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791 :(*゚∀゚)晴れのち自殺者のようです(*゚ー゚):2009/11/09(月) 19:24:03.90 ID:z1V/Xn8h0
小春日和は、自殺日和!
雲1つ無い、晴れた空から、午後には、血の雨が降り注ぐでしょう!


(*゚∀゚)晴れのち自殺者のようです(*゚ー゚)

 
 

うちの高校の屋上は、案外ガードが甘い。

赤いビニールテープ一本張っただけで、いい子ちゃんばかりの生徒達は
屋上行きの階段に近寄りすらしない。
ドアの鍵は、鍵穴に刺しっぱなしだったのをありがたく頂戴した。

お陰で俺は不衛生で寒いトイレで昼ごはんを食べないで済む。

入学してすぐの頃、1階の自動販売機にココアを買いに行った。
そんなアホ臭い理由で『生意気だ』と文句を言いに来た上級生。

その失礼なアホ共は、俺のこの可愛らしい横っ面を
『ムカツクんだよー』とほざきながら張り飛ばしやがった。

そこで俺は彼らに、弱肉強食の厳しい社会というものを、懇切丁寧に教えてやった。
あくまで、正当防衛だと言い張って、結局、教師達は渋々納得した。
元からアホ共に手を焼いていた事もあったのだろうが。


792 :(*゚∀゚)晴れのち自殺者のようです(*゚ー゚):2009/11/09(月) 19:26:28.32 ID:z1V/Xn8h0
まあ、そんな事があってから。
俺の周りには誰も寄り付かず。

教室で1人飯を食えば、半径5m以内が地雷原であるかのような静寂。
次いで、中庭や、家庭科室や、渡り廊下まで。
地雷原を点々と移動させた挙句。

俺は、なんとも侘しく便所飯することに決めた。

だがそれも。
1週間と持たずに辟易してしまった。

そんなこんなで、やっと苦労の果てに辿り着いた無人の屋上は、俺にとっての楽園だった。

今日も、顔には出さずに浮かれ調子で屋上の鍵を開ける。

埃っぽい階段に、ドアの隙間から漏れた光が帯のよう。

ドアの向こうに広がる楽園は、雲1つ無い、高い秋の空。
その幻想的な光景をバックに、2m以上ある緑のフェンスの上に
両腕を大きく広げて立つ誰かの後姿。と、いつもは無いはずのオマケまでついている。

眩しさに目を細めながら、俺はそのコントラストに見とれた。

フェンスの上の人物は、小柄で、ほっそりとしていて。
少し長めの制服のスカートと、ショートカットの髪を細い風に揺らしていた。


795 :(*゚∀゚)晴れのち自殺者のようです(*゚ー゚):2009/11/09(月) 19:28:28.62 ID:z1V/Xn8h0
ふと、我に帰る。

彼女が驚かないように、俺はそっと屋上に踏み入れ、ドアを閉めた。

(*゚∀゚)「なぁ、そこで何しているんだ?」

どうするか迷ってから、俺は素直に声をかける事にした。

彼女は、ゆっくりと、フェンス上で反転し、こちらを向いた。
夢の中のような、幻想的で美しい光景だった。

(*゚ー゚)「わたし、死ぬの!」

にっこり。
綺麗な微笑を見せて。
彼女は、大変電波な事を口走った。

(*゚∀゚)「えぇ?」

(*゚ー゚)「あなた、誰?」

逆光のせいで暗く翳った顔を、かくりと傾げた。
広げたままの両腕が、揺れる。

俺も彼女も、立ったまま。
向かい合って、細い風にスカートと髪を揺らす。


796 :(*゚∀゚)晴れのち自殺者のようです(*゚ー゚):2009/11/09(月) 19:30:05.27 ID:z1V/Xn8h0
(*゚∀゚)「俺? つーだよ」

(*゚ー゚)「まぁ、つー! わたし、しぃ!」

ねぇ、こんにちは。そう言って。
彼女……しぃは大変満足そう、広げられた両腕を振る。

(*゚∀゚)「なぁ、何しているの?」

(*゚ー゚)「わたしね、つー!
     死ぬんだよ。ねぇ、綺麗でしょ!」

くふくふ笑う。
確かに彼女は綺麗だった。

(*゚∀゚)「やめてくれよ、屋上が立ち入り禁止になってしまうじゃない」

(*゚ー゚)「知った事じゃないわ。わたし、死ぬんだもの!」

(*゚∀゚)「どうして、死ぬんだ?」

彼女は、頭でも打ったのだろうか。
電波所の話ではない。
何故なら、彼女は既にフェンスの上に立っていて
フェンスの下には揃えられた上履きと、そこに置かれた封筒もあるのだから。


