、なんとなく顔に浮かべる。

 
 
67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 17:45:30.95 ID:Ar6C6HQrP

 僕はまだほんとうに若かった。

 その頃は、悲観的な哲学が身にしみていたせいで、
 僕はやや陰気で、
 何かにつけて考え事をするために、ごちゃごちゃした人ごみを嫌っていた。

ζ(゚ー゚*ζ「そんなに煙草は美味しいんですか?」

( ´_ゝ`)「んー、いや、美味しいっていうより」

 お酒と、音楽と、

( ´_ゝ`)「ほら、煙草吸うとバカになるから、それが…」

 それから、別れた元彼女。
 当時の僕は、そのことばっかり。



70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 17:56:31.47 ID:Ar6C6HQrP

 それが、の続きを、デレさんは待っている。

 でも、僕は困った。
 続きなんてない。
 僕の言いたいことは、もう全部言い終わったんだ。

 あせって僕はしどろもどろ、
 手足をばたばたさせていたけど、

 そのときの僕の頭の中にうかんでいたのは、
 もちろん、つんつんと尖ったような、例の…元彼女の顔。

( ´_ゝ`)「だ、だからバカになるって、大事というかその…」

 油断すると浮かんでくるこの思い出に、僕の心は突然、いつもかき乱される。



72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 18:01:22.80 ID:Ar6C6HQrP

 ツンと僕は、この街に住む大学生だった。

 僕は例のふさぎの虫のせいでほとんど学校には行かず、
 バイトと雀荘とライブハウスと、あとはお酒の店。
 そんな毎日を過ごしていた。

 だめなことはわかってた。
 けど、僕にはやりたいことが何も無かった…というより、
 何もやりたくはなかったので、
 僕はほんとうに、何もしない無為な日々を送ってた。


 ツンのほうはというと、
 彼女は二年間、僕なんかとは比べ物にならないくらい、
 まじめにしっかり学校に通って、

 それから突然、辞めてしまった。



73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 18:03:27.77 ID:Ar6C6HQrP

( ´_ゝ`)「辞める…? 帰る?」

 理由を聞いても、ツンは何も教えてくれなかった。

 彼女は実家のある遠い県に帰り、
 僕はこの街に残った。

 僕はこのとき、二人の関係も終わりかな、と考えてたから、
 それは悲しかった。



74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 18:12:27.79 ID:Ar6C6HQrP

( ´_ゝ`)「わかったような、気になってたんだけど」

 そう、心の中でひとりごちる。

 僕は彼氏なんだから、
 彼女は、他の人よりは僕のほうに、より多く自分の気持ちを語ってくれていると思ってた。

 でも結局、彼女は僕に何も言わず、…帰ってしまった。


 学校を辞めて帰ってしまうくらいなんだから、
 彼女は、何かに悩んでいたんだと思う。

 でも彼女は、僕には何もしゃべってくれてはいなかった。
 彼女は、彼氏である僕にすら、本心を語ってくれない。


 いや…
 彼氏であるからこそ、なおさら、そんなことは言えないもの?

( ´_ゝ`)「そういうことも、あるのかなあ…?」

 と考えて、
 僕は咥え煙草をひとつ吸う。



76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 18:17:54.08 ID:Ar6C6HQrP

 二本目の煙草に火を付けたとき、デレさんが鋭く僕に言う。

ζ(゚ー゚*ζ「知ってます? 連続して煙草を吸う人を、チェイン・スモーカーって言うんですよ。
       中毒ですよ、それ」

 僕はまたあいまいに笑い顔を作って、浮かべる。


 昨日、ツンから電話がきたんだ。

ξ゚⊿゚)ξ「よう、元気してる?」

( ´_ゝ`)「うん、大丈夫。君は?
     最近そっちも大変そうだから、心配してたんだ」

 ツンは、驚いたように言った。

ξ゚⊿゚)ξ「は?
      私が心配してあげてるのに、あんたに心配されること無いよ」



79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 18:25:57.06 ID:Ar6C6HQrP

 僕は知っている。

( ´_ゝ`)「寂しくない人は、電話なんて掛けてこないよね?」

ζ(゚ー゚*ζ「え?」

 きょとんとした顔のデレさん。

 僕はどうも話を整理して話すのが苦手らしくて、
 時々こんなふうに、人から見れば唐突に見えるような発言をしてしまう。

( ´_ゝ`)「あ、その、つまりあの、僕は知ってるんだ…」

 強がるには、そのあとにくる孤独に耐えなければならないこと。

 そして強がる必要のあるときは、
 強がりの壁の向こうに、やさしさを届けてほしい時であること。

ζ(゚ー゚*ζ「……?」


 僕は、自分の経験で、それを知っている。



81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/01/12(火) 18:30:18.98 ID:Ar6C6HQrP

 だから、僕は煙草を吸うんだと思う。

( ´_ゝ`)「つまり、バカになって、忘れて、考えずにすんで、その…」

ζ(゚ー゚*ζ「はあ…」


 悲しいから。


 …なにが悲しいのかはわからないし、
 そもそも、すべては推測なんだけど。






 
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