798 :(*゚∀゚)晴れのち自殺者のようです(*゚ー゚):2009/11/09(月) 19:32:00.89 ID:z1V/Xn8h0
(*゚ー゚)「わたし、恋をしましたの!
     産まれて初めての、恋をしたのよ。
     だから、死ぬの。素敵でしょう!」

(*゚∀゚)「ちっとも素敵じゃないよ。
     しぃが死んだら、俺はここから追い出されて。
     また地雷原を作る羽目になるじゃないか」

しぃは、分からない、というように眉を寄せた。

(*゚∀゚)「考えてもご覧、しぃ。
     ここで死んだら、下のアスファルトにこびり付いた
     汚い姿を皆に見られてしまうよ?」

(*゚ー゚)「私の死体は、片付けなくていいんです!
     鳥や、虫や、犬や猫が、ちょびっとずつ片付けてくれるから
     ちゃあんと、綺麗になるわ!」

(*゚∀゚)「そんな悠長な死体処理を待ってくれるほど
     しぃ、この国の司法機関は気が長くないのだよ」

ご立腹の様子で、しぃはぷうと頬を膨らませた。

(*゚ぺ)「酷いわ! わたし、片付けられるなんて、いやよ!」

(*゚∀゚)「そうだろう、そうだろう。
     だったら、こちらへおいでよ。
     死ぬのは今度だ。仕切りなおそう」

(*゚ー゚)「いいわよ、つー! それに、乗ったわ!」


800 :(*゚∀゚)晴れのち自殺者のようです(*゚ー゚):2009/11/09(月) 19:33:59.63 ID:z1V/Xn8h0
しぃは、ふわりと飛び上がって、フェンスのこちら側に降り立った。
上履きを脱いでいたので、靴下のつま先は着地音も立てない。

まるで猫のようだ。そんな、陳腐な事を考える。

(*゚∀゚)「第一、どうして恋をしたからって、死ぬの?」

(*゚ー゚)「わたし、恋をしてから、どうにも具合が、悪いのよ。
     いつもどきどき。胸は苦しく、息も出来ない。食欲もないし、熱っぽいの!
     恋の病で死ぬよりも、わたしは、綺麗に素敵に、消えなければならないのです!」

今度は、こっちが眉を顰める番だった。

恋する乙女の言葉は、甘ったるいピンク色の稲妻で出来ている。
俺には、まるきり毒みたいなものだ。

(*゚ー゚)「ねぇ、つー。わたし、遺書を書いたんだ!
     読んで!」

上履きに乗せられた封筒を、ぐいと押し付けられる。
そっと開いて、まじまじと見つめる。

そこには、まるで歌詞のような文が綴られていた。


803 :(*゚∀゚)晴れのち自殺者のようです(*゚ー゚):2009/11/09(月) 19:36:23.81 ID:z1V/Xn8h0
『ねぇ、you must fly!
誰かにそう、言われた気が致しました!
がんばれば、わたしは飛べるのです。
わたし、そうなんです。
たとえば、そう。
白い霧の中で、誰かに、そのように言われたのですから!
この水平線の向こうまで、わたし、飛んでいくの!
ロクでもない日常なんて、いりませんの!
そしたら、あなた。
浮き上がる来世でわたしとSEXしてください!
とっても、たのしみだわ!
死ぬほど、たのしみだわ!
たのしみだから、それでは、わたし、ちょっくら来世に逝ってきます!』


(*゚ー゚)「どうかしら? どうかしら!」

(*゚∀゚)「直接的すぎやしない?」

(*゚ー゚)「現代の若者は乱れているの!
     どって事ないのです!」

満足そうに胸を張る。


804 :(*゚∀゚)晴れのち自殺者のようです(*゚ー゚):2009/11/09(月) 19:38:00.04 ID:z1V/Xn8h0
(*゚∀゚)「ここに、水平線はないよ。
     どこまで行くつもりなの?」

(*゚ー゚)「まぁ。これが、水平線よ!」

もう一度、彼女は両腕を大きく広げる。
水平線のつもりだったらしい。

嬉しそうなしぃを見ていると、どうっと疲れが圧し掛かってきた。

(*゚∀゚)「そう。俺も、今、恋をしているよ」

(*゚ー゚)「あら、あら、あら。誰なのかしら!」

(*゚∀゚)「しぃはきっと、知らない奴だよ」

つまらないわ。
ぱたりと下ろされた水平線を、彼女は揺らせた。

(*゚ー゚)「つー! あなたは、いつ、どこで死ぬの!」

(*゚∀゚)「俺は、死なないさ。
     生きたまま、ずっと、何も言わずにいるのさ」

(*゚ー゚)「打ち明けないの?」

しぃは、嬉しそうに。
俺の顔を見つめる。


809 :(*゚∀゚)晴れのち自殺者のようです(*゚ー゚):2009/11/09(月) 19:51:03.61 ID:z1V/Xn8h0
(*゚∀゚)「打ち明けるには、俺は、彼を憎みすぎているよ」

(*゚ー゚)「愛憎入り混じるのね! 素敵だわ!
     それに耐えているなんて、ああ、つー!
     あなた、強いんだわ!」

(*゚∀゚)「弱いのさ」

しゃがんで、膝に顔をうずめる。
この足の下には、沢山の若者が、ふざけあい、笑いあっているのに。
ここでは何も聞こえない。

彼の声も。

何にも。

(*゚ー゚)「強くなればいいんだわ!
     そうしたら、あなた。恋している人も、あなたに恋をする!」

(*゚∀゚)「俺は強くなりたいんじゃない。優しくなりたいんだ。
     彼が、よりかかれるような、そんな人になりたいのさ」

もう食べる気も起きなくなった弁当を、ごとん、と膝から落とす。

しぃは、それを拾って、俺を抱きしめた。

(*゚ー゚)「つー! つー! あなた、ちゃあんと優しいわ。わたし、知っているのよ。
     あなた、わたしに死んで欲しくなかったから、ああ言ったのです。
     ね。打ち明けてごらんなさい、きっと。上手くいくわ!」


811 :(*゚∀゚)晴れのち自殺者のようです(*゚ー゚):2009/11/09(月) 19:53:01.66 ID:z1V/Xn8h0
(*゚∀゚)「うん」

ぎゅう、と力を込めてから、彼女の水平線は俺を解放した。

(*゚ー゚)「さあ、今すぐいくのです。
     早くしないと、わたしが死んでしまうよ!」

(*゚∀゚)「ああ、さようなら。しぃ」

包んだままの弁当を片手に、俺は屋上の扉を閉めて。
元のように、きちんと鍵を掛けた。

制服のポケットに鍵を突っ込んで。
彼の。フサギコのいる教室に向かって走りながら。

俺は、ああ、姉さんが叶わぬ恋に死んだ、晴れたあの日から
もう1年も経ったんだなぁ。そう思いめぐらした。

俺は、しぃ姉さんと同じ年になっていた。


終わり





お題:
 ちょっくら来世に逝ってきます!  you must fly!
 水平線  死体処理
 俺は強くなりたいんじゃない。優しくなりたいんだ。
 (*゚∀゚)と(*゚ー゚)





※以下、FAQ。 ネタバレあり。



816 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/09(月) 20:03:23.13 ID:1dym2u0HO
おつ!
ちょっと落ちがわかりにくい気がする


817 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/09(月) 20:08:04.48 ID:z1V/Xn8h0
>>815
ありがとうございます

>>816
そうでしたか
今度から、気をつけます
伏線というほどでは、ありませんが、最初に(*゚∀゚)が屋上に行く時に
鍵を開けて入っているので、最後はあまり描写しませんでした


818 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/09(月) 20:14:31.26 ID:AIJHJD5NO
なんでつーはフサを憎んでるの?
上級生=フサ?


820 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/09(月) 20:20:01.71 ID:z1V/Xn8h0
>>818
一応、この作品の(*゚ー゚)は、幽霊のようなものですが
言動は(*゚∀゚)の内面を顕してします

ミ,,゚Д゚彡の事が好き過ぎて、でも嫌われている自分と中々一緒に居てくれない
という理由でミ,,゚Д゚彡を恨めしく思っています

この辺は雰囲気として捉えていたので、あんまり書けませんでした

精進します
すみません


824 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/09(月) 20:42:03.68 ID:rhKMEJP8O
乙乙
遅くなって悪いんだけど、
しぃの遺書の縦読みの解説をしてもらえませんか


825 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/09(月) 20:45:28.46 ID:z1V/Xn8h0
>>824
まさかそこに食いつかれるとは
正直思っていませんでした

一応「誰がわたしをころそうとした」
が、遺書の本文です
「直接的」というのは、遺書の内容が誰かを責めるものだったからです

誰かはミ,,゚Д゚彡です
彼に恋した所為で悩んだ(*゚∀゚)は、屋上から飛び降りようと思って
この「誰が~」という遺書を書きました

この辺りの会話は、(*゚∀゚)の自問自答のようなものです

気づいてくれて、ありがとうです


826 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/11/09(月) 20:51:54.74 ID:rhKMEJP8O
>>825
なるほど
遺書も自分で書いたものだったのか
ありがとうございました

 
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